(※この記事は、前の記事【東京:協議会との交流(22)】からの続きです)
これまで東京都世田谷区の「烏山地域オウム真理教対策住民協議会」によって行われてきた当団体への抗議の根底には、当団体に対する誤解が存在していると思われますので、あらためて、当団体から同会に対して、以下の要望書を2022年11月10日付で提出いたしました。
引き続き、誤解や不安の払拭のためのお話し合いの機会を設けていただけるよう要望するものです。
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2022年11月10日
烏山地域オウム真理教対策住民協議会
会長 古 馬 一 行 様
ひ か り の 輪
代表 上 祐 史 浩
要 望 書
来たる11月12日に貴会が当団体「ひかりの輪」についての抗議集会・学習会を開催されるとお聞きしました。
これまでの貴会から当団体への抗議内容を拝見しますと、当団体が、オウム真理教教祖であった麻原彰晃を信仰し、かつてのオウム真理教と変わらぬ実態を有し、テロ行為に及ぶ危険な団体であるとの誤解が、貴会の抗議の根底にあることがうかがわれます。
そして、これらの誤解は、公安調査庁等が発表する当団体に関する誤った情報に端を発しているものと考えられます。
しかしながら、当団体から貴会にこれまでご提供してきた資料でも繰り返し述べてきました通り、当団体の主要メンバーは、2007年3月にオウム真理教(現アレフ)を脱会し、同年5月に当団体を設立して以来、一貫して、オウム時代の反省に基づき、事件被害者の方への賠償に努め、さらにその反省・教訓の情報発信や、アレフ信者の脱会支援などの活動を続け、「オウムの清算」を進めてまいりました。
2014年には、宗教団体ではなく、東西の思想哲学の学習教室としての団体改革を行い、特定の神・人間の崇拝は一切せずに、仏教やヨーガの思想と現代の心理学などを学び、自然や聖地を巡る活動などを行ってまいりました。
その結果、2017年には、当団体「ひかりの輪」はアレフとは別団体だという判決が、東京地方裁判所から出されました。
また、外部識者が構成する「ひかりの輪外部監査委員会」も、当団体には、オウムのような危険性はないとの監査結果を発表しました(2014年11月、2017年11月、2020年12月)。
そして、本年5月には、アメリカ国務省が、テロに及ぶ危険はない(テロの意思も能力もない)と判断し、1997年以来25年続けてきたオウム真理教に対する「外国テロ組織」の指定を解除するに至りました。
上記の概要について、あらためて以下にご説明させていただきます。
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(1)オウムの反省・総括
当団体は、オウム事件とその首謀者であった麻原を強く否定・反省・総括しています。麻原は、誇大妄想や被害妄想の精神病理を抱えた教祖であり、麻原に同調した弟子達に限らず、事件を知らなかった信者にも、それを支えた責任があると考えています。
そして、その反省・総括を文書化し、ネットや書籍、各メディア、講演・トークイベントで広く公表し、事件の再発防止のための教訓を伝えてまいりました。
(2)オウム事件被害者・遺族の皆様への賠償、追悼、お詫びの表明
当団体は、2009年、オウム事件被害者の皆様と賠償契約を締結し、定期的に賠償金のお支払いを続けてまいりました。現時点で約5500万円をお支払いさせていただきました。
また、節目の時期ごとに、事件を想起し、事件被害者の皆様への追悼・慰霊を行う行事を行い、お詫びの表明を行ってまいりました。
(3)アレフ(オウム)信者の脱会支援
当団体は、今もオウム真理教の教義を信じ、麻原への信仰を続けるアレフ(オウム)から信者が脱会することを支援するとともに、アレフへの新たな入会者が生じることのないよう、入会を阻止する活動を行ってきました。これまでに少なくとも百数十人以上のアレフ信者を脱会に導きました。
(4)国内の評価
こうした当団体のオウム清算の努力は、様々な識者の方に認められてきました。
また、東京地方裁判所は、「ひかりの輪とアレフの性格は相当に異なるものとなっている」として、当団体はアレフと別個の団体と認定しました(2017年9月25日・東京地方裁判所民事第2部判決)。
