認識されてるのはいかほどの人たちか…。

 

なんてエラそうに書く前にオマエがしっかり書いておけと怒られそうだが、東芝ブレイブル―パス東京は唯一定期的に「定例会見」を行ってきたチームだ。

 

「なんじゃそれ⁉」

 

という輩もいるかも知れないが、まだに文字通り「定例の会見」だ。

6月11日に府中くんだりまで行ってきた。

薫田真広社長(兼GM)が事業面を中心に、会社の状況や取り組み、新たな戦略を語り、状況に応じてHCやキャプテンが登壇して、チームの近況や前節の振り返り、次戦への意気込みを語る。先ずは強面(失礼)社長のシーズン総括の挨拶を。

 

「クラブとしましては3連覇がかかったシーズンでしたが、結果は中々満足いかない1年だった。初めての7連敗も喫しましたし、開幕と最後の埼玉パナソニックワイルドナイツとの2試合をみても、決して満足いく試合じゃなかった」

 

この発言は、GMという立場を踏まえたものだったが、社長としてのコメント、つまり事業面での説明は興味深いものだった。親会社(東芝)からの提供資金こそ非公開だが、毎回、事業に関わるそこそこ踏み込んだ数字も明らかにしているのが、このチームの定例の特徴でもあるが、この日公開された数字=2025-26年収支の一部をお伝えしておこう。

 

 

【2025-26年シーズン事業売上高】

総額 11億970万円 154%

(スポンサー、母体企業支援除く)

《内訳》

スポンサー収入 7億5300万円  210%

チケット収入  1億9800万円    98%

(1試合入場者数     12781人      126% ※リーグ最多)

グッズ収入      8800万円    87%

ファンクラブ収入   4470万円  126%

アカデミー収入    2600万円  124%

※%は前シーズン比

 

 

売上が2桁億円というのは、スポーツビジネスを広く見渡せば大した額ではないかも知れないが、薫田社長が「聞いたことは無い、おそらくウチだけだと思う」と語ったように、ラグビー界ではエポックな数字だろう。ラグビーもようやく20億、30億という数字を目標に掲げる時代になった。

 

錚々たる――という表現はすこし持ち上げ過ぎだろうか。

しかし、薫田社長も「グラウンドの結果に反し、事業の数字では成長出来た。数字狙いにいって取れたという意味では事業スタッフよくやった」と評したようにリーグ6位、準々決勝敗退に終わったチームとしてはかなり善戦と見ていい数字だろう。昨季まで連覇を遂げていたチームという恩恵を踏まえた上でも。

 

マイナス成長となったのはチケット収入とグッズ販売。ここはチームの不振が如実に表れたようだ。見方を変えれば、成績的にはかなり落ちたところで、下落をこの程度に抑えることが出来たのは上々かも知れない。

 

収益のバランスがスポンサーに大きく依存しているとも解釈出来るが、ここはリーグワンという事業の現状が反映されている面もある。先ず、致命的にチケット総数=座席数が少なすぎる。確かに集客力(ホストゲーム)もリーグ最高位のこのチームでも1万2000人台程度ではるが、2万~3万人というキャパのスタジアムが安定的に確保出来ない国内&ラグビー事情では、この数字を拡大するには、そこそこの努力が求められる。

 

同時に、開幕戦でチームが実施した「4万人プロジェクト」のような取り組みでは、どうしても収益以上に集客を重視するため、地元小学生などの招待の比率が高まり、結果的にチケット収入にも影響するからだ。

 

そのため、まだまだ事業化過渡期のリーグワンでは、やはりスポンサー収入に依存せざるを得ない。理想としては、この売上の中でリーグ側の収入や分配が、チームに還元されることが増えれば。このリーグの収益性は、NTTグループ等の大口なスポンサーでリーグも善戦する一方で、放映権など海外リーグでは大きな収入になるフィールドに開拓の余地がある。ま、ここらのハナシはまたあらためて。

 

ピッチ上の総括はトッドさん自らが登壇。優勝から6位へ転げ落ちたシーズンを受けて、こう発言している。

 

「望んだ結果にはならなかったが、来季へ向けてこの4項目を準備していきたい」

 

その4項目は、

①     セットピースの改善

②     ハイボール

③     スキル、遂行力の改善

④     ディシプリン

 

