『ミドルマーチ2』

ジョージ・エリオット『ミドルマーチ2』(廣野由美子訳、光文社古典新訳文庫)を読み終えた。
この本には「第3部 死を待ちながら」と「第4部 三つの愛の問題」が収録されており、まさに帯にある通りの“大パノラマ”の展開が待っていたのだが、(全体を通して)個人的にはフレッド・ヴィンシーが金銭の問題で知人に多大な迷惑をかけてしまう様に自分と共通するもの(見通しの甘さと一種の見栄っ張り)を感じて空しくなり(←しかも、期待していた叔父の遺産が当初の予想とあれ程異なる結果となるなんて!)、ターシアス・リドゲイトとロザモンド・ヴィンシーの急接近に人間の運命の不思議さと女性の強さを感じ、エドワード・カソーボンに対して本当に自分を見ている様で寂しくなったり虚しくなったりした。自分が認められない苦しさ、親戚に対する猜疑心…。妻ドロシアとの間が大きくなって第4部が終わってしまったが、この夫婦は一体どうなるのだろう。
しかし、この本に限らず読み始めるまでに時間が掛かり、更に読み終わるまでに時間が掛かっているのは、自分の読書嫌いを示している様な気がしてならない。自分自身に対する考えを改めないといけないのだろうな…。
『千の扉』

柴崎友香『千の扉』(中央公論新社)を読み終えた。
冒頭やや不穏な雰囲気で始まったので少し身構えたが、主人公永尾千歳と永尾一俊の都営団地での日々の生活がある(←終盤若干違ってくるが)中、永尾一俊の祖父である日野勝男からの頼まれ事から波紋が広がり、現在と過去が交錯する様が読んでいて面白かった。しかし、人探ししたり、副業したり、ひったくりの被害にあって怪我をしたり、家出をしたり等、主人公の永尾千歳も大変だなあ…。更に小説に出てくる人々の話やその内容も読んでいて楽しかった。幽霊の店の話、トンネルの話…。小説の面白さを根底から支えているのは、これら細かな描写なのだろうな、きっと。ただ、今回は一気に読んだ方がより良かったのだろうなと強く思った。鉄は熱いうちに打てと言う諺は間違っていないのだな…。
『私の食べ歩き』

獅子文六『私の食べ歩き』(中公文庫)を読み終えた。
購入当時は復刊云々と言う事情を知らず、帯にもある獅子文六ブームに乗って書店で購入し、獅子文六の小説が段々好きになってきた事もあり「読むのが勿体無いな」と思っていたので、読むのを後回しにしているうちに積ん読状態にしてしまっていたのだが、二週間程前に「これでは駄目だ」と思いボチボチと読み進めていき、今日漸く読み終える事が出来た。しかし、連休中友達もいないから誰にも会う予定も今はなく、中盤以降はやや一気呵成気味に読んでしまったと言うのは、(我が事ではあるが)余りに寂しくはないだろうか。
話は変わるが、内容は若き日のフランス滞在の日々についてや戦前・戦中・戦後の食事等盛り沢山で、料理の事等は母に訊いたりしながら読み進め、著者の蘊蓄と回想が読んでいて興味深く楽しかった。そうか、「生キャベツを食うのは、日本人だけ」(71頁)なのか…。僕はまたまだ知らない事が多いな。