<排出事業者向けコラム>廃棄物処理法とは?廃棄物とは?わかりやすく説明☆廃棄物コンサルタント
<排出事業者向けコラム>廃棄物処理法とは?廃棄物とは?簡単にわかりやすくご紹介します【廃棄物コンサルタント】
前回や以前のコラムでは、『特別管理廃棄物/特別管理一般廃棄物』『特別管理産業廃棄物/特別有害産業廃棄物』をご紹介しました。今回は『廃棄物処理法とは・廃棄物処理法の目的とは・廃棄物とは・廃棄物処理法の背景とは』を簡単にわかりやすくご紹介します。
〈目次〉
1.廃棄物処理法とは
2.廃棄物処理法(廃掃法)の目的とは
3.廃棄物とは
4.廃棄物処理法の背景とは
日常の生活や事業活動の中、私たちは家庭や事務所、工場などあらゆる場所から「ゴミ(ごみ)」を出しています。「ゴミ(ごみ)」は行政(自治体)や廃棄物会社などによって、回収、処理が行われていますが、家庭や事業所、工場によって「ゴミ(ごみ)」の種類や排出頻度や日程、方法など細かく決められており、そのルールに従って出さなければ回収・処理されません。そこには厳格なルールが存在し、違反をすれば単に回収・処理されないだけでなく、罰則が科されます。
また、「ゴミ(ごみ)」は国連で採択されましたSDGs(持続可能な開発目標)において「12:つくる責任 つかう責任」、ターゲット「(12.5 )廃棄物の発生防止、削減、リサイクルおよび再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」として掲げられており、世界でも注目されている環境分野における課題のひとつです。
ここでは、廃棄物処理の基本ルールになっている廃棄物処理法について、概要や目的、廃棄物について、簡単にポイントを分かりやすくご紹介します。
1.廃棄物処理法(廃掃法)とは
廃棄物処理法とは、廃棄物の定義、国民・事業者・国・地方公共団体の責務、一般廃棄物の処理、産業廃棄物の処理・保管・運搬・処理等のルールについて定めた法律になります(昭和45年(1970年)制定)。正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」ですが、「廃掃法」と略し、呼ばれることが多くあります。廃棄物を排出するすべての家庭や事業者は、例外なく廃掃法に基づき、最新のルールを理解し、遵守しなければいけません。とくに廃棄物を排出する事業者(事務所や工場など)に直接関係する「産業廃棄物」は、適正な処理を行うための方針や処理体系・条件・ルールが明確に定められており、それぞれ注意が必要になります。
2.廃棄物処理法(廃掃法)の目的とは
廃掃法の目的は、廃棄物の排出を抑制し、廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることです(廃掃法第一条)。これは、廃棄物処理法の前身(清掃法)に比較し、あらたに公害対策基本法に規定する生活環境の保全が加えられたものです。
また、廃棄物の収集、運搬及び処分に先立っての排出規制を意図するものではなく、廃棄物の適正な処理を行なうための処理体系の整備を図ることによって、生活環境の保全に努めるべき旨を規定したものになっています。
3.廃棄物とは
廃掃法における「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、汚泥、廃油、糞尿その他の汚物又はその排出実態等からみて客観的に不要物として把握することができるものであって、気体状のもの及び放射性廃棄物は除かれています。
つまり、「廃棄物」とは基本的に固形状と液状のものを指しますが、例外として以下のものは廃掃法の対象となる廃棄物にはなりません。
・港湾、河川等の浚渫(しゅんせつ)に伴って生ずる土砂その他これに類するもの
・漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等、当該漁業活動を行なった現場附近において排出したもの
・砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの
廃棄物の種類についてご説明します。
廃棄物は家庭などから排出される「一般廃棄物」と、事業者(事業所や工場など)から排出される「ごみ」のうち、法律で指定された「産業廃棄物」の2種類に分けられます。なお、廃掃法では「廃棄物」の種類を以下の表のように基本的に2種類(細かくは6種類)に分けています。
廃棄物の種類 |
定義など |
産業廃棄物 |
事業活動で発生した「ごみ」のうち、法令で定める20種類 |
(特別管理産業廃棄物) |
(産業廃棄物のうち、特に指定された有害なもの) |
一般廃棄物 |
産業廃棄物以外のもの |
(特別管理一般廃棄物) |
(一般廃棄物のうち、特に指定された有害なもの) |
(事業系一般廃棄物) |
(事業活動で発生した、産業廃棄物以外のもの) |
(家庭廃棄物) |
(一般家庭の日常生活から発生したもの) |
また、廃掃法法では、産業廃棄物を以下の表のように区分・20種類分け等しています。
