先週の放送では由香と純子の家族が登場していましたが、純子の兄の性格は好ましいとは思えず、相変わらず悪役ゲストを使い捨てにして話を進めるという状況は変わらないようです。今までどれくらいの人が出てきたのか、列挙したいと思います。


望月君子(河合美智子)

節子が亡くなった直後に将太が同級生の望月明菜に乱暴しましたが、そのことを学校に抗議した母親です。いわゆるモンスターペアレントで将太をクラス替えするように迫っただけではなく里親の勝太郎に対しても一方的に文句を並べました。まあ、こういう親はいるという話を聞いたことがあるので、この時点では特に疑問も抱かず、「シャラップっす。」と言い放った瞳を見て、20歳だから未熟なのも仕方がない、と思ったのですが…。今思えば、この時点からゲストを使い捨てにする話作りが進んでいたのだと思います。


島田奈緒子(大後寿々花)

明の同級生として登場した彼女も可哀相な扱い方をされていました。おそらく明に好意を持っていたのでしょうね。だから明の気持ちを理解したいと考えて、明が実の父に置き去りにされた遊園地へ一人で行ってしまったのでしょうが、あの描写だけではデリカシーがないと非難されても仕方ないと思いました。奈緒子の心理描写に費やした時間が少なすぎたんですね。あの扱い方では奈緒子が可哀相です。同じ週で勇次郎がマリをデートに誘えずに悩む場面が挿入されていましたが、はっきり言って、この描写は不要だったと思います。前田吟と同じくらいの年齢の母は勇次郎を見て、「今時あんなに純情な人はいないよ。」とばっさり切り捨てていました。だいたい、展覧会を見に行く人は中高年が多いというのに、セザンヌをまともに言えない人があの世代にいるとは思えません。


また奈緒子に対して怒りを露わにした明を勝太郎が詩を読んで諭すのですが、その後、明が手紙を出して謝罪しただけというのも好感が持てませんでした。いったいあの後、明と奈緒子は本当に和解できたのか。それを台詞だけで片付けてしまった作劇は手抜きだと思いました。


勝俣征二(田中幸太朗)

恵子と婚約していた六本木にある企業に勤めているWebデザイナーという設定でしたが、ITといえば「六本木」という発想に古くささを感じました。「恵子に1日20通(1時間に2通)もメールを出す」という設定のおかしさは以前述べたとおりですが、他にも、勝俣が自宅で作業をしている場面におかしさを感じました。最近は winny のセキュリティホールなどをついたコンピューターウィルスなどによるファイル流出事件の多発のため、職場からのデータ持ち出しを制限されている職場が多いのです。もし何かの事故でデータを収めたメディアを紛失したら、勝俣はどう言い訳するつもりだったのでしょうか。ここにも IT 業界に対する偏見(もしくは調査不足による誤解)が見られて不快でした。おそらく「悪役」なので適当に設定したのでしょうが、この頃から、私はこのドラマの作りに疑問を抱くようになりました。


石井忠司(俵木藤汰)

ICプロモーション社長で'''まゆげねこ'''ショーの興行元です。この人も脚本家がギャグ(のつもり)で挿入した場面ためにおかしな設定を与えられていました。それは、肝心の踊り子を面接もせずに瞳達に決め、さらには本番30分前になってビデオを見せて「この通りに踊ってくれ」と言い放ったことです。これでは仕事を請け負ったものとしては無責任過ぎるでしょう。普通はそれなりに踊れるかどうかを見極めるために面接して実技を確認するでしょうし、さらにはもっと前に振り付けのビデオを渡して練習させるでしょう。仕事に対する取り組み方がいい加減すぎるのではないかと思いました。


でも仕事に対する取り組み方がいい加減なのは石井だけではありません。仕事の最中に私用電話を受けても平気で長時間話し続ける百子、他の客もいるというのに友人が来たという理由で酒を飲みながら接客する「あにおとうと」の誠、何か心配事があると仕事が手につかなくなってミスを連発する瞳など。先ほどあげた勝俣もそうですが、どうも「瞳」の脚本を書いた人は仕事を馬鹿にしているのではないかと思います。


カズ(滝裕可里)(NEXT GENERATION)
かつてKENやRAYとユニットを組んでいたEIJIの妹。兄はKENとRAYのために死んだと思い、二人を恨んでいるのですが、関西在住としている理由がよくわかりませんでした。KENとRAYにこだわって大阪の予選ではなくて東京の予選に出場するというのなら、関西在住にしている意味などないと思うのです。さらに、初登場シーンでは「あにおとうと」でもんじゃ焼きよりもお好み焼きがいいと言い放っていましたが、食い道楽の大阪人がそんな食べ物を粗末にする発言をするとは思えません。あくまでも関西を敵とするステレオタイプの設定には共感できませんでした。

