「見えざる努力」と機会格差 ~国内インター校・おうち英語トップ層が抱える中学・高校・大学受験の現実

海外インター校生だけでなく、国内のインターナショナルスクール(小学校・中学校)に通うトップ層の子どもたちも、英語力と国語、その他の学力を非常に高いレベルで磨いています。

 

しかし、国内インター生の人数が少ないこと、海外インターと比較すると、高いレベルなのかどうかが英語力以外では分かりにくいことからなかなか存在が目に見えにくい存在です。

 

また、国内インター校から海外インター校へ転校する生徒も多く、国内インター高校を卒業して国内大学まで進学する予定でインター校を選ぶ生徒(親)はかなり少ないのが現実です。もちろん、それにはいろいろな理由があります。いろんな教育を選択することは悪いことではありませんが、義務教育との兼ね合いもあり、親の身勝手に振り回される子供たちと揶揄されることもあります。

 

しかし、今の国内の受験戦争の低年齢化を見ていると、その義務教育の枠組みが誰にでも正解とは言えず、例え義務教育の壁があっても、適切な内容の教育であれば選択してもよいと言えます。

帰国子女と国内インター生の間にある「機会の格差」


例えば、某都内の難関人気校では帰国子女対象の「英語取り出し授業」という特別授業があります。これには英語力や学力がどれほど高くても国内生の場合、「英語取り出し授業」を受けることはできません。支援策の対象を「帰国子女」に限定しているためです。

 

また、東京都内の多くの帰国子女向け入試には国内インター生にとっては受験資格そのものがなく、実質的に受験可能な学校は非常に限られてしまう現実があります。

国内インター校の生徒に帰国子女資格がない理由は理解していても、例えば都内国際系学校のような人気校を見ると、帰国子女は「帰国生入試」と「2月の一般入試」を複数回受験できる制度上のメリットがあります。

 

帰国生入試で不合格でも、再度チャレンジできる機会がある場合がありますので、受験の機会回数と合格の可能性において、明らかな差を生んでいます。

語られにくい現実と、否定される議論
 

このような格差を指摘すると、帰国子女の保護者からは反発を受けるのが国内インター生です。「国内インター」のマイナス要素は事前に知っていた、理解していたはずだからです。しかも、それを知った上で選択したわけですから。
 

しかし、現実はもっと複雑です。

 

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「選べない条件」が生む分かれ道

家族の海外赴任は、親の努力だけで実現するものではなく、企業の人事方針や業界構造など、個人ではどうにもならない実際は簡単に「選べない条件」に大きく左右されます。海外経験の有無は、家庭の自由な裁量だけで決まるわけではないのです。

 

もちろん昔とは異なり現状では、海外インター校を経験した優秀層を獲得する競争が行われており、海外インター校を卒業したらみんなが自動的に人気校に入学できることではありません。

もう一つの努力「おうち英語」の上位層
 

国内には、海外経験が一切なくても、多読やオンライン授業などを通じて独学で高度な英語力を身につけた一般的に言われる「早期英語」「おうち英語」の子どもたちも存在します。彼らもまた、国内インター生と同様に一本勝負という一般入試だけの勝負となり、制度上は不利な立場に置かれています。

 

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「救済」から「優遇」へ? 〜複数回受験が生む不公平感

帰国子女の教育支援(いわゆる「救済」)自体は、多くの学校で整備が進んでいます。英語サポートが手厚く、比較的入りやすい環境も確かにあります。

問題は、難関人気校において、帰国子女が事実上「複数回」の受験機会を得ている点でしょう。

 

もし「帰国入試」か「2月入試」のどちらか一方しか選択できないのであれば、ここまで不公平感はないかもしれません。しかし、「不合格でももう一度挑戦できる」という構造は、支援の範囲を超えた「優遇」と感じられても仕方ない面があるのです。

1.教育機会の公平性と、未来への展望

国内インター小中学校は日本の義務教育機関(一条校)ではないがゆえに、制度的な区分上は「別枠」扱いとなる面は否めません。しかし、それによって、明確な実力を持つ子どもたちが正当に評価される機会を奪われている現状には、多少なりとも矛盾も感じます。

