▲練習後は4チーム全員で記念撮影。これまでも同じ大会で競い合ってきた健常者チームも「笛
」なし「ジェスチャー」での試合を受け入れて〝デフ・ジャパン〟の強化に強力してくれている
取材申請していた北青山をサボって大森へ。デフラグビー日本代表の選考合宿を覗いてきた。
詳細は昨秋にアップしたコラムを参照していただきたいが、いよいよ日本でのデフ7人制世界大会、いわば「デフ・ワールドカップ」の開催年。取材した5か月前は、練習のみ見学したが、今回実戦を見せていただいたが、選手たちのテンションも明らかに高まっている。
チーム運営の事情で昨年の活動は「代表」「候補」と名乗れない中での活動だったが、今年2月からは「代表チーム」として活動出来ている。開幕までは週末を利用しての月1の選考・強化合宿を続け、秋の連休では長期合宿も準備している。柴谷晋HCも今年から正式な肩書きで指導を継続する。
コラムでも紹介した岸野楓くんは「秋はまだまだ準備の段階だったが、チームは良くなっている」と10、11月の世界大会へチームのギアが一段上がった手応えだ。この日は、東京外人クラブなどいわゆる健常者3チームを招いて〝四つ巴〟の試合を実施。3セットを全勝という成績は、練習試合だとしてもポジティブな結果だった。
岸野くんの早稲田大ラグビー部仕込みのボールキャリーに、同じくコラムで紹介した近畿大ラグビー部出身、小林健太のグースステップで相手防御を抜き去ってのトライ、そしてラグビー経験は浅いが日体大で陸上短距離でもデフリンピック候補の実績を持つ熱田笙馬の圧倒的なスピードと、期待の選手がそのポテンシャルを見せた。すでに、岸野、帝京大ラグビー部出身のベテラン大塚貴之ら3人は秋の〝本チャン〟メンバーに確定している。
▲関西リーグでもプレーしていた小林(左)はデフチーム
では抜群のスキル、スピードで世界大会でも期待の存在だ
もう一つ興味深かったのはレフェリングだ。コラムでも紹介したが、この日の試合でも通常の健常者のゲームのように笛と声によるレフェリングをやめて、レフェリーが両手に着用した色付きの手袋とタオル上のフラッグによるジェスチャーでジャッジしてゲームが進められるスタイルを導入している。
岸野主将も「僕たちはこれまでも目でジャッジを見てプレーしてきたぶん、健常者より慣れている。デフの大会でも、選手全員がしっかり、より早くレフェリーのジェスチャーを見て、より早く判断してプレーしていきたい」と、視認の速さも強みにしようと考えている。
この日の試合は、大学選手権などトップレベルの試合でも経験を持つ田崎富レフェリーら健常者のゲームを担当しているマッチオフィシャルが〝笛〟を吹いた。普段は笛と声でゲームを進めるのを、フラックやジェスチャーでジャッジしていく難しさもありそうだが、レフェリーの一人は「昨年12月の試合からお手伝いして、だいぶアクションでジャッジを伝えるのには馴れてきた」と慣れれば問題はないと話している。観る側としてはトライや反則でも笛がない、まさにクワイエットなゲームに違和感もあるが、デフ選手にとっては、目視でレフェリーのジャッジが理解出来るのか間違いなくプラス材料だ。この日の試合でも、健常者の3チームが笛ではなくジェスチャーでのジャッジに気付かないでプレーを続けてしまうシーンが何度も見られた。
▲キックオフはレフェリーが跪く姿勢から立ち上がることで伝える
▼ルールは基本的に健常者と同じだか、プレー中のレフェリーのジ
ェスチャーは視認し易いように〝オーバーアクション〟になっている
過去の世界大会は、笛を使ったレフェリングが行われてきた。これも、昨秋のコラムで触れたように、難聴者レベルの音が聞き取れる選手が多いヨーロッパ勢にはプラス材料だったが、初めてジェスチャーでのジャッジを導入する日本大会は、重度の聴覚障がい者が多い日本や南半球チームにとってはプラス材料だ。
惜しむらくは、まだ開幕まで時間があるためにメディアの関心は決して高くないことだ。昨年コラムを書いたのも、デフラグビーの認知度、理解度アップはもちろんだが、日本で〝ワールドカップ〟が開催されることで、他競技から優れたデフアスリートがラグビーに挑戦してくれればいいと考えたからだ。ワールドカップイヤーとなったが、まだまだメディアの関心は低いようだが、連盟ではリーグワンと連携するなどの活動で、認知度アップにも挑戦していくという。前日21日に、連盟役員がダイナボアーズvsサンゴリアスが行われた秩父宮を訪問したのも、リーグ側やチームとの関係性を深めていきたいからだ。
今回の世界大会は第3回大会になる。せっかく日本で開催されるなら、デフラグビーだけで盛り上げるよりも、健常者の協会、リーグ、個々のチームも、この〝もう一つのラグビー〟を応援して、より広く認知された開催を目指したい。ラグビーと呼ばれる競技に「All For One——」という金言が残っている限りは。











