英科学ニュース:SciTalk、薬と市民、10年科学投資、テロと大学
最近、しっかりまとめきれていない科学ニュース。
先週分をアップします。
科学コミュニケーション関連ではSciTalkが面白そうな試み。有志の科学者の協力で成り立っているらしい。
10年科学計画は予定通りの投資がされる模様。これも一転二転しそう。
また、やはり大学にもテロの影響がでている様子。ここまでやるとは思っていませんでしたが、国家安全が盾になるとなんでもできちゃうのでしょう。
インタビュー記事ではゲノム解析に関わっているCraig Ventorのものが面白い。
マッド・サイエンティストではなくて、バッド・ボーイといわれるくらいやんちゃな科学者らしい。
面白いけれど、こういう人はなんか怖い感じもする。
英研究ニュース 7/24
科学コミュニケーション
●Science fusion
http://education.guardian.co.uk/higher/comment/story/0,9828,1530955,00.html
▼科学者とフィクション・ライターをつなぐプロジェクト、その名もSciTalk。ライターが有志の科学者と直接話すことができるそうです。科学研究における様々な側面(テクニシャンの存在、家族、科学者の人柄、ポスドク、短期契約、普通さ、普通じゃなさ、などなど)を伝えることができると書かれています。科学者が非科学者の興味や関心を知ることができることも利点のようです。
●The people have spoken http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1532654,00.html
▼薬の使用に関するパブリック・コンサルテーション。ForesightというシンクタンクがDrugs Futures 2025というレポートを出版。市民は、科学者が思っているよりも、深い理解を示す。 科学政策
●Science investment on track, says Treasury http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1533366,00.html
▼計画実行を危ぶむ声もあった、イギリスの科学投資10年プランが予定通りすすめられると大蔵省。科学への投資を2014年までにはGDPの2.5%にする。
●'What does Phil Willis know about science?' http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1534340,00.html
▼この六年間、リベラル・デモクラットの教育担当スポークスマンだったPhill Willisについての記事。自然科学のトレーニングを受けたわけではない彼でも、科学技術政策に関する重要な仕事をこなしてきたことが垣間見られます。
●Disasters and how to avert them http://www.guardian.co.uk/life/feature/story/0,13026,1532312,00.html
▼政府のNatural Hazard Working Groupのメンバーによる津波など自然災害についての論考。このほど出版されたレポートもダウンロード可。
●Doctor's notes
http://www.guardian.co.uk/medicine/story/0,11381,1531400,00.html
▼精神の健康に関する法案(Mental health bill)に関する医師による懸念がつづられている。この法案のままだと、患者の決定感がないがしろにされてしまうそうです(身体の病気では当然のことであるのにも関わらず)。まだ確定されていない知見を使うことに多くの例を挙げて、強い懸念をしめしている。 科学者
●The arrogant adventurer
http://www.guardian.co.uk/life/interview/story/0,12982,1532309,00.html
▼The Geneticist Who Played Hoops With My DNA: Genius and The Quest to Rewrite Lifeという本からの抜粋。かなり面白いです。ヒトゲノムの解析に大きな貢献をしているCraig Venterの生い立ち(高校中退、サーフィン、ベトナム、等)や90年代のゲノム解析競争(狂騒?)の裏側、現在進行中の意欲的なプロジェクトなど。こういう人を絵になる科学者というのでしょうか。
大学
●Crackdown on campus
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2023508
▼7/7(ロンドンのテロがあった日)以降、大学でも多くのことが変わりはじめているようです。討論のモニター、疑いのある志願者のチェックなどが行われる。当局が入学を拒否したケースも2000年以降200を超えるといいます(2000人以上の情報が大学から当局へレポート)。言論の自由をという声もありますが・・・。 ●Foreign scientists barred amid terror fears http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1531463,00.html
▼留学生が拒否された話の詳細。レポートもダウンロード可。
●The hit parade http://education.guardian.co.uk/RAE/story/0,7348,1505585,00.html
▼少し前の記事。2008年のRAE(研究評価)にむけて、すでに動きだしている様子を伝えている。
●RAE shifts focus from prestige journals
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2023494
▼2008年RAEの基準に関するドラフトが発表される。大きな変更は、NatureやScienceなどのビック・ネームのジャーナルがそれほど重視されなくなっていることのようです。しかし、既に多くのジャーナルを公平に扱えるのかという疑問、分野による研究成果の比重の違い、RAE以後のことも考えなくてはならない、などと議論は続きそうです。
●Battling for the soul of a university
http://education.independent.co.uk/higher/article300474.ece
▼Brunel Universityを舞台にした改革派の新学長とAssociation of University Teachersとの戦い。
ヨーロッパ
●Academics to advise on European research http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1531634,00.html
▼EUの研究カウンシルにアドバイスする学者メンバーが、ヨーロッパ指名される。リスト付き。
ご報告:初就職!