 

つまり、本当に優秀な子供を獲得したい学校側にとっては、たとえ1人の生徒であれ、その生徒を逃すことにデメリットがあります。

国内インターやおうち英語のトップ層の声は、まだ社会の中で十分に可視化されていません。しかし、こうした優秀な生徒を求め、育てたいと考えている学校や大学が存在するのも事実なのです。

実は今後数年でさらに、英語系受験制度はさらに変化していく予定です。

 

早慶大学入試も改革が始まりましたが、国内インター高校を卒業して日本の大学を受験する際の不便さは、少しずつ解消されていく見込みです。

 

しかし、中学受験という最初の関門で生じている機会の不均等には、引き続き目を向け、改善の余地を探っていく必要があるのではないでしょうか。

 

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海外大学 合格の 手引き

 

そんな中学校の多くは中高一貫校であり、中高一貫校としては、本音として「英語がかなりできる国内生」をとりたいと考えています。海外大学進学コースを持つ学校は多少異なりますが、一般的には実は学校が欲しい生徒とは、「国内の優秀でかつ英語ができる生徒」なのです。しかし、実は、英語ができるというのは、「中高一貫校の中で英語を伸ばせることができる生徒」という解釈になります。入学時点での英語力の高さではありません。

 

ここでさらに感じる矛盾は、「海外インター生は?」ということです。

 

海外インター生が優遇されているのではなく、国内インター生は国内の普通学校の英語ができる生徒との競争となり、国内インター生と海外インター生の競争ではないことが分かります。

 

海外インター生向けの早期の受験機会とは、実は海外のカリキュラムに合わせた受験時期の調整にすぎません。さらに、一般受験の受験条件を厳しくする意味がないために、海外インター生が2回受験できるとうことだけです。とくに優遇するための措置ではありません。

 

海外インター生が優遇されているのではなく、じつは国内インター生に求められていることは、国内普通学校からの優秀層にまさる総合力か、特別秀でたなにか1つが必要だということになります。

 

中高一貫校の場合、その6年間で英語を伸ばすことができるような生徒をとれば、入学時点での英語力はあまりこだわる必要がないため、国内インター生で多少日本語カリキュラムや国語が劣る生徒より、国内普通学校から英語が多少できる生徒を獲得したほうが学校としてはやりやすいと言われます。

 

つまり、国内インター生ではなく、国内普通学校の英語ができる生徒たちは、英語の得点よりも国語やほかの科目の得点の方が重要だということになります。

 

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色々説明がぶれているのですが、全てはその学校の方針によっていますから、なかなか統一できません。つまり、各学校が欲しい生徒とは、その学校によってかなりことなります。最終的に、高校から大学を受験し、海外大学は有名大学の合格を勝ち取れる生徒、国内大学は国立大学医学部医学科に合格できる生徒、もしくは東大京大早慶大学に合格できる生徒。それだけが学校の目的・目標になっているのが現状です。多くの難関人気校では、本当の意味で生徒の希望に沿った進路指導ということはほとんどされません。


2.高校受験:続く門戸の狭さと進路制限
 

高校受験においても、状況は大きく変わりません。たとえ国内インター中学校を卒業し、高い英語力や国際感覚を身につけていても、帰国子女を対象とした推薦入試や英語特別選抜の対象外となるケースがあります。

その結果、英語力を活かせる国際バカロレア(IB)コースや英語重点校を受験する際にも、一般受験生と同じ条件で戦わなければならず、実力が十分であっても制度上の制約によって進路の選択肢が狭められています。

 

しかし、国際バカロレアの高校であれば、地方を含めてかなり受験機会があります。寮生活になることも考えなくてはなりませんが、機会が全くないということではありません。

 

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3.大学受験:変化の兆しと残る課題

大学受験においては、ようやく状況が変わりつつあります。特に英語4技能試験(TOEFL、IELTSなど)の導入や、総合型選抜(旧AO入試)の拡大により、国内インター高校出身者やおうち英語の上位層にも門戸が広がりつつあります。今後さらに受験改革が進み、国内インター校の優秀な生徒を獲得する動きがあります。数年先ですが、ニュースをしっかり得て、大学入試情報をもらさないようにしましょう。

