発表されましたね。リーグワン日程。

 

遅れに遅れて、出てきたのは〝虫食い〟だらけのカレンダー。

昼間のブリーフィングを聞いて、やはり、どうしても「うむむ」と唸ってしまうのは、毎年変わらない。

 

 

ちなみに、今回の「遅れ」は数チームがスタジアム確保に、例年以上に苦しんだため。相変わらずの根源的な問題は、今年も変わらない。そりゃそうだ。抜本的な手を打てないままだから。

 

ケチばかりつけているようで申し訳ないけれど、今年も開幕は昨今の小学校の運動会のような、ヘンテコな〝平等主義〟のようなカーディングだ。毎年開幕の時期に感じるのは、せっかく新しいシーズンが始まるのにも関わらず、ラグビー関係者、ファンを越えた、社会全般へ投げ掛けるようなインパクトが、ほとんど伝わらないこと。

 

「日程」というのは、あくまでも優勝という最終地点へ向けてゲームを進めていくための道標や地図のようなものかも知れない。けれども、上手いやり方さえ出来れば一つの1PR材料として有効なツールにもなる。

 

レギュラーシーズンを戦い続けること自体は毎節毎節、社会へ向けてインパクトがあるものではないかも知れないが、「開幕戦」というだけで、メディアや世間からも注目を浴びるチャンスは多分にある。

 

そうなるには、開幕戦自体にインパクトのあるカードを持ってきたり、どんな舞台を用意するかが大切になる。イージーに考えれば、昨季王者のコベルコ神戸スティーラーズや、決勝を戦ったクボタスピアーズ船橋・東京ベイ、一昨季王者で、神戸とは長年のライバルでもある東芝ブレイブルーパス東京が対戦するなど、判りやすく、万人向けのストーリーを用意することで対戦カードの価値を上げる。舞台で言えば、やはり国立を媚態として、尚且つそこを満杯に埋める。そういうエフォートで、社会にもラグビーが「結構やるじゃん」とインパクトを与えることになる。ゲームから離れれば、試合前に解散した「嵐」がオープニングアクトを務める(例えです)こともアリだ。

 

この「オープニングゲーム」という特別な試合を用意しないことに対しては、このブリーフィングでも東海林一専務理事に質問はしている。答えとしては、各チームが自分のホストスタジアムでの試合開催に注力することを重視して、敢えて大きな器でというのではない従来の開催を踏襲したという説明。同時に、各チームもシーズン中に味スタ、トヨタスタジアムでの開催も用意しているとの説明もあったが、先の書いた通り「開幕」で世間様にアピールするのと、シーズンが始まり数節過ぎた時点じゃ、そのインパクトの質もボリュームも比べようがない差があるのは明白だ。

 

しかも、その巨大スタジアムを満席にすること自体を、単独のホストチームに投げてしまうこと自体誤りだ。リーグも、いくばくかは他のリーグワンチームも「自分たちのリーグの〝正月〟」という意味合いでの強力をして、同時に協会自体もプッシュしていく総力戦で実行しなければ、社会にインパクトは投げ掛けられない。

 

今の段階では、リーグ側には、そのような大きな器を満杯にすることで社会にラグビーないしリーグワンがインパクトを投げ掛けるという手法には興味がない、もしくは、その力はないということを認めているのは非常に残念だ。個人的な印象だが、我々報じる側としても、毎年リーグ開幕前後に感じるのは、社会にもそれほどは関心を持たれることもなく、しれっとシーズンが始まっているという現実だ。

 

毎年のように、これを何とかしたいとと思うのだが、主催者側はほとんど動かない。コロナの時期に、リーグ側も国立での開幕戦をスケジューリングしたが、まさに感染者増加で吹っ飛んだ以降は、リーグがファイティングポーズと取ることは無い。

 

そして、もう一つがっかりなのは「地方開催」、つまり都市圏に集中する各チームのホストエリア以外での試合の少なさだ。ざっと見ても、リコーの佐賀開催、トヨタの小倉開催などが「地方開催」として目につくが、どれも自治体と包括協定を結んだ地、つまり「セカンダリーエリア」ばかりだ。

 

