Distance~時を超え距離を超えた二人の物語 -7ページ目

第89話~今の距離

みきは今は実家で暮らしている。
本当はいますぐにでもひろのところへ行きたいと思っている。

しかし、仕事を探している今に家を出るよりは、
きちんと決めてからの方がいい。

まだ片付いていない荷物の整理もある。

そしてなによりも、
みきの母親へひろがどんな大人の男であるのかを、
時間をかけて知ってもらいたいと思ったからだった。

「オレもそう思うよ。
どんな男なのか理解して納得して欲しいもんな」

『うん そうだよね』

「若い頃の同棲じゃあるまいし、いまさら心配かけたくないしな」

『うん』

「ようやく、ここまで歩いてきたんだ。感謝しなくちゃ」

『そうよね』

「すぐ近くにいると思うと安心できるな」

『うんうん』

手を伸ばせばすぐに触れられる距離にはいない二人だけれど、
逢いたいと思えばすぐに逢える距離にいる。

やがて微塵の距離がない日がやってくる…

いつもボクらはそれを願っているんだ。

「週末には来いよ」

『うん!もちろん』

帰郷

ボクらはやっと故郷に帰って来ることができた。

それは長い長い時間をかけた旅に似ているように思う。
そんな時間は一瞬にして
ボクらはの距離をなくした。

二人でクルマに乗っていること
二人でスーパーで買い物をすること
二人で食事を楽しむこと…
深く思っていても出来なかったことが、
ごく自然にできることに
感謝です。

第88話~二人の朝

広島空港で待ち合わせしたボクたちは、
神戸までクルマを走らせた。
クルマの中ではそんなに会話することもなく穏やかだった。

ホテルに着くとボクたちは貪るように抱き合った。ほとんど交わす言葉もなく…

「やっとこの日がきたな」
『うん、嬉しい…』

朝になり今もなお
みきはベッドの中で寝ている。
目覚めると大切な人がそばにいる…

なんと素敵なことなんだろうか…

「なんか幸せだなあ」
『うん とっても』
「ずっーとな」
『うん ずっーと』

迎え

この物語…
今日からはリアルタイムになります。

それは今日ボクはみきを広島まで迎えに行くからです。

「必ずひろのところへ帰る」
「みきが帰る時は必ず迎えに行く」

という、約束を実行できる日がやっとやって来たのです。

今まで幾度も離れて暮らすことがありました。
色々なことが重なって長く二人でいることがありませんでした。

どうしてこうもうまくいかないのか…神様を恨んだりしたこともありました。

しかし、二人の思いが一緒だといつかきっと願いが叶う…そう信じつづけてきました。

36年前に出会ってそれぞれに色々なことがあって、違う道を歩んできました。

そしてまたひとつの道を歩んでいけるところまできたことに感謝です。

思い続けること
信じ続けること
願い続けること
愛し続けること

その意味がようやくわかってきた気がします。

では、ボクはみきを迎えに旅立ちます。

第87話~合鍵

「あと4日で迎えに行けるんだ」
『うん!』
「待ち遠しいな」
『逢ったらすぐに抱いて欲しい…』
「えっ?んじゃ、クルマの中か?」
『どこでもいい』
「わかった。いっぱい愛しちゃうよ
『うん!』

「ところで、合鍵を用意したよ」
『えっ?ほんと?』
「ああ、ほんとうさ」
『とても嬉しい!』

「帰ってきたら二人で部屋を作ろうぜ」
『うん!』

二人が同じ鍵を持つのは若かかったあの頃以来…

夢にも思っていなかったことだった。