しかし、依然として「一条校」ではないインターナショナルスクールの高校卒業資格では、一部の国公立大学や難関私大の出願資格が制限される場合があります。それも注視しましょう。

 

また、帰国子女を対象とした特別選考には応募できず、英語力以外の部分で不利が生じることもまだあります。

 

しかし、海外学校12年修了生徒との比較は無意味です。全く異なります。

4.「救済」から「優遇」へ? 
 

国内インターやおうち英語のトップ層の声は、まだ社会の中で十分に可視化されていません。しかし、こうした優秀な生徒を求め、育てたいと考えている学校や大学が存在するのも事実です。

今後、数年でそういった生徒への受験制度はさらに変化していくでしょう。高校・大学受験における国内インター出身者の不都合は、少しずつ解消されていく見込みです。

 

しかし、中学受験という最初の関門で生じている機会の不均等には、引き続き目を向け、改善の余地を探っていく必要があります。しかし、小学生で英語だけが優秀というのはメリットになりにくいことも理解して、他の得意科目をさらに伸ばす努力が必要です。

おわりに

国内インター校やおうち英語で育った子どもたちは、日本の教育制度の中で「見えざる努力」を続けています。彼らが持つ真の実力が正当に評価され、より公平な環境で将来を切り開けるようになること。それが、多様な人材を育む社会にとって不可欠なのではないでしょうか。

 

注記)国内インター校とは、あくまでも英語カリキュラムの学校です。

 

インターナショナルスクールと義務教育の葛藤|是認と反発の狭間で
グローバル人気と法律の狭間で揺れる子どもたちの教育

人気急騰するインターナショナルスクールの現実
インターナショナルスクールが近年、日本で増加の一途をたどっています。プリスクールと呼ばれる英語の幼稚園は国内に500校以上あり、初等部・中等部を持つインターも50校以上に上ります。

 

通常、インターナショナルスクールとは小学校からのことになりますが、現在日本では幼稚園・保育園相当でも、英語環境を提供している場所を「インターナショナルスクール」と呼びます。

かつては外国人の子女のための教育機関という色彩が強かったものの、今では日本人家庭の子どもが多く在籍しています。

この人気の背景には「英語力や国際的な視野を身につけさせたい」という親の願いがあります。日本の有力経営者もインターナショナルスクールに在籍していたことなどがその期待を後押ししています。

 

 

しかし、この流行の陰で、義務教育制度との深刻な矛盾に直面している家庭が少なくありません。

法律上は「就学していない」と見なされる現実
文部科学省はインターナショナルスクールへの就学について、驚くほど明確な立場を示しています。

「学校教育法第1条に定める学校(一条校)への就学が原則であり、インターナショナルスクール等の各種学校に通学している場合、就学義務を履行したことにはなりません」。

つまり法律上、一条校ではないインターナショナルスクールに通う子どもは、「学校に通っていない子」 と同じ扱いなのです。

このため、インターナショナルスクールの小学部を修了しても、日本の義務教育を修了したことにはならず、通常は一条校である公立中学校への入学が認められないという問題が一部で生じています。

 

 

現場で広がる対応のばらつき
この制度と現実のねじれに対し、現場では様々な対応が生まれています。

文科省は「やむを得ない事情」 がある場合に限り、一条校ではないインターナショナルスクールからの編入学を認めるように通達を出しています。しかし、この「やむを得ない事情」の解釈が自治体や学校によってまちまちなのです。

教育委員会や校長には3つの対応が見られます。イエス(認める)とノー(認めない)、そして態度保留。 この対応のばらつきが、さらに問題を複雑にしています。

これは、教育理念のばらつきと同様、しっかりとしたメッセージを発することなく、委員長が責任逃れをしながらその場しのぎの対応をしている各委員会の責任がかなり大きいものとなっています。

