F9の雑記帳 -66ページ目

『メアリ・ヴェントゥーラと第九王国』



 シルヴィア・プラス『メアリ・ヴェントゥーラと第九王国 シルヴィア・プラス短篇集』(柴田元幸訳、集英社)を読みました。
 桑名市立中央図書館の新着図書の棚にあったので借りて読んだのですが、個人的には2019 年に発見されたという(個人的に)展開が読めなかった「メアリ・ヴェントゥーラと第九王国」、タトゥーショップの主人が主人公達に見せる態度の落差が面白い「十五ドルのイーグル」、展開は悲しいけれど面白い「ブロッサム・ストリートの娘たち」、旅行中妻の言う事を出来るだけ叶えようとする夫の姿が印象的な「五十九番目の熊」、患者の病歴を調べる事に夢中な主人公の姿が強烈な「ジョニー・パニックと夢聖書」が印象に残りました。
 ただ、この作家についてまるで知らない状態で読み出したため、先に書いたように感じたのかもしれません。
 もう少し知識を得てから読み始めたら良かったのかも…。

『大丈夫な人』




 カン・ファギル『大丈夫な人』(小山内園子訳、白水社)を読みました。

 恐らく僕が小説の中の飛躍についていけなかったのが主原因が違いないのでしょうが、この本に収められた九篇の小説は(読んでいて)あまり親切ではないと感じました。
 ですが、途中でSFとして読みだしたら若干読みやすくなり嬉しくなりました。
 個人的には途中で登場するお節介な女性が怖い「ニコラ幼稚園――貴い人」、不気味な雰囲気に満ちている「虫たち」、現代の状況に通じる設定で分かりやすい「部屋」、最後の場面の描写が不安を煽る「手」が印象に残りました。
 しかし、別になめていた訳ではないのですが、桑名市立中央図書館の新着図書の棚で見つけ借りてから読み終えるまでかなり時間が掛かってしまいました…。

『疫神記』




 チャック・ウェンディグ『疫神記(上)(下)(原題:WANDERERS)』(茂木健訳、竹書房文庫)を読みました。
 冒頭の数頁を読んだ時は「僕には苦手な類の小説かもしれない」と感じたのですが、パンデミックの発生から終息までを描くのにはこれだけ必要なのかと思うぐらい情報も内容も十二分に詰め込まれていて、(個人的には消化不良の部分も若干ありましたが)非常に充実した読書の時間を過ごす事ができました。
 今となっては冒頭の部分を読んですぐ「ゾンビが出てくるのか、嫌だなあ」と思ったかつての自分を叱りつけたい気分です。
 そして、登場人物の中では主人公のシャナ・スチュワートよりも、疫病の治療のために奔走するベンジャミン・レイ博士と未曾有の事態に直面し自分を変革せざるを得なくなった(?)マシュー・バードが印象に残りました。
 しかし、最後の種明かしとどんでん返しには意表を突かれました…。