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Global blog 〜世界の社窓から〜

アジア、東南アジアに積極展開するインターネットカンパニー
アドウェイズの海外社員ブログです。

1位:OpenRice(1040)
2位:zomato(1247)
3位:Qraved(1792)
4位:AbraResto(2360)
5位:sendokgarpu(8859)
6位:MakanLuar.com(21475)
7位:Kulinen(75034)
8位:laperbanget(92071)
圏外:Bali Resto
圏外:toresto
圏外:Opepper
圏外:Celtic

右端の数字はインドネシア国内のアレクサランクです。

以下にいくつかピックアップします。

図1

ヤフー香港の副社長を務めていた鍾偉民(Ray Chung)が1999年に香港を拠点にサービスイン。2007年にJDB Holdingsに買収された後、中国、台湾、香港、マカオだけでなく、インド、インドネシア、シンガポール、フィリピン、タイ、マレーシアとアジアへのサービスを拡大している。インドネシアは2010年4月に進出し、2014年4月現在、92,000以上のレストランと135,000以上のレビューが揃っている。また、カメラアプリ『OpneSnap』をローンチし、スマホへの攻勢を強めている。



図2

インド発、世界12カ国41都市に展開するオンラインレストランガイド。2008年7月、Deepinder Goyalがベイン・アンド・カンパニー在籍中にニューデリーにてスタートさせる。設立当初はFoodiebayというサービス名であったが、2010年11月にZomatoに改名。インドの名門ネット系上場企業Info Edgeから4回に渡り資金調達を行っており、株式の50.1%を保有されている。その他、米国を代表するベンチャーキャピタルのセコイア・キャピタル(Sequoia Capital)も彼らに投資する。インドネシアには2013年に進出。2014年4月現在、まだジャカルタのみであるが、6,000以上のレストランが掲載されている。


図3

2013年8月、ドイツ起源のインキュベーターRocket Internet出身の3人、Adrian Li、Steven KimとSean Liaoが創業者として設立。openriceが口コミサイト、Zomatoがガイドブックだとすると、QravedはSNSであり、ユーザー同士のつながりが強く意識されている。Rebright Partners、500 Startups、Skype共同創業者のToivo Annusらが投資を行っている。



図4

トップ4までは海外勢だが、Sendokgarpuはインドネシア人のSastro Gozaliが2007年にスタートしたオンラインレストランガイド。今年の1月にジャカルタ市内で7周年記念パーティーが開かれた。2014年4月現在、インドネシアで約4,600のレストランを掲載している。



図5

創業者は幼少期をインドネシアで過ごしたインド人Kunal Narang。MakanLuar.comは2013年12月にローンチしたばかりで、掲載店舗はまだ50も無い。レストランに予約管理システムを提供するという顧客アプローチをとっており、月額管理費とサイト経由で予約したユーザーに課金をしている。



先日紹介した旅行サイトと比べると、レストラン情報サイトは約半分のプレイヤー数です。旅行サイトは仲介ビジネスのため、既にマネタイズが成り立っていますが、レストラン検索サイトはまだしっかり収益を上げられているサイトがほとんどありません。日本ではぐるなびと食べログが代表的なサイトですが、インドネシアでは同じようなビジネスモデルがまだ難しい状況です。

そのような状況下で、シンガポールの成功事例を真似てインドネシアに進出する事例が少しずつ出てきています。レストラン予約によるマネタイズである。前述のMakanLuar.comがそれに当てはまります。シンガポールでは既に『Choap』が人気を博しており、投資家からの資金調達に成功しています。

しかし、シンガポールでレストラン予約サービス『Abratable』を手がけたAnkur Mehrotra氏は、インドネシアの市場ではまだ早いと言います。確かにインドネシアでは、ネットインフラや決済インフラが東南アジア主要国の中でもまだまだで、情報サイトでレストランを探すという習慣もまだまだ少ないのかもしれません。特にジャカルタでは、モールに行ってしまえば、レストランの選択肢はたくさんあります。Ankur氏は、インドネシア展開において、4位にランクインされている『Abraresto』という別サイトを既に立ち上げており、シンガポールとは違ったやり方、自社でクオリティの高いレストラン紹介コンテンツを作成し、まずはユーザーを増やすことに注力しているとのことです。

