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マジすか学園3☆#3ー1☆

ニューヨークシティ
ハーレム
倉庫街ー


セリナに導かれ、“少女”がいると思われる貧民街にあらわれたサド、シブヤ、ブラック、トリゴヤ。皆の気持ちを映し出すかのような薄曇りの空。いまにも泣き出しそうだ。
昼間にも関わらず、暗くどこか澱んだ街。スラム。


「よし!手分けして捜すぞ!」

言うやいなや
セリナは、手近な倉庫に駆け込んでいった。
残された四人も、小さくうなずきあい、ばらばらに手当たり次第に、倉庫に飛び込んでいった。




「BOSS!やつらが来ました!」

部下のブルーがトレードカラーのギャングが、息せき切って、報告にきた。BOSSと呼ばれる木崎ユリアのもとへ。
アンダーガールズ親衛隊十人衆。


「来たか!慌てるな…予定通り、それぞれの場所へ誘いこめ!」

黒の特攻服が、薄暗い倉庫内に不気味に同化していた。


傍らには、目隠しをされ、椅子に縛り付けられた“少女”の痛々しい姿があった。




T4倉庫ー

いまは、使われていないだだっ広い倉庫。ガラスの空き瓶が無造作に転がっている。
電灯はなく、外よりも、さらに暗さを増していた。

そんななか
ギャル系のファッションに、ミニスカート、パールピンクのスカジャンが光る。シブヤの戦闘服。

「ここに入ってったって言ってた気がすんだけどな」

英会話は、フィーリングとボディランゲージだと割り切っているシブヤ。頭をかく。


「ここで間違いないよ」

背後から声がした。

「日本語…?」


「アンダーガールズ六番隊…隊長、出口アキ。お前らを追いかけてきたよ…日本から」


振り向いた先には
深紅の特攻服。アンダーガールズ隊長格の証。

茶系の長い髪に黒い瞳。特攻服の中から漂う妖艶な雰囲気。


「なるほど…、間違っちゃいねーみてーだな」

この件は
アンダーガールズが、“少女”を狙い、裏で糸を引いているということが、セリナの調べでわかっていた。


「素直に“あのひと”の居場所を吐く面(つら)には見えねーな。ってことは、てめぇをぶっ飛ばして吐かせればいいわけだ」


「お前には無理だよ」


「うるせぇ!来いよ…アンダーガールズ…」


気負い気味のシブヤを見て嘲笑うアキ。
懐から、黒く長いものを取り出す。黒光りする鞭(ムチ)。

「女王様と呼びな!」

ピシッと、シブヤの足元のコンクリートの地面を打つ。迅い。音速を軽く超えていた。


シブヤは、軽く肩を揺らし、両手を伸ばした後、胸の前で拳を構えた。濃いピンクのグローブが軋むくらい、拳を強く握る。

「ぜってー、呼ばねぇ」

マジすか学園2☆特別編集#3(ゲキカラ2)