横山枝里子(三原じゅん子)

ウメさんの息子哲夫の妻として登場した枝里子は、哲夫の勤める会社の元重役の娘で実家が金持という設定でした。「銀座が近いのでそちらへ足が向く」という理由で月島をあまり訪れたことがなく、フランス料理とイタリア料理しか作らないそうです。しかも高級レストランしか行かないとのこと。そのため息子武志はウメが作った手料理に手をつけずに一言「ハンバーグを食べたい。」すると枝里子は「この辺にファミレスはありますか?」と尋ねる。ここまでの文章を読んでみてください。この脚本を読んだスタッフや役者は何も疑問に思わなかったのでしょうか。武志はフランス料理とイタリア料理しか食べたことがないので「ハンバーグを食べたい。」と言い出したとしたかったのでしょうが、そもそもハンバーグはフランス料理でもイタリア料理でもありません。で高級レストランしか行かないはずなのに、ファミリーレストランの場所を尋ねるのもおかしな話です。



横山武志(神谷涼太)

ウメの孫の武志はかなりの我儘に設定されていました。まずウメの手料理には箸をつけず、ハンバーグを要求。食事中にゲームをしたり、植木鉢を割ってその場に居合わせた将太に罪をかぶせたりするなどの暴挙をふるい、挙句の果てには「あにおとうと」でハンバーグやスパゲッティーやドリアやアイスクリームを要求し、出された棒アイスを一口舐めただけで「まずい」と言い放って食べるのをやめてしまいました。今時の子供は躾がなってないと言いたかったのでしょうが、これはやはりおかしな設定です。というのは金持ちならば教育にはお金をかけているはずなのでここまでわがままになるはずがないのです。こんなにわがままなら、私立小学校の受験に受かるわけがありません。枝里子のような金持ちなら、お受験をさせないはずはないので、こんなにひどい性格になるはずがないのです。


さらにウメの手料理に箸をつけなかったというのもおかしな話です。枝里子がフランス料理とイタリア料理しか作らなかったので和食を食べたことがなかったとしたかったのでしょうが、これはおかしいです。というのは小学校の給食は枝里子の手料理以外の料理が出るはずだからです。少なくとも味噌汁くらいは出るでしょうし、いなり寿司も目にすることもあったはず。母は「カフェテリア方式になっているので好き勝手に食べられたのではないか」と言っていましたが、それでも味噌汁くらいは飲むのではないかと思いました。



今里満(宅間孝行)

将太の実の母美紀恵の婚約者。児童相談センターに源泉徴収票を持ってきて、自分はこれだけの財産を持っているので将太の養育は可能だと言っていましたね。ということは、この段階で結婚についてはかなり話が進んでいると普通は考えるではないですか。ところが、それからしばらくして結婚は破談になってしまいます。なんと、今里は母親に美紀恵と結婚することを全く話していなかったのです。そんな肝心なことを母親に話しもせずに「将太の養育は可能だ」と言っていたのです。後で母親に話すのですが、水商売で子持ちの美紀恵との結婚を反対されると、態度を急変させて、結婚はできないと言ってしまうのです。いくらなんでも非常識ではないでしょうか。ただ、そのことで森本食堂の常連が今里をつるし上げようとするのは共感できませんでした。今里にも言い分はあるはずなのに、これでは「やくざみたい(母談)」です。瞳を正義の味方のように仕立てたかったのかもしれませんが、やり方が悪すぎます。この脚本を読んで詫間さんがどう思ったのかを知りたいです。



橋本圭一(戸次重幸)

純子の兄。ダンスに関する理解は全くなく、ことあるごとに純子に対して実家の餃子屋を継ぐように迫ります。しかし、自分は餃子屋を継ごうとはしません。というのは、自分は地元の銀行で働いており、結婚もしているので餃子屋を継ぐことはできないというのです。しかし、こんなのが理由になるとは思いません。要するに餃子屋の経営が安定していないので不安だと言いたいのかもしれませんが、理由としては弱すぎます。そんなに餃子屋が大事なら自分が継げよと言いたくなりました。これだけの理由で純子に餃子屋を継げと強いること自体、わがままと言われても仕方がないのではないでしょうか。

