「英語より先に国語!」
帰国子女の学力を決定づける意外なポイント
はじめに ― その親心が、お子さんの足を引っ張っているかもしれません
「折角身につけた英語を忘れさせたくない」
「せっかくの語学力を維持させたい」
海外から帰国したご家庭なら、誰もが抱く当然の想いです。しかし、この「英語力キープ」への強いこだわりが、お子さんの学校適応や学力向上をむしろ阻害しているとしたら――?
今日は、多くの帰国子女家庭が見落としがちな「国語力」の重要性について、考えてみたいと思います。
「英語力キープ」のプレッシャーが子どもに与える負担
「英語の本、読みなさい」
「英語で日記をつけなさい」
そんな声かけの裏で、お子さんはこんな思いを抱えていませんか?
日本語の授業についていくので精一杯なのに、英語の勉強もするのは辛い
両親の期待に応えられない自分に罪悪感を感じている
「英語ができる帰国子女」というレッテルにプレッシャーを感じる
特に中学生・高校生は、自我が確立する時期。親の期待と自分の現実のギャップに苦しむことが少なくありません。
学力の基盤は国語力 ― 全ての教科の理解は日本語で行われる
ここで一つ、大切な事実を確認しましょう。
日本の学校では、数学も社会も理科も、すべて日本語で学び、日本語で考え、日本語で解答します。
国語力、特に「読解力」と「語彙力」が不足していると、他の教科の問題文すら正確に理解できません。数学が苦手な子の多くは、実は計算能力ではなく、問題文の意味を読み取る国語力が足りていないのです。
中学生・高校生で求められる抽象的思考力と語彙力
小学校までの学習が具体的な内容が多いのに対し、中学・高校では「民主主義」「生態系」「関数」といった抽象概念を扱う機会が急増します。これらの概念を理解するには、相応の語彙力と、言葉から概念をイメージする力が必要です。
帰国子女のお子さんが、一見簡単な文章でつまずくことがあるのは、この「抽象的思考を支える語彙」が不足しているからかもしれません。
英語は土台ができてからでも取り戻せる ― まずは日本語での思考力を確立する
「今英語をやめると、せっかくの語学力が……」
そんな不安をお持ちの保護者の方へ。一つ良いお知らせがあります。
一度身につけた言語能力は、思っている以上に頑丈なものです。 特に子ども時代に獲得した言語は、しばらく使わなくても、必要になった時に比較的短期間で取り戻せることが研究でも明らかになっています。
まずは日本語での思考力と学力の土台をしっかり築くこと。これが、結果的にお子さんの将来の英語力も含めた総合的な学力を高める最短ルートなのです。
家庭でできる国語力アップの具体的な方法
では、具体的にどのように国語力を高めていけばよいのでしょうか? ご家庭で今日から始められる方法をいくつかご紹介します。
1. 読書習慣をつける ―「好き」から始めよう
無理に文学全集を読ませる必要はありません
ライトノベル、漫画、スポーツ新聞でもOK
まずは「文字を読むことの楽しさ」を体験させることが大切
2. 家族での会話を増やす ―「どう思う?」を大切に
今日のニュースについて意見を交換する
読んだ本の感想を話し合う
「あなたはどう思う?」と問いかけ、自分の考えを言葉にさせる
3. 日記や読書ノートをつける ― 書く力を養う
最初は1行日記からでも構いません
読んだ本の簡単なあらすじと感想を書く習慣を
添削ではなく、「共感」から始めましょう
4. ニュースの要約に挑戦 ― 情報を整理する力
気になるニュースを1分で説明してもらう
最初は親が手本を見せて
要点を掴む練習が、全ての教科に活きてきます
おわりに ― 焦らず、一歩ずつ
帰国後の教育は、とかく「英語」に目が行きがちです。しかし、本当に大切なのは、お子さんが日本の学校で自信を持ち、学ぶ喜びを感じられることではないでしょうか。
「英語を忘れないで」と後ろを振り返るよりも、まずはしっかりと日本語の土台を築くこと。それが、お子さんの将来の可能性を、結果的にもっとも広げる道なのです。
今日から、「英語、忘れないで」の代わりに、「今日の国語の授業、どうだった?」と声をかけてみてはいかがでしょうか。
お子さんの「今」の気持ちに寄り添いながら、一緒に歩んでいきましょう。