「…ゲキカラ…どうして?」



前田も、チームホルモンも、皆、信じられないといった思いだった。なぜ、いま、この場所に、あのゲキカラがいるのか、と。





ゲキカラが、つかつかとヲタに近づく。



殺られる、と内心、ヲタは思ったに違いない。



すると、ゲキカラはヲタの襟首をつかみ、部屋の外に放り投げた。



子猫扱いだ。



他のチームホルモンのメンバーも次々と、部屋の外に放り投げられていく。



最後に、前田のところへ近づいた。



すっと

立ち上がるように、手を差し出すゲキカラ。





「どうして、ここに?」



「血のにおいが、したんでな」



実際は、謎の女性との出逢いが、ゲキカラをここへ誘(いざな)ったのだが。



卒業式以来、雰囲気が変わったように思えた。



ゲキカラが、前田の背中を押し、部屋を出るよう促す。





その間、シノブは、ゲキカラの一挙一動を注意深く観察していた。

不用意に手を出しては、危ない。

野性のカンが、そう警告していた。





「前田!お前は死神なんかじゃない。そして…ひとりでもない」



仲間は、いつだって、そばにいる。



「後ろを振り向くな!生きろ!」



勢いよく、背中を押され、チームホルモン同様、前田も部屋の外に出されてしまった。





そして、ゲキカラは、鉄製の重い扉を閉めた。





「わたしも…ひとりじゃなかった。もう、彷徨うことはない…」



「ウガアアアア!」



シノブが、威嚇している。



「フフフ…ハハハハハハハハハハハハ…











…殺す」















「まさかの展開…だな」

本部司令室のアカネは、身を乗り出して、モニターを注視していた。驚きは隠せない。





反対に、マサナは冷静さを保っていた。表面上は。

「先程、モニターで、侵入を確認していました。まさか、とは思いましたが…」



嬉しさで、震えているようにも見えた。



「…彼女には、何度か、煮え湯を飲まされていましたから。ちょうど良い機会かと」



制裁のー



「これも、ゲームのうえでは、想定の範囲内なのか?お偉いさんたちは、納得するのかねえ?」



「まったく、問題ないと思われます」



「根拠はあるのか?」



アカネの詰問に、マサナは、口の端をゆるめて言った。



「そちらのほうが、面白いから…という理由では、いけませんか」





「ははは!確かにな。おれも、ゲキカラとは一度、やり合いたいと思ってたが…さて、鎖を外したシノブに勝てるかな。狂獣vs狂戦士。さいたまスーパーアリーナ満杯に出来そうな対戦だな」