これだけ「悪役」が適当に設定されていると、リアリティが感じられず、登場人物に共感ができません。無知は仕方がないのかもしれませんが、もっと愛情込めて話を書いてほしいものです。しかし、ドラマを見ていても、脚本家が登場人物を愛して書いているとは思えないんですよね。これは悪役ではない人にも言えることです。たとえば、斎藤美紀恵の父、つまり将太の実の祖父の水島利男(田中健)についてもおかしな設定がありました。それは妻との離婚に至った理由が「1986年の三原山噴火で家屋と船を失った故郷の漁師に金銭援助をしたことで妻と対立」というものでしたが、調べた範囲ではそのような事実はなさそうなのです。1986年の噴火は溶岩が元町地区まであと数百メートルと言うところまで迫ったために全島避難に至ったものの家屋と漁船に被害は出ていなかったからです。ここまでおかしなことばかり書かれていると、冒頭で「このドラマはフィクションです。」と断り書きを出して放送するべきではないかと思いました。また斎藤美紀恵を演じた小池栄子さんは2008年7月19日放送の「土曜スタジオパーク」出演時に「男に依存して子育てを放棄するという役には共感を持てなかったが、良い点をみつけるように心がけ、監督とも議論して演じた」と語っていました。脚本を非難するつもりはなかったのでしょうが、見ていて苦笑いしてしまいました。



先週はすっかり忘れていたのですが、今週は新作ヤッターマンの放送がありませんでした。今週の関東地方での視聴率です。


12.2% 19:00-21:10 NTV 開局55年記念番組・歴史大河4時間スペシャル「第1部・古代エジプト三大ミステリー」


新作ヤッターマンよりも高い数字ですが、裏番組でこの番組に負けたのはテレビ朝日とテレビ東京の番組だけでした。


最後に、これまでの新作ヤッターマン休止時の視聴率を載せておきます。赤字は新作ヤッターマンよりも高いものです。


「1億3000万人が泣ける奇跡をくれた動物たち」12.9%
「知力!体力!家族の絆汗と涙の大家族クイズ」4.7%
「世界まる見えテレビ特捜部SP」13.0%
「巨人×日本ハム」8.7%
「ワールドカップサッカーアジア地区第3次予選・日本vsオマーン」15.2%
「巨人×西武」7.7%

脚本は田口成光。監督は筧正典。特殊技術は矢島信男。


ケットル星人が街に現れ、MAC隊員と格闘していました。ケットル星人は鉄棒も素手で折り曲げるほどの怪力の持ち主で、しかも身軽。ケットル星人はゲン以外の隊員をすべて倒し、なぜか逃走。ゲンは追跡しました。そして切り通しのような箇所まで追いかけると、ちょうどそこに一人の男がやってきました。ゲンは一言。


ゲン「おーい、そいつを捕まえてくれ。」


男はボクサーらしくボクシングの要領でケットル星人と闘いましたが、かなうはずもなく、結局投げ飛ばされ、頭を壁に撃って倒れてしまいました。男はヘビー級チャンピオンのマイティー松本でした。そしてマイティー松本はこれは明らかにゲンのミスです。隊員でさえかなわない星人を捕まえてくれと言うのですから。


マイティー松本はスポーツセンターに通う一郎のおじ。一郎の両親が仕事の都合で外国へ行っているため、一郎はおじ夫婦に預けられていたのです。一郎は「畜生。」と叫びながら、河原でマイティー松本の新聞記事を打ち据えました。見かねたゲンは、おじさんの敵はMACがとるよ、と言いましたが、一郎は「できっこないよ。おじさんはチャンピオンだったんだ。チャンピオンより強い人がいるもんか!」と言ってゲンの言葉を拒絶しました。ゲンは星人を倒すために MAC は全力を尽くす、と言いましたが、一郎の耳にはそれが白々しく聞こえたのか、「いくらそんなことを言ってもおじさんはもう帰ってこないんだ。」と言いました。ゲンは何も言えなくなってしまいました。


MACステーションでゲンはダンになじられました。そしてダンはケットル星人を倒すのがゲンの役目だと言いました。ゲンは「しかし、悲しみに暮れる一郎君をこのままほっとくわけにはいきません。」と言いましたが、ダンに松葉杖で打ち据えられてしまいました。


ダン「星人を倒すのがお前の役目なら、悲しみにくれる人間を救うのもお前の役目ではないのか。自分のまいた種を自分の手で刈るのは宇宙人も人間も同じことだ。他人の力を頼りにするな。」


さてスポーツセンターでは一郎があきら少年に対して、あきらの父親を非難する言葉をはき、喧嘩になってしまいました。あきらの父親が懸垂10回できたらあきらに自転車を買ってあげることが気に入らなかったのです。ゲンは、人のことより自分が30回できるようになることの方が価値があるのではないか、と言いましたが、こう反論されてしまいました。