④ディシプリンに関しては数シーズンに渡る課題で、今季もワーストの235。勝敗にも大きく響いた。伝統的にはスクラムにこだわってきたチームだが、その破壊力は年々薄れ、ストーバーグは獲得したもののワーナーのような「高さ」を欠いたのも響いた。注目は②。従来、トッドさんがこのチームに落とし込んだスタイルは、パス重視のボールを展開するラグビー。しかし、シーズンを重ねる毎に相手は「基本蹴ってこない」という防御を敷くことで、強みを期待通りに生かせない試合も何度もあった。リーグワン参画チームの、相手の戦術に対する対応力はシーズン毎に高まっているのも響いた。③の遂行力の低さも、この防御し易いチームに転じたことも大きな要因だ。勿論、ここまでもキック0で戦ってきた訳ではないが、アタックバリエーションにキックを増やすことで、自分たちの強みを生かせることが出来れば、再び対戦相手の〝厄介度〟は高まるはずだ。

 

トッドさんの振り返りの中で、こう語っている。

 

「前シーズンまでに感じないプレッシャーがあった」

 

様々に想像は出来るものだが、本人に具体的にどんな部分がチームにプレッシャーとなったのかと聞くと、こんな説明をしてくれた。

 

「連覇した2シーズンはリーグで一番ボールをキープして攻め続けて、キックは最小でした。でもことしは一番ではなかった。相手にアタックを分析され、読まれる中で、どこかで手詰まりになる中で蹴る判断に踏み切れるか踏み切れないかと迷いがあった。2連覇をするところで機能していた部分、自分たちを高みに連れて行ってくれた要素を信じ続けるのか、すこし課題は残るが、もしかしたら何か糸口になる戦術を採用するのはというところは、ものすごく難しい判断を1年通して強いられました」

 

この4項目とコメントから想像力を掻き立てられるのは、捲土重来を目指す来季は、勿論いきなりキッキングチームは在り得ないが、トッドさん流のアタッキングチームを貫きながら、キックも上手く混ぜ込みながらのアグレゥシブさ溢れる新生ルーパスを見せてくれる期待感だ。

 

HCマターはここらへんで、会見最後に登壇したマイケル主将にも、自身のパフォーマンスに関してすこし触れておこう。

 

なんども触れてきたが、今季のマイケル。否、今季前からだが、彼の持つポテンシャルとしてはベストじゃないと個人的には感じてきた。今回のシーズンを終えての会見では、こうぶつけてみた。

 

「個人の数字的にはいいものもあるが、観ている側としてはパーソネルベストとは言えないシーズンだと思うが、本人はどう感じているのか」

 

それに対するマイケルは、こんな振り返りをしている。

 

「過去3年間自分の中ではパフォーマンスは上がって来た。今年は、シーズン前の代表での怪我で、その期間出来なかったものも感じていて、それが影響しているかなと思う。パフォーマンスはシーズン通して少しずつ良くなったと思うが、ベストではないなと。アスタッツは良くても、質はまだまだ上げないといけない。特にコリージョンエリアはかなり下がっている。理由がフィジカルなのか、スキルなのかそこはいま探しています」

 

アスリートの宿命ではあるが、確実に年齢による〝減退〟は免れない。だが、その一方で、リーチマイケルというアスリートを舐めてはいけない。彼の持つポテンシャル、経験値は、まだまだこの男を磨かせるものを備え持つ。何を磨き込み、鍛え上げ、新たに付け足していくのか。この選択を正しくすることが、マイケル再生の大きなテーマになる。ここは、もう一つの〝所属チーム〟日本代表での活躍、そしてチームのパフォーマンスにも大きく影響するだけに、是非、上手く克服して、バージョンアップを求めたい。

 

帰り際には、思わぬ遭遇もあった。

昼過ぎという時間帯もあり、チカバで昼食をと思いながら歩いていると、なにやら複数の人影が…。近づいていくと、大男と標準サイズの外国人。さらに近づくと、見覚えのある風体だ。

 

「どうしたの? チーム会見? どんなこと話すの?」

 

気軽に話しかけてきたのは、5週間程前に府中でのキャリアを終えたリッチー・モウンガだった。一見用心棒風の大男はセタ・タマニバル。この2人だけじゃなく、チームで〝オキニ〟の定食屋に入ろうとしているところだった。

 

「そう。きょうが最後の〇〇屋なんだ」

 

