◆サッカー選手 ヘディングが脳に与える影響は? | 和久井秀俊オフィシャルブログ「海外サッカー選手のホンネ」Powered by Ameba

◆サッカー選手 ヘディングが脳に与える影響は?

和久井です。

サッカーのヘディングは脳に影響を与えるのでしょうか?

以前、「サッカー 選手の怪我の頻度は?」をご紹介しました。

今回は別視点からサッカーの怪我について見ていきたいと思います。今回もサッカーに関連した傷害や病因などの研究を目的とした、FIFAが設立した医学評価研究センターの調査結果を参考にします。(要約)

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プロサッカー選手団体の場合、1シーズンに1団体あたり4~8件の重度傷害が起こると予想される。換言すれば、1選手団の20~25%の選手が1シーズンに1ヵ月以上にわたり怪我のためプレーできないということである。

この発生率は女子選手の方が低いようである。しかし前十字靭帯損傷など、女子の方が男子より発生率が高い傷害も数種類ある。

ユースサッカー選手の傷害発生率の分析では、傷害発生率は加齢にともない上昇することが認められており、17~20歳の選手の傷害発生率は、成人を上回るほどではなく、成人と同程度であるように思われる。

サッカーによる傷害は、主に足関節、膝関節のほか、大腿とふくらはぎの筋肉に起こる。トレーニングや試合を休まねばならなくなった傷害の場合、最多の傷害の種類は捻挫と肉ばなれである。治療を受けた全傷害のうち最多の診断名は下肢の打撲である。
全傷害の約20~25%が、同じ種類または部位の再受傷である。

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過去の傷害と不十分なリハビリテーションが将来の傷害の危険因子として重要であることが、報告されている。また、1シーズン内に再受傷した場合、初回の傷害の場合よりサッカーを休まねばならない期間が有意に長くなることを明らかにした。

試合後に治療を要した傷害の48%はファウルタックルに起因することが明らかとなっており、うち74%はタックルを受けた選手に起きていた。

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試合中の傷害発生率はトレーニング中の約4倍である。試合中の傷害発生率は、前・後半の終盤に 向かって上昇する。体的・精神的疲労がこれらの時間中の傷害発生率上昇の一因となっているという仮説を立てることができる。

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サッカーは、特に最高レベルになると、距骨下関節、膝関節、股関節の変形性関節症のリスクが高くなると推断される。

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サッカー選手の後遺症や続発性組織変化の長期的リスクに関する疫学的調査は少数しかない。それらの調査は2つの重要な側面、すなわち変形性関節症と神経心理学的障害に関するものである。サッカーをすることの神経学的・神経心理学的影響の発生率に関する調査の結果ははっきりしていない。

ボールヘディングを反復的に行った結果というより、試合中の衝突などの事故による頭部への衝撃の結果である可能性の方がはるかに高いように思われる。しかし、これらの調査には方法論的問題があるため、報告されたデータの正当性は低いものである。

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今回も以前とは違った視点でサッカー選手の怪我を見ることができますね。傷害発生率は、男性と女性とを比較すると男性の方が高く、年齢別に見ると17歳に達するまでは増加傾向でそれ以降は成人と同程度になるようです。

また以前の記事でご紹介したように、傷害の発生する原因は反則による確率が高いこともわかりましたが、タックルをされた選手だけでなくタックルをした選手にも同様に傷害発生の起因となっていますね。

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試合での傷害発生率はトレーニング傷害発生率の4倍と言われ、特に試合終盤に傷害が発生することを見ても精神面が影響するスポーツだということがよくわかります。

サッカーのヘディングが脳に与える影響は僕自身も非常に興味がありましたが、衝突による頭部の長期的リスクの可能性はあるものの、ヘディングを何度も行うことによる長期的リスクは調査結果からは明らかになっていないようです。