マジすか学園GX☆#3ー5☆
『モーセ手を海の上に伸ければヱホバ終夜強き東風をもて海を退かしめ海を陸地となしたまひて水遂に分れたり』(出エジプト記 14章より)
河原──
「てめえッ!トリゴヤに何しやがった!」
「待てッ!」
ブラックが、自重を促す暇もなく、激昴したシブヤは、突然の来訪者──平手ユリナに、迫る。
「オラァ!」
「この領域(セカイ)には、『わたし』しかいない──」
両手をおろしたまま
佇む平手の顔面に、シブヤの拳が、きまった。リズミカルに。
一発、二発、そして、三発。
しかし。
徐々に、顔色が変わっていったのは、殴っているシブヤのほうだった。
(なんだ...こいつ...)
一旦、距離を置くシブヤに、ブラックが、訊く。
「どうしたんだ?シブヤ」
「おかしい...、こいつ...、なんかヤバいぞ...」
「いったい、どういうことだ?」
「ないんだ...、いくら、殴っても、殴っても...、まったくと言っていいくらい、感触がねぇんだ!」
「感触が...ない、だと?」
二人の動揺に反して
前髪に
覆われた平手の顔の
口許だけが。
笑っていた。
「わたしの異能(チカラ)...。『世界には愛( I )しかない』...」
「なら...確かめてみよう」
直後。
瞬時に、
ブラックも、素早い動きから、平手の後方に回り込み、身体の側面に手刀を繰り出した。
対する平手に、避けようとする動作(そぶり)もなく、無造作に、身体に、何度も、手刀を受け続けた。
しかし。
「確かに...、何の感触も...、ない...。いったい、これは...?」
ブラックも、やはり、戸惑いを隠ききれなかった。
「勝手に割り込んできて、邪魔するなよ!」
置き去りにされたかのような
向井地ミオンが、自分の存在を誇示するように、叫ぶ。
「助太刀したつもりなんだけどな。無名の新人(ルーキー)さんの」
「馬鹿にしやがって!欅だかなんだか知らないけど、“マジ女”舐めてんじゃねーぞ!」
ミオンが、踏み込む。平手の周りに存在する空間が、一瞬、歪んだような気がした。微動だにしなかった平手が、動く。
バチッという音がして、
平手の掌で、ミオンの拳がしっかりと受け止められていた。
「『混ざり合う者』...。やっぱり、入ってこれたね...。だけど、まだ...、完全に、目覚めてはいないみたいだ」
ひとり、納得したように、平手は、言う。
「どういう...意味だ?」
前髪からのぞく平手ユリナの瞳を
見上げるように、ミオンが、睨みつけた。
離れた場所から
ぼんやり、眺めていたお嬢様風の少女──石森ニジカが、目を閉じる。
「てちこ。もう少ししたら、夕立が来るよ」
手首には、オレンジ色の腕輪が、輝いていた。
河原──
「てめえッ!トリゴヤに何しやがった!」
「待てッ!」
ブラックが、自重を促す暇もなく、激昴したシブヤは、突然の来訪者──平手ユリナに、迫る。
「オラァ!」
「この領域(セカイ)には、『わたし』しかいない──」
両手をおろしたまま
佇む平手の顔面に、シブヤの拳が、きまった。リズミカルに。
一発、二発、そして、三発。
しかし。
徐々に、顔色が変わっていったのは、殴っているシブヤのほうだった。
(なんだ...こいつ...)
一旦、距離を置くシブヤに、ブラックが、訊く。
「どうしたんだ?シブヤ」
「おかしい...、こいつ...、なんかヤバいぞ...」
「いったい、どういうことだ?」
「ないんだ...、いくら、殴っても、殴っても...、まったくと言っていいくらい、感触がねぇんだ!」
「感触が...ない、だと?」
二人の動揺に反して
前髪に
覆われた平手の顔の
口許だけが。
笑っていた。
「わたしの異能(チカラ)...。『世界には愛( I )しかない』...」
「なら...確かめてみよう」
直後。
瞬時に、
ブラックも、素早い動きから、平手の後方に回り込み、身体の側面に手刀を繰り出した。
対する平手に、避けようとする動作(そぶり)もなく、無造作に、身体に、何度も、手刀を受け続けた。
しかし。
「確かに...、何の感触も...、ない...。いったい、これは...?」
ブラックも、やはり、戸惑いを隠ききれなかった。
「勝手に割り込んできて、邪魔するなよ!」
置き去りにされたかのような
向井地ミオンが、自分の存在を誇示するように、叫ぶ。
「助太刀したつもりなんだけどな。無名の新人(ルーキー)さんの」
「馬鹿にしやがって!欅だかなんだか知らないけど、“マジ女”舐めてんじゃねーぞ!」
ミオンが、踏み込む。平手の周りに存在する空間が、一瞬、歪んだような気がした。微動だにしなかった平手が、動く。
バチッという音がして、
平手の掌で、ミオンの拳がしっかりと受け止められていた。
「『混ざり合う者』...。やっぱり、入ってこれたね...。だけど、まだ...、完全に、目覚めてはいないみたいだ」
ひとり、納得したように、平手は、言う。
「どういう...意味だ?」
前髪からのぞく平手ユリナの瞳を
見上げるように、ミオンが、睨みつけた。
離れた場所から
ぼんやり、眺めていたお嬢様風の少女──石森ニジカが、目を閉じる。
「てちこ。もう少ししたら、夕立が来るよ」
手首には、オレンジ色の腕輪が、輝いていた。