ご報告です。
すでにホームページで発表されているのですが、
http://fox44.hucc.hokudai.ac.jp/~scicom/
このほど私は北大の科学コミュニケーター養成ユニットの学術研究員として働かせていただくことになりました。これもひとえに、これまで指導してくださった先生方や先輩方、NPO市民科学研究室のみなさんやNPOサイエンス・コミュニケーション・ジャパンのみなさん、そして友人達のおかげだと思っています。
僕が不安な以上に採用側の先生方のほうが、「こいつはどれくらい使えるのか?」と不安なのかもしれませんが、なんとか貢献できるように頑張りたいとおもっています(クリティシズムを忘れずに!)。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
ブログは、当面の間このまま続けていくつもりです。
知識人論②:サルトルに学ぶ
存続が危ぶまれた、知識人論②。③はないかもです。
"The Intellectual"の中の知識人の例としてでてくるのがサルトルである。同級のアロンと並び、最後の章でも詳しく取り上げられている。その章とほぼ同じ内容はネットでも読める(英語です)。
http://www.project-syndicate.org/print_commentary/fuller3/English
サルトルの実存主義ぐらいは、高校の倫理の授業で習ったと思うのだが、私は正直なところ「実存」→「なんか響が根源的そう→「難しそう」→(飛躍)→「暗い」という単純な思考回路をめぐり、その著作に触れる機会はなかった。 The Intellectualで語られているのは、サルトルが哲学だけでなく、小説も雑誌も新聞にも書いてたことや活動に熱心だったことである。 ちなみに、今年はサルトル生誕100年なのだそうだ。フランスではどんな振り返られ方をしたのだろうか。日本ではたしか、岩波新書がでてたと思う。これを機にサルトルについてネット上で読めるもの(日本語)で少し探してみた。
松岡正剛の千夜千冊 ジャン・ポール・サルトル
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0860.html
松岡正剛さんのサルトル論というかサルトルを読んできた回想は、かなり良いエッセーだった。松岡さんのサルトル体験とやはり同時代を生きていたというところに説得力がある。それにしても、彼らの世代はみんなマルクス・レーニン主義の経験があるんだなぁということ(インテリ学生だけかもしれないけど、数にしてみたらかなり膨大だろう)をまた感じてしまった。松岡さんは編集術なんて本(おもしろい本です)を書いているからといって、マルクスと無縁だったわけではないのだ。社会学者の大澤真幸さんも、昔はマルクスが共通の土台にあったからどんな人とでも議論ができたけれど(大澤さんの時は、まだかすかに残っていた)、今の若い文系学生はそういうものがないから大変だ、なんてことを書いていたけれど、確かに当たっている気がする。いまの学生達の共通経験はなんだろうか・・・「ポストモダン」かな。これは、つらい!