一部の自治体では、インターから公立中学校に転校する場合、一旦小学6年生のクラスに在籍することを求めるという驚くべき対応が取られています。中学2年生が数ヶ月間、小学6年生のクラスに在籍するという「罰則のような指導」が行われるのです。

 

 

家族が抱えるジレンマ
この状況下で、インターナショナルスクールに子どもを通わせる家族は大きなジレンマに直面しています。

「日本の学校に馴染めず、インターで生き生きしているのに『未就学』なんて書類上の話でしかない」「制度が現実に追いついていない」「英語教育の未熟さを解決しようとしない」「明確な規定をつくろうとしない」

このような保護者の本音が、現行制度の問題点を浮き彫りにしています。

一方で、インターから日本の学校への編入を検討する家庭も少なくありません。ある調査では、インターナショナルスクールに子どもを通わせたことがある保護者のうち、約65%の子どもが途中で退学しているとのデータがあります。通常は中学・高校受験に対する戦略的退学・転校です。

しかし、理由の一部には学校への不適応(23.5%)や学費(20.0%) があります。

変わり始めた大学受験の環境
一方で、状況を変える動きも出てきています。かつてはインターナショナルスクールの高校卒業生が日本の大学を受験するには大検(現在の高校卒業程度認定試験)が必要でしたが、現在は国際的な評価団体の認定、国際バカロレアIBDP認定を受けたインターなら直接受験できるようになりました。

国際バカロレア資格を取得できるインターも増え、東京大学や京都大学をはじめとする国立大学でもバカロレア入試が導入されています。医学部医学科でも入試枠組みがあります。

 

 

問題の本質はどこにあるのか
この問題の本質は、「どこで学ぶか」よりも「どう学んでいるか」 に目を向けるべきだという点にあるのではないでしょうか。

一条校以外でも、多くの子どもたちが確かに学び、成長しています。 インターで学ぶ子どもたちは、高度な英語力や国際感覚を身につけ、多様性を自然に受け入れる姿勢を養っています。

 

しかし、インターナショナルスクールと呼ばれる学校には、多種多様な学校が存在し、それはあまりニュースになりませんが、教育内容に日本の考えとは大きくことなることが含まれます。つまり、不適切な教育が行われている場合、そこで学ぶことにお墨付きを与えることはできません。

これからの教育の在り方
一条校ではないインターナショナルスクールに通うことが、「義務教育違反」 というレッテル貼りだけで片付けられるべきではないでしょう。

国際教育界隈も「多くの日本のインターナショナルスクールでもしっかりと日本人の教育に貢献しているのに、就学義務の免除の問題で行政の対応にばらつきがある」 と指摘します。

多様な教育の選択肢を認めつつ、子どもたちの学びの機会を保障する。制度と現実のギャップを埋めるための、社会全体での対話が求められています。

私たちは、形式ではなく実質のある教育について、もう一度考え直す時期に来ているのではないでしょうか。

 

それは、インターナショナルスクールをむやみに公認することではなく、インター校のような英語主体の教育を行う公立小中学校があってよいのではないかということにつながります。

 

公立学校の学費を一定にする必要もなく、学校によって、特徴によって柔軟な運営を行えるように変えていくことが時代にそった流れと思われます。

 

「学校、まあまあ楽しいよ」は危険信号?帰国子女の「過剰適応」を見抜く方法
沈黙は、最大のSOSかもしれない

はじめに ― 不満を言わなくなったのは成長ではない
 

「最近、学校のことをあまり話さなくなった」
「『別に』『普通』が口ぐせになっている」

一見、順調に適応しているように見えるこの変化は、実は危険なサインかもしれません。帰国子女にとって、「不満を言わなくなる」ことは、必ずしも「適応が進んだ」証拠ではないのです。

 

 

「過剰適応」とは何か? ― 表面だけの適応がもたらす危険性

過剰適応とは、文字通り「適応しすぎている状態」を指します。自分の本心を押し殺し、周囲や環境に必要以上に合わせようとする心理状態で、外見上は問題なく生活できているため、周囲から気づかれにくいという特徴があります。