なにやらしみじみと、名残惜しそうに話したリッチー。

プライベートな時間を尊重したかったので、早々に立ち去ろうと「寂しくなるよ」と右手を差し出すと「俺もだよ」と応じてくれた。

 

別れ際の挨拶はお互いに「また会おう!」

立ち去りながら「来年のオーストラリア。その後はまた府中で!」と声を掛けると、ニカっと笑って手を振った。週末に予定されている「ファン感」の後に故郷へと帰る。イベント取材は現状ペンディングのため、場合によっては本当に来年秋のオーストラリアで再会かも知れないが、心の中では、どうせなら日本復帰で再会したいものだと思いながら、昼メシ物色へと気持ちを切り替えた。

 

 

 

リーグワン閉幕を待つように桜のジャージーが動き出した。

 

この日(6月10日)は、宮崎合宿参加メンバーのお披露目。詳細はJRFUのHPで既に確認された方も多いだろうが、年始にリリースされた55人の候補から顔ぶれ35人が発表された。同時にトレーニングスコッド21人も発表されて、13日からの宮崎合宿に参加する。

 

 

 

 

今回の35人。4か月前のスコッド以外からは6人が選ばれている。この期間でのリーグワン等でのパフォーマンスが評価されての〝飛び級〟ではあるが、FB上ノ坊駿介(スティーラーズ)のように「ようやく入ったか」レベルのポテンシャルもいれば、PRイジー・ソード(スピアーズ)や、限られた枠に北條拓郎(ヒート)、渡邊晴斗(近畿大④)の2人が初選出されたSH勢など、まだまだ可能性を見極める必要がある素材も選ばれている。

 

#9は齋藤直人(スタッドトゥール―ザン)以外の3人がキャップ0という異例の若さにはなったが、上村樹輝(スティーラーズ)に関しては優勝シーズンの赤いジャージーのパフォーマンスで十分に齋藤、負傷離脱の藤原忍(スピアーズ)と遣り合える力は証明している。つまり〝1年半後〟は、評価が大きく変わらなければ齋藤、藤原に続く第3枠を、上村を始め、北條、渡邉、そして選外になった土永旭(イーグルス)らが争うことになる。

 

目先の、つまりこの夏からのテストシリーズの勝ち負けを考えれば、昨秋強烈なプレゼンスを見せたFLタイラー・ポール(スピアーズ)、同じく八面六臂の活躍だったCTBチャーリー・ローレンス(ダイナボアーズ)、そしてNo8ファカタヴァアマト(ブラックラムズ)、CTB/WTB長田智希(ワイルドナイツ)ら経験組、代表デビューを目指すLOルアン・ボタ(スピアーズ)ら〝即戦力組〟のコンディション不良による選外は残念だが、エディーは「多くの選手のコンディションは4週間前後で戻る。ワラビーズ戦辺りまでに代表に入れる選手もいるだろう」と、復帰を待ち侘びる。

 

ボタに関しては、LOは有り難いことにワーナー、ホッキングスら200㎝クラスが居並ぶ中で、パワー勝負の局地戦では、やはり他のメンバーにはないボリューム感の持ち主。年齢の難しさはあっても、ネイションズCのような対戦相手(来年の本チャンならvsフランス)には使いたい選手ではある。ただし、エディーの求めるジャパンの完成形が実現するなら、ルアンの機動力は疑問になるかも知れない。

 

35人の中でのノンキャップは10人。RWC2027が近づく中では10人と考えるとやや多い印象を持つが、《主要な顔ぶれ》と捉えると、実はすこし面白みのないほど大変わりのないメンバーでもある。来年のコアメンバーは固まりつつある。むしろ、個々の選手自身のパフォーマンスを基準に考えればリーグワンで〝パーソナルベスト〟とは言い難かったNo8リーチマイケル(ブレイブルーパス)、CTBディラン・ライリー(ワイルドナイツ)ら、本番で上位を倒すには不可欠な力が、どこまで夏のテストシリーズでハイパフォーマンスを出せるかが注目材料でもある。

 

一方で21人が宮崎に呼ばれたトレーニングスコッドに目を向けると、WTBジョネ・ナイカブラ(ブレイブルーパス)、メイン平(ブラックラムズ)ら実績組に混じりSO北原璃久(ヒート)が選出されているのは興味深い。NZ仕込みのファーストファイブエイス。ボールを動かすための引き出しは持っている。サイズをみれば、対戦相手はどのチームも狙ってくる中で、どこまでテストラグビーレベルでフィジカリティーを出して戦えるか。試金石を乗り越えることが出来れば面白い。

