更新:2021年3月23日
こんにちは
昨日は「オーバハングの活用」についてのお話しでしたが、今日は、その前提となるバスを運転する際に最も大切なことの一つである「後輪の軌跡」についてのお話しです。
大型トラックはキャブオーバー型と言ってエンジンの上に運転席があり、運転席はほぼ前輪の上にあります。
これはトラックの荷室を広くするためのエンジンレイアウトです。一方、大型バスの運転席は前輪よりも前にあって、エンジンは後にあります。
大型車と言ってもこのような違いがあります。なぜ大型トラックと大型バスでエンジンのレイアウトや前輪の位置が変わってくるかというと大型トラックの場合荷室面積を広くするためというのがあります。大型トラックがリヤエンジンだと荷物の積載量が減ってしまうためです。
一方、大型バスの場合は、人の乗り降りがあるためフロントにエンジンをおくことができません。このようなことから大型車と言っても大型トラックと大型バスでエンジンのレイアウトが変わってくるのです。
エンジンのレイアウトが変わってくることによって、動力性能や駆動にも違いが出てきます。大型トラックの場合は、フロントエンジン・リヤドライブ(FR)、大型バスの場合はリアエンジン・リヤドライブ(RR)という駆動方式になります。
このような違いによって大型トラックと大型バスではハンドルの切るタイミングも変わってきます。バスは前輪よりもかなり前に運転席があるので乗用車やトラックとは全く違った特性を持っているのです。
引用 図 大型バス後輪の軌跡 いすゞモーター
引用 図 大型トラックの後輪の軌跡 いすゞ モーター
そこで、
どんな大型バスを運転する際にも常に意識しなければいけないのが以下です。後輪の軌跡を自分のイメージとして理解するためには、前輪と後輪の関係や後輪の軌跡を知る前に前輪の正確な位置を体感し、いつでも前輪の中心に目標物を合わせられる技術が必要になってきます。
さらに後輪の軌跡を体感するためには、内輪差、外輪差、オーバハングなどの特性を体感しながら後輪の中心に目標物を合わせるトレーニングが効果的です。
運転席の位置
自分が座っている場所が前輪よりも前にあることを体で覚えることが大事なことです。
前輪の位置
目標物(コーンなど)を決めて前輪の中心に目標物を合わせる練習が効果的です。
この練習はバス停の接車や隘路、鋭角、車庫入れなどの時に役に立ちます。
後輪の位置
前輪と同様に目標物を決めて後輪の中心に目標物を合わせる練習をやることにより、前後輪の位置関係や車輪の中心位置がわかるようになります。
これができれば前扉や中扉の中心に目標物を合わせるなども簡単にできるようになります。これがバス停停車に役に立ちます。また、後輪の軌跡を自分でイメージできるようになります。
後輪の位置関係を自分のものにして後輪の軌跡がイメージできないと狭路通過や隘路通過はできません。その他にも内輪差、外輪差、オーバハングなども練習しながら体感して体で覚えることと理論をしっかり身につけることが運転技術の上達のコツにつながっていきます。
また、日々乗務していく中でも自ら課題を解決していくための工夫も大事になってくると思います。
今日はこの辺で。
どうぞ、これからもよろしくお願いします。