サルトル論(菅野盾樹)
http://www33.ocn.ne.jp/~homosignificans/sartre.htm
そして阪大の菅野盾樹さんのサルトル論は、よりアカデミックな書き方。でも、「サルトルは、人間の意識が・・・」なんてくだりのところなんかは、松岡さんの文章とのつながりを感じる。サルトルが伝記を3つも書いているところも、何でも屋のインテレクチャルの属性になるのだろうか。
一時帰国と近況
小さいころは、一時帰国を一次帰国だと思っていた。なんで、二次帰国にならないのかと。。。
この十日間ほど、日本に一時帰国していました。
近況も兼ねてご報告。
ロンドンのテロの前の日の飛行機で日本へ。
10(日)中学受験以来の面接。敬語がしっかり話せていない。ほかにもいろいろと反省点が多かったが、自分の言いたいことは言えたと思う。夜は学部時代の友人と飲む。
11(月)本屋にいったかも。夕方からの勉強会には顔を出せなかった。
12(火)朝から歯医者。時差もあって、爆睡してしまった。午後は東京の祖父母のところへ。半身不随気味で歩くのもままならない祖父とキャッチボールができた。介護スタッフの方もびっくり。夜は、高校時代の友人のところへ押しかけて飲みながら話す。建築家というプロフェッションは、インテレクチャルとして考えることができるかも。日本の建築家は、かなりインターナショナルな影響があるし。
13(水)祖父母のいる奈良柳生へ。お元気そうでなにより。犬はかなり弱っていた。おいしいお肉とざる豆腐をいただく。国道が景観を汚しているが、柳生の匂いはたまらない。
14(木)近鉄奈良周辺の古本屋めぐり。お土産も購入。その後、おばさんのところへご挨拶。
15(金)朝は祖母の先生でもある染織家のSさん(でもお歳は母と同じ)とおしゃべり。午後から京都へむかう。夜は大学の先輩のHさんご夫妻とお食事&お酒。街は祇園祭りモード。ごちそうさまでした!
16(土)朝の新幹線で東京へ。神戸勤務の弟が研修だったらしく、家にいた。夕方数人の友人と会う。
17(日)飛び入りで集まりに参加させていただく。その後、大学時代の友人と渋谷で会い、家族を夕食を食べ、また違う友人に会って飲む、という強行スケジュールを敢行。ぼくのスケジュール管理ミスで会えなかったS太郎と電話で話す。そこから荷物づくり。メルマガをやるのをすっかりわすれてしまう。
18(月)成田。機中、風邪の症状がではじめる。リリー・フランキーさんの「東京タワー」と内田先生の「いきなりはじめる真言宗教」を読了。リリーさんの本は笑いと涙でまみれちゃいます。しかし、飛行機の中ってどうして感情の起伏が激しくなるのだろうか。
案の定、帰国と同時に発熱鼻水。発つ直前に空港で買っていたベンザブロックで封じ込みました。
英科学ニュース:テロ、G8、鳥インフルエンザ
アップするのを忘れてました。
英研究ニュース7/10
■ロンドンのテロには驚きました。私は、普段からロンドンから遠いところに住んでいますし、現在一時帰国中なので影響はうけていませんが、見慣れた街がこういうことになるショックは大きいです。それ以上に被害にあわれた方とその家族の無念を思うとやりきれません。
■ブレア首相は、G8でのスピーチでアフリカ支援と温暖化対策を強調しました。「ダイアローグ(対話)」という言葉を頻発しているのが印象に残りました。テロがあったこともあり、首相のスピーチをどこか空々しく感じてしまったのは私だけでしょうか。
■ロンドンの医療チームは911後から体制を整えていたようで、事件後の行動の的確さ、素早さが評価されているようです。日本でも連日報道されているように、DNA鑑定や監視カメラ、科学技術を総動員した捜査が続いているようです。
■その他、鳥インフルエンザ、宇宙開発関連、EU議会のソフトウェアのパテント化却下などが目につきました。以上です。(岡橋)
テロ
●Medical teams praised for reaction to bombings
http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn7649
▼テロ後の医療の緊急体制がしっかり迅速に行動できたことが賞賛されているようです。
●Massive investigation operation follows London attack
http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn7646
▼あちこちで伝えられているように、DNA、CCTV(監視カメラ)、盗聴(電話、メール)、など犯人の洗い出しにさまざまな調査がなされているようです。
●Plastic explosives seen as most likely material
http://www.guardian.co.uk/life/news/story/0,12976,1524253,00.html
▼闇市場では簡単に手に入ってしまうプラスチック爆弾が使われていたようです。
●Bombs close London university buildings
http://education.guardian.co.uk/higher/news/story/0,9830,1524437,00.html
▼ロンドンの大学の生徒やスタッフにも影響がでているようです。アメリカの大学が交換留学プログラムを中止したそうです。
G8
●G8 calls for new climate dialogue
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/4664549.stm
▼ブレア首相がG8のリーダー達と環境問題に取り組むことを表明。たしかに、会見では「ダイアローグ(対話)」という言葉を何度も使っていました。