 

すこしコラムを構想しているので軽く触れておくが、新しい顔ぶれ(否35人トータル)で注目はSO伊藤龍之介(明治大④)とFB上ノ坊。ここまでの実績では、当たり前の2人だが、会見でのエディーの思い描く戦略を考えると、この2人の存在が更に興味深いものになった。先ずは、そう容易ではないテストデビューを果たせるか。注目のテストシリーズは、尾張でのジャパンXVvsマオリのカーテンレイザーから始まる。

 

 

(追伸)

因みに、メンバー会見前には数週間前のエディーの〝不祥事〟に関する謝罪と質疑応答もあった。あまりエディーを擁護する気はないが、一部SNSで触れた通り、個人的な意見では、些細なはなしだと思っている。この日の質疑も、なんだか子供じみた遣り取りと感じた。勧善懲悪空気が濃い。この時代のモラルでは非難されるのかも知れないが、レフの「?」の笛に、チームのために噛みつけるくらいのコーチのほうがいい。取材する側も本当に問題だと感じるなら〝対岸〟から石を投げるような取材はなんだかな――という心象だ。

 

 

 

月曜日のアワードを持ってリーグワン2025-26は幕を閉じた。

皆さん、どんなXVを選んだでしょうか?

 

一応、受賞者を書き留めておくが、発表前の〝先出しじゃんけん〟で既に本ぶろぐに上げているヨシダチョイス=メディア投票は、いつも通りかなり相違のあるものに。

昨今の選考をみると、より多く違っている方がいいとも感じるので、昨季の5人から10人へと増加はいい傾向だろう。

 

で、アワード会場での〝情報〟を。主に来季リーグについてだ。

 

来季に関しては、12月中旬の開幕、6月初旬の閉幕、大会フォーマットは変化なし。プレーオフ6チーム制も変更なし。但し、カンファレンスの形態は、交流戦カードのアンバランスさを踏まえて修正の方向だという。

 

閉幕=決勝に関しては、その後のRWCプレシーズンで、代表強化にはすこし前倒しでいいかと思っていたが、従来のカレンダーで。

入替戦試合方式は検討中だ。

 

個人的にはプレーオフ3位決定戦は廃止でいいが、どうやら継続。

RWCでの3決は百歩譲ってアリとしても、クラブリーグではどうか? いくらラグビーの試合での負傷はやむを得ないとはいえ、選手ファーストなら、例え数パーセント、コンマ数パーセントでも、このゲームで次シーズンや選手生命に関わるような怪我の可能性があるなら、リスクは避けるべし。

今季の3決のアンフォースドエラーの多さだけでも、この試合に臨む選手の難しさを証明している。

 

シーズン前の「ライジング」も継続だが、参画チームは増加の見通し。試合数は変更なしという。将来的には現行の〝交流戦〟レベルの形式をリーグ戦化して、その成績をリーグワンへも反映させたいという。確かに、大会のヴァリューを高めることはアリではあるが、重要なのは本チャンのリーグワン。あまり本気度の高いプレシーズンを科すことでチーム、選手にリスクや過度の負荷をかけるのは疑問だ。

 

リーグワン誕生から危惧している、ホストエリア以外、つまり日本の都市圏以外の大半の地域でのリーグ及びラグビー自体の普及は、来季もあまり、否かなり期待は持てない。

 

随時、都市圏外のチームの参入を促していくというが、そのレベルにあるチームが存在するのかと考えれば非現実的だ。東海林専務理事は、この〝地方置いてけぼり〟現象については、既存チームの「セカンダリーエリア」への期待を語ったが、これも既存のセカンダリーエリアの状況では、そもそもエリア数からして効果的な普及、ラグビー空白地帯の減少にどこまで繋がるかは疑問だ。

 

厳しく書けば、絵空事の地方普及ばなしをしている間に、リーグは5シーズンを過ぎている。つまり地方〝放置〟も5年が過ぎている。1シーズン、2シーズンでホストチーム、試合開催のない空白地域を埋められないのなら、JRFUとも連携しながら、代表、リーグワンチーム・選手にも協力を得ながら空白地帯での普及活動に力を注ぐべきだろう。

 

 

League One2025-26 BestXV(■=ヨシダチョイス)

PR① C・ミラー(ワイルドナイツ)■高尾時流(スティーラーズ)

