いくらウィンブルドン開催中とはいえ⁈
今年初のテストがカウントダウンに入った。
メンバーリリース直後にすこしだけ呟いてメンバー会見(オンライン)に参加したが、この顔ぶれ皆さんどんな受け止めを?
ちなみに、冒頭の写真だが、イタリアは試合前日練習をほぼフルオープン(日本は公開15分)。その内容も、写真のテニスあり、セパタクロー風のキックのみのお遊びバレーなどなどを、ラグビー以外のメニューを笑顔で終えた。取材に応じたラマロ主将は、まだ準備時間が不十分なことを明かしたうえで、日本代表が強化に1か月ほどかけてきたという認識も口にしていた。
この試合のメンバー、先週の顔ぶれを比べると、職業柄せっかちな思考・行動パターンの習慣が抜けないこともあり、来年の10月の33人をどうしても意識してしまうのだが、エディーは6月のメンバー会見でも、こんなコメントをしているね。
「去年70%くらいまでいったので、この夏は80%くらいまでメンバーを固めたい」
確かに8割方決まりかけている印象だ。
先週の「XV」戦と今回のテストの顔ぶれを眺めると、メンバー固めに関するエディーの思考が反映されているようにも感じている。「現状で」という前置きは必要だが、誰がファーストチョイスで誰がセカンドチヨイスかが、この2試合のメンバーリストからも読み取れるのではなだろうかなどと思いを巡らせる。
この2試合の顔ぶれだ。
vマオリ vイタリア
① 岡部 →岡部
② 原田 →原田
③ 竹内 →竹内
④ ハアンガナ →ホッキングス
⑤ ストーバーグ →ディアンズ
⑥ 下川 →ガンター
⑦ コストリー →下川
⑧ ララトゥブア →コーネルセン
⑨ 北條 →齊藤
⑩ 伊藤 →伊藤
⑪ ブルア →石田
⑫ 李 →廣瀬
⑬ ライリー →ライリー
⑭ 植田 →植田
⑮ 松永 →松永
先発15人中8人が継続出場になる。
手前味噌になるが、先週の試合については、こちら参考に。
かなり〝特定のポジション〟についてしか書いてはいないけどね。
今回のイタリア戦。幾つかのポジションはコンディション理由の選考もあるだろうが、上から順番に眺めていこう。
先ずフロントロー3人は前週と変わらず、2列目は逆に全替え。ここ興味深い。フロントローは、期待されたオペティのフランス移籍もあり、この3人への評価がかなり堅いように見える。岡部&竹内のコンビは、国内屈指の機動力。そして、江見との「2」争いが過熱していくだろう中で、今のところはエディーの評価が高い方がスターターを掴んだ。
2列目については、エセイさんが名古屋で若干痛んだのが悪い影響がないといいのだが、いずれにせよ今週末の2人がファーストチョイス。マオリ戦の2人はとりあえず桜のジャージーでの試運転を果たし、これからトップ2を追うことになる。〝新参コンビ〟が〝府中コンビ(一部ウェリントン)〟に近づいていけるか。追う側の、背の高い方のマイケルは#6という選択肢も一つのアピールポイントではある。エディーも好きな副業=マルチポジションで実績があるのは、現状の顔ぶれだとこのマイケル、今回#8でスターターのジャック、そしてエセイ。これがアドバンテージになるか、現状セカンドロープロパーの他のメンバーに〝チャレンジ〟を求める可能性も含めたレースが始まる。
この2列のポジション争い。数年前には願いもしなかった高さになってきた。エディーも第一期HC時代が終わる2015年RWCの最終戦後に、これからテコ入れが必要なポジションとしてLOの手薄さを強調していたが、今回のメンバーだとハリーが208㎝、ワーナー201㎝、ベンチのマイケル202㎝と一気に摩天楼化している。この3枚の〝壁〟に、2列にも空中戦以上に機動力が求められれば、今回#8 で先発する195㎝のジャックが絡んでくることに。