●G8 leaders agree global warming is urgent problem
http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn7644
大学
●Curry foreign favour, UK told
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2023202
▼ビザの問題など留学生への対応の悪さを改善しなければ、カナダなど他の国に留学生を取られてしまうと警告。留学生は年間六億ポンドをイギリス経済にもたらしているとのことです。今回のテロは留学生マーケットにも大きな影響を与えそうです。
健康・医療
●AZ pins hope on cancer trial
http://education.guardian.co.uk/businessofresearch/story/0,9860,1521645,00.html
▼アストラ・ゼネカがガン治療薬の最終段階の治験をはじめたそうです。イレッサの販売激減をカバーすることが期待されている。
●North-South cancer divide mapped
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/4651669.stm
▼新しいガンの患者数の分布を示すマップ。イギリスの北方にすむ人々の方が肺がんや胃がんの罹患率が高いそうです。飲酒、喫煙、社会経済的剥奪(貧困)が理由のようです。表が見れます。
●Avian flu found in migrating geese
http://www.guardian.co.uk/life/news/story/0,12976,1524256,00.html
▼鳥インフルエンザが、中国西部の保護地区にいるガンの群れから見つかったそうです。これらの鳥はインドやバングラデシュ、オーストリア、ニュージーランドに越境する可能性があるので注意を呼びかけています。
●Own baby at last for embryologist
http://www.guardian.co.uk/life/news/story/0,12976,1524251,00.html
▼自ら四度の死産を経験した不妊治療の専門家の女性が、lymphocyte immune therapyという論争的な治療方法を使って女の子を出産。
●Is there a research scientist in the house?
http://www.guardian.co.uk/life/feature/story/0,13026,1522413,00.html
▼五万人に上る全国医療サービス(NHS)内の研究者がしっかり認識されていないとのこと。役に立っている(役に立つ可能性がある)ことを書いています。
宇宙
●Space, the final frontier
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1519257,00.html
▼宇宙飛行士の適正について男女の比較をしている長めの記事。
●A murder mystery in reverse
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1522323,00.html
▼ディープ・インパクトの成功が意味することについて。
その他
●Animal rights activist faces longer sentence
http://education.guardian.co.uk/businessofresearch/story/0,9860,1521610,00.html
▼動物権利活動家が今までより厳しい刑を科されることになりそうです。
●'Fires wiped out' ancient mammals
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/4660691.stm
▼Scienceにのった研究によるとはじめてオーストリア大陸に達した人類が起こした大規模な火災によって、当時の哺乳類の数が激減してしまったらしい(ほかにも複数の要因が考えられる)。
●Water, air, fire, earth: the original fab four
http://www.guardian.co.uk/life/feature/story/0,13026,1522412,00.html
▼人間の心について書いた新しい本からの抜粋のようです。
アメリカ
●Come on, Eileen
http://www.guardian.co.uk/life/feature/story/0,13026,1522410,00.html
▼コロンビア事故から二年、NASAがシャトル打ち上げを再開予定。
●Woman gives birth to triplet 13 years after siblings born
http://www.guardian.co.uk/life/science/story/0,12996,1522300,00.html
▼アメリカの女性が13年前に凍らせておいた卵子を使って出産。捕らえ方によっては、三つ子のうちの一人を産んだことになるようです。しかし、卵子を凍らせていたのは医者であり、本人ははじめは知らなかったなど、生まれるまえから数奇なエピソードを持った赤ちゃんのようです。
ヨーロッパ
●European parliament rejects software patent law