まだ、飛び抜けたプレイヤーがいないインドネシアのレストラン情報サイトの分野。今後誰がトップを獲るのか見ものです。


1位:agoda(109)
2位:Tiket.com(169)
3位:traveloka(278)
4位:wego(656)
5位:Pegipegi.com(659)
6位:Nusatrip.com(680)
7位:tripadvisor indonesia(1004)
8位:Tiket2 Indonesia(1281)
9位:TICKTAB(1617)
10位:burufly(1645)
11位:skyscanner(1667)
12位:Expedia.co.id(3090)
13位:bookpanorama.com(3167)
14位:Goindonesia.com(3237)
15位:kitook(4179)
16位:ezyTRAVEL(4233)
17位:valadoo(4267)
18位:tiketdomestik.com(8511)
19位:happyholiday(8617)
20位:LateRooms.com(8671)
21位:GONLA(8725)
22位:AIRpaz(10124)
23位:hotelscombined(17021)
24位:GRAHA TOUR(20197)
25位:flamingo(34839)
26位:Travlogue(94967)
計測不可:Booking.com
計測不可:Hotel.com
計測不可:Hotelopina
計測不可:venere.com


カッコ内の数字はインドネシア国内のアレクサランクです。
計測不可は圏外という意味無く、インドネシアでの順位抽出ができなかったためです。


下記にいくつかピックアップします。



図1

1990年後半にニューヨーク出身のMichael Kennyによって作られたPlanetHoliday.comが始まり。早い段階からホテル予約サイトとして発展させ、2007年にナスダックに上場しているPriceline.comにより買収される。インドネシアでも積極的にオンライン広告を行い、ホテル予約サイトでアジアナンバーワンの認知度を誇っている。2014年4月現在、世界全体で39万のホテル、インドネシアでは6500のホテルが予約可能である。



図2

2011年にインドネシア人のNatali ArdiantoとWenas Agusetiawanらが中心となってつくられたオンライン予約サイト。航空チケット、ホテル、電車、音楽チケット、レンタカーの予約などが揃っている。Agodaのような積極的な広告投資はせず、銀行とのパートナーシップ戦略、トリップアドバイザーとの連携、ポイントプログラムなど独自の手法でトランザクションを伸ばしている。創業以来、急成長してきており、ジャカルタ・グローブによると、2013年5月に黒字化し、現在は1日2,000~3,000件の決済処理をこなしているとのこと。1日の平均売上が20億ルピア(約1,690万円)にもなる。



図3

創業メンバーの3人はインドネシアの超エリート集団。FerryとDerianto、そしてAlbertは皆アメリカの一流大学で留学し、マイクロソフトなどの有名企業での勤務経験を持つ。設立は2012年で、オンライン航空チケット予約を主軸に利用者を伸ばし、400,000以上のフライト、200都市以上から希望の航空券を検索することができる。East Venturesやロケットインターネットの創業者サンヴァー兄弟が彼らの将来に期待して投資を行っている。



図4

wegoはシンガポールを拠点とし、Craig HewettとRoss Veitchによって2005年に設立。世界中のオンライン旅行サイトと提携しており、最安値の航空チケットやホテルを検索することができる。ソーシャルメディア戦略に長けており、フォトコンテストなどでユーザーの人気を集め、facebookページのファン数は143万人と旅行サイトの中で飛び抜けて高い。ソーシャルメディア戦略賞も受賞している。



図5

インドネシアでデジタルサイネージ事業を行うPT. Alternative Media Group(AMG)傘下のPT. Go Online Destinations社に、リクルートが技術提供を行い、2012年5月にサービスイン。さらにリクルートグループは投資子会社を使い、インターネット関連事業を行うPT. ALTAVINDOと共に出資行う。CEOはAMGの代表を務めるDavy Makimianが設立時から兼務している。




図6

電話通信に始まり、不動産、エネルギーなど複合事業を手掛けるPT Gema Lintas Benua傘下のサービスとして2013年3月のHans Ebenhahnによりサービスローンチ。サイト内では航空チケットやホテルの最安値を探し、予約できるようになっている。トップ5の中では一番若いサイトであるが、世界で10万ホテル、460の航空会社と提携し、さらに77の銀行と提携するなど様々な決済手段を用意して、急速にトップを追い上げている。



