アル・ゴアが、誇張とウソにまみれた『不都合な真実』のスライドショーと映画と本によって、ノーベル平和賞を受賞した時、同じく候補に挙がっていた真に尊敬すべき女性が、今年の5月、亡くなったことを知る人は少ないかもしれません。

アイリーン・センドラー女史。ポーランドにあって、第二次世界大戦中、ワルシャワのゲットーから2500人以上のユダヤ人の子供達を、命掛けで救出した女性です。捕鯨問題で、一躍人気者になったテキサス親父が、素晴らしい一編にまとめてくれています。

テキサス親父「アイリーン・センドラー、二世紀にまたぐ英雄」



アル・ゴアは温暖化に取り組むのは「倫理」の問題だと言います。しかし、真に環境を考えている人は「自然の姿に対して、誠実であること」を、その倫理規範にしています。その意味で、アル・ゴアは「環境を考える人」ではありませんし、自然科学者としての前提からも逸脱しています。

誇張と煽りと脅しを駆使した本など、環境を考えている人であれば書きません。環境ホルモン、ダイオキシン、DDTなど、単に煽るだけで、誤り偏った情報の流布が、一体、どれだけの社会的リソースの損失を招いたのでしょうか。そして、そうした偽りの情報を流布させた人が、これまで、その責任を取ったことがあったでしょうか。

アイリーン・センドラーのような真に尊敬すべき女性にとって、ノーベル平和賞を受賞しなかったのは、別の見方をすれば、むしろ、幸いであったのかもしれません。アラファトや佐藤栄作と同列となってしまうのですから。


コンビニエンスを対象にした深夜営業自粛について「議論として魔女狩り的な雰囲気がある 」とファミリーマートの上田準二社長が発言しています。深夜に煌々と明るいコンビニエンスが、それを必要としていない人に「目に付く存在」であるのは確かでしょう。しかし議論として適当でしょうか。



ここでは「魔女狩り」について、ちょっと考えてみました。適当な対象者を見つけてきて、正義感に燃え、乱暴なことを、熱心にやる・・・というのは、まさに魔女狩りそのものだからです。



魔女狩りにおいて、大事な点は、そこに詭弁や強弁の論理が駆使されていることです。一旦、「魔女だ」と嫌疑を掛けられた人には、逃れることができないロジックを駆使したのです。野崎昭弘氏の古典的名著『詭弁論理学』 から、魔女狩りのフローを下に掲載しました。



    魔女狩りフロー



このフローは、まさに野崎氏が指摘するように「強弁術・詭弁術の極意が巧みに駆使されている」ことがわかります。そして「『魔女であること』自身が死にあたる罪とされたので、『どんな魔女であるか』は問題にならなかった」という構造があります。



言い換えれば、二酸化炭素を出している事業者であれば、どこでも簡単に「魔女」に仕立てることが可能であることがわかります。女性であれば、誰でも魔女に仕立てることができたのと同じです。


そこで、どのような取り組みがなされており、どの程度の効果があるのか、また深夜営業自粛した際にどの程度の削減となるのか、それは全体からみてどの程度なのか、それが効果的な選択肢なのか、という議論が、今回キチンとなされているようには、まったく見えません。


簡単にいえば「目立つ存在だから対象にしてしまおう」という思考形態が、今回の最大の問題でしょう。温暖化問題をきちんと考えたい人にとって、現在の温暖化対策は、あまりに精神論が多すぎます。先のエコバッグ問題 にしてもそうです。


実施するなら、対象をよく見て、効果がきっちりあがるところをやらないと意味がありません。



日本地球惑星科学連合 の2008年大会が5月に幕張メッセでありましたが、そこでも地球温暖化に関するセッションがありました。たとえば「21世紀は温暖化なのか、寒冷化なのか?」 です。


セッションの要旨は以下のようなものです。

IPCCの報告は21世紀が過去に例がないスピードで温暖化に向かうことを指摘し、その原因が人為的CO2の排出にあると指摘している。


一方では、温暖化の原因は太陽と宇宙線の相互作用に左右される雲量の増減であるという考えが出され、極少量のCO2の増加は温暖化の結果であるという説がある。


これら2説を中心に古気候学的証拠のまとめを行い、21世紀が温暖化なのか或いは寒冷化に向かうのか、その最前線を議論する。


ここでも発表をしている元国際北極圏研究センター所長である赤祖父俊一氏の本『正しく知る地球温暖化』 が出ることを知りました。



    正しく知る地球温暖化



赤祖父俊一氏といえば、1800年頃に収束した小氷期から現在まで、温暖化は200年以上継続していることを指摘されている方です。よくでてくるホッケースティック理論は、この小氷期を無視しています。IPCCも同様です。


赤祖父氏の前書『北極圏のサイエンス』 も素晴らしい本ですので、温暖化問題についても本を書いてほしいと思っていたのですが、これでやっと日本語で読めることになりそうです。これまではウェブにある英語文献を読むしかありませんでしたので。


早速、amazon で注文。読んだらまた感想を書きたいと思います。