このブログは、「正しいピラティス」を伝えるためのものではありません。

私が20年以上ピラティスを学び、指導する中で見えてきたこと、感じてきたことを、一人の指導者として綴っています。

身体に絶対の正解はありません。だからこそ、問い続け、学び続けることを大切にしています。

 

 

 

以前、仕事で出張したときのことです。

 

宿泊先のベッドがとても硬く、身体に合わなかったのか、朝起きると腰が痛くなっていました。

もちろん、ベッドだけが原因だったのかはわかりません。

 

出張先といういつもとは違う環境。
仕事を控えている緊張。
あまりよく眠れなかったこと。

 

いろいろなことが重なって、身体がいつも以上に緊張していたのかもしれません。

 

ただ、そのときは「このまま腰が痛かったら、仕事は大丈夫だろうか」と不安になりました。

腰が痛くなると、立つ、歩く、座るといった何気ない動作まで気になります。

まして私は、身体を使って仕事をしています。

 

そこで出張先の方にお願いして、仕事の前に1時間ほどリフォーマーをお借りすることにしました。

誰かにレッスンをしてもらったのではなく、自分で自分の身体を見ながら動きました。

最初はどなたかにレッスンをお願いしようと思っていたのですが、(大抵こういう時はニュートラルが失われていることが多く、自分でそれを客観的に見れないので)どうしてもいないということで、お借りするだけにしました。

 

 

「今、どこが動きにくいのか」
「どこが緊張しているのか」
「何をすると身体が楽になるのか」

 

無理に大きく動いたり、頑張って鍛えたりするのではなく、

そのときの自分の身体に必要だと思うエクササイズを選びながら、少しずつ動いていきました。

 

すると、終わった頃には腰がずいぶん楽になっていました。

 

自分でも驚くほどでした。

 

そして興味深かったのは、その日の夜も同じベッドで眠ったのに、翌日は大丈夫だったことです。

 

もちろん、これだけで「ベッドが原因ではなかった」

「ピラティスだけで腰痛が治った」と言うことはできません。

 

けれど私自身にとっては、とても大きな経験になりました。

何か起こったとしても、「私にはピラティスがある」

そう思えたからです。

私は長い間、運動指導を仕事にしてきました。

普段はいつも、
「この方には何が必要だろう」
「どうすればもっと動きやすくなるだろう」
と、お客様の身体のことを考えています。

 

けれど、この出来事を通して改めて気づきました。

自分自身の身体を整えることも、同じくらい大切なのだと。

 

年齢を重ねれば、若い頃とまったく同じ身体ではありません。

疲労が抜けにくかったり、緊張が続くと身体が固まったり、以前なら自然に戻っていたものが、自分だけではなかなか解けないこともあります。

だからこそ、悪くなってから慌てるのではなく、普段から自分の身体の状態を感じ、動かし、整えておく。

 

それもピラティスの大切な役割なのだと思います。

 

そして今回、もう一つ嬉しかったことがあります。

自分の身体の状態を考えながら、

「これをこうしていこう、これをしよう」とプログラムを選び、それによって身体が変化したことです。

長年学び、実践し、指導してきたことが、自分自身を助けてくれました。

 

「ああ、私がずっとやってきたことは、間違っていなかったんだな」

そんな気持ちにもなりました。

 

ピラティスは、難しいエクササイズができるようになるためだけのものではありません。

 

自分の身体を知ること。
小さな変化に気づくこと。
そして、その日の自分に必要な動きを選ぶこと。

 

そうした積み重ねが、身体に対する安心感につながっていくのではないでしょうか。

腰に不安を感じたあの日。

「どうしよう」と思った私を助けてくれたのは、長年続けてきたピラティスでした。

これからはお客様の身体だけではなく、自分自身の身体にも、もう少し丁寧に向き合っていこうと思います。

そして、お客様にも、

「身体に何かあったとき、私には自分の身体と向き合う方法がある」

そんな安心感を持っていただけるようなピラティスを、これからもお伝えしていきたいと思っています。

 

 

 

身体に絶対の正解はありません。

今日の内容も、現場で学び続ける私自身の一つの視点です。

「ピラティスは、するものではなく、生きるもの。」

 

 

「ピラティスは、動きを学ぶことではない。身体との対話を育てることである。」