エコブログで堂々の2位を獲得されている「北鎌倉・鎌倉の携帯基地局乱立による複合電磁波汚染の改善を目指すブログ 」を拝見。
ここを訪問される方は、書かれていることが「正しい重要な情報だ」と思って読んでいらっしゃるのか、それとも「いわゆるネタ」として斜に構えて読んでいるのか、、、その辺が興味深いところです。
携帯電話でポップコーンができるネタについては、幻影随想の黒影さんが「携帯電話でポップコーンを作れるのは、映画の中だけのフィクションです 」というエントリで、ばっちりまとめてくださっています。ぜひお読み頂ければと思います。
デスクの卓上電話の近くに携帯電話があると、携帯電話の着信音が鳴る前に、卓上電話が「ビビィ」と反応する経験を持っている方も多いかと思います。きっと、そうした日常的な感覚(=実際に電磁波出ているんだなぁ)が、今回のトラップを信じる深層なんでしょうね。
さて、北鎌倉さんのブログを拝見していて、ガウスネットワーク という団体があることを知りました。そこの書籍・資料のページを見ますと、ポール・ブローダーの本がいくつか紹介されています。あらら、これはダメですね。
米物理学会ワシントン事務所長ロバート・パーク博士(メリーランド大)の『わたしたちはなぜ科学にだまされるのか 』を読んでいる方であれば、おなじみの名前。ブローダーは『ニューヨーカー』などで、根拠に基づかない不安を煽る記事をいくつも書いている曰く付きのライターですからねぇ。
さて、電磁波と携帯電話といえば、2000年5月に出された「スチュワート・レポート」があります。その後も何回か出ていますが、この問題に対してMTHR(Mobile Telecommunications and Health Research) が設立され、研究がされてきています。その最新の2007年版の簡易要約が「食品安全情報blog 」に出ています。
この報告書(スチュワートレポート)では携帯電話や基地局からの電波は一般人の健康に悪影響はないとしているが、有害影響を完全に否定できるわけではなくいくつかの予防的対策を提案していた。さらなる研究が必要とされたためMTHRが設立された。
MTHRは多数の研究に出資したが完了した研究の中で携帯電話や基地局による生体影響や有害影響を支持するものは一つもない。電磁波過敏症も根拠がみつからなかった。有害影響として確実なのは運転中の携帯電話使用による注意散漫のみである。
第二期MTHR計画として「10年以上の長期使用による脳のがんや中枢神経系への影響評価に重点がおかれるであろう」という記述がありますが、こうした疫学に根ざした調査には、膨大な労力と時間が掛かります。それはパーク氏の本を読んでいただいてもすぐに分かります。
おまけとして、こうした科学として不確実性が残る領域において「予防原則」という言葉がよく使われます。しかし、予防原則という概念は、社会の科学的な取り組みプロセスの中に包括されている考え方です。ところが、ある種の方々は、これをわかっていないように思えます。そこで「欧州連合の食品法における一般原則 」から引用します。
予防の原則
新規則はまた、リスク管理者が健康を保護するための決定をしなくてはいけないが、リスクに関する科学的情報が不確定もしくは不完全であるというような場合のために、予防原則を選択肢の一つとして正式に規定している。
この予防の原則は、特殊な状況、すなわち、リスク管理者にとって、許容レベルを超える健康へのリスクが存在するとの懸念を抱かせるに足るもっともな根拠が存在してはいるものの、包括的なリスク評価の実施を可能にするほどの完全な情報およびデータの裏付けが得られないような場合において有効である。
そのような特別な状況に直面した場合、意思決定を行う者あるいはリスク管理者は、より完全な科学的データなどの収集を進めながら、予防の原則に基づいた健康保護措置および対策を採ることができる。
その場合、通常の無差別および均衡の原則を遵守するとともに、当該措置は、リスクに関するより包括的な情報の収集・分析が行われるまでの暫定措置と見なされる。
そして、引用サイトを読んで頂ければわかりますが、予防原則の前提として「科学的なリスク評価が、その時点における最善の科学に基づき、独立性、客観性、透明性のある方法で行われること」というものがあります。つまり、まだ分からない要素があるから、とりあえず禁止しよう、、、という考え方とはまったく異なります。
とりあえず、電磁波それ自体をまずは理解したほうがいいように感じます。少なくとも、私たちは自然由来の電磁放射の海の中で暮らしているのですから。