理想をいえば、もう一枚、局地戦で強烈なバトルを武器にするルアンさんがナショナルサイドに加わることが出来れば、さらにパンチのある編成になるのだが。ここは、キャリー、フィジカルファイトでも進化を続けるワーナーの成長次第で、ルアンへのニーズが変わって来るかも知れない。若き代表スキッパーが期待通りの成長曲線を描けば、怪我も多く、超速には決して向いてない〝局地戦〟エキスパートは必要なくなるかも知れない。
3列に関しても、ワークレート、フィジカリティーという評価でのベンさん&下川甲嗣は、昨シーズンの起用法をみても、かなりスターターとしての評価を勝ち獲っている印象だ。ここは従来、対戦相手やコンディション等状況次第で入れ替わりが多いエリアでもあるが、絶対的なスピードを求めればティアナンが浮上して、そこに6番としてのエセイ、No8とFL両睨みでのマイケルに、後で触れるワイサケらが絡んでくる。FW8人もだが、ピッチに立つ15人全体を束ね、ゲームの方向性を失わせないためならマイケルもまだまだ捨て難い。勿論一選手としての存在でも。
だが、今回のベン、下川、ジャックのスタートとマイケルのベンチは、現状のプライオリティーを物語っているようにも思える。もう、15か月後に迫るものの、マイケルにとっても「代表枠」という戦いの中でレースの中で、どこまでプレゼンスを見せ、生き残るかの勝負になってきている。
ちなみにティアナンのベンチからの起用は、まず3列のセレクションが最優先なのは間違いないが、ベンチメンバーの6-2スプリットにも伏線はある。BKの控えはSH橋本くんとSO兼FBグリーンの2人。つまりTBのプロパー不在というユニークな布陣でもある。そこで、WTBのベンチ要員を兼ねるのがティアナンだ。ニールさんの説明だ。
「コストリーはハイブリッドの選手で、去年のウェンブリーでの南アフリカ戦でもWTBでプレーしています。北半球のイタリア相手だとFWがかなり厳しい戦いになる。そこで我々が圧倒したいので、こういうベンチになりました。もちろんFWでの控えではあるのですが、状況で必要になればBKでの起用も考えて準備しています」
ティアナンのWTBも楽しみな一方で、そういう展開にならないことも願いたいものだ。
バックローのメンバリングに話を戻すと、ここまでエディーの下でプレーしてきた顔ぶれを考えれば、昨秋の代表加入直後からウルトラフィジカルなゲームでのタイラーの存在感は素晴らしかったが、コンディション不良だ。ここはこの先に期待するしかない。本来は、タフなFW戦でもレベルを上げているアズーリ相手でも、日本代表という組織の中でどう機能、否、チームにプラスをもたらすかという観点からタイラーを試したいゲームではあったが…。そこに、セカンドローに続き理想をいえば、グラウンドレベルのボールへの仕掛け人、仕事人として、熊谷のラクランを加えたいところだ。すこし手薄なリンクプレーヤーとしても重要に思えてならない。
試合采配はNGだが、ようやく指導はOKのエディーも前日はいつもどおり
ジャックの#8に異論はないが、固定というメンバリングではないだろう。正直「不動の8番」は欲しいところだが、現状を見渡せばゲームプラン、メンバリングで〝日替わりエイト〟のまま来年10月までいく可能性も。先に触れた3列のほうのマイケル、ワイサレらが、バックロー3人、バックファイブ5人の兼ね合いで誰が最適かを争うことになる。勿論、パワーハウスとしてのテビタの復帰も可能性はあるが、〝いいコンディション〟をキープするのが条件だろう。マオリ戦で8を背負ったワイサレは、常に球際に居るワークレートで個人的には非常に買っているバックローではあるが、ブレークダウンへの参加回数等を踏まえてブラインドFLがベターチョイスにも思える。
