石田衣良さんのデビュー作。10年近く積読本にしていたけど、いやいや、もっと早く読めばよかった。直木賞受賞作の「14」よりも断然こっちの方が面白い。
IWGPと呼ばれてリバイバル的に話題になっているのは知ってましたが、過去にドラマになってたのは知らなかった。数年前にアニメになってたけど、こっちも1,2回見ただけで視聴を止めてしまった。
お話の舞台は、新宿でも渋谷でもなく池袋。新宿や渋谷はよく飲みに行ったりしてるけど、池袋ってあまり行かない。
東口は西武百貨店とパルコがあって、広いロータリーがあって、少し歩くとサンシャインシティがあって、明るく開けた感じがするけど、西口方面は飲み屋街やラブホがあって結構ごちゃごちゃした町という印象あり。そもそもあまり行かない。
表題の池袋ウエストゲートパークって、池袋西口公園のことなんですね。ここは駅のすぐそばだし、ポケモンGOでよくポケモンの巣になるので何回か行ったことあり。
『池袋西口公園(おれたちはカッコつけるときはいつも「ウエストゲートパーク」と呼んでいた)の本当の顔は週末の真夜中。噴水のまわりの円形広場はナンパコロシアムになる。ベンチに女たちが座り、男たちはぐるぐると円を描きながら順番に声をかけていく――。』
小説の舞台になった20年前の姿は本で読んで想像するしかない。
短編が4編、「池袋ウエストゲートパーク」「エキサイタブルボーイ」「オアシスの恋人」「サンシャイン通り内戦(シヴィルウォー)」
やはりメインは「サンシャイン通り内戦」、西対東の戦争、潰しあうギャング団はウエストサイド物語のよう。
若者には若者の、アウトローにはアウトローのルールがある。警察や暴力団はお呼びでない。自分たちの街は自分たちで守る。
主人公で語り部の「池袋のトラブルシューター」マコトが熱いし、その仲間の「おとぼけボーイズ」もかっこいい。
危険を顧みずに疾走する若者たちの群像劇は、あくまで軽やかでクール、言葉の使い方も独特で読後感は爽快、これがデビュー作なんてやはり石田衣良さんはすごい。