「それは保険の様なもの」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

やたらと長く感じられたゴールデンウィークも終わり、我が平成め組も本日から稼働。

 

5月1日こそ夜勤があったものの、以降は昨日まで皆休み。

と言っても本日、現場があったのは若頭のダイゴローのみで、私は皆の給与振り込みなどの事務的作業に追われていた。

 

そして残るタケとチーコの2名は本日からの3日間、「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者」の技能講習に。

 

確か2月頃に同講習に申し込み、その際にも一度同資格について触れさせて頂いた。

「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者」という、随分と仰々しい名称の同資格は読んで字のごとく、酸素欠乏症や硫化水素ガスよる中毒の危険がある場所で作業を行うにあたっての「作業主任者」たる位置付けの資格。

 

消防設備業には一見何の関連も無いように思えるが、実は意外と関りがある。

と言うのも、消防設備点検でも割と「地下ピット」などに入って行くことは多く、時には完全に「マンホールの下」にそうしたピットが存在している場合もある。

 

実際、消火プンプ室なども「設計図に入れ忘れて無理やり後から地下に設置したのでは?」みたいなことも時折ある。

 

空気中の成分はその凡そ78%が窒素であり、21%が酸素、残りがその他の成分となる。

酸素欠乏作業の基準値は概ね酸素の量が18%未満になった辺りからとされているが、しかし言うまでも無く酸素も窒素も目に見えるものではない。

 

実際の酸素濃度など計ってみないことには分からず、しかしそうした地下ピットに入る上でいちいち酸素濃度を気にしながら点検をしているのかと言えば正直なところ私など全く気にしていない。

でも本来それは厳密に言うと「NG」ということになるのだと思う…

 

「思う…」と書いたが、要するにそこら辺の細かな部分が少々曖昧で、ただ一方で「酸素が少なそうな場所で作業するなら主任者を置け」という解釈をしておけば間違いない。

 

18年間に及ぶ消防設備士の経験の中でも、過去に「同資格の保持者が同行しないとダメ」と言われたのは某火力発電所の地下作業のみであったが、しかし私の読みが正しければ今後消防設備点検で同資格を求められる場面は増えると見込んでいる。

 

「一気に増加する」などはさすがに無いと思うが、しかしどこかの地下ピットでの作業中、点検員が酸欠を起こして救急搬送されるような事案が発生すれば大手の現場では間違いなく、同資格の保持者の同行を求められることにだろう

 

どこの業界にも言えることだが、本来現場でのそうした事故は「未然に防ぐ」べきものではあるが、しかしそんなもの、忙しない現場の中では所詮建前。

実際には「何か事故が起きたらその時に考えましょ♪」というのが皆の共通認識である。

 

だから事故は起こる。

近い将来、恐らくは何処かの現場で酸欠を起こして搬送される人間が必ず出て来る。

 

と言うか、恐らくは過去にもそうした事例はいくらでもあったのだと思うが、皆「表沙汰にすることを避けた」だけであろう。

しかし現在、そうした「事故隠し」自体、後からバレると余計に大事となるのが定番。

 

同じ酸欠事故でも一応資格者を配置しておけば「対策は講じていた」という言い訳は出来る。

「それでも尚、事故が起きてしまいました」の方が「対策なしで事故が起きました」よりも聞こえは良い。

資格とは要するに「保険」なのだ。

 

消防設備士とて、半分保険の様な物。

どこの会社も「資格を持たない新人」を同伴させ、先ずは「作業の基本」を覚えさせるものであり、最初から最後まで「全て有資格者で」など、もはや全く非現実的。

 

そうした「教科書に記載された法律」は一定程度「努力義務」と解釈しなければ人を育てることなどままならない。

とは言え、「100%基準通りに」は無理でも我々も可能な限り「100%に近いところ」を目指すことは各会社ごとの責任とも言えよう。

 

タケとチーコの2人の受講は我が平成め組として「今後に向けてちょっとした保険に加入した」みたいなこと。

少しでも知識を深め、現場で役立つことがもしも今後あれば、私としてもそれ以上のことはない。

顔写真の付いた「資格証」を手にすれば自然とそうした自覚が芽生えて来る部分もあるだろう。

 

ところでその「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者」の技能講習。

マイナー資格と思われがちだが大規模な工事現場で働く人々には割と知られた資格で、実は結構な人気資格。

 

同資格を「欲しい」という人はかなり多いものの、一方で講習を実施する団体はそれほど多くなく、加えて現在はコロナの影響で何処の会場も受講生の数を絞り気味。

それゆえ受講の募集と共に瞬く間に「受付締切」となってしまう。

 

2日間みっちりと学科を行い、3日目は実技講習という内容。

公益法人主催ゆえか3日間で1人当たり2万円と、比較的低額で今回参加させることが出来た。

 

 

今の私の密かな狙い…。

それは現在18歳のチーコにありとあらゆる資格を取得させ、22歳の夏頃にどっかのテレビ局のドキュメンタリー系番組の取材を受けさせることである。

 

 

22歳にして10の国家資格を持つ現場女子! 彼女は語る…

「資格? そんなものちょっとした保険みたいなものです」

地味と言われる消防設備業界で燦然と輝く一輪の華…。

タレント、アンジェリーナ1/3がそんな彼女に密着!!

 

 

た、楽しみ過ぎるぅ~~っ!!     by, 村田代表