一郎「おじさんは MAC に協力したんです。それなのに、それなのに、死んでしまったんだ!」


泣く一郎に対してゲンは何も言えませんでした。


ゲンはケットル星人を倒すために空手の荒稽古に励みました。そこへケットル星人襲来の報が。駆けつけたゲンはMACガンを撃ちましたが、星人に交わされてしまって一発も当たりません。折り悪く現場付近では一郎と一郎のおば(マイティー松本の妻)が墓参りに来ており、一郎のおばまで星人の犠牲になりました。ゲンは星人を追いかけ、闘いましたが、やはり劣勢。ゲンは駆けつけたダンに救われました。ダンは、命を無駄にするな、と言い、さらに一郎のおばがなくなり、一郎がますます心を閉ざしてしまったことを告げました。そして言いました。


ダン「少年の心に光を蘇らせることができるのはお前しかいない。」


一郎は泣きながら懸垂していました。ゲンは一郎を励ましました。ゲンは30回に挑戦するんだと言いましたが


一郎「僕ばっかし頑張ることはないさ。おおとりさんも MAC も頑張ってなんかいないじゃないか。みんな頑張っていればおじさんもおばさんも死ぬことはなかったんだ。僕はひとりぼっちになっちゃったんだ。」


ゲンは一郎の気持ちがわかると言いました。嘘だという一郎にゲンは言いました。


ゲン「君にはお父さんもお母さんもいる。だけど、僕は父も母も兄弟も、みんな星人に殺された。」


一郎はその言葉に衝撃を受けました。


ウルトラマンレオ 第11話


ゲン「でもいつまでも、悲しんだりはしていなかったよ。みんなを殺した星人を倒さなければならなかったんだ。」


そしてゲンは星人が手強いが倒さなければならない、倒さなければ自分の命がない、と言い、自分は星人を倒すために頑張るから一郎も懸垂を頑張れと言いました。その言葉を聞き、一郎は懸垂を練習するようになったのでした。その時、一郎はなぜか鉄棒にナマケモノのような格好をしてぶら下がり、落ちてしまいました。一郎を助けたゲンはケットル星人を倒す技が何であるかを悟りました。


ゲン「落ちるんだ。星人も落ちるんだ。」


ゲンはサンドバッグを空中へ投げ、それを受け止める特訓をしました。一郎が懸垂30回を達成した頃、ゲンも技を完成させました。そこへ星人襲来の報が。ゲンは現場へ駆けつけ、宙返りしたケットル星人を受け止めました。するとケットル星人は巨大化。ゲンもウルトラマンレオに変身しました。ケットル星人は槍を使いました。ウルトラマンレオは煙突をヌンチャクにして対抗しましたが、あっさり破られてしまいました。レオは劣勢です。そこへ一郎登場。


一郎「レオ、頑張れ。俺だって懸垂30回できたんだぞ。」


これを聞いたレオは立ち上がりました。真夏竜さんの歌う主題歌「ウルトラマンレオ」が流れる中、レオはさっきとはうって変わって優勢に闘いを進め、レオキックでケットル星人を倒しました。


一郎は両親の住むアメリカへ発つことになりました。今度は50回に挑戦だというゲンに一郎は「いえ、100回です。」と言い、ゲンは欲張りめと言うのでした。


今回も救いのない話でした。田口成光は少年の肉親を無残にも殺す展開が好きなようで、ウルトラマンレオの梅田兄妹の父を筆頭にウルトラマンエースの第13話「死刑! ウルトラ5兄弟」で少年の兄が超獣バラバに殺されたり、これまたウルトラマンエースの第26話「全滅! ウルトラ5兄弟」でも少年の父親がヒッポリット星人に殺されています。私はこういうただ登場人物をいじめるだけの展開は好きではありません。


なお、この話では巨大化シーンが最後にケットル星人とウルトラマンレオが闘う場面しかありません。このような構成になったのはわけがあります。ウルトラマンレオが制作された昭和49年はオイルショックが世の中を接見していた年です。国内の消費者物価指数は23%上昇し、「狂乱物価」という造語まで生まれました。ただでさえ予算がかかる特撮番組に影響が出ないはずがありません。そのため、等身大の宇宙人が登場するシーンを増やして予算を削減しようとしたのです。等身大で登場する宇宙人が巨大化する理由付けが今回のようになされていれば問題はなかったのでしょうが、多くの場合は唐突に巨大化してしまうので若干違和感が生じているように思います。


さらに、マイティー松本がケットル星人と闘う場所は以前 取り上げた東京工業大学大岡山キャンパスを突っ切る切り通しです。劇中、切り通しの上から撮影している場面も見られます。また現在の南一号館らしき建物もちらっと映っています。