エイトマンに関しては、個人的には、スピードとワークレートに優れた2,3列が多いこのチームでは、先に触れたルアン同様に、すこしパンチ力のある選手がいてもいいのではと時折思う。マフィが所属チームでも国境線でもジャパンを離れ、後継として期待されるテビタも先ほど触れた通りの現状だ。怪我の多さへの懸念と、やはり〝パワーハウス〟という役回りであってもエディージャパンでは持久力が求められる(かなりワガママな要求ではあるが)。書いても意味のない願望ではあるが、どこかに浦安のヤスパーのような8番がいないもんか…。
そして、ようやくBKに。SHは、こちらも「かなり」投資の意味合いでのマオリ戦の北條くんから、今回は帰国したばかりのファーストチョイスの#9 を投入してきた。
太平洋を跨いで帰国したワーナー、ユーラシア大陸を越えてきた齋藤直人の先発起用に関して、代行HCのニールさんは、こんな評価を語っている。
「彼らはキープレーヤーですし、ワーナーはハリケーンズで優勝して、個人では3年連続で優勝を経験しているとこともあり勝ち方を知っている。齋藤直人もヨーロッパの強豪トゥールーズで今回チャンピオンになりました。そして、この2人は代表でのプレー経験もあり、キャプテン経験者でもある。そんな経験値が、若手のメンバーには非常に大事なことですし、メンバーに選ぶ決断に迷いはなかった。直ぐ最近までラグビーをしていたこともあり、代表に合流してからの練習でも素晴らしい成果もでていたので、今回に起用になったのです」
これまでも何度か触れてきたが、チームの中ではこの夏からは「勝ちに拘る」というコンセンサスが固まりつつある。来年10月からの逆算で、もう投資や選手の経験値を上げていくという時間ではないということだ。今回のワーナー、齋藤直人のスターター起用も、こんな思いが反映されている一面もあるだろう。同時に、プロプレーヤーとしてなら、所属クラブでのゲームからナショナルチームでの活動で、大陸間を跨ぐ移動もエクスキューズにならないというマインドセットの部分もある。
SHのセレクションに関しては明確な部分と、流動的な要素がある。コンディションなどに大きな変化がなければ齊藤直人、負傷離脱の藤原忍の1、2番手争いはほぼほぼ確定事項。その3番手に誰が入るのかが、この先の焦点になる。
名古屋で先発した北條くん。スキルや、ボールを持って走るという面ではポテンシャルのある選手。言い換えれば、相手と正対した状況では強みを持つ。だが、名古屋でのパフォーマンスを見ると、日本代表で#9として求められるものはまだまだ磨き込みが必要だと明らかになった試合でもあった。決定的にブラッシュアップが必要なのは密集からの攻撃的なキックだ。とりわけ中盤からのパントは、敵陣でゲームを進めるための大前提として重視されるスキルだが、理想の〝落としどころ〟へのコントロールがまだまだなのは露呈した。他にも理由はあったかも知れないが、ハーフタイムでの交代はやむを得なかったように思える。
その一方で、マオリ戦でインパクトを残したSO伊藤龍之介とのコンビネーションは悪くなかった。伊藤のほしがるテンポのある流れの中でボールを供給していたのは〝いい点数〟をあげたい。幸いなのは「足りないもの」が明白だったこと。ここをスキルアップすれば、十分〝3人目〟を狙える位置に立つ。
そして今回ベンチに入った上村樹輝が、それこそどこまで輝くか。彼がベンチから出て行く展開になればだが、〝3番手レース〟の有力候補の桜のジャージーでのお手並み拝見でもある。この#9のメンバー争い。思い切りギャンブルをすれば、来年秋の33人のスコッドに2人しか選ばないというやり方もある。個人的には勿論3枠でと願うが、3番手は33人外のバックアップ、時差の無いフライトで合流可能な日本に置いておくという思い切った選択で、他のポジションに1枠を割り当てるというマジックもある。正攻法でいけば、今週末の#21 に、現在選外となっている昨季までのメンバー、そしてエイジレベルの若手が候補となるのだが。