区分 |
種類 |
具体例 |
あらゆる事業活動に伴うもの |
1.燃えがら |
石炭殻、灰かす、廃棄物焼却灰、炉清掃掃出物、コークス灰、重油燃焼灰、焼却灰、すす、廃カーボン類、廃活性炭等 |
2.汚泥 |
<有機性汚泥> 製紙スラッジ、下水汚泥、ビルピット汚泥(し尿の混入している物を除く)、洗毛汚泥、消化汚泥(余剰汚泥)、糊かす、うるしかす <無機性汚泥> 浄水場沈殿汚泥、中和沈澱汚泥、凝集沈殿汚泥、めっき汚泥、砕石スラッジ、ベントナイト泥、キラ、カーバイトかす、石炭かす、ソーダ灰かす、ボンデかす、塩水マッド、廃ソルト、不良セメント、不養生セメント、廃触媒、タルクかす、柚薬かす、けい藻土かす、活性炭かす、各種スカム(油性スカムを除く)、廃脱硫剤、ニカワかす、脱硫いおう、ガラス・タイル研磨かす、バフくず、廃サンドブラスト(塗料かすを含む物に限る)、スケール、スライム残さ、排煙脱硫石こう、赤泥、転写紙かす、建設汚泥等 |
|
3.廃油 |
潤滑油系廃油(スピンドル油、冷凍機油、ダイナモ油、焼入油、タービン油、マシン油、エンジン油、グリース油)、切削油系廃油(水溶性、不水溶性)、洗浄油系廃油、絶縁油系廃油、圧延油系廃油、作動油系廃油、その他の鉱物油系廃油(灯油、軽油、重油等)、動植物油系廃油(魚油、 鯨油、なたね油、やし油、ひまし油、大豆油、豚脂、牛脂等)、廃溶剤類(シンナー、ベンゼン、トルエン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、アルコール等)、廃可塑剤類(脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル等)、消泡用油剤、ビルジ、タンカー洗浄廃水、タールピッチ類(タールピッチ、アスファルト、ワックス、ろう、パラフィン等)、廃ワニス、クレオソート廃液、印刷インキかす、硫酸ピッチ(廃油と廃酸の混合物)、廃PCB、廃白土、タンクスラッジ、油性スカム・洗車スラッジ(廃油と汚泥の混合物) |
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4.廃酸 |
無機廃酸(硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸、スルファミン酸、ホウ酸等)、有機廃酸(ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸等)、アルコール発酵廃液、アミノ酸発酵廃液、エッチング廃液、染色廃液(漂白浸せき工程、染色工程)、クロメート廃液、写真漂白廃液、炭酸飲料水、ビール等 |
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5.廃アルカリ |
洗びん用廃アルカリ、石炭廃液、廃灰汁、アルカリ性めっき廃液、金属せっけん廃液、廃ソーダ液、ドロマイト廃液、アンモニア廃液、染色廃液(製錬工程、シルケット加工)、黒液(チップ蒸解廃液)、脱脂廃液(金属表面処理)、写真現像廃液、か性ソーダ廃液、硫化ソーダ廃液、けい酸ソーダ廃液、か性カリ廃液等 |
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6.廃プラスチック類 |
廃ポリウレタン、廃スチロール(発泡スチロールを含む)、廃ベークライト(プリント基盤等)、廃農業用フィルム、各種合成樹脂系包装材料のくず、合成紙くず、廃写真フィルム、廃合成皮革、廃合成建材(タイル、断熱材、合成木材、防音材等)、合成繊維くず(ナイロン、ポリエステル、アクリル等で混紡も含む)、廃ポリ容器類、電線の被覆くず、廃タイヤ、ライニングくず、廃ポリマー、塗料かす、接着剤かす、合成ゴムくず等 |
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7.ゴムくず |
切断くず、裁断くず、ゴムくず、ゴム引布くず、エボナイトくず(廃タイヤは合成ゴムのため廃プラスッチク類) |
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8.金属くず |
鉄くず、空かん、古鉄・スクラップ、ブリキ、とたんくず、箔くず、鉛管くず、銅線くず、鉄粉、バリ、切断くず、切削くず、研磨くず、ダライ粉、半田かす、溶接かす等 |
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9.ガラス・コンクリート・陶磁器くず |
<ガラスくず> 廃空ビン類、板ガラスくず、アンプルロス、破損ガラス、ガラス繊維くず、カレットくず、ガラス粉 <コンクリートくず> 製造工程等で生じるコンクリートブロックくず、インターロッキングくず、石膏ボードくず <陶磁器くず> 土器くず、陶器くず、せっ器くず、磁器くず、レンガくず、耐熱レンガくず、せっこう型、タイルくず等 |
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10.鉱さい |
