#1
サドと死天王ホワイトとの死闘は続いていた。
まったくと言っていいほど、サドの拳はホワイトには届かなかった。
サドの動きは、完全に見切られ、拳は宙を切るばかりだった。
逆に、サドのほうは、全身ボロボロの状態で、立っているのも不思議なくらいであった。
ホワイトの動態視力は、常人の数倍するどかった。
「しぶといねー。お前の動きは読めてるんだよ。そろそろ、トドメか」
ホワイトが、一歩近づいたとき、
「サドさん!」
そこへ、前田があらわれた。
「ちっ、やつら、あれだけ頭数がいて、やられちまったのか。つかえない先輩たちだ」
ホワイトは、まだ、幼さが残る面立ちの入学したばかりの一年生だった。
「サドさん!大丈夫ですか?」
「ああ、わたしの獲物だ。手だすんじゃねーぞ」
サドは、フラフラの状態で、息をするのもつらそうだが、眼差しだけは鋭く光っていた。
「ははははは、強がりを。いい加減にくたばりな。おばさん」
「うおおおおお」
サドの渾身の右ストレートが、ホワイトの顔めがけて放たれた。
しかし、いままで同様に紙一重でかわされてしまった。
その刹那、サドの上体が地面につくスレスレで、前方に回転しつつ、左足がホワイトの顔面に炸裂した。電光石火のあびせ蹴りだ。
「ぐは!」
全体重の乗った蹴りは、まさに一撃必殺だった。
ホワイトは、そのまま倒れ込み、起き上がってはこなかった。
「だれが、オバサンだ?一年坊」
サドが、冷たい瞳で言い放った。
まったくと言っていいほど、サドの拳はホワイトには届かなかった。
サドの動きは、完全に見切られ、拳は宙を切るばかりだった。
逆に、サドのほうは、全身ボロボロの状態で、立っているのも不思議なくらいであった。
ホワイトの動態視力は、常人の数倍するどかった。
「しぶといねー。お前の動きは読めてるんだよ。そろそろ、トドメか」
ホワイトが、一歩近づいたとき、
「サドさん!」
そこへ、前田があらわれた。
「ちっ、やつら、あれだけ頭数がいて、やられちまったのか。つかえない先輩たちだ」
ホワイトは、まだ、幼さが残る面立ちの入学したばかりの一年生だった。
「サドさん!大丈夫ですか?」
「ああ、わたしの獲物だ。手だすんじゃねーぞ」
サドは、フラフラの状態で、息をするのもつらそうだが、眼差しだけは鋭く光っていた。
「ははははは、強がりを。いい加減にくたばりな。おばさん」
「うおおおおお」
サドの渾身の右ストレートが、ホワイトの顔めがけて放たれた。
しかし、いままで同様に紙一重でかわされてしまった。
その刹那、サドの上体が地面につくスレスレで、前方に回転しつつ、左足がホワイトの顔面に炸裂した。電光石火のあびせ蹴りだ。
「ぐは!」
全体重の乗った蹴りは、まさに一撃必殺だった。
ホワイトは、そのまま倒れ込み、起き上がってはこなかった。
「だれが、オバサンだ?一年坊」
サドが、冷たい瞳で言い放った。
#1
前田が机に向かい、介護士の勉強をしている。
ふと、昼間のサドの言葉が気になった。
そのとき、ケータイのメール着信音が鳴った。
サドからだった。
『話したいことがある。近くの公園に来てくれ』
というメッセージ。
「サドさん…」
ジャージのうえに、カーディガンを羽織り、小走りで公園に向かった。
「えっ」
公園の手前で、矢場久根の生徒が20名ばかり、たむろしていた。
「前田ー、どこ行くんだよー」
言うやいなや、木刀で殴りかかってくる。
それを左腕で受け止め、すかさず、右で顔面にパンチを入れる前田。
「やっちまえー」
一斉に襲いかかってくる矢場久根の生徒たち。
それを、ときには受け止め、ときにはかわし、ひとりまたひとりと、確実に倒していく。
そのとき、前田は気づいた。
「まさか、サドさん…」
矢場久根の生徒が、ケータイをちらつかせる。
サドのケータイだった。
「今ごろ、くたばってんじゃねーか。サドのやつ。相手は矢場久根死天王だからな」
バシッ
前田が後ろから、殴られ、転倒した。
「おらおらー」
一気に矢場久根の生徒が群がる。
「なんだよ。マジ女のてっぺんも大したことねーな。マジすか?」
その言葉に倒れていた前田が反応した。
そして、ゆっくり立ち上がる。
先ほどまでとは雰囲気が一変していた。
右手を眼鏡にかけ、ゆっくりとはずし、言う。