http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn7637
▼EU議会がソフトウェアをパテント化するための提案を却下。この法案は、既存の法律を強化するものであり、648対14で否決された。
ロンドンでテロ
日本でも報道されているように、ロンドンの地下鉄とバスで同時テロがあった。
もともとロンドンに住んでいない私には影響は今のところないが、
留学している国がこういうことになったということは(前々から予想されていたこととはいえ)、
気分のいいものではない。
被害者は、またなんの罪もないイノセントな人たちである。
やりきれなさが積もる。
昨日は2012年のオリンピック開催が決まり、G8がはじまり、
なんとなく高揚した雰囲気だっただけに、
昨日と今日の隔たりがすごい長い間のように感じてしまう。
ブレア首相の緊急会見も動揺が隠せない様子であった。
すぐに思いつくところでは、留学生の減少、セキュリティの強化(もちろんだが)、
研究資金の配分の変化、などなど多方面に影響がでてくるのだろう。
月並みだが、ブレア首相や政治家の発言を聞いていても、
明日の新聞の小泉首相やブッシュ大統領のコメントを予想するだけでも、
テロを敵にするだけで終わらない対処の仕方を考えなくてはならないと切実に思う。
英研究ニュース:オープンアクセス、BMJの癒着、RAE、等
サイコムのメルマガ用にまとめたものが届いていなかった・・・。
結局間に合わず・・・。
うちの大学のメールは本当に信用ならん。
来週に載せていただけるかもしれませんが、ここにアップします。
英研究ニュース 7/3
■ウェルカム・トラストなど科学界の一部も後押ししている学術情報のオープン・アクセス化ですが、Research Councils UKというイギリスの国の研究費の振り分けを行っているところからもオープン・アクセス化の方針が出されました。出版業界からの懸念も示されており、コストとベネフィットをしっかりと検討しながらシステムの転換をすすめていくのだと思われます。
■それにしても、British Medical Journalの元編集者の告発はびっくりしました。今までも製薬業界と科学者の癒着は幾度も報道されてきましたが、BMJという一流科学雑誌の編集者から語られるとその重みはまた一段と重くなります。ただ、メディカル・ジャーナルを批判するだけでなく、変革していく可能性に望みを持っているところが、救いでもあります。ちなみに彼もオープン・ソース化推進派です。
■イギリスの大学では2008年に行われるRAEへの準備も熱が入ってきているようです。それは端的に論文数に表れているだけでなく、アカデミック社会内での女性の平等が指標になるなど、制度内部改革につながってもいるようです。ただ、学者や大学の評価については研究と教育のバランス、ジャーナルのランク付けなど、議論も続いています。
■さて、今週はG8の話題がメディアを占拠するでしょう。なかでも温暖化の問題は、ブレア首相の動きによっては、アメリカの孤立化を招くかもしれないとの記事もあり、一つの焦点となりそうです。(岡橋)
政策
●Government reveals R&D tax credit spend for 2004
http://www.researchfortnight.co.uk/getPage.cfm?pagename=ResearchDay&lang=EN&type=UK&Publication=Research%20Day%20UK&Issue=2345
▼The value of the small firms tax credit for R&D was £259 million last year, reveal government statistics published yesterday.大蔵省は、引き続きイノベーションを支援していくためのプログラムに投資していくことを強調。
オープン・アクセス
●Research councils back free online access
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1517380,00.html
●Funding aid for open access
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1517116,00.html
▼研究費の振り分けを行っている機構であるResearch Concils UK(分野ごとにわかれていたものが組織統合したばかり)が、研究費をもらっている研究者に、研究内容を無料で公開するように義務づける予定を示す。数千人の研究者に影響する。研究雑誌にかなりのお金を使っている大学図書館にも朗報。早ければ10月から実施されるが、出版社の反発やコスト面での実現性など、議論は続いている。
●Don't tell us where to publish
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1519269,00.html
▼UK Research Councils(UKRC)のオープンアクセス化に反対するPublishers Associationの人の意見記事。UKRCの基本的な方針(アクセスを広く、チェックを厳しく、税金を無駄にしない、未来のため)には賛成しているものの、UKRCの言うようなやり方をして、いままでのようなレベルのピアー・レビューが保たれるのか、アクセスの問題の証拠がしめされていない、システムが上手く機能するのか、などの懸念をしめしている。
●Open access online veterinary journal launches
