◆子供の足の怪我 サッカーというスポーツ | 和久井秀俊オフィシャルブログ「海外サッカー選手のホンネ」Powered by Ameba

◆子供の足の怪我 サッカーというスポーツ

和久井です。

以前、◆サッカー選手 ヘディングが脳に与える影響は?で、傷害発生率は、男性と女性とを比較すると男性の方が高く、年齢別に見ると17歳に達するまでは増加傾向でそれ以降は成人と同程度になる、ということを書きました。

今回は、サッカー少年少女の傷害について見ていきたいと思います。

今回もサッカーに関連した傷害や病因などの研究を目的とした、FIFAが設立した医学評価研究センターの調査結果を参考にします。(要約)

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11~14歳の少年少女には特別なリスクがある。思春期には、筋の成長より身長の伸びるのが速い身長が高く体の細い少年少女は、身長が低く成熟していない少年少女や、身長が高く成熟している少年少女よりも受傷率が高い

この「中間期」は、すべての関係者が特に注目するに値する問題である。U-13チームにおける個々の身体的成熟度の幅の広さに注目したい。

・サッカーではすねあての着用が義務づけられている。すねあてを着用していれば衝撃は必ず拡散されるが、骨折の予防にはあまり役立たない。大部分の選手は審判員の検査をパスするのに必要最低限のすねあてを希望する。しかし、すねあては大きいほど保護作用がある。

タックルによる挫傷の多くは、すねあてで保護されない下腿の下から3分の1の部分に見られる。競技規則第4条は、選手はすねあてを着用しなければならないとだけ定めており、サイズに関する定めはない。しかし、年齢に適したすねあての着用により、下肢の挫傷を予防したい。

予防しうる若年ゴールキーパーの怪我は、手関節の骨折である。これは、成人が成人サイズのボール(5号)を若年のゴールキーパーに向かってシュートしている場合に起こる。必ず年齢に適したボールを使用し、本気のゴールシュートを受けてもらうのは同年齢の選手だけにすべきである。この無用な怪我は常識によって排除することができる。

・完全に予防可能なもう1つの怪我は、手指の「手袋状剥皮損傷(デグロービング損傷)」と呼ばれるものである。試合前に、ゴールにネットを張る必要がある場合があり、多くのゴールにはバーにネット用のフックがある。この傷害は、バーのフックにネットを掛けようとしてジャンプした者が、指輪をフックに引っ掛けてしまった場合に起こる。指輪が引っ掛かると、重力によってこの傷害が生じる。絶対にジャンプしてはならない。必ず梯子の上に立つか、その他の適切な補助具を使用すべきである。

最後に、ゴールポストによって子供に悲惨な頚部損傷や、時には死亡事故が起きている。このような事故は、監督者のいない時に子供がポータブルゴールに登り、ゴールが子供の上にのしかかる形で倒れた場合に起こる。ポータブルゴールは必ず地面に固定し、子供がゴールに登って遊ぶことは絶対に許してはならない。死亡事故はすべて試合外の監督者のいない時に起きている。FIFAは、ゴールを未固定で放置してはならないと明確に定めている。

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成長期の11歳~14歳の子供達を見比べてもわかるように、体格差が生まれてきます。特に受傷率の高い年齢の子供達には、より監督者の傷害発生予防策が求められます。

以前の調査結果でわかる発生率の高い下腿の怪我、さらに相手のファールタックル、そしてタックルによる挫傷の多くは、保護されない下腿の下から3分の1の部分に見られるということを見ると、一つの大きな予防策は適切なすねあての着用であることがわかりますね。

子供の傷害はその後の成長を妨げる恐れもあるため、すねあても小さいものではなく、しっかりとすねを全て覆う必要がありますね。さらにアンクルガードと呼ばれる、くるぶしを守る道具もあるのでぜひ利用してもらいたいです。キーパー用としてよく日本で売られているすねあてとアンクルガードが一緒になっているタイプも非常に効果的で、試合だけでなくトレーニングから使用することが望ましいです。



ゴールキーパーの怪我は、「2010年ワールドカップで使用されるサッカーボール 歴史や種類」でも書いたように、それぞれの年齢に適切なボールの大きさがあり、適したボールを使用する必要があります。

また日本では、この年代の子供が指輪をすることが少ないので手袋状剥皮損傷(デグロービング損傷)は発生しにくいですが、こういったことが起きる可能性があるということを認識してもらいたいですね。

サッカーゴールによる事故はよく耳にしますが、死亡事故はすべて監督者のいない時に起きている事実を見ると、事前の指導とサッカーゴールの固定は徹底してほしいです。



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