H O    M・マークス(スピアーズ)

PR③ O・ヘル(スピアーズ)■P・ライアン(ブラックラムズ)

L O B・レタリック(スティーラーズ)

              H・ホッキングス(サンゴリアス)■E・ハアンガナ(Wナイツ)

F L A・サベア(スティーラーズ)■T・ポール(スピアーズ)

              T・コストリー(スティーラーズ)

No8 マキシファウルア(スピアーズ)■W・ララトゥブア(スティーラーズ)

S H TJペレナラ(ブラックラムズ)

S O 山沢拓也(ワイルドナイツ)

CTB  T・イオアサ(スティーラーズ)■J・クリエル(イーグルス)

              A・レイナートブラウン(スティーラーズ)■R・トンプソン(Bルーパス)

WTB 竹山晃暉(ワイルドナイツ)■J・ナコ(ダイナボアーズ)

              M・テレア(ヴェルブリッツ)■メイン平(ブラックラムズ)

F B C・コルビ(サンゴリアス)■S・スティーブンソン(スピアーズ)

 

MVP B・レタリック(スティーラーズ)

新人賞 上ノ坊駿介(スティーラーズ)

 

 

 

さてはて、いよいよシーズンファイナル。

土曜日の3位決戦にも絡んだ〝宿題〟を抱えるため、

すでに、キックオフまで12時間となろうとしている時間ながら簡単に前打ちを。

 

実力はかなり拮抗する中で、シーズンスタッツを見ると若干1位チームが優位に立つ印象ではあるが、こんな数字だ。

 

 

【神戸】       【クボタ】

1位    順  位  3位

16勝2敗     成  績  14勝4敗

750          得  点      709

112       得トライ  102

456       失  点  357

215    反  則  数  167

※リーグ戦18試合の数値

 

▼トータルスタッツ(by Rugby Pass)

2316  ボールキャリー   2290

10324    ランメーター   9953

165   クリーンブレーク 179

87%  タックル成功率     86%

 

 

ディシプリンでスピアーズが若干優位ではあるが、主要な数値は非常に近似値を示している。実力は互角といいたいところだが、スピアーズ側がキーマンと呼べる選手数人を欠いているのはやや厳しい戦いを予想させる。以前にSNSですこし触れたが、自慢の〝船橋ボムスコッド〟投入までの時間で、いかに戦えるかが注目。理想を言えば、後半15—20分までにリードを奪えば勝機は見えてくると期待したいところだが…

 

ちなみにメンバー表に触れておくと、ティアナン、アーディ、ワイサケという3列の破壊力は神戸が充実。狂気のFL末永健雄を中心にクボタがどう立ち向かうか。ミッドウィールダーをみても、神戸のボールドライブをどこまで封じ込めるか。#15上ノ坊、#14植田の息の合った若手が暴れるような展開だと、クボタはかなり苦しくなる。逆に#15ショーンが準決勝まで同様にボールを持てれば、幾度かのスコアチャンスが作れるだろう。

 

で、前日行われた両チームが会した会見からのコメントを紹介しておこう。

これは「優勝を逃した昨季からチームはどんな進化を感じているか」という質問に対してのデイブさん、フランさんの回答だが、こちらの質問も拙さもあり、お二人とも対戦相手側の評価も加えて応えてくれたので、そのままお伝えしたおこう。

 

 

神戸・デイブHC

クボタに関しては、過去4年で3度決勝まで進んでいるチーム。決勝を戦うことにも経験豊富です。フランさんは素晴らしい仕事をしてきて、何年もかけてしっかりと競技力の高いチームを創作り上げてきた。我々も間違いなく良くなってきていると思います。ディフェンス面やプレー精度の部分ですね。昨季に比べてターンオーバーの数も減少して、自分たちで自分たちに重圧をかけてしまう状況は減っていると思う。決勝は、積み上げてきたものを80分の中でどれだけ出し続けることが出来るかに尽きると思います

 

▼クボタ・フランHC

デイブさんが話したことと同じような思いですが、ここ数年、そしてとりわけ今季ですが神戸は非常にタフなチームで、対戦相手が結果を出すのが非常に難しい試合が多かった。我々については、昨年の決勝で負けたことからの学びでは、大事な局面でのディフェンスだったり、エリアを取っていく部分にフォーカスを置いて修正してきました。ディフェンス担当のスコット・マクラウドも2年目ということもあって、継続性がしっかりと生かされていますし、ランとキックのバランス、キックオフからの攻防をどれだけ上手くやっていけるか。それがしっかり出来れば、チャンスに繋げて勢いを持てるだろう