新作ヤッターマン第19話の視聴率が判明しました。
ここまでの視聴率の推移は


第1話 10.5%
第2話 10.1%
第3話 9.4%
第4話 9.2%
第5話 10.2%
第6話 9.7%
第7話 8.4%
第8話 10.0%
第9話 9.3%
第10話 8.4%
第11話 7.1%
第12話 7.2%
限定版 8.0%
第13話 8.2%
第14話 8.5%
第15話 6.4%
第16話 6.5%
第17話 5.7%
第18話 7.7%
第19話 6.6%


新作ヤッターマン 第19話までの視聴率


先週視聴率が上昇したのは一時的なものだったのか、また下降。平均視聴率はまた少し下がって8.35%でした。今週はビリー・ザ・ブートキャンプのパロディだったようですが、Amebaでコメントされた通り、確かに旬を逃していると思います。3週間間延びしたという事情があったにせよ、なんとかならなかったのでしょうか。なお、新作ヤッターマンの DVD は第2巻までがレンタル可能で、近々第3巻がレンタル可能になるらしいです。

脚本は土門鉄郎と小川英。監督は児玉進。


ウルトラマンレオというテーマで「太陽にほえろ!」を取り上げることを不思議に思う方は多いと思いますが、これにはわけがあります。実は第166話「噂」を書いた土門鉄郎さんはウルトラマンレオ第9話を書いているのです。私の調べた範囲では土門鉄郎さんが脚本を担当したのはこの二本だけでした。両者を比較することによって土門鉄郎さんの作風がわかると思います。なお、「太陽にほえろ!」は脚本家が書き上げた脚本を小川英さんが目を通して修正するという態勢をとっていましたので、この脚本のあらすじを決めたのは土門鉄郎さんだと推測できます。作品によっては小川英さんが先に来ていることもありますが、その場合は小川さんの直した部分が多くなった時なのでしょう。この態勢をとったため、「太陽にほえろ!」では当時の新人脚本家を数多く起用することができました。この当時だけでも杉村のぼるさんや中村勝行さんが起用されています。土門鉄郎さんもその一人だったのでしょう。


さて本題に入りましょう。この話の主人公は山さんこと山村精一(露口茂)。メインゲストは上村香子です。


金子貞夫という男が殺されました。鋭利な刃物で心臓を一突き。金子はあくどいトップ屋でした。死亡時刻は夜中の11時前後。指紋は拭き取られているため、計画的な犯行と思われ、さらに金目の物が盗まれていないことから怨恨の線が強そうです。ゴリさんこと石塚誠(竜雷太)はマンションの管理人の安田(江幡高志)に、何か変わったことがなかったか聞き込んでいました。安田は10時半頃に若い女が金子を訪ねてきたのを見たと証言。24,5歳の美人で、金子は女を新川さんとよんでいた、さらに、女は「病院の手術で遅くなった」と金子に言い訳していたと言いました。


ゴリさんの調べで、都内の病院で働く新川という名前の看護婦は4人。うち2人には完全なアリバイがある。もう1人は休暇で旅行中。となると該当しそうなのは新川雪江(上村香子)ただ1人。早速山さんとゴリさんは雪江が働く石丸外科病院へ行きました。2人は院長(増田順司)に雪江を紹介してもらいました。早速山さんとゴリさんは雪江から話を聞きました。雪江は金子のことは知らないと言い張りました。さらに交通事故の急患で9時半まで手術があったことと病院を出たのが10時になったことを話しました。山さんは雪江に会ってほしい人がいるので七曲署まで来てほしいと言いました。


七曲署の取調室で雪江と安田の面通しが行われました。安田は雪江を見るなり、昨日見かけたのはこの人だ、と証言しました。山さんは金子の部屋へなぜ行ったのかと尋ねましたが、雪江はずっと自分のアパートにいたと言い張りました。


噂01


噂02

とりあえず雪江は帰されましたが、山さん達はしばらく雪江を張り込んで様子を見ることにしました。ゴリさんの調べで雪江の経歴がわかりました。6年前に新潟市内の看護学校を卒業。市内の病院に就職。1年後に結婚。やがて上京するが離婚。都内で再就職。しかし、金子に握られた秘密はまだわかりません。そんなことを話しているうちに雪江がアパートを出ました。雪江は京王のバスに乗り、京王線に乗って八幡山駅で下車。ちなみに乗る前に映った電車は6000系ですが、降りた電車は今は亡き5000系です。そして向かった先は障害者の施設。そこには雪江の息子が預けられていたのです。山さんは見ました。雪江が息子に足のリハビリ訓練をさせているところを。