そして、刑事政策や犯罪者更生を専門とする大学名誉教授、伝統宗教の指導者、保護司等の識者からなる「ひかりの輪外部監査委員会」も、数年間にわたる監査の結果、当団体がテロ行為に及ぶ危険性はないと認定・公表しています(2014年11月、2017年11月、2020年12月)。
直近の監査結果をまとめた監査委員の中には、公安調査庁に35年間勤務した経験がある元公安調査官も含まれていますが、同元調査官は、約3年間の在任中に、当団体の194回もの行事に自ら参加して監査を行った結果、当団体には観察処分の適用要件がないという見解を明らかにしています。
5,国外(アメリカ合衆国)の評価
さらに、本年5月、アメリカの国務省は、オウム真理教等の「外国テロ組織(FTO)」の指定解除を発表しました。1997年以来、25年間にわたって行われてきた指定の解除となりました。その理由として「もはやテロ活動に従事しておらず、その能力や意思も保持していない」こと、「日本(など)が(これらの)グループによるテロの脅威を取り除くことに成功したことを示すものだ」と説明しています。
当団体は、前記の通り、そもそもオウム真理教とは全く異なるものであり、今後とも被害者の方々への賠償を続け、オウムの反省・教訓の情報発信などを通じて、贖罪に努めてまいりたいと考えておりますが、この点に関しては、アメリカ国務省が今回の指定解除の決定とともに「(この指定解除は)グループの過去のテロ行為や被害者の被害を見過ごすものではない」とした点をしっかりと受け止めたいと考えております。
なお、今回の決定は、5年ごとに状況の変化に応じて指定を見直すアメリカ合衆国の法制度に基くものですが、これに関して、アメリカ国務省は「指定の解除は我々のテロ制裁が最新の(状況を反映した)ものであり、信頼できるものであり続けることを確保するもの」としています。
一方で、日本の公安調査庁は、依然として、当団体を過去のオウム真理教と同一視して危険があるとし、観察処分の対象にしてきましたが、現状に基いたアメリカ当局の認定に続いて、国内でも現状を反映した解除がなされるべきだと当団体は考えております。
公安調査庁については、同庁刊行の『国際テロリズム要覧』から、ロシアの侵攻に抵抗するウクライナのアゾフ連隊をネオナチと断定した記述をプーチン政権に利用された後になって初めて削除したり、国会の公党である日本共産党について、いまだに暴力主義的な革命の可能性があるとして監視対象にし続けたりしていることが、昨今話題となりましたが、今後は、当団体を含め、アメリカ当局のように現状を踏まえた合理的な認定をするよう当団体は希望しております。
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以上のような当団体の経緯と現状については、当団体のホームページの「オウムの清算」のコーナーにも詳しく記しておりますが、貴会に対しては、直接詳しくご説明する機会をいただきたい旨、当団体からは繰り返し貴会にお願いを申し上げてきました。
すなわち、当団体は15年以上にわたって、貴会と日程を調整した上で、抗議デモの現場である路上のような場所ではなく落ち着いた場所で、十分な時間をもってお話し合いをさせていただけるよう提案し続けてまいりましたが、貴会からは特段の理由を正式に説明されないまま、提案を拒否され続けてきました。
当団体としましては、当団体に対する誤解と不安の払拭のために、お話し合いの機会を設けさせていただくことが必須であると考えております。
しかしながら、まことに残念ながら貴会は、当団体に関する事実に反する内容を、貴会の機関紙や勉強会を通じて流布することにより、逆に、地域住民の皆様に対して誤解を拡大する結果を招いてきたものといわざるをえません。
貴会が事実に全く反する内容を機関紙や勉強会を通じて流布する一方で、貴会とのお話し合いを通じた誤解払拭ができない状況が続けば、地域住民の皆様にますます誤解や不安が広がり、真の問題解決から遠ざかるばかりだと当団体は危惧しております。
つきましては、当団体からは、あらためて以下の通り、貴会に要望を申し上げます。
従来からご提案をしているお話し合いの機会を設けさせていただきたく、日程・場所・方法等のご検討をお願い申し上げます。拒否される場合は、その理由をご提示願います。理由を明確にお示しくだされば、よりよいご提案も可能になると思います。
何とぞご検討いただけますよう、重ねてお願い申し上げます。
以 上