 

両HCとも〝概略〟程度のコメントではあったが、攻守トータルに底上げに自信を持つスティーラーズと、防御、ラン&キックを中心に整備されてきたスピアーズ、いずれが高い完成度を見せられるかが1つのポイント。

 

「しょせん」と書くと元も子もないが、ラグビーはやはり、いかに相手にミスをさせ、自分たちのミスを減らすかが、永遠のテーマでもある。

 

ヘビー級のようなパンチの応酬の中で、自分たちのエクスキューションを保てたほうに、勝利の女神がほほ笑むことになる。

 

 

 

すこしメモ書きレベルで、TMOの新テクノロジーについて。

 

よい子が注目する今週末のリーグワンファイナルでは、最新のNTTグループの通信システムを利用した〝ジャッジ〟が導入される。これは、従来導入されてきたTMOを、一拠点と各会場を繋いでリモートで行われるように変更したもので、日曜日の国立競技場でのゲームで初めて実施される。

 

要するに、TMOを試合会場ではなく、一か所の拠点で担当者が映像解析することになる。すでにFIFAワールドカップで観たシステムに似たものだ。例年のラグビーの方の祭典でも導入される。今回は、この「一拠点での管理」とNTT側の「新規通信技術」という2点がトピックスなわけだが、ブリーフィングは後者のNTT側に配慮したものになっていた。

 

NTTおよびNTTドコモが持つIOWNとい最新の高速通信システムをTMOに活用するということだが、かなりの高速通信で、現在、試合中継などで感じられる映像再生のタイムラグがほとんどなく、ほぼライブで視聴出来るという。極論すれば、理論上ではシドニーでの画像が、今回もTMO基地となる大手町でもラグなしでということのようだ。従来の国内TMOのジャッジに見られがちな遅延、もたつき感が大幅に解消されるという。

 

まぁ、実際に決勝で、どこまでスムーズなビデオ検証がなされるか、お手並み拝見というところだが、少々疑念、課題もあると感じている。

 

この日行われたブリーフィングで、リーグ側はTMOに求められる人員などのコスト抑制や画像通信速度の改善による時間短縮などをメリットに挙げている。確かに指摘通り、一拠点で集中的に管理することでの人員のコンパクト化、通信クオリティーの進化によるメリットはあるのだろう。だが、ブリーフィングを聞いていて感じるのは、本来、一番重要なのはTMOに依存するジャッジ、そしてTMOによるゲームの中断、遅延をどこまで減らしていけるかだということだ。

 

今回のブリーフィングの趣旨からすれば、TMOの介入の是非を問うものでもなければ、新規方式が介入回数にどう影響するかを問うものではない。だが、しかし、観る側やプレーする側に、どんな恩恵、もしかしたら損失があるのかを考えると、TMOがどこまで行われるかは大きな問題だ(TMOを見慣れて「有る無し」が問題だと感じない方々もいるだろうが…)。

 

確かに、現状のリーグワンを観ていて、TMO:0回というゲームがどれだけあるのかを考えれば、現実的ではないかも知れない。TMOが導入されていない大学や高校の公式戦を観ても、際どいジャッジには「TMOがあれば…」と思い至るケースも少なくない。だが、それでも、シーズン毎に常套化する、あのレフェリーがテレビモニターを示す両手で描く四角い枠のジェスチャーが、プレーの流動性、継続性といったラグビーだからこその醍醐味をかなり奪い去ろうとしているように思えてならない。

 

野球やアメフトのようなアメリカンスポーツは、攻守が入れ替わるなど、試合を寸断しながら、テレビ中継用のCM時間を作り、現地の会場でもビール購入や生理現象を解消することに役立てている。他の競技でも〝ピリオド〟を設け、増やすことにより、ゲームを切り刻む作業に余念がない。

 

だが、ヨーロッパ起源のスポーツにありがちな、先にも書いたゲームの流動性や継続性の中に、それぞれの競技が持つゲーム性、戦略性が構築されることを踏まえれば、自ら進んで自分たちの競技を細切れの80分、90分にすることは慎重であるべきだ。何故なら、刻々と、尚且つ継続的なゲーム展開の流れの中にラグビーやサッカーといったスポーツの醍醐味やカタルシスがあるからだ。個人的には「ここをアメリカンスポーツに倣ってどうするのよ」と突っ込みたくなる。