リーグ側の説明は、「去年と同等」ということだが、実際に去年も決して多くなかったため、新シーズンも少ないということだ。しかも「地方開催」について、リーグ側の意識、認識は、その発言からだと原則セカンダリーエリアのこと(だけ)を考えている。しかし「セカンダリー」という地域自体が相当に限定された地域になるので、ラグビーが現状以上に、より広範囲の地域で親しみを持たれる競技になるのは難しい。

 

全国に数多ある都市で試合を開催すること、国内最高峰のラグビーを見せること。これほど普及にとって重要かつ効果的な術はないだろう。だが、今や、トップリーグ時代には公式戦も開催されてきた町が、リーグワンではホストエリア、セカンダリーエリアに限定されてしまっていることで、全国のほとんどの都市で、国内最高峰のラグビーを観戦、体験出来ない時代になろうとしている。

 

実は、この問題は、数週間前まですったもんだしていたカテゴリ問題、つまり日本国内の競技人口をいかに確保し、広げていけるかという問題なのだが、それと同等に重要かつ深刻な問題と思えてならない。

 

首都圏や大都市部だけで日本代表や世界クラスのスターが華麗なプレーを披露しても、日本全土では加速度的にラグビー人気は下降線を描くばかりで、その歯止めもかからないだろう。高校の競技人口、花園予選の参加チーム数を見る度に、危機を感じてしまうのは杞憂しすぎなのだろうか? 今回もまたここ数年同様に溜息をつくような日程発表およびブリーフィングだった。

 

もう一点、相変わらずと感じさせたのは、先にも触れた〝虫食い〟だらけの試合スケジュールだ。一部の試合会場未定と共に、キックオフ時間は全て未発表。これじゃ、ファンは地方から観戦に行く旅程をなかなか確定出来ない。

 

このスケジュールに関しては、冒頭で触れたように数チームが会場確保に苦しんだことが響いたが、すこし優し目に解釈すれば、先ずはカードと開催日を「先行的に」ファンへお知らせすることを優先して、後に時間、一部会場(現状「東京開催」などの表記)も発表すると解釈すれば、開幕戦の盛り上がらなさ、地方軽視の問題よりは微笑ましい。

 

残念だったのは、開始時間未発表の理由として「中継側との調整」をリーグが挙げたこと。確かにテレビ視聴は、普及や認知度アップには重要なコンテンツだ。だが、現実にテレビ中継を見れば、一部の地上波を除けば、その大半はペイTVだ。つまり、従来のコアなラグビーファンしか視聴しない中継が大半で、新規ラグビーファンを開拓するツールにならない可能性が高い。そう解釈すると、リーグ側がもっとしっかりと「向き合うべき対象」を見据えた事業展開をするべきだという指摘もせざるを得ない。

 

今シーズンも、余程何かの〝事件〟が無ければ、粛々と開幕戦が始まり、相変わらずラグビー村の数少ない住人だけが心をときめかすリーグが待ち受けているのだろう。

 

 

 

 

さてはて、越後のミッション遂行の後は、楕円関係者が「西」を目指すのに背を向けて「北」へ。お目当ては庄内平野の〝旧商都〟だ。

 

日常的に「サカタ」といえば楕円界では敬愛する〝デメさん〟こと坂田好弘さん。世間では、やはり「アホの―」となるほど、地名は知れど、そこまで馴染みのない土地かも知れない。商都と書いたが、せいぜい中学の日本史に出て来る北前船で儲かった土地、もしくは豪商・本間家か、「大火」で知られる程度だろうか。

 

だが、この町は20代の頃から一度は訪れなければいけない地だと考えていた。え?「だったらとっくに行ってるやろ」。まさにその通りなのだが、仕事、プライベートで、この酒田近辺に赴く機会はあまりない(よね)。そこで、越後から近接とはいえないロケーションだが、「特急いなほ」に飛び乗り、まさに稲穂輝く庄内平野へと向かった。

 

 

 

 

車窓からこの緑に輝く穀倉地帯を眺めると、まさに「美し国」という言葉が浮かんでくる。この夏もだが、菅平から東御・小諸方面へショートカットする山道を走ると、その沿道から眺める山々の連なりに、毎回この言葉が浮かぶが、ここは本当に日本人が生きるための糧を育む地という意味での〝旨し国〟でもある。

 

