傘を届けにきてくれた父【私の内観#34】
こんにちは、斎藤宏幸です。
【内観】と題して過去の振り返りを配信していきます。
前回、父のゲンコツ【私の内観#12】 からの続きです。
中学生の時、傘を届けに父親が学校まできたことがありました。
父は自営業だったので、日中も自由に行動できたのです。朝の天気が良くても夕方に雨になることがあり、そういう時は、雨が弱まるまで、放課後、学校に残ったりしてました。
中には、家に電話して傘を届けてもらっていた人もいたようですが、自分はそんなことしたことありませんでした。
ある日、雨が弱まるのを待って教室にいた時、突然、学校の校門前で誰かが大声で叫んでいる声がしました。
他のクラスメートがベランダで騒いでいるので、何だろうと自分もベランダに出て外を見ると、父がいました。
校門前で大声で叫んでいたのは、父だったのです。
「おーい、傘を持ってきたから取りに来ーい!」と。
自分は、恥ずかしくなって教室の隅で隠れていました。
しばらくすると、小学生の弟が傘を持って、自分がいる教室まで持ってきました。父と一緒に弟も車に乗ってきていたのです。
なんて優しいお父さんだろう、と思った人もいるかもしれません。
確かに父は子煩悩で、何でも子供優先でした。
でも、この時は、中学生の多感な時期です。
父親が、わざわざ傘を届けに学校まで車で乗り込んできて、校門の前で大声で「傘を取りにこーい!」と叫ばれてしまうと、恥ずかしくて仕方がありませんでした。
「やめてくれ、傘なんかわざわざ届けて来なくていい」という思いでした。
他のクラスメートも「誰、あの人」という感じで、面白がって騒いでいましたので、なおさら恥ずかしかったわけです。
家に戻ってから、「何で傘を届けにきたの?」、と聞いても、「わざわざ傘を届けてやったのに、何だ、その言い方は」という感じでしたし、「何で、お前は傘を取りに来なかったんだ」と逆に怒られてしまいました。
父親としては、息子のためを思っての行動だったわけです。
教室に隠れていないで、素直に校門まで出て行って、傘を届けにきてくれた父に「ありがとう」の一言を言えばよかったのかもしれません。
でも、そんなことはできませんでした。社会人になってからも、たまにこの時のことを思い出して、父に文句を言ったりしていました。
父としては、雨に濡れて風邪をひいてはかわいそう、という息子への愛情表現だったのです。
しかも、自営業とはいえ、仕事の合間の時間を使って、わざわざ学校まで届けにきてくれたわけです。
そんな、父の想いなど全く考えずに、20歳過ぎても文句を言っていました。
次回、中三の夏期講習【私の内観#32】へと続きます。
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