 

図7

2012年4月に設立されたインドネシアを拠点とするスタートアップ。他のほとんどの旅行系サイトは価格を全面に押し出しているが、Buruflyは観光スポットの画像がメイン。ユーザーは旅行体験をシェアして交流させるソーシャルトラベルプラットフォームを目指している。ホテルや航空チケットの予約は、観光スポットの画像やそのレビューをきっかけに行われる。Digital News Asiaによると、現在60万人を超えるユーザーがサイトを訪れるとのこと。Ardent Capital、Walden International 、Batavia Incubatorから資金を調達している。




ピックアップしたサイトを3つのタイプに分けてみましょう。

①直接提携型旅行サイト
いわゆるOTA(オンライン・トラベル・エージェンシー)です。ホテルや航空会社と直接提携して、ホテル・チケットの予約を提供します。価格と見つけやすさが勝負の鍵で、予約販売数で各サイトの割引率が変わってきます。Agoda, Tiket.com, traveloka, Nusatrip.com, Pegipegi.comがこれに当てはまります。

②アグリゲーター型旅行サイト
直接提携型旅行サイトと提携をして、複数の旅行サイトの中から価格やルート、プラン内容などを比較検索できるようにしたサイトです。we goがこちらに入ります。私がよく利用するskyscannerもこのタイプです。

③メディア型旅行サイト
ホテルや航空会社と直接提携していないという意味ではアグリゲーター型にも入るのですが、ユーザーへのアプローチの仕方が価格比較ではなく、写真やレビューなどのコンテンツ、さらにユーザー同士のつながりでホテル予約やチケット購入に誘導していくモデルです。元祖は2000年に設立されたTripAdvisorです。TripAdvisorはホテルのレビューサイトとして成長し、Expediaへの誘導をCPCで行っていました。Buruflyもこのタイプで、最近流行りのピンタレストのようなインターフェースで画像を中心とし、ユーザーを交流させながらホテル予約やチケット購入に結びつけます。



サイト運営側としては、より直接提携を行った方が収益は高くなると思いますが、その分リスクがあります。直接営業を行うための部隊を用意しなければなりません。かと言ってアグリゲーター型やメディア型もリスクが無い訳ではありません。システムさえ作れば直接提携型より早くビジネスを立ち上げることも可能ですし、メディアコンテンツのアイデア次第でスタートアップに一発逆転される可能性もあります。

インドネシアでは、年々国内海外旅行への関心が高まっており、ここ1,2年で一気に旅行サイトのプレイヤーが増えています。今月3日付けのインベストール・デイリーによると、インドネシアのオンライン取引におけるクレジットカード利用は、前年比15~20%増加しているとのことで、オンライン取引の活性化もこの流れを後押ししそうです。

先月発表された米経済専門誌『フォーブス』の2014年の世界長者番付によると、世界の大富豪(資産10億ドル、約1016億円超え)1645人の中にインドネシア人は19人がランクインしました。昨年の急激なルピア安を原因に、前年の25人から19人に減少です。

以下トップ10です。

1位:ブディ・ハルトノ(ジャルムグループ創設者)$7.6billion
2位:マイケル・ハルトノ(ジャルムグループ創設者)$7.3billion
3位:ハイルル・タンジュン(CTコープ創設者)$4.0billion
4位:スリ・ブラカシュ・ロヒア(インドラマ創設者)$3.5billion
5位:ピーター・ソンダク(ラジャワリグループ創設者)$2.8billion
6位:モクタル・リアディ(リッポーグループ創設者)$2.8billion
7位:スカント・タノト(ロイヤルゴールデンイーグル創設者)$2.1billion
8位:バクティアル・カリム(ムシムマス総帥)$2.0billion
9位:テオドル・ラフマット(トリプトラグループ総帥)$1.85billion
9位:タヒル(マヤパダグループ創設者)$1.85billion

昨年2013年度版財閥ランキングについて書かせて頂いた時に、インドネシアの経済はほとんどが華人財閥が支配していると述べましたが、上記ランキングの中で唯一の土着のインドネシア人で、さらに年齢も51歳と1番若い人物がいます。