考えてみたら「特急」という乗り物も京王線ならまだしも、こうやって左右2列の可動シートの車両って最近乗らなくなったが、なかなかいいもんだ。一つ予想外だったのは、新潟駅はsuicaがOKだが酒田はICカード非対応で、こちら久しぶりに「乗車券、特急券」2枚を握りしめての乗車となった。

 

 

 

 

この路線、予想外に素晴らしい。先ず新潟から北上すると左手ほぼ真横に日本海を眺めながらのルート。演歌歌手が歌うより遥かに穏やかな海原と海岸を楽しめる。鶴岡に近づいてくあたりから列車は一気に内陸へ進み、そこに何度も書いた豊穣な庄内平野が広がっている。このマリンブルーと稲穂の緑を楽しんでいると、遠方に鳥海山が見えてくると酒田だ。

 

 

 

▲ヘボカメラマンの為、窓越しの撮影での映り込みはお許しをm(__)m

 

 

なんだか列車旅のハナシのようになったが、本題は先に触れた「訪れるべき町」だ。この酒田という町というよりは、1軒のフランス料理屋が、長らく夢見ていた目的だ。

 

「ル・ポットフ―」

 

屋号の前には「フランス風郷土料理」と小さく添えられている店は、駅前に新設された複合施設「MIRAINI」の2階にある。この店を知ったのはもう30年も前だろうか。一冊の本との出会いが切っ掛けになった。

 

「世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか」

 

なにやら、昨今の動画のサムネイルのような長たらしい題名の本だが、もちろんこの本を手にしたのは「映画」というワードに尽きるのだが、なんとも数奇な男の軌跡に魅了された。

 

その名を佐藤久一という。

 

酒田の造り酒屋のボンボンである。そんな家庭に在りがちな浮世離れしたキャラクターで、取り返しのつかないような災難も受ければ、小説でも出来過ぎな大転換と、読み終えるのが勿体ないと感じさせるルポルタージュだった。一言で表現すれば、まさに「波乱万丈」。著者には怒られそうだが、文章もさることながら、この久一という人物のキャラクターに惹きつけられた一冊だった。

 

その久一が流浪、転生の先にオープンしたのが、この「ポットフ―」だった。彼の才能で小生など及びもしないと感じたのが「味」への感性だ。その類稀なる「舌」が、久一亡き後、いまだにこの店が残る由縁でもある。

 

ここで、あまり久一や店のことを書きならべると「ネタバレ」にもなってしまうが、おそらく既に絶版かも知れない本。是非、図書館でも古本でも一読をお薦めする。この人物をどう評価するかは意見は分かれるかも知れないが、文章の中に滲む映画と味への愛に満ちた本なのは間違いない。

 

本来、おフランス料理は興味はないし、フランスで日本のいわゆる「フランス料理」の如くこれ見よがしにナイフとフォーク、スプーンを並べる食事をしている人種は、数えるほどしかいないと勝手に信じている。実際、2023年の2か月に及ぶ旅でも、トゥールーズで入った、ちょいとドレスコードがありそうな店でも、並びたててはなかった。

 

だが、この本に出合い、久一の生き様を知ってからは、この店だけは必ず一度は行くべしと心に決めていた。

 

 

 

 

彼の運営する映画館「グリーンハウス」が、あの酒田の大火の火元というのは皮肉なことでもあるが、彼がこの町に残したものの偉大さも語り伝えるべき偉業だ。当代、東京の著名映画人すら羨んだプログラム、劇場運営の斬新さと、まさに映画愛満ち溢れる企てを1人で実現した人物でもある。大火により酒田は多大の文化を焼失したが、その一方で他には代えがたい文化を生み出したのも同じ人物というのが、なんとも皮肉であり、悲劇的でもある。

 

で、ようやく料理のハナシだ。

一応ドレスコードなしということで、いつも通りTシャツ、ハーフパンツにサンダルでの入店。OKとはいえ、すこしマナー違反の罪悪感を覚えつつ、料理はランチの下から2番目を選んだ。なぜなら、「ガサエビのスープ」が入るのは、このメニュからだからだ。

 

ソイの前菜も、普段ならヘタなアレンジよりも、素材をそのまま食べたいところだが、この繊細な白身と地元野菜のコンビネーションが、旨味を引き立てる。これぞ、料理人のスキル。そして懸案のスープ。日本海側で獲れるガサエビは見た目は悪いが味は極上。甲殻類好きには垂涎の苦みと甘味がふんだんに堪能出来るスープは、給仕さんも「パンにつけてどうぞ」という風味のある逸品だった。