「マジだよ」
ふと、昼間のサドの言葉が気になった。
そのとき、ケータイのメール着信音が鳴った。
サドからだった。
『話したいことがある。近くの公園に来てくれ』
というメッセージ。
「サドさん…」
ジャージのうえに、カーディガンを羽織り、小走りで公園に向かった。
「えっ」
公園の手前で、矢場久根の生徒が20名ばかり、たむろしていた。
「前田ー、どこ行くんだよー」
言うやいなや、木刀で殴りかかってくる。
それを左腕で受け止め、すかさず、右で顔面にパンチを入れる前田。
「やっちまえー」
一斉に襲いかかってくる矢場久根の生徒たち。
それを、ときには受け止め、ときにはかわし、ひとりまたひとりと、確実に倒していく。
そのとき、前田は気づいた。
「まさか、サドさん…」
矢場久根の生徒が、ケータイをちらつかせる。
サドのケータイだった。
「今ごろ、くたばってんじゃねーか。サドのやつ。相手は矢場久根死天王だからな」
バシッ
前田が後ろから、殴られ、転倒した。
「おらおらー」
一気に矢場久根の生徒が群がる。
「なんだよ。マジ女のてっぺんも大したことねーな。マジすか?」
その言葉に倒れていた前田が反応した。
そして、ゆっくり立ち上がる。
先ほどまでとは雰囲気が一変していた。
右手を眼鏡にかけ、ゆっくりとはずし、言う。
「マジだよ」
#1
夜のファミレス
「お疲れ様ー」
「お疲れ様です」
バイトを終え、店長に挨拶をし、スタッフルームを出ようとしたサド。
「サド、お前見かけによらず、よく働くなー」
店長がサドの背中に声をかける。
「見かけによらずは余計ですよ。店長」
背中を向けたまま答える。
「まあ、おれも昔はワルだったからなー」
店長は50代で、頭がうすく、小太りで、笑顔の耐えない柔和な男だった。
「見かけによりませんね」
サドは振り返って言った。
「悪名高いマジ女の卒業生を雇ってくれるところなんか、なかなかないぞ」
はははーと膝を叩いて笑う自称元ワル。
「店長には感謝してます。」
「いやいや。これからも頼むよ。ケンカもいいけど、シフトに穴あけるなよ」
「わかってますよ。それじゃ、また明日」
サドが、アルバイト先のファミリーレストランから出て行くところを、何者かが鋭い眼差しで見ていた。
しばらく、歩くと人気のない公園がある。その公園を横切ろうとして、サドはふと立ち止まった。
「誰だ?」
サドは振り向き、問い質す。
「気づいてたか」
先ほどのファミリーレストランから尾行していたのだった。矢場久根の制服を着ている。
「矢場久根か。お前が総長を?」
「ちがう。わたしじゃない。あの方は、新総長はお前ごとき、相手にしない。わたしは矢場久根死天王のひとり」
サドは、臨戦態勢にはいった。
「剣玉は飽きたが、ケンカはまだまだ現役だ。来いよ。」
「お疲れ様ー」
「お疲れ様です」
バイトを終え、店長に挨拶をし、スタッフルームを出ようとしたサド。
「サド、お前見かけによらず、よく働くなー」
店長がサドの背中に声をかける。
「見かけによらずは余計ですよ。店長」
背中を向けたまま答える。
「まあ、おれも昔はワルだったからなー」
店長は50代で、頭がうすく、小太りで、笑顔の耐えない柔和な男だった。
「見かけによりませんね」
サドは振り返って言った。
「悪名高いマジ女の卒業生を雇ってくれるところなんか、なかなかないぞ」
はははーと膝を叩いて笑う自称元ワル。
「店長には感謝してます。」
「いやいや。これからも頼むよ。ケンカもいいけど、シフトに穴あけるなよ」
「わかってますよ。それじゃ、また明日」
サドが、アルバイト先のファミリーレストランから出て行くところを、何者かが鋭い眼差しで見ていた。
しばらく、歩くと人気のない公園がある。その公園を横切ろうとして、サドはふと立ち止まった。
「誰だ?」
サドは振り向き、問い質す。
「気づいてたか」
先ほどのファミリーレストランから尾行していたのだった。矢場久根の制服を着ている。
「矢場久根か。お前が総長を?」
「ちがう。わたしじゃない。あの方は、新総長はお前ごとき、相手にしない。わたしは矢場久根死天王のひとり」
サドは、臨戦態勢にはいった。
「剣玉は飽きたが、ケンカはまだまだ現役だ。来いよ。」