NJ州ニューアーク:全米で最も危険と言われた都市は、いま | アメリカの空から日本へ 第2の人生を始めます!

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12年半のアメリカ生活を終え、2021年3月、日本に本帰国しました。NYC、ヒューストン、サンノゼ、シアトルと転勤を繰返した夫とともに、全米を旅した日々はかけがえのない宝物。これから日本で始まる第2の人生とアメリカの思い出を綴っていきます。

私たちが暮らす街Harrisonの隣にあるのは、Newark(ニューアーク)。

ニュージャージー州最大の都市です。

大規模な鉄道駅は東海岸の多くの地域を結び、ニューヨークまではパストレインで25分。

さらにユナイテッド航空のハブであるニューアーク国際空港、米東海岸最大のニューアーク港・エリザベス海上ターミナルがあり、まさに陸海空の交通の要所です。

 

しかし、1996年の調査で「全米で最も危険な都市」とされ(2005年の調査では23位)、2013年には米大手旅行誌により「世界一非友好的な都市」に選ばれるなど、何かと評価は手厳しい。

それでも近年は交通の便利さもあってPrudential Financialなどの大企業が本社を置くようになり、昨年はアマゾンの第2本社の候補地としても話題になりました。

街の中心部には高級マンションが続々と建設され、高級ショップやグルメスーパーがオープン、川沿いの公園も整備されるなど、少しずつ変貌してきているようです。

 

中心街にあるOld First Church、1666年創設の教会。

かつては政府の所在地であり、名門プリンストン大学の創設にも関わり、19世紀には南部の奴隷を亡命させるためのUnderground Railroad(奴隷亡命経路)としての役割を担うなど、豊かな歴史を誇ります。

 

その近くには100年以上の歴史を誇るサンドイッチ屋Hobby’s Delicatessenも。

コーンビーフやパストラミをぎっしり挟んだサンドイッチが有名です。

 

周辺には新旧様々な店が並んで、ちょっとカオスな雰囲気。ステキなお店もあるのですが。

昼間はにぎやかでよいけれど、夜間の一人歩きはちょっと危ないと思います。

 

2007年完成のPrudential Center は、NHLニュージャージー・デビルスの本拠地。

バスケや格闘技、NBAドラフト、コンサートなども開催されています。

その一角に2017年10月にオープンしたのが、Grammy Museum Experience。

グラミー賞の輝かしい歴史を語るミュージアムはロサンゼルスなど三都市にありますが、東海岸に出来るのは初めて。ニュージャージー州はボン・ジョヴィやブルース・スプリングスティーン、ホイットニー・ヒューストンらを輩出しており、なかなか音楽の聖地なのです。

 

市内でいちばん規模の大きい博物館は、Newark Museum。

アメリカン・アートはもちろん、チベット・アートの展示が充実していることで有名です。

庭の彫刻アートや、別館の消防の展示などもあり、見どころいっぱいです。

ちょっと目に留まったこのアート。なんと全体がハイヒールのオブジェでできています。

 

博物館の一部となっているJohn Ballantine Houseは、ビクトリア時代の邸宅を保存したもの。

かつてここに住んでいたBallantineさんは、ニューアークのIronboundという地域でビール工場を経営しながら、3階建て27部屋のこの邸宅に6人家族で暮らしていました。

その当時の家具やアートの美しさ、贅沢さにため息。ラブ

 

ニューアークの郊外にあるのが、市民の憩いの公園Branch Brook Park。2700本もの桜の木があり、毎年4月の桜まつりでは日本文化のデモンストレーションなど各種イベントが行われます。

公園の隣にはCathedral Basilica of the Sacred Heart、北米で5番に大きい大聖堂。

遠目に見ても非常に荘厳な雰囲気が漂い、ニューアークの顔の一つと言えます。

 

1666年ピューリタンのユートピアとして誕生したニューアークは、全米で最も古い都市のひとつ。

その後多くの移民が押し寄せ、さまざまな産業が栄え、1920年代Broad StreetとMarket Streetの交差点は世界で最も交通量が多い、まるで現在のNYCのタイムズスクエアのように活気あふれる場所だったそうです。

その後いったん大きく衰退し、「全米一危険」「最も治安が悪い」などのレッテルが貼られた時代がありました。

そんなニューアークがいま、明るく若々しい街に変貌しようとしています。

NYCの影に隠れ、日本から観光に訪れる人はほとんどありませんが、いつかまたユートピアの輝きを取り戻す時代が来るのを楽しみにしています。