脚本は田口成光。監督は筧正典。特殊技術は矢島信男。


ケットル星人が街に現れ、MAC隊員と格闘していました。ケットル星人は鉄棒も素手で折り曲げるほどの怪力の持ち主で、しかも身軽。ケットル星人はゲン以外の隊員をすべて倒し、なぜか逃走。ゲンは追跡しました。そして切り通しのような箇所まで追いかけると、ちょうどそこに一人の男がやってきました。ゲンは一言。


ゲン「おーい、そいつを捕まえてくれ。」


男はボクサーらしくボクシングの要領でケットル星人と闘いましたが、かなうはずもなく、結局投げ飛ばされ、頭を壁に撃って倒れてしまいました。男はヘビー級チャンピオンのマイティー松本でした。そしてマイティー松本はこれは明らかにゲンのミスです。隊員でさえかなわない星人を捕まえてくれと言うのですから。


マイティー松本はスポーツセンターに通う一郎のおじ。一郎の両親が仕事の都合で外国へ行っているため、一郎はおじ夫婦に預けられていたのです。一郎は「畜生。」と叫びながら、河原でマイティー松本の新聞記事を打ち据えました。見かねたゲンは、おじさんの敵はMACがとるよ、と言いましたが、一郎は「できっこないよ。おじさんはチャンピオンだったんだ。チャンピオンより強い人がいるもんか!」と言ってゲンの言葉を拒絶しました。ゲンは星人を倒すために MAC は全力を尽くす、と言いましたが、一郎の耳にはそれが白々しく聞こえたのか、「いくらそんなことを言ってもおじさんはもう帰ってこないんだ。」と言いました。ゲンは何も言えなくなってしまいました。


MACステーションでゲンはダンになじられました。そしてダンはケットル星人を倒すのがゲンの役目だと言いました。ゲンは「しかし、悲しみに暮れる一郎君をこのままほっとくわけにはいきません。」と言いましたが、ダンに松葉杖で打ち据えられてしまいました。


ダン「星人を倒すのがお前の役目なら、悲しみにくれる人間を救うのもお前の役目ではないのか。自分のまいた種を自分の手で刈るのは宇宙人も人間も同じことだ。他人の力を頼りにするな。」


さてスポーツセンターでは一郎があきら少年に対して、あきらの父親を非難する言葉をはき、喧嘩になってしまいました。あきらの父親が懸垂10回できたらあきらに自転車を買ってあげることが気に入らなかったのです。ゲンは、人のことより自分が30回できるようになることの方が価値があるのではないか、と言いましたが、こう反論されてしまいました。


一郎「おじさんは MAC に協力したんです。それなのに、それなのに、死んでしまったんだ!」


泣く一郎に対してゲンは何も言えませんでした。


ゲンはケットル星人を倒すために空手の荒稽古に励みました。そこへケットル星人襲来の報が。駆けつけたゲンはMACガンを撃ちましたが、星人に交わされてしまって一発も当たりません。折り悪く現場付近では一郎と一郎のおば(マイティー松本の妻)が墓参りに来ており、一郎のおばまで星人の犠牲になりました。ゲンは星人を追いかけ、闘いましたが、やはり劣勢。ゲンは駆けつけたダンに救われました。ダンは、命を無駄にするな、と言い、さらに一郎のおばがなくなり、一郎がますます心を閉ざしてしまったことを告げました。そして言いました。


ダン「少年の心に光を蘇らせることができるのはお前しかいない。」


一郎は泣きながら懸垂していました。ゲンは一郎を励ましました。ゲンは30回に挑戦するんだと言いましたが


一郎「僕ばっかし頑張ることはないさ。おおとりさんも MAC も頑張ってなんかいないじゃないか。みんな頑張っていればおじさんもおばさんも死ぬことはなかったんだ。僕はひとりぼっちになっちゃったんだ。」


ゲンは一郎の気持ちがわかると言いました。嘘だという一郎にゲンは言いました。


ゲン「君にはお父さんもお母さんもいる。だけど、僕は父も母も兄弟も、みんな星人に殺された。」


一郎はその言葉に衝撃を受けました。


ウルトラマンレオ 第11話


ゲン「でもいつまでも、悲しんだりはしていなかったよ。みんなを殺した星人を倒さなければならなかったんだ。」


そしてゲンは星人が手強いが倒さなければならない、倒さなければ自分の命がない、と言い、自分は星人を倒すために頑張るから一郎も懸垂を頑張れと言いました。その言葉を聞き、一郎は懸垂を練習するようになったのでした。その時、一郎はなぜか鉄棒にナマケモノのような格好をしてぶら下がり、落ちてしまいました。一郎を助けたゲンはケットル星人を倒す技が何であるかを悟りました。


ゲン「落ちるんだ。星人も落ちるんだ。」


ゲンはサンドバッグを空中へ投げ、それを受け止める特訓をしました。一郎が懸垂30回を達成した頃、ゲンも技を完成させました。そこへ星人襲来の報が。ゲンは現場へ駆けつけ、宙返りしたケットル星人を受け止めました。するとケットル星人は巨大化。ゲンもウルトラマンレオに変身しました。ケットル星人は槍を使いました。ウルトラマンレオは煙突をヌンチャクにして対抗しましたが、あっさり破られてしまいました。レオは劣勢です。そこへ一郎登場。


一郎「レオ、頑張れ。俺だって懸垂30回できたんだぞ。」


これを聞いたレオは立ち上がりました。真夏竜さんの歌う主題歌「ウルトラマンレオ」が流れる中、レオはさっきとはうって変わって優勢に闘いを進め、レオキックでケットル星人を倒しました。


一郎は両親の住むアメリカへ発つことになりました。今度は50回に挑戦だというゲンに一郎は「いえ、100回です。」と言い、ゲンは欲張りめと言うのでした。


今回も救いのない話でした。田口成光は少年の肉親を無残にも殺す展開が好きなようで、ウルトラマンレオの梅田兄妹の父を筆頭にウルトラマンエースの第13話「死刑! ウルトラ5兄弟」で少年の兄が超獣バラバに殺されたり、これまたウルトラマンエースの第26話「全滅! ウルトラ5兄弟」でも少年の父親がヒッポリット星人に殺されています。私はこういうただ登場人物をいじめるだけの展開は好きではありません。


なお、この話では巨大化シーンが最後にケットル星人とウルトラマンレオが闘う場面しかありません。このような構成になったのはわけがあります。ウルトラマンレオが制作された昭和49年はオイルショックが世の中を接見していた年です。国内の消費者物価指数は23%上昇し、「狂乱物価」という造語まで生まれました。ただでさえ予算がかかる特撮番組に影響が出ないはずがありません。そのため、等身大の宇宙人が登場するシーンを増やして予算を削減しようとしたのです。等身大で登場する宇宙人が巨大化する理由付けが今回のようになされていれば問題はなかったのでしょうが、多くの場合は唐突に巨大化してしまうので若干違和感が生じているように思います。


さらに、マイティー松本がケットル星人と闘う場所は以前 取り上げた東京工業大学大岡山キャンパスを突っ切る切り通しです。劇中、切り通しの上から撮影している場面も見られます。また現在の南一号館らしき建物もちらっと映っています。