名指揮者の名盤・名演奏(142)/ ヤッシャ・ホーレンシュタイン① / ベートーヴェン交響曲から
1800年代生まれの名指揮者も残すところ、あとはロヴロ・フォン・マタチッチ(1899―1985年)くらいでしょうか? マタチッチについては、今後改めて紹介します。今回の名指揮者はヤッシャ・ホーレンシュタインです。プロフィールをいつものように購入先であるタワーレコードの通販サイトからコピーしました。プロフィール1898年5月6日生まれ、露・キエフ(現・ウクライナ・キーウ)出身の指揮者。オーストリア人の母をもつユダヤ系で、1911年にウィーンに移る。フランツ・シュレーカーらに師事し、ベルリン移住後は、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの助手を務める。20年代はウィーン響やベルリン・フィルを指揮するも、ナチスの支配が及ぶと、40年に渡米。その後に米国籍を取得し、国際的に活躍。1973年4月2日に英・ロンドンで死去。74歳没。2024/05/10 (2024/05/10更新) (CDジャーナル) ホーレンシュタインの名前を初めて知ったのは、1970年代に東芝EMIから発売されていたセラフィム盤のLP廉価盤でした。再販が多い廉価盤ですが、いきなり新譜としてマーラーの交響曲第4番が発売された時です。正直、当時からマーラーの曲については、あまりすすんで聴く曲ではなかったためスルーして購入しませんでした。(今でも彼の音盤は43枚組のBOXを購入したこともあり、多く架蔵しているのですが、このマーラーの第4番は、BOXにも収録がなく持っていないので聞いていません) ホーレンシュタインというと、レパートリーとしてマーラーと、ブルックナーが多いようですが、ベートーヴェンの交響曲も録音を結構残しています。手元にあるホーレンシュタインのベートーヴェンの交響曲の音盤は下記のとおりです。第4番と、第7番がないのが残念です。録音はあるのでしょうか?■交響曲第1番ハ長調 Op21フランス国立放送管弦楽団 録音:1963年■交響曲第2番ニ長調 Op36ベネズエラ交響楽団 録音:1954年ベネゼエラでのライヴ■交響曲第3番 変ホ長調, Op. 55「英雄」①ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団 録音:1953年②バーデン・バーデン南西ドイツ放送交響楽団 1957年■交響曲第5番 ハ短調, op. 67ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団 録音:1956年■交響曲第6番 ヘ長調, op. 68「田園」ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団 録音:1958年■交響曲第8番 ヘ長調,op.93ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団 録音:1952年■交響曲第9番 ニ短調,op.125「合唱」①ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団 ウィーン楽友協会合唱団 録音:1956年②フランス国立放送管弦楽団&合唱団 他 1963年 これらのベートーヴェンから、今回はVOX原盤による下記の交響曲を紹介します。これらは43枚組の「ホーレンシュタイン・コレクション」のBOXにも含まれていますが、下記は1枚物のCDです。(第5番、第6番は2枚組)■交響曲第3番 変ホ長調, Op. 55「英雄」 ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団 録音:1953年■交響曲第5番 ハ短調, op. 67ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団 録音:1956年■交響曲第6番 ヘ長調, op. 68「田園」ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団 録音:1958年■交響曲第9番 ニ短調,op.125「合唱」 ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団 ウィーン楽友協会合唱団 他 録音:1956年 これらの演奏については以前、このブログで紹介していますが、印象は今でもそれほど変わっていません。中でも第3番「英雄」の演奏は特に印象的です。 第1楽章の冒頭の2回の和音の響きからして押し出すような大音響で大爆発します。全体的に遅めのテンポですが、特に第1楽章でのせまりくる迫力は凄いものが感じられます。ティンパニーの強打、金管楽器の炸裂、一音一音に力と魂のこもった「英雄」と言えます。聴いていて大爆発すると、フルトヴェングラーも顔負け的なところも感じられます。 第2楽章も同様、一度爆発するとものすごいこと、ただし第4楽章では第1ヴァイオリンのアクセントや、クレッシェンドが強すぎるのが残念。 少し古い録音の「英雄」というと、フルトヴェングラー/VPO、トスカニーニ/NBCや、シンフォニー・オブ・ジ・エアを指揮したブルーノ・ワルターのライブなど好きな演奏が多く、かなり古いですがメンゲルベルクなどもなかなか面白い演奏です。これらの演奏を好まれるマニアの方で、少し変わった「英雄」を聴いてみたいと思われている方には、ホーレンシュタインの「英雄」もおすすめの名盤かもしれません。 ただし、そのほかの第5番、第6番「田園」、第9番「合唱」については少し平凡・・・「英雄」で見られた大爆発が無いわけではありませんが、「英雄」の迫力や大爆発は少し影をひそめています。 なお、第5番についてはモノラル録音ですが、録音場所のためか、あるいは録音技術者の意図的なものか良くわかりませんが、凄い残響がはっきりと録音されています。この第5番の演奏もなかなかですが、第6番「田園」、第9番「合唱」は個人的には、ややもの足りなさを感じます。なお、「ウィーン・プロ・ムジカ交響楽団」なる団体は、ウィーン・フィル、あるいはウィーン交響楽団のメンバーで特別編成されたオーケストラとのことのようですが、実態は良くわかりません。43枚組の「ホーレンシュタイン・コレクション」のBOXだいぶ聞きましたが、まだ一度も聞いていない曲も少しあるので、今後、じっくり聞きたいと思っています。では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。