第4位、CTコープ(CT Corp)創設者のハイルル・タンジュン(Chairul Tanjung)です。

本日は、このハイルル・タンジュンにスポットを当てて記事を書きたいと思います。


彼をインドネシアに知らしめた1番の出来事は、やはり2012年のカルフールインドネシア買収ではないでしょうか。2012年11月当時、CTコープが40%出資していたカルフールインドネシアに対して、6億7300万米ドルで残り60%の株式を買い取りました。

フランスのグローバル小売企業であるカルフールを、土着のインドネシア人が買収するということで、ハイルル・タンジュンは一躍インドネシアの誇りの人となりました。


ハイルル・タンジュンは1962年、地元で小さな新聞出版社を経営する父のもと、ジャカルタで生まれました。当時、スハルト政権下でジャーナリズムの統制が厳しい時代、正しいことを伝えるという自分の意志を貫き続けた父は、新聞出版社をたたむことを余儀なくされてしまいます。しかし、そんな中でも彼の両親は質屋でありとあらゆる物を売って息子の入学資金を作り、1981年、インドネシア最高学府であるインドネシア大学へ入学することができました。

大学生時代は在学中に起業し、大学キャンパス内で衣類販売、教材のコピーなど、学生が必要なものを狙ってビジネスをしかけたり、ジャカルタ都心部で医療用品や子供靴の販売を行ったりいくつもの事業を手がけました。大学卒業後、1987年、CTコープの元となるパラグループ(Para Group)を設立し、法人化します。

そして、1995年、大きな勝負に出ます。当時借金900億ルピア(当時の価値で約37億円)で経営破綻したBank Karmanを1ルピアで買収したのです。1997年には評判の悪かった銀行名をBank Megaに名前を変えて一気に立て直し、1998年のアジア通貨危機と政権交代を迎えます。

当時、政府と関係の強かった銀行は危機的状況を迎えます。政府との関係を嫌っていたハイルル・タンジュンは、この機会を逃しませんでした。金利300%で銀行の救済をどんどん行っていきました。

2011年12月にパラグループからCTコープに組織名を変更し、金融のメガコーポレーション、TV事業のトランスコーポレーション、ニュースポータルサイトのDitik.comを運営するメディア事業、カルフールの小売事業、さらにはテーマパーク運営、天然資源事業など多角化を進め、2013年末で18企業72000人を抱える大財閥に成長しました。
2013年の売上は政府系のダナレクサ証券によると、30兆ルピア(約2550億円)にのぼると言われています。


図1

各種HP・財務諸表より著者作成



同社ホームページによると、コア事業は
PT Bank Mega Tbk ⇒ 金融事業(上図のオレンジ枠)
PT Televisi Transformasi Indonesia (Trans TV) ⇒ テレビ事業
PT Duta Visual Nusantara Tivi 7 (Trans|7) ⇒ テレビ事業
PT Mahagaya Perdana(TRANS FASHON) ⇒ ファッション小売事業

少し解説しますと、Bank Megaはインドネシアにお住まいの方ならよく見かける銀行で、インドネシア国内で343の支店を持っています。テレビ事業はインドネシアの人気テレビ局であるトランスTVとトランス7を持っています。最後に、トランスファッションでは、プラダ、ミュウミュウ、トッズ、ヒューゴ・ボスなど名だたる高級ブランド店をインドネシアで運営しています。

コア事業には入っていませんが、The Coffee Beansはインドネシアですごく有名です。



最初の方で少し触れましたが、土着のインドネシア人はプリブミと呼ばれ、「大地の子(原住民)」という意味を持ち、インドネシアの経済の80%は全人口の5%程しかいないノン・プリブミ(非原住民)のインドネシア人が握っている状況です。インドネシアでは反ノン・プリブミ感情が蔓延した悲しい時代がありますが、民族の壁を超えてインドネシアが成長することを期待しています。ハイルル・タンジュンの活躍は、それを後押しする良いロールモデルだと思います。


追記:『フォーブス』は資産の集計方法を公開していませんが、トップ10にサリム、シナール・マス、バクリーなどの大財閥が入っていないのがちょっと不思議です…。