 

 

 

 

 

メーンは魚のポワレと迷いながら、魚は他で散々喰らっていることもあり、こちらもこの店のウリでもある「牛頬肉の赤ワイン煮込み」を選択。煮込み具合は最上級である一方で、赤ワインの種類にもよるのか、一緒に煮込む野菜類の仕業か、個人的には甘すぎるソースがやや残念だった。

 

ここは、付け合わせの野菜類を食べると分かるのだが、野菜自体の味の濃さと同時に、どれも驚く程の甘味がある。とりわけさつまいも(だと思う)の甘味は、デザートのスイーツ級。庄内野菜恐るべし。こんな素材がソースにも影響しているのかも知れない。この甘い頬肉とのベストマリアージュは、付け合わせ野菜の〝最下層〟に置かれた赤かぶ(だと思う)だった。おそらく他にもラディッシュやルッコラとの相性はかなり良さそうな行く料理だった。

 

 

 

 

この野菜の甘味と風味の良さは、この野菜たちを主役として、この店の料理人の〝演出力〟があれば、どれだけでかなりインパクトのあるディッシュになりそうだ。是非、そんな料理もチャレンジしてほしい素材の良さだ。頬肉については、旨味と共に広がるワインの香りなどは十分に堪能出来る。ここはやはり料理人の腕と、創業から50年あまり受け継いできたスキルなのだろう。

 

そんな料理を目的にした酒田への寄り道。これでミッション完了なのだが、他にも魚をメーンにした食、そして「東の堺」と呼ばれた〝貿易都市〟の歴史と、冒険を感じさせる町。旅程を2泊に伸ばして、旅を続けることにしよう。

 

 

このスタジアムのアールとカナルの直線が見事

 

 

一日遅れの絵日記ですが、試合当日の出来事を。

 

①     でもパンのおはなしをしたが、再び「食」について。

因みに、小生にとって「パン」、とりわけ①のようないわゆる〝総菜パン〟となると「小麦粉と油の塊」程度にしかみていない。世界の9割方が「ワタシ、パン好きなんですぅ~」などと宣う昨今だが、個人的にはパンの存在価値、存在意義というのは、かのレイモンド・カーヴァ―による崇高な短編『ささやかであるけれど、役に立つこと』に尽きる。

 

で新潟メシだ。

 

前夜、そして試合日のヒルと、地元民に勧められた回転および〝回らない〟寿司店をリレーした。しかし、双方とも店のグレード自体は「回転」レベル(すこし高級な回転と、安価な寿司屋)だけどね。

 

最初の店は万代の繁華街の真っただ中にあるお店。確かに人気店らしく、パッド形式の予約入力では「1時間以上待ち」という説明。まぁ、申し込み人数、店内混雑具合で「そんなことない」と思いつつ申し込んで、待合シートで30分強待たされカウンターへ。

 

回転寿司屋では気にしなくてもいいとも思いつつ、やはり寿司屋で写メは伊達も酔狂もないので写真は割愛するが、結論から書くと「中」…まぁ、すこし親切で「中の上」といった程度か。ネタはそこそこ〝新潟基準〟としても、シャリが個人的には減点だ。酢の効かせ方がもう一歩足りない。なので魚の旨味、風味を上手く演出出来ていないと、勝手に感じながらつまんでいた。

 

 

▲寿司屋は入り口まで📸トロリーと足は関係ないから

 

 

この酢飯問題は、翌昼の店も感じられた。つまり、新潟の鮨は酢が控えめってことか? まぁ誰か越後の鮨事情に詳しければご指南いただきたい。

 

なので、2軒目を出た時は「新潟市ではあるが、へぎそばでよかったか…」などと呟きながら試合会場へと向かった。総じての印象だと、双方共通の評価ポイントとしては、鰤が標準より安価な割には鮮度、味共にヨシ。〝地〟のものかは「?」だが、かわはぎも悪くなかった。ちなみに昨今、かわはぎさんは肝を載せて出す店も少なくないが、この白身魚ならではの繊細さを楽しむには、敢えて肝抜きだ。いずれにせよ、概ね白身の魚に〝分〟がある越後の2日間だった。