http://education.guardian.co.uk/elearning/story/0,10577,1496118,00.html
▼オープン・アクセス出版社であるBioMed Centralが、BMC Veterinary Researchをはじめる。獣医学でははじめてのオープン・アクセス・ジャーナルになるそうです。ちなみに現在のところオープンアクセス誌は、アメリカ127誌、イギリス54誌で、人口比ではスウェーデンが一番多いそうです。
大学・科学者共同体
●Universities to draw up RAE equality codes
http://education.guardian.co.uk/RAE/story/0,7348,1518135,00.html
▼女性のアカデミック被害(アカセクハラとでもいえるでしょうか)についての指標が、次回の2008年のResearch Assessment Exercise(大学の研究評価)に盛り込まれるそうです。各大学には平等基準の計画を作成する義務が課されるそうです。
◆そういえば、個人的な会話のなかで、イギリスにいるアメリカ人の教官が、イギリスの教官選考はアメリカよりもとても簡潔なところはいいのだけど、選考過程が不透明なところが多く性差別が生まれやすいかもしれないと言っていたことを思い出します。
●A question of ethics
http://www.guardian.co.uk/life/interview/story/0,12982,1517194,00.html
▼Medical journals are an immoral marketing tool for drug companies, according to a former editor of the BMJ. Sarah Boseley meets him
▼去年の夏まで25年間の間、世界でも指折りの医学系ジャーナルであるBritish Medical Journal(BMJ)のエディターであったリチャード・スミス氏が、ジャーナルが医薬業界などのお金稼ぎのために使われていると告発。ピアーレビューのシステムの弱点を延べ、「研究へのアクセスを制限することで、お金を稼ぐのは不道徳である」として、すべての研究はひとつの無料データベースに載せられるべきだとして、Public Library of Science (PLoS)にも関わっている。メディカル・ジャーナルの良さも悪さも知り尽くしているスミス氏は、メディカル・ジャーナルが変革していく可能性を信じている。
●RAE raises UK journal activity
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2023013
▼数年後とにある大学評価(RAE)の時期に、学術誌で出版される論文数が多くなっている(グラフつき)。一流雑誌だけを評価する方向性(工学では主にカンファレンスで研究成果のコミュニケーションが行われていた)やサイエンス・サイテーション・インデックスが指標になるかどうか、教科書を書くなどの教育的な側面を低く評価しているのではないか、などの議論があるそうです。
●Ethics and the university
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2022446
▼The Council for Industry and Higher Educationが出版したばかりの大学における倫理についてのガイダンス本。
●Private sector muscles in
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2023005
▼イギリスにもプライベート・セクターの大学の波がきているようです。法律関係のトレーニングを提供する企業が大学設立をめざし、早ければ2006年に開設。
健康・医療
●From malaria to TB, top scientists get £245m to revolutionise world health
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1516418,00.html
▼ビル・ゲイツ夫妻の財団であるThe Bill and Melinda Gates Foundationから、世界的な健康の向上のための$450m (£245m)グラントをうける43のプロジェクトが発表される。マラリアや結核、デング熱などの治療法開発、冷蔵の必要のないワクチンの開発、などが含まれる。
●A bitter pill to swallow?
http://www.guardian.co.uk/life/feature/story/0,13026,1518154,00.html
▼通常の生活をしている人にとってはビタミンCの摂取は効果がないという研究結果など、サプリメントの効果については不確かなものも多くあるようです。もちろん、効果が実証されているものもあります。
◆個人的な意見としては、「栄養はサプリメントではなく、食べ物で摂取すれば」という意見は、サプリメントが頼られる実情を考慮していないと思うのですが、「サプリメントがあるから食べなくても大丈夫」という考え方は科学的な根拠がどうかということ以前に何か倒錯しているように思います。「食は人なり」(by 宮本常一)。
●Pacemakers to treat depression
http://www.guardian.co.uk/life/science/story/0,12996,1516143,00.html
