◆サッカーにおけるコアトレーニング | 和久井秀俊オフィシャルブログ「海外サッカー選手のホンネ」Powered by Ameba

◆サッカーにおけるコアトレーニング

和久井です。

以前、◆トレーニングプログラムについて話しました。

今回は、現代サッカーで特に身体的能力の向上において注目されている「コアトレーニング」について考えてみたいと思います。

今回もサッカーに関連した傷害や病因などの研究を目的とした、FIFAが設立した医学評価研究センターの調査結果を参考にします。(要約)

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「コア」とは、体幹の筋肉(腹筋、背筋)のみならず、骨盤・股関節の筋肉も含む機能的単位をいう。

ヒトの歩行の特徴の1つは、運動中に身体各部が協調的に安定していることである。コアの安定性を保持することは、下肢と上肢の機能を最適化する手段の1つである。サッカー選手のような運動選手は、正常な機能を限界まで高めるため、力や運動の吸収や制御という見地からの身体への要求が大きい。このため、スポーツでは通常より高いコアの安定性が要求される。サッカー選手は、すべての運動平面でコアを安定させるため、股関節・体幹の筋群に十分な筋力と神経筋制御を有する必要がある。

研究から、各筋群の関与は異なることが明らかになっている。腹筋と背筋は、骨盤のみならず脊柱の安定性を選択的・協力的に制御する。股関節外転筋群・股関節回旋筋群(特に外旋筋)は、下肢のアライメントの維持に重要であることがいくつかの研究で強く主張されている。最近の研究では、股関節周囲筋群の活動が、ジャンプ時に大腿部筋群が力を生み出し、生じた力を消散させる能力に影響を及ぼすことが認められている。

まとめると、四肢が最適な運動を行ううえで非常に重要な基盤である体幹の制御を向上させるには、コアの安定性と筋力がきわめて重要である。骨盤の安定性と筋力は、下肢(特に膝関節)のバイオメカニクスに影響を及ぼす。

コアの不安定性は、下肢のアライメントと神経筋制御に大きな影響を及ぼしうる。腰・骨盤部が不安定になると、股関節の内転と内旋が始まり、それが膝の外反につながり、それにより脛骨が外旋し足が回内する。すなわち、コアが不安定になると、膝が傷害を負う典型的なメカニズム
が生まれる(特に接触がない場合)。これらのことには有力な経験的データの裏づけがあるのみならず、コアの安定性が怪我の予防に重要な役割を有するという科学的データも増加している。

下肢および腰部の傷害と、股関節周囲筋群の筋力が不十分であること、膝蓋大腿関節痛と股関節周囲筋群の筋力低下にも同様の相関関係があることを示した。また、アマチュアサッカーのユース選手における傷害発生率の低下に有効であることが認められた予防プログラムには、体幹と股関節部の筋力運動が採り入れられていた。さらに、最近の前向き研究で、体幹と股関節部の筋力低下が下肢傷害のリスク上昇と関連性を有することを明らかにした。

「ベンチ」と「横ベンチ」という種類のエクササイズ。これらはコアの背側、腹側、外側の筋群の筋力と安定性を鍛えることを目的とする、本当に基礎的なエクササイズである。効果的なトレーニングのコツは、最適な姿勢をとることである。これにより、腹筋、背筋、股関節周囲筋を適正に安定化させることができる。
上記以外のエクササイズも、たとえその主目的が他の筋群であっても、コアの安定化トレーニングに有益である。

「ベンチ」
開始姿勢:腹ばいになる。上体を腕で支える。両足を地面に対して垂直に立てる。

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運動:腹部、腰、膝を持ち上げ、肩から踵までの体が地面に対して平行な直線となるようにする。肘は肩の真下に置く。腹筋と殿部を引き締める。右脚を地面から数センチ持ち上げ、この姿勢を15秒間保持する。開始姿勢に戻り、リラックスし、左脚で同じことをする。両脚で1~2回ずつ行う。

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重要:腰を浮かさない。腹部を落とさない。

「横ベンチ」
開始姿勢:横向きにねる。上体を片腕で支え、肘が肩の真下にくるようにし、前腕は地面に着ける。下側の膝を90°曲げる。上から見て、肩、肘、腰、両膝が一直線上にあるようにする。

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運動:上側の脚と股関節を、肩、股関節、上側の脚が地面に対して平行な直線になるまで持ち上げ、この姿勢を15秒間保持する。開始姿勢に戻り、リラックスし、反対側で同じことをする。両側を2回ずつ行う。

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重要:腰を落とさない。上側の肩や腰を前に傾けない。

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最近は、日本で「コアトレーニング」と呼ばれて多くの個人や団体のトレーニングに組み込まれ、個人の能力の向上や怪我の予防、パフォーマンスの向上に繋がっています。

コアトレーニングは上記の代表的トレーニングの他にもたくさんのトレーニング方法やアプローチが存在していますが、「コアをトレーニングする」ということを十分に理解すること必要です。そして腹筋や背筋、骨盤・股関節の筋力、それらの神経筋制御の力を向上させ、全身を安定、連動、コントロールするには、最適な姿勢を取ることがコアトレーニングとって重要です。

正しいコアトレーニングを行わなかった場合は、逆にコアの不安定性を生み、下肢のアライメントと神経筋制御に大きな影響を与えます。さらに、体幹と股関節部の筋力低下をさせてしまうと下肢傷害に繋がってしまうので要注意です。

コアトレーニングは正しく理解し、正しく行うことで大切ですね。

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