「防火対象物点検資格者」 | 消防設備士かく語りき

消防設備士かく語りき

川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

 

本日は横浜まで防火対象物の再講習へ。

 

「防火対象物」とは言わずもなが、防火対象物点検資格者のこと。

最初にこの資格を取ったのはかれこれ10年以上前で、今回で二度目の再講習となる。

 

でこの「防火対象物点検資格者」なる資格。

資格としては比較的新しいもので、平成13年の9月に歌舞伎町で起きた雑居ビル火災(死者44名)をきっかけにして創設されたもの。

 

同火災ではビルの避難経路などに多数の荷物が置かれるなどし、それ故死者の数がこれ程までに増えたとも言われ「防火管理の徹底を期す」という旗印の下、新たに「防火対象物点検報告」なる制度が設けられ、「その報告が出来る資格者」としてこの防火対象物点検資格者が設けられた格好。

 

資格自体は4日間の講習だけでほぼほぼ取れるが(一応講習の最後に「試験」はある)、そもそもの受講要件自体が結構厳しく、「誰でも取れる」というわけでもない。

当時、何となくこの資格が「消防設備士の箔付け」の様に感じられた私は当時所属していた会社に実務経験を証明してもらう形で受講し、無事に資格取得。

 

と言ってもその後は殆どこの資格を活用することはなかったものの、独立したことでそういった話も頂くようになった。

一応過去、同業の知り合いの方から依頼される形で一度だけこの点検を行ったことがある。

 

だが現在、その方とはまた別の方からも「防対の点検を」という打診は頂いており、もしかすると今後はそれなりにこの資格を活用する機会が増えるかも知れない。 だがしかし…

 

これは少し前のブログでも書いた話だが、ハッキリ言って現状の制度上、この資格は全くもって「無駄である」と私は考えている。

「各建物の防火管理状況を点検しそれを地元の消防に報告」とあるが、しかしそもそも我々は顧客から点検費用を頂いた上でこの点検をする立場である。

 

仮に明らかな「消防法違反」があったとしても、しかし顧客側から「今回はどうしても見逃して」と懇願されたのであれば正直言って無下には出来ない。

 

少なくとも私なら「では今回は口頭注意ということで…」と、それ以上何も言わずその場を収めるだろう。

要するに「金を貰っている相手を強く注意出来るのか?」という話である。

 

例えばこれは自動車教習所の高齢者教習にも同じことが言える。

本来であれば明らかに「基準」に達していない高齢ドライバーでも、しかし費用を払って来てくれた顧客を安易に落とせるはずもない。

 

「合格基準に達してないから」と、ビシバシ不合格を出してしまうと「あそこの教習所は高齢者を平気で不合格にする」などと噂され、多くの地元の高齢者の顧客を失いかねない。

 

結果的に採点を甘くせざるを得ないのだが、しかし上記の様な事情がある以上、教習所を責めるのは正しくない。

高齢ドライバーの事故が減らない理由の一つがそこにあると私は考えている。

 

だがこれはこの「防火対象物点検」にも間違いなく当てはまる。

実際、この制度が出来て以降、恐らく私はさほど消防法違反の物件は減っていないと見ている。

制度は作っても、しかし実務上の「中身」が全く伴っていない。

 

だから私はこの防火対象物点検、対象となる物件の管理者、権原者はあくまでも管轄する地元の消防署に費用を支払い、そして消防署側が点検を行う業者を選ぶ、という形の方が良いと考えている。

 

我々はあくまでも「消防署からの依頼を受ける」という形にし、そして実際に点検を行う際は「みなし公務員(その業務中においてのみ公務員としての権限を持つ)」という形にすべきであると。

 

同時にその建物の消防設備点検を行う業者とは違う業者を選定することで業者、そして点検を受ける側、双方の利害関係の一切を省く。

そうすることで本来の趣旨に乗っ取った点検がようやく可能になるのではと。

 

講習後、無事に新しい資格者証を手にしたものの、やはりこの制度、どこをとってもまだまだ問題だらけ… そんな気がしている。

 

 

ところで本日の再講習、気になったのは午前の講師が「管理権原者」のことを繰り返し「かんりけんばらしゃ」と呼んでいたことだ。

余りにも「けんばらしゃ、けんばらしゃ」と繰り替えすので「もしかしてそれが本来の読み方かしら…?」と思い、携帯で調べてみたが、やはりどう考えても「けんげんしゃ」が正しい。

 

大体常識で考えて「けんばらしゃ」の発音自体がおかしいだろう。

あの講師、アホなのかしら…?

 

と言うわけで本日の再講習、「管理権原者」の正しい読み方は「かんりけんげんしゃ」で良い、というのが唯一の収穫でした。  おしまい。

 

 

                   一番右が12年前、31歳の時。 真ん中が5年前、左が現在。

 

 

 

 

 

現場応援承ります!! 

都内や神奈川県内の消防設備業者の皆様!

貴方の現場、我が平成め組がお手伝い致します!!詳細は以下まで!!

https://ameblo.jp/hikesiyamegumi/entry-12391447437.html