帰国子女の場合、「やっと日本の学校に慣れた」と安心している間に、実は子どもが無理をして「普通」を演じ、内心では疲れきっていることが少なくありません。

見逃しがちな3つのサイン ― 子どものSOSに気づくために
 

1. 感情の平板化 ― 喜怒哀楽が乏しくなる
 

会話の内容が表面的になる:「どうだった?」「まあまあ」「普通」

感情の起伏が少なくなる:あまり怒らなくなり、同時に笑いも減る

無表情な時間が増える:ぼーっとしていることが多くなる

2. 身体症状の頻発 ― 心のSOSが体に現れる
 

頭痛や腹痛を訴えることが増える(特に登校前)

睡眠の変化:寝つきが悪い、朝起きられない、過眠

食欲の変化:食欲不振や過食

疲れやすさを頻繁に訴える

 

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3. 楽しみの消失 ― 没頭していたものから遠ざかる

趣味に興味を示さなくなる

友達と遊ばなくなる

外出を嫌がるようになる

「何をしたい?」の問いに「別に」と答える

親としての対応 ― 「聞く」から「しっかり聴く」へ
 

子どもの本音を引き出す4つの技法
 

1. 共感的な態度で接する
 

「それは大変だったね」「辛い気持ちになるよね」と、まずは感情を承認することから始めましょう。

 

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2. オープンクエスチョンを心がける
「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、「今日、何か面白いことあった?」「どんな気分だった?」など、自由に答えられる質問をしましょう。帰宅前、子供と接する前に親はそんな質問をしっかり考え、どんな返事がくるのかを想定して、準備しましょう。忙しい親よりも、環境の変化の中にいる子供のほうが大変だと理解してあげましょう。

3. 一緒にいる時間を作る

車での送迎や食事の時間など、自然な会話が生まれる環境を意図的に作り出しましょう。

4. 自分の体験を共有する
 

「お母さんも昔、こんなことがあって……」と自身の失敗談や悩みを話すことで、子どもも心を開きやすくなります。

学校以外の居場所づくり ― 子どもの心の安全地帯を確保する
 

過剰適応から子どもを守るためには、「ありのままでいられる場所」 を確保することが効果的です。学校以外の場所作りは最も重要です。

 

 

多様な居場所の選択肢

習い事:スポーツや芸術など、評価を気にせず没頭できるもの

帰国子女のコミュニティ:同じ経験を持つ仲間との交流

地域の活動:学校とは違う人間関係

オンラインのコミュニティ:興味や関心を共有できる場

専門家のサポートを求めるタイミング
 

以下のような症状が見られる場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします:

身体症状が1ヶ月以上続いている

学校を休むことが週に2日以上ある

これまで楽しんでいたことへの興味が完全に失われている

「死にたい」などの深刻な発言がある

まずはスクールカウンセラーや児童精神科などに相談してみましょう。外国の学校でカウンセラーにたよる同級生が普通にいたことでしょう。自分も頼ってみたいと感じていることがよくあります。

 

 

予防的アプローチ ― 過剰適応を防ぐ日常の工夫

家で実践したい3つの心得
「不完全でもいい」というメッセージを送る
時には失敗する親の姿を見せることも大切です。

多様な価値観に触れる機会を作る
「普通」以外の生き方があることを伝えましょう。

感情表現を大切にする
喜怒哀楽すべての感情に、良い悪いのレッテルを貼らないようにしましょう。

おわりに ― 静かなSOSに気づく親のまなざし
 

帰国子女の子どもにとって、新しい環境に適応することは確かに重要です。しかし、それ以上に大切なのは、「自分らしさを失わずに適応する」 ことです。

「学校、まあまあ楽しいよ」という言葉の裏に隠された静かなSOSに、どうか気づいてあげてください。そして、お子さんが「ありのままの自分」でいられる場所を、一緒に見つけていきましょう。

完璧に適応しているように見える子どもこそ、実は最も手を差し伸べる必要があるのかもしれません。

 