#10は2戦連続のスターターとなった21歳に再び注目だ。散々奉ったので、詳細はリンクを貼ったコラムをご参照を。前週よりさらにステージが上がった相手との〝本気〟のゲームで浮上するだろう課題も含めて、どこまでインパクトを残せるか。彼が再びテンポのあるゲームメークが出来るかは、ジャパンの目指すアタックがどこまで出来ているかのバロメーターという観点からも興味深いのだが、先ずはラインを引き上げ、石田、植田、ディラン、もしかしたらティアナンといったスピードランナーを生かせるか。土曜日の観戦で注目したいエリアでもある。
10番の〝本チャン〟枠は2~3人。これはFBを中心とした他ポジションとの兼ね合いで人数が決まる。第2期エディージャパン発足から、ここまで両ポジション兼務の選手を呼んでいる現実を考えれば、兼任を含めた2.5人程度の枠が適切かとは思うがいかがなものか…。
そう仮定すれば、エディーが現状ナンバーワンSOと明言する承信を軸に考えれば、この先のパフォーマンス次第ではあるが伊藤龍之介で2枠は埋まる。勿論ここから21歳の「10」が評価を下げる可能性もないわけじゃないが、持っているアタックセンスを買えば、残り0.5枠を小村くん、15兼務の松永らも候補にレースが進むことになる。
前週から入れ替えてきたインサイドCTBは、まだ僅か5キャップだが、昨秋のツアーでの練習も含めて経験値を積んだ廣瀬を抜擢してきた。もしかしたら、現状での選択肢としてやむを得なかったのかも知れないが、注目したいのはまさに〝インサイド〟としての仕事ぶりだ。
これ、チ―ムやコーチの考え方次第という部分もあるのだが、「CTB」という括りは「どうかな」と感じるケースは少なくない。インサイドCTBに関しては、ボールとBKラインのドライバーとしての役割を重視し、アウトサイドにはWTB、FBと同様にフィニッシャー、フィニッシュに繋がるランナー、ラインブレーカーという役回りで論じた方が、その求められる資質が明確になる。
勿論、インサイドCTBも攻撃の起点作りや、防御ラインに仕掛けるランも役割の一つだが、これも過去に何度も書いてきたことなのだが、インサイドCTBではなく「セカンド・ファイブエイス」と呼んで、#10=ファースト・ファイブエイスとの連携や役割分担で、その資質を考えたほうが適切なチームはかなりあると感じている。
今回の廣瀬くん起用で興味深いのは、彼が東福岡時代からゲームを動かしていく選手として見せた資質を、若い八幡山の後輩の隣で輝かせてくれるのではないかという期待感だ。前週の試合で伊藤龍之介自身が口にしていた「ボールを持ち過ぎた」という課題や、それ以外のゲームメーカーとしての1つ1つの判断の中で、セカンド・ファイブエイスとしていいサポートが出来れば、この才能溢れる若き司令塔をさらに輝かせる期待も高まるのだが。
この八幡山での4年—1年の関係だった10番とのコンビネーションについて、試合前日練習後に取材に応じた廣瀬くんは、こんな話をしている。
「一つリュウに言っているのは、前回の試合でマイナス面を気にし過ぎていた。持ちすぎだとか、そこは正しいが、そこに拘り過ぎないこと、自分のアタックが効いていることをポジティブに捉えて欲しい。初めてのテストマッチ、ティア1との相手で、リュウが今まで経験したことのないことも絶対に経験するし、そこをしっかり僕がコントロールしながらやっていきたい。アタックはリーグワンの選手にも引けを取らないので、そこ楽しんでやってほしい」