噂03

雪江は息子を2年前にこの施設に預け、休みの日には必ず会いに来ていました。雪江は息子のこういちを一生懸命励ましました。こういちは支えなしで雪江のところまで歩くことができるようになったのです。その愛情あふれる様子を見て山さんはゴリさんに言いました。


山さん「あの人が、あの女性が刃物で人を刺すかな。」


ゴリさんは、それならなぜ雪江が嘘をついたのか、と反論しました。するとそこへ、雪江とこういちのところに老婆(吉川満子)がやってくるのが見えました。老婆はこういちによく頑張ったねえと言い、雪江とも親しそうでした。それを見ていたゴリさんは、どこかで見た顔だなあと言いました。それもそのはず。老婆は雪江が働く石丸外科病院の食堂の賄い婦で名前は黒木はつ。山さんはそのことを覚えていました。そしてはつのことを不審に思いました。


石丸外科病院で山さんははつのことを調べました。履歴書によればはつは明治44年10月6日生まれ。本籍地は「岡山県倉敷市岡本町4-6-3」で現住所は「東京都新宿区矢追町12-4-6」。いずれも架空の地名です。半年前から働いていました。息子は立派な役人だったのですが、はつは息子の世話になるのをあまり望んでいない様子。病院に来る前は老人ホームにいました。そこで山さんははつがいた老人ホームに行き、事務員(九重ひろ子)から話を聞きました。老人ホームを出るにあたって入会金300万円をきちんと返金してもらっていました。しかし、老人ホームを解約した理由はわかりませんでした。


ゴリさんは雪江の貯金を調べました。なんと300万円が口座に入っていたという。その話を聞いた山さんは、その金を支払ったのは黒木はつだろうと見抜きました。ゴリさんは驚きました。山さんははつが老人ホームを出たのは雪江に300万円を支払うためだろうと考えました。そのお金が何のために支払われたのかまではわからないが、金子はその秘密の真相をかぎつけて雪江を脅していた可能性はある。山さんはそう考えました。それを聞いてゴリさんは、雪江が10万円ずつ3回引き出している、といい、その理由がわかったと言いました。それを受けてボスこと藤堂(石原裕次郎)は、その金を金子が受け取っているかを証明するのは難しい、と応じるのでした。


以上の結果を受け、山さんは雪江から話を聞くことにしました。


噂04

山さんは黒木はつとはいつからつきあっているのか尋ねました。


雪江「自分のははみたいに思えるんです。」

山さん「ふーん。で、おかあさんは?」

雪江「5年前に死にました。」


しばらく沈黙が続いた後、山さんは言いました。


山さん「その二人目のおかあさんから、あなたは相当なお金をもらっている。」


雪江はピンセットでつかんだメスを落としてしまいました。さらに沈黙が続いた後


山さん「300万円というお金を受け取る代わりに、あなたは何を約束したんですか?」


雪江は振り返って言いました。


雪江「約束だなんて。そんな、そんなもの何も。」

山さん「あなたに不幸なお子さんがいることも私は知っている。」


しばらく沈黙が続いた後、雪江は手術道具をしまいました。


山さん「子供さんの将来のためにもあなたはお金が欲しかった。それはわかります。しかし黒木のおばあちゃんがそのお金を出したのか。なぜあなたはそのお金の中から30万円を金子に支払ったのか。私はそれが知りたいんだ。この辺で正直に話していただけませんか。」


雪江の答えは


雪江「知りません。金子なんて人、あたしは知りません。」

山さん「隠せば隠すほど我々はあなたを追い込むことになるんですがねえ。」


その後で山さんは食堂へ行き、さらに黒木はつを尾行。するとはつは雪江のアパートへ行きました。しかし、様子がおかしいのです。なんと雪江がガス自殺を図っていたことがわかりました。山さんは雪江を入院させました。雪江は一命をとりとめましたが、尋問は無理。駆けつけたテキサスこと三上順(勝野洋)とゴリさんは、これで犯人は雪江に決まり、と言いましたが、山さんの意見は違うようでした。雪江の病室でははつが、なぜ自分に相談してくれなかったんだ、と泣きました。


山さんがボスに、雪江が回復するのは2、3日後だろうと話しているところへ長さんこと野崎太郎(下川辰平)が入ってきました。長さんは新潟から上京してきた金子の両親が金子の死体の確認をするのに立ち会ったのです。それを聞いた山さんはピンと来ました。雪江も新潟出身。山さんは新潟行きを決意しました。