 

で、ここからビッグスワンおよび周辺の再考になるので、ウンザリな方にはお許し願いたい。

 

この日は、①で紹介したパン屋とは逆サイド(つまり新潟中心地側)を、やはり3分ほど行くとある卵専門店から。すこし早目の昼メシを終えて、代表戦用の臨時シャトルの乗り場に行くと、予想外にガラガラ。すこし早い時間だからかと思いながら出発目前の観光バスタイプの車両に飛び乗った。

 

そのバス停(臨時)から近くにあったのがこのお店。前日もパンか卵かと悩んだ店だったが、入ってみると主力は本来の生卵の販売と、卵を使ったスイーツ類中心。おやつ代わりにコチラの2品を購入して、巨大スタジアムへ向かった。

 

 

 

 

で、お味のほうを書いておくと、全然文句をつけるレベルではないが、もし来月ビッグスワンに来るとしたら、おそらく…。イートインのカフェでお茶とスイーツならアリかもね。「だし巻サンド」のほうは、農耕なバターと、うっすらではあるがマスタードが効かせてあるのだが、それがマイナスに働いている。この2つのフレーバーが目立ちすぎて、本来の卵の味も出汁の香も十分には楽しめない。プリンも、こういう〝王道〟系のものなら、すこし昭和のプリンっぽく硬目(最近流行ってるけどさ)で素朴な味わいを期待したが、イマイチ〝いまどき〟の味だった。

 

卵専門店ということだったので、さぞかしふんだんに卵感満載と期待過多だったこともあったが、せっかく「卵」を強みにするなら、そのアドバンテージポイントをディフォルメしたものが食いたかった。

 

で、その試食の前に、スタジアム周りをぶらついての発見もあった。①で紹介した「森」とはビッグスワンを挟んで逆側の〝スタジアム前広場〟といったエリアもかなり高評価をあげていいと空間と感じさせられた。

 

 

▲道沿いのタイルに見えるが、奥側(写真上部)のスタジアム前のくつろ

ぎスペースから、カナルに架かる橋へ上る階段の最上部に円形タイルの模

様が施されているのも、ちょいと手を掛けていい雰囲気を作り出している

 

 

そこそこ広大な敷地をどう使うか――。これって、昨今の大型ヴェニュー設計の知恵の絞りどころで、多くはただただ無用の長物の如き醜態を晒している。だが、ここは巨大さが良し悪しどちらにもなる器と、その周辺を上手く調和させようという配慮を感じさせる構造でもあった。

 

鳥居野潟から引かれた水路を「カナル」と称して、その行き止まりがスタジム横の水辺になっている。そこに、多くの人が集まれるアリーナのような広場があり、大きな帆のような屋根の下には椅子、テーブルが並ぶ。

 

「カナル」の両側はこんもりと盛られた〝人工土手〟が作られ、その土手上部分に並木のように植えられた広葉樹が、弁当を広げる家族や一息つく散歩おじさんに木陰を作ってくれる。土手に配されたベンチも、その間隔が、隣のシートから適度に距離が作られているため、いい具合にプライベートが保たれ、告白も別れ話も問題なさそうだ。かなり絶妙のスペース感覚と感じた。その一方で、「直線」がほとんどない自然(風な)造形の中に、直線的なカナルと円形の巨大スタジアムの作り出す、こちらは自然とはかけ離れたシャープな構図も悪くない。

 

 

▲なんだかイングランド・コッツウォルズを歩くと出くわす風景のよう

 

 

むしろ、4万5000人を収容する巨大スタジアムが「陸上トラック付き」というのが、最大(最低)かつ致命的な欠点と総括せざるを得ないのが残念だ。新潟ダウンタウンからなら自転車でも心地良い(坂がないからね!)移動で辿り着け、わずかながらカフェ、飲食(もちろんコンビニも)も点在し始めたのも大きなプラス材料だからこそ、陸上トラックが恨めしい。

 

結果的に越後は2泊の旅程となったが、それは、東大阪への旅の合間に少々足を伸ばしたい場所があったから。それでも数年前、十数年前の滞在と比べると、新潟は遥かに華やかで活気に満ちた町に変貌していた。そんな町だからこそ、この先も楕円球との接点を、持続可能的に持ち続けることが出来るかが気になる。