▼脳のペースメーカーで、うつ病を軽減することに成功したというニュース。もともとパーキンソン病の震えの症状のために開発された手法で、頭に穴を開けて髪の毛より細いワイヤーを脳の奥まで差し込んで信号を送るそうです。治療手立てがなかった特に重いうつ病の方達には朗報だと研究者は言っています。
●Stem-cell capitalists unnerve scientists
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2023006
▼幹細胞研究について。成果を世に出したい企業と安全と倫理を気にする科学者と。。。
環境・エネルギー
●Power to the people
http://www.guardian.co.uk/life/feature/story/0,13026,1517187,00.html
▼Nuclear could be more expensive than we think. That makes renewables more attractive to Andew Simms
▼イギリスは10の原子力発電所を新しくつくるというプログラムを準備しているそうですが、そうした流れに反対し、コスト面やリスク面での効率を疑問誌する意見記事です。リニューアブル・エナジーのプロジェクトについても述べられている。<www.ashdenawards.org >
●Blair may snub US on climate
http://www.guardian.co.uk/life/news/story/0,12976,1519106,00.html
▼ガーディアン紙にリークされた文書によると、G8での温暖化についての話し会いでブレア首相がブッシュ大統領を批判し、アメリカが孤立する可能性があるという。アメリカは温暖化が進んでいるという科学的な見地すらも受け入れない構えだそうです。
●Racing's silent revolution: all whoosh and no roar
http://www.guardian.co.uk/life/feature/story/0,13026,1517195,00.html
▼スポーツカーの会社がQuinetiq社や大学と共同で水素自動車(LIFEcar)を開発すると発表。
非電化の挑戦
ちょっと前に某MLで紹介されていたのだが、発明家の藤村靖之さんの非電化工房のHPが面白い。
非電化工房
http://www.hidenka.net/index.htm
たまたま新聞記事で、「世界のほとんどの人が電話を使ったことがなく、電力もない・・・」なんて一節を読んでいたばかりなこともあって、電化が必要だという前提がいかに強固なものなのかということを思い知る。
モンゴルまで行って、非電化冷蔵庫や非電化調理器などの実験をしているところの日記なんて、かっこよすぎ!進行中のプロジェクトである岡山の非電化住宅も憧れだ(と言ってしまおう)。
「非電化」のトンガリぐあいと力の抜けぐあいの絶妙な按配には胸を打つものがある。
しかし、超電化社会の日本でどこまで勢力を持つことができるのか。
とりあえずお金ができたら、「非電化浄水器」と「非電化焙煎器」は購入したいな。
知識人論① 知識人って・・・
知識人論①とあるが、今後どれだけ続くかわからない。コレっきりで終わる可能性もある。
Fuller, S. 2005. The Intellectual. Cambridge: Icon Bookd Ltd.
フラーの本の中では、例外的に読みやすい本なのだが、正直、私はこの知識人論をもてあましている。本は読んだし、サマースクールで話は聴いてきたし、準備は万全で、かついろいろと重要な点を取り上げて勝手に議論してみたい気にもなっているはずなのだが・・・。
まず、果たして自分は「知識人」という属性についてどんなスタンスをとるのか?というところからして未だ定まらない身分であることがある。サマースクールの参加者の若い学生達もそのへんでとまどっていた様子であった。彼らの多くは、社会学とか哲学とか心理学とかを大学院レベルまでやってきてしまった人たちであり、彼らにとって学問とは「専門知識」なるものを身につけて、知識の「蓄積」に貢献するぞ、という意気込みを持っていると思う。しかし、フラーはどうやらそういうアカデミックは、浮世離れしてしまって役に立たないのだから、知識の「蓄積」ではなくを「流通」させることのできる知識人が必要である、という主張のようだから、「これから修行だ」と構えている若きアカデミックたちにとっては少し拍子抜けしてしまうのかもしれない。
彼によると、知識人は、さまざまなメディアを使い、さまざまなオーディエンスを相手に自分のアイデアを流通させていかなければいけないという。例えば、サルトルはただ哲学をしていただけではなく、雑誌を立ち上げたり、小説を書いたりしてたよね、というのが証拠として挙げられたりする。また、仲間内の評価や大学のポスト(テニュア)にこだわるアカデミックが多いみたいだけど、歴代の思想家でアカデミズムと折り合いが悪かった人たちはたくさんいるじゃないか、といったりもする(例えば、マルクス)。
だから、フラーの知識人論を聞いていると、現在のフレームワークでこれから競おうと思っている若きアカデミック志望者にとっては、「そうかもしれないなぁ」という同意と、「じゃあ、どうすればいいのよ」という疑問がないまぜになって、落としどころがわからなくなってしまうということになってしまう。
しかし、まわりを見回してみると、学位がなくたって、大学の外にだって、社会に大きなインパクトを与えている知識人はたくさんいることがわかってくる。というのも、フラーの主張の一つである。そうして、知識人になるための戦略を学ぶことによって、知識人の裾野を広くしていこうということなのだろうか?