特急ときの車内で山さんは雪江の履歴書を見ていました。昭和24年6月4日生まれ。本籍地は「新潟県長岡市横井町6-12-5」で現住所は「東京都新宿区日之出町6-3」新潟駅に降り立った山さんは雪江が働いていた病院へ行きました。そして院長から重要な話を聞きました。なんと雪江は母を殺した疑いがあったというのです。雪江の母は骨髄腫瘍という当時の医学では治療できない難病にかかっており、苦しんでいました。そして最期の時を迎えた時、雪江は母に一本の注射をしました。安楽死させた疑いがあったのです。雪江は痛み止めの注射だと主張しましたが、彼女の異様な様子から患者が騒ぎ立て、さらに雪江が薬品戸棚の前でじっと毒薬を見ていたという証言まで出る始末。しかし、噂が流れたときはすでに母の遺体は火葬されていたため、安楽死を証明することはできませんでした。金子は新潟の日本海新聞にいてこの事件を取材したことがありました。おそらく黒木はつと雪江との間にもこの事件が陰を落としているに違いない。もしかすると、黒木はつは安楽死を願っているのかもしれない。電話で報告を受けたボスは黒木はつのことを至急調べてみることにしました。


新潟から戻ってきた山さんにボスは驚くべき話をしました。雪江の意識が戻り、あのガス自殺は自分がやったことではないと言ったというのです。山さんは、雪江が金子を殺していないことを悟りました。ボスも同意見でした。雪江の自殺を工作した者は雪江を犯人に仕立て上げようとしたのだろう。つまり、金子殺しの真犯人に違いない。山さんはゴリさんを連れ、雪江のところへ行きました。


山さんは雪江に5年前に金子が書いた記事を見せました。観念した雪江は事件の夜に金子の部屋へ行ったことを認めました。しかし、雪江は3度目の10万円を持っていただけで金子は殺していないと言いました。


山さん「それはわかっている…あんたには憎しみで人を刺し殺すことができない。私はそう思う。」

雪江「刑事さん。」

山さん「しかしそれを実証するためには証拠がいる。協力してくれますね。」


山さんは院長から外出許可を得て雪江を連れ出し、金子の部屋であの日の夜の様子を再現しました。雪江は何も言わずに立ち去ったと証言。


ゴリさん「ちょっと待った。すると病院の手術で遅くなったというのは玄関で言ったのですか?」


ところが雪江は怪訝な顔。雪江はそんなことは言っていなかったのです。さらに


山さん「管理人はどこで顔を出しましたか。」


これにも雪江は怪訝な顔。雪江は部屋では誰にも会っていなかったのです。雪江が管理人と顔を合わせたのは下の階だったのです。


ゴリさんの調べで安田が覚醒剤の売人をしていたことが判明。早速安田のところへ殿下とテキサスが向かいました。青春のテーマが流れる中、逃走する安田をテキサスが追いかけ、安田を逮捕。安田は金子殺しを自白しました。安田は二年前から金子にゆすられていたのです。事件は解決しましたが…


山さん「まだ終わってはいない。残念ながらもう一幕残っているんだ。ボス、安楽死事件の詰めを。」

ボス「頼むよ。」


山さんは雪江を尋問しました。雪江には母親を安楽死させた容疑と黒木はつとの間に安楽死の約束を交わした容疑がある。これを聞いた雪江は失望してこういいました。


雪江「刑事さん。刑事さんもやっぱり、そんな風にしか見てはくれないんですか。あたしが母を殺したと。殺してなんかいません。そりゃ、楽にさせてあげたいと何度思ったか。でもできなかった。あたしにはできなかったんです。」


山さんは雪江が金子に金を払った理由を尋ねました。雪江はこういいました。雪江は何もしていないのに病院を追い出されたのです。そして泣きながらこういいました。


噂05

雪江「今の病院でもどこからか噂が流れてあたしを白い目で見る患者さんがいます。真実が何よりも強いなんて嘘です。あたしは噂だけで故郷を追われました。今もその噂が追ってきて私を苦しめるんです。あたしを捕まえて罰を与えようとするんです。お金を払って黙ってもらう以外に一体どんな方法があるって言うんですか?」


山村は今ではそれを証明することができない、さらに300万円が黒木はつから支払われている、と言いました。これに雪江はショックを受けました。


雪江「それじゃあ、あのお金、黒木のおばあちゃんが安楽死を願ってあたしに、そう思ってらっしゃるんですか。」


山さんは黒木はつのレントゲン写真を見せ、はつが胃がんであることを伝えました。これを聞いた雪江は涙を流して泣きました。


雪江を取り調べた後、山さんが黒木はつのアパートへ行くと、はつが倒れていました。布団の中ではつは言いました。


はつ「山村さん、私はどうしてあなたがいらしたか、よくわかっています。私も雪江さんのお母さんの噂は聞きました。安楽死の。でも、それは違うんです。私があの人に300万円あげたのは、ただあの人達のためにお金を役立たせたかったからです。それに、できたら3人一緒に暮らせるアパートでも借りてと思いましてね。ただそれだけなんです。」