 

仕事等で地方都市を訪れて感じるのは、その地域地域で普及活動に汗を流す方々の、エディー流に書けば「エフォート」と同時に、どんどんラグビーが日常から離れていく不安感だ。業務的な理由で、スピアーズがホスト戦を開催するなど、他の地方都市よりはトップレベルのラグビーに触れるチャンスはあるのかも知れない。だが、リーグワンチームのメーンホストとなる可能性は極めて低く、代表戦も今回のように8年ぶりとなると、この先、どんな術と技を駆使して人を集まられるのだろうか。

 

カナダという相手も響いたとしても、JRFUにとって大きな資金源としたい代表戦チケットの販売力については、目線を上げていかねば、いまでさえコストカットに頭を痛める正代表、シニアレベルの強化の活動資金を上向きへ変えていけなければ、この先ランク上位のティア1ネイションズとの運営能力というバトルでも十分に戦えないことになるのか――という不安を感じてならない。

 

絵日記のはずが、楕円のハナシにも転じてしまったので、今回はここらでご勘弁を。

 

 

 

ネイションズ選手権、ワラビーズ戦というヘビー級の戦いを終えて、ティア2とのシリーズを迎えたエディージャパン。越後での80分は、皆さまどう評価しますか?

すこし後でまとめるとして、とりあえずおさらいを。

 

57-12

 

合計9トライを奪って、相手は前後半1トライずつしか許さない勝ちっぷり。

開始5分、10分での戦況でも「こりゃ50点はいくな」と呟くほどだったことを考えれば、序盤の感触どおりの試合だったとも言えるが、真相はそうでもない。

 

「50点」という見通しというのは、勝手ながら、そこそこしっかりゲームをドミネートすればスコアは60、70と跳ね上がるということ。つまり、そこまでゲームを支配し切れずに80分が終わった。

 

ほとんどのメンバーが、会見、ミックスゾーンと無表情だったが、フラストレーションが溜まる80分はやる側、観る側共通していた。

 

10分、20分とゲームが進む中で頭には2つのワード浮かんだ。

 

遂行力、そしてディシプリン

 

これは、ここまでのゲームでも常に課題と感じさせたエリア。このゲームに関してもうすこし具体的に書けば、アタックの形は十分に出来ているが、ラインのどこかで、精度を欠いたパスでファンブルや攻撃のモメンタムを失ってしまうプレーを何度も見せた。見事なクイックハンズでボールを繋ごうとしたまではいいが、そのパスがレシーバーの背後に流れて捕球できないといったプレーだ。

 

齋藤直人主将も会見で指摘したのだが、敵陣22mラインを17回突破してトライ9、57点はいただけない。カナダの7回で2トライよりは遂行力は高いのだが、世界ランキング12位と24位という実力格差も加味すれば、17回攻め込んでいながら8回はトライまで持ち込めなかった現実は褒められたもんじゃない。そして反則数も、このレベル差のある相手と同じ11回を記録している。ブレークダウンでの、自分のプレーを制御し切れない笛が目立った。

 

頭の中や数字だけでなく、この日話を聞いた選手全員が認めた問題点でもあった。全員というのは、SH齋藤直人主将、FB松永拓朗、No8(この日は)ティアナン・コストリー、そしてSH福田健太。

 

では「では何故」とぶつけると、概ねこんな理由を語っている。

 

①     ここまでのゲームの課題を引き摺っている。

②     これまでの対戦相手に比べて力の落ちるカナダ相手に、前に出れる、スコア出来るという自信や積極的に攻めようという意識が、プレー精度を落としてしまった。

③     15人全員のイメージにまだブレがある。

 

③はティアナンが話してくれたものだが、言い方を変えると「まだまだ練習が必要」ともなるが、彼らしいポジティブな見方だと、「攻撃の形は間違いなく出来ているが、そこから最後の仕留めの部分のコンビネーション、意思疎通がまだ十分じゃない」てなことになる。

 

「そこを取り組んできたんじゃないの?!」という厳しい指摘もあるだろう。だが、2024年の第2期エディージャパンの発足からを振り返っても、チームはまるで国会での野党の「牛歩戦術」の如き1歩ずつ、ゆっくりとしか進めないのも現実だ。逆に、ティアナンのように前向きに「攻撃の形は出来ている」と受け止めつつ、1年後の10月1日までに段階的に精度、遂行力を高めて行ければもう少し得点力が増えていくと期待とするしかないのかも知れない。そこはかとなく不安も同居しながら、このチームの成長を待とう。