高炉、平炉、転炉、電気炉からの残さい(スラグ)、キューボラ溶鉱炉のノロ、ドロス・カラミ・スパイス、ボタ、不良鉱石、粉炭かす、鉱じん、鋳物廃砂、サンドブラスト廃砂(塗料かす等を含むものを除く) |
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11.がれき類 |
コンクリート破片、レンガ破片、ブロック破片、石類、瓦破片、その他これに類する各種廃材等 |
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12.ばいじん |
電気集じん機捕集ダスト、バグフィルター捕集ダスト、サイクロン捕集ダスト等 |
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特定の事業活動に伴うもの |
13.紙くず |
印刷くず、製本くず、裁断くず、旧ノーカーボン紙等、建材の包装紙、板紙、建設現場から排出される紙くず等 |
14.木くず |
建設業関係の建物、橋、電柱、工事現場、飯場小屋の廃木材(工事箇所から発生する伐採材や伐根を含む)、木材、木製品製造業等関係の廃木材、おがくず、パーク類、梱包材くず、板きれ、廃チップ等 |
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15.繊維くず |
木綿くず、羊毛くず、麻くず、糸くず、布くず、綿くず、不良くず、落ち毛、みじん、くずまゆ、レーヨンくず等、建設現場から排出される繊維くず、ロープ等 |
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16.動植物性残渣 |
<動物性残渣> 魚・獣の骨、皮、内臓等のあら、ボイルかす、うらごしかす、缶づめ、瓶づめ不良品、乳製品精製残さ、卵から、貝がら、羽毛等 <植物性残渣> ソースかす、しょうゆかす、こうじかす、酒かす、ビールかす、あめかす、海苔かす、でんぷんかす、豆腐かす、あんかす、茶かす、米・麦粉、大豆かす、果実の皮・種子、野菜くず、薬草かす、油かす等 |
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17.動物系固形不要物 |
屠畜場において処分した獣蓄、食鳥処理場において処理した食鳥 |
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18.動物の糞尿 |
牛、馬、豚、綿羊、にわとり、あひる、がちょう、うずら、七面鳥、兎及び毛皮獣等の糞尿 |
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19.動物の死体 |
牛、馬、豚、綿羊、にわとり、あひる、がちょう、うずら、七面鳥、兎及び毛皮獣等の死体 |
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20.以上の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの |
上記の表の産業廃棄物の中には13.紙くずや14.木くず、そして、19.動物の死体等のように「特定の事業活動に伴うもの」と定められているものがあります。これらは特定の業種から発生した場合は産業廃棄物に区分されますが、特定の業種以外から発生した場合は、一般廃棄物に区分されます。
例えば、14.木くずの場合、木材・木製品製造業やパルプ製造業の工場などから発生した場合は産業廃棄物ですが、事務所で使用していた木製机の廃棄は一般廃棄物になります。つまり、紙や木、繊維そのものを直接的に製造したり、加工したりしている業種の場合は産業廃棄物に該当し、間接的に使用して発生する場合は一般廃棄物に該当します。
続いて、特別管理廃棄物についてご説明します。
廃掃法では、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物を「特別管理一般廃棄物」及び「特別管理産業廃棄物」として規定し、必要な処理基準を設け、通常の廃棄物よりも厳しい規制を行っています。
<特別管理廃棄物の一覧>
区分 |
主な分類 |
概要 |
|
特別管理一般廃棄物 |
PCB使用部品 |
廃エアコン・廃テレビ・廃電子レンジに含まれるPCBを使用する部品 |
|
廃水銀 |
水銀使用製品が一般廃棄物となったものから回収した廃水銀 |
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ばいじん |
ごみ処理施設の集塵施設で生じたばいじん |
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ばいじん、燃え殻、汚泥 |
ダイオキシン特措法の特定施設である廃棄物焼却炉から生じたもので、ダイオキシン類を3ng/gを超えて含有するもの |
||
感染性一般廃棄物 |