これを聞いた山さんはショックを受けました。山さんははつが雪江に出そうとしていた手紙を受け取りました。青春のテーマの変調曲がかかる中、山さんはそれを読みました。


山さん「あなたと暮らしたこの半年、私は本当に幸せでした。でも私のこのお金のことで、あなたが疑われることはつらいから、これでお別れします。それに、今まで黙っていたのですが、私の命は(ここではつの顔を見る)もう長くはありません。息子夫婦の家へ帰って…静かに最期を迎えます。」

はつ「でも気がかりなのは雪江さんのこと。刑事さん、あの人はお母さんを殺してなんかいません。信じてあげてください。あの人には決してそんなことは…」


山さんは言いました。


山さん「わかっています。もう信じていますよ。」

取調室で山さんは雪江に手紙を渡しました。そして言いました。


噂05

山さん「私の母親も癌で死にました。私は中学生でした。あのとき、もし私の手に毒薬があったら、私は母を殺していたかもしれません。本当に苦しいのは病人の苦しみをともに分かち合うことだと知ったのはもっとずっと後のことです。」

雪江「刑事さん…」

山さん「しかし、あなたはそれに耐えた。どこへも逃げずに、お母さんと一緒に苦しんだ。それがどんなにつらいことか私は知っている。だのに私はそういうあなたを追い詰め、いっそう苦しめたんだ。ただ300万円という金一つのために。」


雪江の目から涙が流れました。


山さん「何の理由もなく、ただ一緒に暮らしたいから300万円渡す。そういう心のふれあいがこの世にはあるんだと言うことを私は忘れていました。刑事なってこのかた、私は、こんなに恥ずかしい思いをしたことがない。」


そういって、山さんは頭を下げました。


噂06

山さん「許してください。」


噂07


雪江「いいんです、刑事さん。いいんです。あたし、悲しくて泣いてるんじゃありません。うれしいんです。だって、あたし、はじめて人に信じてもらえたんですもの。はじめて。」


この涙はすばらしいではないですか。雪江はずっと泣き、山さんはずっと頭を下げるのでした。


噂08


事件解決後、黒木はつは警察病院に入院しました。雪江とこういちはテキサスと山さんに連れられてはつを見舞いました。テキサスまで家族のような顔をしている、とゴリさん達は廊下でうれしそうな顔。そこへボスもやってきました。七曲署捜査一係の面々が警察病院に集結したことになります。はつは手術を受けることを決意し、雪江も警察病院で働くことが決まりました。ボスは雪江やはつを見ているうちに親近感がわき、まるで自分の家族を見ているようだなあ、と言いました。するとゴリさんや殿下は自分も独身のくせに「未婚のパパですな。」と未だ独身のボスをからかうのでした。


さて話のすじを見てわかるとおり、このドラマのテーマは安楽死事件。殺人事件は安楽死事件の導入に過ぎず、殺人事件の解決もとってつけた形になっています。なぜこうなっているかというと、「太陽にほえろ!」というのは刑事ドラマではなく、刑事の青春を描いたドラマだからです。だからドラマの描き方も事件のトリックを解くことにはあまり主眼がおかれておらず、刑事の心の動きを描くことに主眼が置かれています。だから本来新潟でおきたので管轄外であるはずの安楽死事件を警視庁七曲署の山村刑事が捜査して解決しますし、また事件の解決も証拠を集めるのではなく、刑事が事件関係者の心情を解きほぐして解決する形になっているのです。しかし、この時期の「太陽にほえろ!」が駄作だという印象はあまりありません。それは人間ドラマとして納得のいくものを描いていたからだと思います。今回取り上げた話も新川雪江と山村精一、そして黒木はつの心の動きがよく描かれており、納得のいく流れになっています。唐突に事件が解決するわけではなく、なぜそうなったのか、という理由が明確に描かれています。


私の知っている土門鉄郎さんの書かれた話はこの話とウルトラマンレオのギロ星獣の話だけですが、少なくともこの話は佳作だと思います。さらに余談ですが、この頃の上村香子は昔好きだった人に少し似ています。だから一時期はこの話を見るのがつらかったです。また上村香子は第250話「民芸店の女」にもゲスト出演していますが、このときも山さんと絡む役になっています。