 

レフェリーの試合中の振る舞いに触れておくと、スーパーラグビーや6か国対抗と比べても、リーグワンは統計上はTMOが極端には多くないし、むしろ少ないケースもあるとは聞いているが、実際に試合を視聴すると、海外のトップレベルの試合を担うレフェリーが、自分のジャッジで笛を吹こうとしている意識は高い。トライシーン等をみても、よほどの視認困難な状況以外は、断固として自分のジャッジを貫いている。勿論、日本の幾人かのレフも、自分での視認を尊重している。

 

そろそろ、競技団体や大会運営者は、「こんなすごいテクノロジーが導入されます」という発想から、「この競技ならではの特性や魅力をより高めるためにどんなテクノロジーが役立つか(又は、高めるためにどんなテクノロジーはいらないか)」というアプローチで物事を判断する時代に入っていけないのか。勿論、関係者が後者の考え方を否定しているとは考えていない。だが、〝最初に在りき〟は、テクノロジーではなく競技性、競技特性だというスタンスは、この先もブレてはいけない掟のようなものだ。

 

ブリーフィングで説明されたコストを含めた効率化も、もうすこし詰めた議論、検証が必要かも知れない。説明をさらに掘り下げて聞くと、実際のTMOのオペレーションにかかる人員は、従来とそう大きく変わらない。何故なら、1試合に必要なTMO要員は、この新システムでも受け持つのは1試合のみだからだ。同時に2試合、3試合を兼業で受け持つことは有り得ないのだ。ご存知のように、リーグワンの場合は、ほぼ同時刻で開催される試合がかなりの量に上る。スーパーラグビーなら、キックオフ時間をずらして、1試合が終われば別会場の他のカードがキックオフを迎える流れだが、この国では12時、14時、14時30分あたりでスタートするのが相場になっている。なので、ほぼ同時で試合があれば、TMO要員もそれぞれの試合に、それぞれの人数が必要になるのだ。

 

勿論、NTT側の技術に関しては間違いなくプラスの恩恵はあるだろう。だが、画像を繰り返してプレーや反則を審議する作業については、課題になるのはむしろ、TMO担当者と画像を操作するオペレーターのやり取りの迅速化が大きな課題なのは間違いない。このエリアの問題点は、過去に上げたぶろぐおよびコラムでも触れている。

 

 

分析のための映像は基本的には中継するJスポーツの撮ったものが「公式映像」として使われ、動画再生のオペレーションも同社のスタッフだ。ブリーフィング時にJスポーツ関係者は「担当者の技術アップにも取り組んでいる」と説明してくれたが、ラグビーだけに特化しているわけじゃないスタッフも多い中で、なかなか難しい部分があるのは否定できない。

 

いずれにせよ、改善が求められるとしたら、ピッチ上のレフェリーがTMOの介入を求めてから、最終ジャッジが下されるまでの時間をどこまで短縮できるかだ。そこに付随する課題としては、画像分析が多角的に行われるためのムービーカメラの台数を、さらに充実させていくことだろう。試合によっては、観るべきシーンが十分に撮影されていない試合も少なくない。すこし極論すれば、これだけ技術が進む中なら、1会場に於いて、中継用の高度なカメラを補足するスマホないしスマホ程度の撮影機器を数台設置してもいいのではないか。

 

ブリーフィングおよび、先のJスポ関係者の話では、来季レギュラーシーズンには、幾つかの会場、これは秩父宮などの主要施設になりそうだが、ここで導入される方向だという。決勝戦単発の今回より、複数会場で行われるとしたら、来季からの導入で、その恩恵がより具体的になるかも知れない。

 

但し、繰り返しになるが、大事なことは、よりレフェリーの〝四角いジェスチャー〟が少ない試合を増やせるかだと個人的には思っている。先日覗いた大学春季大会でも、あるチームコーチから「レフェリーのレベルが厳しい」という話も聞いた。協会公式戦レベルをしっかりと吹けるレフェリーは、大幅な若返りの影響も含めて人員不足と感じている。滑川剛人というトップレフェリーもピッチを去る中で、いかに生身の人員を養成、確保していけるか。テクノロジーでは埋め合わせることが難しいエリアでのクオリティーの向上という継続的な課題は、変わらず横たわる。