医療機関等から排出される一般廃棄物であって、感染性病原体が含まれ若しくは付着している恐れのあるもの |
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特別管理産業廃棄物 |
廃油 |
揮発油類、灯油類、軽油類(難燃性のタールピッチ類等を除く) |
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廃酸 |
著しい腐食性を有するpH2.0以下の廃酸 |
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廃アルカリ |
著しい腐食性を有するpH12.5以上の廃アルカリ |
||
感染性産業廃棄物 |
医療機関等から排出される産業廃棄物であって、感染性病原体が含まれ若しくは付着しているおそれのあるもの |
||
特定有害産業廃棄物 |
廃PCB等 |
廃PCB及びPCBを含む廃油 |
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PCB汚染物 |
PCBが染みこんだ汚泥、PCBが塗布され、又は染みこんだ紙くず、PCBが染みこんだ木くず若しくは繊維くず、PCBが付着し、又は封入されたプラスチック類若しくは金属くず、PCBが付着した陶磁器くず若しくはがれき類 |
||
PCB処理物 |
廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したものでPCBを含むもの |
||
廃水銀等 |
(1) 特定の施設において生じた廃水銀など (2) 水銀若しくはその化合物が含まれている産業廃棄物又は水銀使用製品が産業廃棄物となったものから回収した廃水銀 |
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指定下水汚泥 |
下水道法施行令第13条の4の規定により指定された汚泥 |
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鉱さい |
重金属等を一定濃度を超えて含むもの |
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廃石綿等 |
石綿建材除去事業に係るもの又は大気汚染防止法の特定粉じん発生施設が設置されている事業場から生じたもので飛散するおそれのあるもの |
||
燃え殻 |
重金属等、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの |
||
ばいじん |
重金属等、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの |
||
廃油 |
有機塩素化合物等、1,4-ジオキサンを含むもの |
||
汚泥、廃酸または廃アルカリ |
重金属等、PCB、有機塩素化合物等、農薬等、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの |
4.廃棄物処理法の背景とは?
廃棄物に関する日本最初の法律は「汚物掃除法(おぶつそうじほう)」で、当時流行していた伝染病(特にコレラ)蔓延を防ぐために1900年に制定されました。この時から「ごみ」と「し尿」の収集が地方行政の事務として位置付けられました。
また、処分はなるべく焼却によると定められていましたが、当時は焼却炉の技術はなく、野焼きされていました。
戦後間もない1954年、汚物掃除法を継いで、汚物の衛生的処理と生活環境の清潔による公衆衛生の向上を目的に「清掃法」が制定されました。この法律では主に公衆衛生の向上を目的に、基本的に都市部(特別清掃地域)の家庭から排出される「汚物」を対象にし、「汚物」の収集と処分は市町村の事務とされていました。また、市町村の個別の命令によって、「業務上その他の事由により多量の汚物を生ずる土地または建物の占有者」に対して一定の場所への運搬・処分を命ずることができるともされていました。
1960年代高度経済成長によって大量生産・大量消費が進み、その中で廃棄物の排出量が不法投棄・不適正保管が増え、大気汚染や公害などの問題が顕在化するようになりました。それまで、都市部の家庭系の汚物の処理を基本的な対象としていた市町村の清掃事業では、(有害物質や処理困難物、大量発生する)産業廃棄物を処理することはできず、個別の命令も上手く活用されず、排出事業者の多くは産業廃棄物の処理を十分に行わないことが続きました。そのような背景もあり「清掃法」を全面的に改め、1970年「廃棄物処理法(廃掃法)」が、廃棄物の排出抑制と適正な処理、生活環境の清潔保持により、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的に制定されました。
以上
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