「自分はどこにも属さない」その孤独感は、あなただけの特別な強みになる
 

はじめに ― どこにも「完全に」フィットしない感覚
 

「日本の友達とは、何か考え方が違う」
「現地の友達には、やっぱり『外国人』扱いされる」

海外経験のある多くの若者が抱えるこの「どこにも完全に属せない」という感覚。これは決してあなただけの悩みではありません。むしろ、複数の文化を経験したからこそ生まれる、自然な感情なのです。

「第三の文化」の子ども(Third Culture Kids)として
 

このような経験をした子どもたちは、Third Culture Kids(TCK) と呼ばれています。彼らは、親の文化(第一の文化)と現地の文化(第二の文化)の間に、自分だけの第三の文化を作りながら育ちます。

この背景が、時に「どこの国の人でもない」ような感覚をもたらすのです。

「欠点」ではなく「強み」として捉え直す
 

1. 「どちらの文化も知る存在」という特別な立場
日本の文化も、海外の文化も理解できる

両方の文化の「良いところ」を取り入れられる

文化の橋渡し役として活躍できる

2. 多角的な視点 ― 一つの物事を多面的に見る能力
一つの問題に対して、複数の解決策を考えられる

「当たり前」を疑い、新しい発想が生み出せる

多様な価値観を受け入れ、理解できる

親としてのサポート ― 子どもの気持ちに寄り添う
してほしいこと


「聴く」ことに徹する:話を遮らず、最後まで聴く

気持ちを否定しない:「そんなことないよ」ではなく、「そう感じるんだね」と受け止める

経験を共有する:ご自身の戸惑いや失敗談を話す

「あなたらしさ」を認める:無理に「普通」になろうとしなくていいと伝える

避けたいこと
 

「我慢しなさい」「強くなりなさい」という否定や強制 

他の子と比較すること

「どこの国が好き?」と迫ること

同じ経験をした仲間との出会いの重要性
 

この孤独感を解消する最も効果的な方法の一つが、同じような経験をした仲間を見つけることです。

帰国子女のコミュニティに参加する

インターナショナルスクールのイベントに参加してみる

SNSで同じ悩みを共有する人を見つける

先輩帰国子女の話を聞く機会を作る

「自分だけじゃない」と実感できるだけで、気持ちがずいぶん軽くなるものです。

将来の強みとしてどう活きるか
 

この経験は、将来の大きなアドバンテージになります。

グローバル人材としての強み
多様性への適応力:異なる背景の人とも協働できる

言語能力:語学力だけでなく、非言語コミュニケーションも理解できる

問題解決能力:複数の視点から最適解を見つけ出せる

職業的な強み
外資系企業での活躍

国際交流に関わる仕事

翻訳・通訳などの言語専門職

多文化理解が求められるあらゆる職場

アイデンティティの「揺らぎ」を受け入れる
「自分は日本人なのか、それとも…?」
この問いに、一つだけ確かな答えがあります。

「どちらでもある」という状態こそが、あなたのアイデンティティなのです。

アイデンティティは固定されるものではなく、生涯を通じて変化し続けるもの。その「揺らぎ」自体を、自分の個性として受け入れていくことが大切です。

おわりに ― 孤独感を強みに変える旅
 

「自分はどこにも属さない」という感覚は、確かに孤独で辛いものです。しかし、それはあなたが複数の文化を経験し、より広い視野を持っている証でもあります。

この感覚を「欠点」ではなく、「誰にも真似できない特別な強み」として受け入れていく。その過程で、きっと同じように悩む仲間と出会い、お互いを理解し合える関係を築くことができるでしょう。

あなたのその孤独感は、未来への架け橋となる宝物なのです。

あなたのその違和感は、新たな可能性の始まりです。一人で悩まず、ぜひ周りに手を伸ばしてみてください。

 

「英語より先に国語!」

帰国子女の学力を決定づける意外なポイント


はじめに ― その親心が、お子さんの足を引っ張っているかもしれません


「折角身につけた英語を忘れさせたくない」
「せっかくの語学力を維持させたい」

海外から帰国したご家庭なら、誰もが抱く当然の想いです。しかし、この「英語力キープ」への強いこだわりが、お子さんの学校適応や学力向上をむしろ阻害しているとしたら――?

