「家政婦は見た!」(木下純代) 紀州のドン・ファン殺人事件の真相は!? | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

自分は良い女を抱くためだけに金持ちになった、4000人の女性に30億円貢いだと豪語した男が、2018年5月に自宅で不審死、ワイドショーをにぎやかしました。私は、この自称「紀州のドン・ファン」野崎幸助という人物と、その怪死事件に少なからず興味を持ち、注視を続けてきました。

 

彼の自伝「紀州のドン・ファン」とその続編「私が生涯現役でいられるわけ」を読みました。

中学卒業後、避妊具の訪問実演販売で身を起こし、貸金業等様々な事業で立身出世を遂げたその目的はただ一つ、いい女を抱くこと。

金で女を買うという発想に手放しで賛同はできないものの、単純明快で牧歌的ですらあるこの男の行動原理にある意味すがすがしいものを感じ、55歳年下の妻と結婚数か月後にこの世を去ることとなった無念さを思い合掌したものでした。

 

彼の死後に自伝のゴーストライターが書いた暴露本も読みましたが、本のタイトルとは裏腹に、真犯人の正体には全く迫れていません。

 

 

自宅の二階での急性覚せい剤中毒死、この時点では殺人事件とは断定されていませんでしたが、もし殺人とすれば容疑者は階下にいた年下妻か家政婦(この本の著者の木下さん)のいずれか、または共犯、そうでなければ密室殺人ということになります。

動機という点では遺産相続者である新妻が断然怪しいのですが、相手は80歳近い老人、遺産目当てなら、殺人なんて危ない橋を渡るよりせっせと励んでの腹上死を狙った方が良いのではと思えます。

 

ミステリーファンとしては、どんでん返しの密室殺人であってほしいなと不謹慎ながら思っていたのですが、事件発生から約3年が経過した21年4月に元55歳年下の妻が逮捕されました。

一番怪しい人が順当に?逮捕となって個人的にはちょっとがっかり。

 

しかしながら未だに裁判が始まらない。

裁判員裁判となるようですが、状況証拠のみ、物証に乏しいようで、立件に難航しているのかな。

 

ミステリーファンとして、自分なりに真相に迫れればと思い、長年被害者のそばにいて、一時は容疑者扱いもされた当人の本書を手にしてみたのですが、7人のパパ活女子との関係をワイドショー的に紹介するにとどまり、事件の真相については目新しい事実はなかったです。

 

なんでもお相手すると1回10万円だそうで、結局フラれちゃったけど、ボクサーの高野人母美さんも一時はお相手だったんですね。

ロシア人モデルには数千万円相当の金品を持ち逃げされちゃったり(紀州のドン・ファン、ワイドショー初登場の事件です)、それでも全く懲りない野崎さんです。

 

金目当てと言えば全員がそうだったんだけど、中にはサワコちゃんやミオンちゃんという、最期まで尽くしてみ取ってくれそうな子もいたのに、、、30歳以上は女じゃないと思っているのか、人を見る目がないと言うか、若い人に目移りしたばかりに、最悪の性悪女と結婚してしまいましたね。

化けの皮がはがれた新妻に離婚をほのめかしたら、先手を打たれて殺されちゃった野崎さん。

改めてご冥福をお祈りいたします。