 

ということで、スコア上の大勝とは対照的にフラストレーションが残った越後の80分。精度、遂行力、ディシプリンでの成長が1歩見らればという思い(願望)で、東大阪のキックオフを待つ身ではあるが、数%の懸念はイーグルスの〝変化〟だ。「ロスプーマス2軍」に競り勝ったのは何故か、断片的に観たあのパスを多用したアタックが偶然なのか必然なのか…。日本の2019年までの強化とオーバーラップさせながら、新潟→東大阪の旅が続く。

 

 

 

 

今回も「そんなに書くネタとヒマあるの?」と思いつつ、まず初日に絵日記に相応しい放浪をしたので、とりあえず第1回を。この先の補償はないが、気まぐれにやれればという思いで。

 

で、久しぶりの巨大白鳥=ビッグスワンでのラグビー。早朝の越後入りはFBで呟いたので、絵日記は試合会場からのはじまりに。

 

すこし予想外だったのは、まだまだ閑散としているエリアではあるが、この器の周辺に変化があったこと。以前は鳥屋野潟という広大な潟の畔、というより潟から続く湿地帯の中に、忽然と巨大な器が鎮座している印象だったが、周辺のスポーツ施設、公園の整備で雰囲気はかなり変わっていた。

 

強いて表現すれば「陸の孤島」から「市民の憩いの場(&スポーツコンプレックス)」。過去の訪問では、周囲を探索することもなく取材オンリーでスタジアムに滞在していたことも〝孤島〟感を印象づけたのかも知れないが、様変わりしたのは明らかだ。

 

 

 

 

朝のジャパンのセッションを終えてからカナダを待つ4時間ほどの時間の中で、「気晴らし」程度の気分でスタジアム外を歩いてみて驚かされた。

 

鳥屋野潟に隣接するのは変わらずだが、スタジアム以外のサブトラックや運動広場などのスポーツ施設が新たに作られ、潟に面した場所は幾つかの自然公園、森、遊歩道などが整備された。

 

 

 

 

 

 

その遊歩道は、人工的に造成されたものである一方で、古木と言っていい木々がまるで緑のアーケードのように枝を張り巡らせ、歩く者を残暑の陽射しから守ってくれる。森の中は敢えて置いてないようだが、もしここにベンチでもあれば、さぞかし最高の昼寝場所になっただろう。この感覚、どこかでと一瞬思ったが、それは宮崎の許可拠点に隣接する「市民の森」に通じるものだと直ぐに気付いた。記者時代は、練習や取材の時間より早目に訪れたり、取材の合間に、森の木陰で読書、シエスタを楽しんでいた(もう時効…だよね)。

 

 

 

正式には、このビッグスワンに隣接する森は「新潟自然生態園」と呼ばれるそうだが、30匹の野獣が集う器の外は小さな生き物の生態が見られるというのも悪くない。ぼけーっと森林を歩いているとすこし〝職務〟を忘れるが、その緑の中に、まだまだ壮麗さが残る巨大なコンクリートの造形物が忽然と聳えるギャップも楽しめる。

 

 

 

 

 

 

最後にオマケで、もう一つの大きな変化を。スタジアムから徒歩3分という位置に、ここら辺には似つかない手作りパン店が出来ていた。店員さんに聞くと、開店から1年も経っていないというが、高速ICから市街への道すがらという立地条件もあり、かなり混雑している。観光途中の家族連れなどもいるが、この類の店らしく、地元のマダム軍団がかなり専有している印象も。イートインエリアもあるのでママ会にはもってこいなのだろう。

 

 

 

 

 

味は三ツ星まではいかないかも知れないが、「新潟の街中でこの水準のパンは食えるのか?」レベルのもの。気持ち焼き過ぎが、オーバークリスピー感となるのが気になった。

 

他にも幾つかの店があるようだが、試合日は平日以上に新潟マダムもファミリー層も集まりそうなので、とりあえず回避。薄暮、というより遅めの午後のキックオフなので、戦前後に市内でハラを満たしてとするか?