廣瀬くんの目には、この若き才能が思い切りよく、伸び伸びと自分のプレーが出来れば、十分に力を発揮出来るという感触があるのだろう。廣瀬くん自身もまだまだ自分のプレーを着実に履行する事が最優先事項という立ち位置ではあるが、#10の後輩が名古屋から宮崎へ戻ってからの数回のセッションでも、2人の連携やら、その連携からディランたちをどう走らせるのか、生かすのかの創意工夫はしているだろう。そんな準備が、スターターが確定する、いまや世界屈指というレベルに達しているアズーリのミッドフィールダー2人をどう崩せるのか、或いは封じ込まれるのか。想像するだけで胸躍る対峙が待っている。
おそらく6月の名古屋でのゲームを分析すれば、アズーリが小さな21歳をかなり潰しにかかる恐れは十分にある(そこを狙わずとも、2年前のように簡単にねじ伏せられる最悪のシナリオもあるが)。そこも、初めての「テスト」の大きな試練になるが、まずは経験値を上げていくことからスタートだ。
ミッドフィールダーのセレクションをみれば、リーグワンではまだまだエンジンが掛かり切っていなかったディランは、名古屋ではかなりコンディションを取り戻してきた。ここから注目ポイントは、エディー体制から呼ばれ始めながら、コンディションの問題でまだ本領を見せ切ってないサミソニが、どこでブレークするのか。同時に今回は廣瀬が担うインサイドで〝ドライバー〟として機能する素材も欲しいところだ。個人的には、地味だがスキルフルなラン、パス、タックルが魅力の相模原のほうのヴァイレアがお薦めだが、若手代表合宿を怪我理由で辞退した後はお呼びがかからない。
この先のサバイバルは、代表離脱中の中野、シアサイア、トレスコに戻って来た池田という〝常連〟が絡んでくるが、勿論、怪我で代表リスト止まりの府中のロブ、船橋のリカスは十分に〝圏内〟の存在だ。もう一枚ディラン級がいればといいうのは欲張り過ぎか。
アウトサイドBK3人を見ると、新たな〝補充〟は石田吉平の復帰のみ。ヨーロッパからやって来きた相手は、ジャパンがさらに取り組んでいこうとするハイボールを使ったゲームでは、胸を借りるには最適な相手。ジャパンキラーでもあるWTBイオアネはフィジカルを武器にした力強いランで、若いFBバーニは190㎝台という高さを武器に日本に挑んでくる。マオリ相手には空中戦での強さを証明した植田、そして昨秋、ハイボール対応も含めて攻守にポテンシャルを見せながら戦線離脱した石田くんがどこまで渡り合えるかも、この先へ向けたキック戦術における重要な指針になる。
ハイボールの可能性を試すという観点では新鋭・上ノ坊駿介の不在が惜しまれるが、まずは勝ってチームを勢いづけたいネーションズシリーズ開幕戦は、松永拓朗に天理の先輩としての威厳を見せてもらうことにしよう。
今後を見通すと、なかなかフルスロットルに入り切れないジョネ、同じく怪我の矢崎と復帰が待たれるスピードスターもいるが、残す15か月は怪我も大きなマイナスポイントになるだけに、グラウンドパフォーマンス以外の影響による泣き笑いもあるかも知れない。このポジション、本大会ではあまり〝投資組〟は必要ないが、代表トレスコを離脱した武藤航生、現在グルジアで苦闘する内田真之甫という思い切りの良さが武器の2人を、どこかでテスト出来ればという願望だ。勿論、2人供2031年を見据えてではあるが…
最後にすこし、数字上のおはなしも。
先発メンバーの総キャップ数は234(1人平均15.6)。実はコレ、昨年の開幕戦(vsウェールズ)の244(平均16.2)を下回る。数字上は、来年へ向けて経験値の上乗せが不十分とも捉えられる。エディーが以前に語ったように、ワールドカップ決勝に進むようなチームは600、800というキャップ数=経験値が必要と解釈すると、やや物足りないものでもある。