フラーのいう知識人は、なにもテレビによくでてくる評論家だけではなく、政治家やジャーナリストやライターやテレビ番組制作者・・・などなどいろんな人たちを含んでいる。いま注目をあびつつある(?)科学コミュニケーターならぬ、知識コミュニケーターなんて言い方のほうがしっくりくるのではないか。実際、いまだ何者なのかよくわからない科学コミュニケーターもこの知識人論に照らし合わせて考えてみると結構しっくりくるのではないかと思っている。特に、これから大学院で教育される予定の未来の科学コミュニケーターたちにとって、科学技術コミュニケーターになるのだというよりも、新しい時代の知識人になるのだ、といわれたほうがモチベーションも誇りも高くなるような気がする(その分、薄給でも働くようになるかもしれないという問題もある)。もしかすると、科学技術コミュニケーターの隠れバイブルとして、この本を位置づけられるかもしれない。
つづく(予定)。
英科学ニュース:英科学技術10ヵ年計画の危機、等
政策
●Scientists fear broken pledge
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2022867
▼ある筋の情報によると、国家財政委員会は、去年の夏に大蔵大臣が約束した、科学研究予算の大幅な増資を10年計画の初年度から達成できないと見込んでいるという。科学界にとっては、衝撃的なニュースであり、すでに政府を非難するような発言もみられます。
●Into Africa
http://education.guardian.co.uk/higher/research/money/story/0,11109,1510565,00.html
▼Research funding has gone global with £13m earmarked for Africa, but more could be forthcoming from overseas sources, says Linda Nordling
▼イギリスで、国際開発省(DfID)と経済や社会科学の研究資金を提供するESRCが、アフリカの救済プランの研究公募をはじめる。ESRCの公募では初めて、海外からの応募も可能となる。
大学
●Largest faculty sets out ambition
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2022907
▼イギリスで最大級の人文学部(研究者1,000人、学生15000人)となる、Institute of Science and Technologyがマンチェスター大学に誕生。主な研究テーマは、Chinese studies; poverty, inequality, development and globalisation; governance; innovation, science and society; culture, identity and change; and creativity。「革新、科学と社会」がはいってます。
●20% of staff now just teach
http://www.thes.co.uk/current_edition/story.aspx?story_id=2022864
▼20%のスタッフが、教育のみに縛られているという統計がでる。
ビジネス
●Scottish stem cell firm plans Aim float
http://education.guardian.co.uk/businessofresearch/story/0,9860,1512679,00.html
▼スコットランドの幹細胞研究会社のStem Cell Sciencesが、Alternative Investment Marketに上場し、1000万ポンドの資金集めを計画中。ReNeuronやBiofusionなどの前例はあまりうまくいっていない。
医療・健康
●Scientists forge ahead with stem cell research
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1510600,00.html
▼過去五年の間に、幹細胞研究における3000の発見がパテントされたことなどが書かれた報告書が出版される。政治的な環境が厳しいにもかかわらず、大学や企業が研究を推し進めていることが示されているという。25%のパテントが、最も議論をよんでいる堕胎された胎児から取り出された細胞を使った研究から得られている。
●Sperm and eggs could be created from stem cells, says new study
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1510375,00.html
▼シェフィールド大学の研究者によるとヒト胚をつくることが、実験室だけで可能かもしれない。それが可能になると、ゲイカップルや独身男性が子どもをつくることが可能になったり、閉経後の妊娠が可能になったりするという。倫理的にどこまで人工的な操作が許されるのでしょうか。
●Baroness urges right to end life for elderly
http://www.guardian.co.uk/medicine/story/0,11381,1514929,00.html
▼WHOのチーフ・メディカル・オフィサーが、尊厳死を認めるべきと主張。
●Dying of ignorance
http://education.guardian.co.uk/higher/research/story/0,9865,1510717,00.html
▼Women are dying of cancer because medical research is not being shared
その他
●Close nuclear leak plant for good, says Sellafield
http://www.guardian.co.uk/nuclear/article/0,2763,1483997,00.html
▼問題を起こしたシェフィールドの核処理施設が閉じられることになるらしい。