今日は、多くの帰国子女家庭が見落としがちな「国語力」の重要性について、考えてみたいと思います。

「英語力キープ」のプレッシャーが子どもに与える負担
「英語の本、読みなさい」
「英語で日記をつけなさい」

そんな声かけの裏で、お子さんはこんな思いを抱えていませんか?

日本語の授業についていくので精一杯なのに、英語の勉強もするのは辛い

両親の期待に応えられない自分に罪悪感を感じている

「英語ができる帰国子女」というレッテルにプレッシャーを感じる

特に中学生・高校生は、自我が確立する時期。親の期待と自分の現実のギャップに苦しむことが少なくありません。

学力の基盤は国語力 ― 全ての教科の理解は日本語で行われる
ここで一つ、大切な事実を確認しましょう。

日本の学校では、数学も社会も理科も、すべて日本語で学び、日本語で考え、日本語で解答します。

国語力、特に「読解力」と「語彙力」が不足していると、他の教科の問題文すら正確に理解できません。数学が苦手な子の多くは、実は計算能力ではなく、問題文の意味を読み取る国語力が足りていないのです。

中学生・高校生で求められる抽象的思考力と語彙力
 

小学校までの学習が具体的な内容が多いのに対し、中学・高校では「民主主義」「生態系」「関数」といった抽象概念を扱う機会が急増します。これらの概念を理解するには、相応の語彙力と、言葉から概念をイメージする力が必要です。

帰国子女のお子さんが、一見簡単な文章でつまずくことがあるのは、この「抽象的思考を支える語彙」が不足しているからかもしれません。

英語は土台ができてからでも取り戻せる ― まずは日本語での思考力を確立する
「今英語をやめると、せっかくの語学力が……」

そんな不安をお持ちの保護者の方へ。一つ良いお知らせがあります。

一度身につけた言語能力は、思っている以上に頑丈なものです。 特に子ども時代に獲得した言語は、しばらく使わなくても、必要になった時に比較的短期間で取り戻せることが研究でも明らかになっています。

まずは日本語での思考力と学力の土台をしっかり築くこと。これが、結果的にお子さんの将来の英語力も含めた総合的な学力を高める最短ルートなのです。

家庭でできる国語力アップの具体的な方法
 

では、具体的にどのように国語力を高めていけばよいのでしょうか? ご家庭で今日から始められる方法をいくつかご紹介します。

1. 読書習慣をつける ―「好き」から始めよう
無理に文学全集を読ませる必要はありません

ライトノベル、漫画、スポーツ新聞でもOK

まずは「文字を読むことの楽しさ」を体験させることが大切

2. 家族での会話を増やす ―「どう思う?」を大切に
今日のニュースについて意見を交換する

読んだ本の感想を話し合う

「あなたはどう思う?」と問いかけ、自分の考えを言葉にさせる

3. 日記や読書ノートをつける ― 書く力を養う
最初は1行日記からでも構いません

読んだ本の簡単なあらすじと感想を書く習慣を

添削ではなく、「共感」から始めましょう

4. ニュースの要約に挑戦 ― 情報を整理する力
気になるニュースを1分で説明してもらう

最初は親が手本を見せて

要点を掴む練習が、全ての教科に活きてきます

おわりに ― 焦らず、一歩ずつ
 

帰国後の教育は、とかく「英語」に目が行きがちです。しかし、本当に大切なのは、お子さんが日本の学校で自信を持ち、学ぶ喜びを感じられることではないでしょうか。

「英語を忘れないで」と後ろを振り返るよりも、まずはしっかりと日本語の土台を築くこと。それが、お子さんの将来の可能性を、結果的にもっとも広げる道なのです。

今日から、「英語、忘れないで」の代わりに、「今日の国語の授業、どうだった?」と声をかけてみてはいかがでしょうか。

お子さんの「今」の気持ちに寄り添いながら、一緒に歩んでいきましょう。