この数字にすこし〝いたずら〟があるとすれば、通算100キャップに近づくリーチマイケルの存在が影響する。現在のキャップ数は98。そして、今回はベンチスタートになるのだが、そのマイケルが昨季開幕戦はスターター入りしているのだ。このマイケル枠を踏まえて、去年のウェールズ戦をマイケル抜きの14人の平均キャプ数で換算してみると11.2という数字になる。一人のレジェンド選手で、総キャップ数も大きく変わるレベルじゃ、所詮まだまだ経験値は高くないという解釈も出来るのだが、実際には僅かではあるが経験値が上げてきている。23人全員では平均11.4キャップから16.0ともなる。
経験値での勝負になれば、まだまだ世界のトップ10クラスには及ばない桜のジャージーではあるが、その〝幼さ〟の中で、伊藤龍之介のように輝き始めた原石も出てきている。まさに「発掘」から「磨き上げ」の工程に入りつつある桜の15人が、どこまで6ネイションズ勢という強化・進化のためには最良の〝砥石〟との接触で、さらに輝きを増していけるのか。土曜日17:40の薄暮のキックオフを待つことにしよう。
「33人」のセレクションを意識した文章になったため、紹介できなかったものを書き足しておこう。
先ず、試合前日に取材に応じたワーナー。ハリケーンズでの活躍で、オールブラックスの可能性に触れ始めた〝強欲〟NZメディア、世論に対して「日本」という思いを語っているが、この日も、その理由をこう語っている。
「日本で高校に行って、色々学んでいろんなチャンスを貰った。高校を卒業した後も、リーグワンの試合に出る前に代表の経験をして、(ここでも)いろんなチャンスを貰った。それを、ただ捨ててNZ(代表)でプレーするというのも、勿体無いなと思います」
嬉しい話しじゃないか。ワーナー個人のことを思えば、NZでの挑戦は、日本では見られない光景を目にする大きなチャンスかも知れない。それを封印してまで、日本での〝恩〟を大切にする。あのポテンシャルをみれば、奇蹟に近い選択をしてくれたと感じてしまう。
イタリア戦については、2年前の経験と現状分析でFWのフィジカル勝負と見据えるワーナー。ウェリントンで鍛えたコンタクトエリア、ボールキャリー、タックルで世界10位との真っ向勝負に備える。
そして、アズーリで前日取材に応じたベテランWTBイオアネの言葉も印象深い。こちらの聞き方が悪かったのだが、本来、彼がハットトリックでジャパンを粉砕した2023年の対戦について聞こうとしたのを、24年のゲームについての言及にはなった。それでも、このチームの進化の鼓動を感じさせるコメントになったのが興味深い。
長らくトライゲッターとしてアズーリを支えてきたモンティ。母
国でのW杯を花道という思いを語ってくれた。因みにこの写真に
は写ってないが、左耳の手前には「愛」のタトゥー。聞きたい事
多くそこには触れなかったが、日本メディアからの質問ナシ…
「2年前の試合は、丁度イタリアのラグビーが変わっていく、どんどん成長していく起点のときだったと思います。あのときのチームがあって、今のチームがあると思う。あそこから比べるとイタリア代表は大きな成長を遂げていると思うし、若手も沢山入ってきている。その組み合わせで今回いい準備できていると思う。HCのゴンサロについては、まず彼自身のスタッドフランセHCでの知見経験を、沢山イタリア代表に持ち込んでくれて、それが我々の成長の要素になっていると思います。前任のキアランが、イタリア代表のラグビーをぐっと押し上げてくれたのだが、ゴンサロがさらのディテールの部分を伸ばしていると思う。なので、イタリア代表の戦い方そのものが、より細かいところが引き上げられている」
やり取りの中で「自分にとってスペシャルでエキサイティングな大会になる」と語った母国オーストラリアでの来年の祭典を、「キャリアを母国で終えれたらいい」と代表での最後の舞台になるだろうとも語ってくれた。アズーリが、まだまだ〝6か国のお荷物〟だった頃から、いまの躍進までを知る男だからこその深みのあるコメント。今日のハットは御免被りたいものだが、その走りは楽しみでならない。