「まさに、夢のカードですね…」





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「フフ…ハハハハハハハハハハハハハ…」



「ウガアアアア!」



四階では

何人(なんぴと)も、足を踏み入ることの出来ない

人外の激闘が繰り広げられていた。





ゲキカラが、シノブの突進を笑いながら、かわしている。さながら、マタドールのように。



鎖から解放されたことにより、自由度もスピードも上がってはいたのだが、ゲキカラは、完全に動きを見切っていた。



「ガァ!」



四つん這いのシノブの突進を、ひらりとかわし、後ろから蹴りを入れ、勢いを増し、壁に激突させる。



「ハハハハハハハハ!」

ゲキカラの距離感は見事というほか、なかった。

幾度となく、コンクリートの壁や床に、叩きつけられ

翻弄され続けるシノブ。しかし

構わず、突進を繰り返す。体力は無尽蔵なのか。



何度目の突進だったろう。

この突進も、かわせるはずだった。



神様のいたずらかー



ゲキカラの足元が、揺れた。



地震だ。



一瞬

バランスを崩すゲキカラ。



それを、シノブが、見逃すはずがなかった。





「ウガア!」



モロに、シノブの突進を受け、ゲキカラは、壁に吹き飛ばされる。



「くっ!」



壁を背にしたゲキカラに、さらに体当たりを敢行する。



「ぐはっ!」



血を吐くゲキカラ。



そして、シノブは、ついに、獣の本性をあらわした。



「ぐあっ!」



ゲキカラの短い絶叫。



シノブが、ゲキカラの左脇腹に噛みついた。



「ぐあああああ!」








「出たな。野性の本能が…」



「野獣の捕食が始まってしまいましたね。こうなっては、もう…」



アカネもマサナも、すでに勝負は決したかのような雰囲気だ。獲物の腸(はらわた)に喰らいつき、シノブが、はなすはずがない。





「ゲキカラも、地震と野獣には勝てず…か。運がなかったな」


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ジリリリリリリリリ…



本部司令室に鳴り響く

緊急警報のベル。



「なんだ?」



アカネがうるさそうに、部屋を見渡す。



「状況を説明しなさい」

マサナは、すぐさま、冷静に、ビルのシステム担当者と連絡をとった。



「四階のシステムに障害が…緊急災害システムが誤作動を起こしたようで…現在、原因を究明中です」







四階ー



天井に設置されたスプリンクラーから、大量の水が降り注いでいた。



意識を失いかけたゲキカラには、恵みの雨だった。



シノブは、突然の警報と体にかかる水に、多少、とまどいはしたが、ゲキカラの左わき腹から、牙を離すことはなかった。

ゲキカラが、そんなシノブを見下ろす。



その瞳に、一瞬、獣性が宿った。



ゲキカラがシノブの耳に噛みつく。



「ウガアアア!」



シノブは、叫び声を上げ、後ずさった。



シノブの左耳から、鮮血が、滴り落ちていた。



ゲキカラの口からも、同じようにー



ぺっと、肉片を吐き捨てるゲキカラ。

この躊躇の無さが、ゲキカラのゲキカラたらしめるものだった。



「フフフ…ハハハハハハハハハハハハハハハ…









…わくわくするよ!」





態度とは裏腹に

ゲキカラの左わき腹からは、大量の出血が見うけられた。

それだけではなく、

先刻のシノブの突進によって、肋骨が折れ、それが肺につき刺さっていた。

出血は

致死量に迫っていた。。



チアノーゼ状態ー





シノブのほうはというと、痛みと出血で、怒り狂っていた。



「ウガアアアアア!」



これまでで、一番迅い突進が、深傷を負ったゲキカラを襲った。



次の瞬間

二人の時間(とき)が止まった。



ゲキカラの右拳が、シノブの顔面の急所、人中にめり込んでいた。



一撃必殺の急所だ。



シノブのこれまで蓄積されていたダメージが、一気に膨れ上がる。



それでも、なお、動き始めようとするシノブに、

ゲキカラは、ジャンプ一番、首の急所、延髄に蹴りを放った。



こちらも、一撃必殺の急所だった。



神速の一撃



シノブは、前方に、勢いよく倒れこんだ。

大きな音をたててー



巨大な山が…崩れた…。



部屋全体が、地響きと共に震えた。



そして、



ついに、野獣はコンクリートの床に同化し、





完全に沈黙した。





前田のー



チームホルモンのー





そして



ゲキカラの完全勝利だった。





「ハア…ハア…」



左わき腹を押さえ、出口を目指すゲキカラ。



目が霞む。足が鉛のように重い。



ゲキカラは

扉に辿り着く手前で、床に倒れ込んでしまった。



(こんなことじゃ…また…あのひとに怒られるな…)



自嘲気味に笑うゲキカラ。





(ねぇ、怒ってる?









…部長)





その表情は、死闘を繰り広げていたとは、思えないくらい





安らぎに満ちていた。





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都内の某救急病院ー





深夜に運ばれてきた、救急の患者がいなくなり、騒然となっていた。



「あの身体で…、いったいどこへ…」





彷徨い続けた少女の行き先は、決まっていた。








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マジすか学園2☆特別編集#2(ゲキカラ1)

わたしは彷徨う



あのひとがいない世界を



光が見えない



あのひとの笑顔がわたしの太陽



わたしに初めてを教えてくれた



なぜ



もっと近くにいれなかったのか





わたしは彷徨い続ける



あなたを見つけて



問いかけるまで







「ねぇ、怒ってる?」





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わたしは彷徨う



あのひとのいない世界をー





大都会東京。



眠らない街



新宿ー



夜になっても、昼と変わらない明るさ、そして、それ以上の華やかさを撒き散らす。



でも、わたしにとっては、あのひとのいない世界など、闇に等しい。





わたしは、今日も、彷徨う。回遊魚のように



あのひとをさがしてー



いるはずのない、あのひとをー





あのひとに、言いたかったことは、ただひとつー





『ねえ…怒ってる?』







連夜のように、新宿の街を、彷徨い歩くひとりの少女。





人混みのなか、センスの良いロック調のファッションと、眉目秀麗な顔立ちは、行き交う人々を振り向かせた。





ただ、表情は乏しく、圧倒的に近寄りがたいオーラも醸し出していた。





そんななか、大きめのサングラスをかけたスーパーモデルのようにスタイル抜群の女性が近づいてきた。ゆるふわカールのヘアスタイル、モノトーンのジャケットに、ミニスカート、赤いパンプスが印象的だった。



女性が、おもむろに

少女に声をかける。



素通りしようとする少女に、ふたたび、声をかけ、自分のケータイを手渡した。



少女が、ケータイを耳に当てる。





少女の表情が一変した。




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ついに、シノブの剛腕に捕まってしまった前田。



シノブは二本の足で、どっしり構え、太い両腕で、前田の細い首を締め上げる。

首吊り状態だ。



かろうじて、前田は、左手を、シノブの手と自分の首の間に入れ、窒息を防いでいた。



しかし、シノブの握力は、推定500キロは超えるといわれるゴリラ級。

前田は、段々、意識が薄れていくのを感じた。



「離せ!この野郎!」



ウナギとムクチが、腕を引き剥がそうと、殴ったり、引っ張ったりしても、まったく、意味はなかった。



「ウガッ!」



前田を宙吊りにしたまま、ウナギとムクチを足蹴にし、軽く弾きとばしてしまう。



何度も、何度もー



シノブに向かっていっては、はじかれ、飛ばされ、コンクリートの床をすべる。トレードマークのジャージはもちろん、二人の体も、ボロボロだった。



「ちっくしょー!あきらめんじゃねーぞ!ムクチ!」

ウナギが、口の血を拭いながら、檄を飛ばす。





「そうだ!あきらめんじゃねー!」



この声はー?



ウナギとムクチが、振り返る。



先程まで

意識不明だった

ヲタが、立ち上がろうとしている。





「オレも…いるぜ…」



「オレだって…まだ…やれる」



バンジーとアキチャも、重い体を起こそうとしていた。





「み…みんな…」



薄れゆく意識の中、チームホルモンの復活を感じとった前田。



宙吊りにされ、だらりと伸びていた右腕に最後のちからを込め、

シノブの左腕にパンチを打ち込んだ。





「ウガ!」



シノブが、苦痛に顔を歪める。





「いまだ!突っ込め!」

ヲタの指示で、チームホルモン全員が、同時に体をシノブにぶつけていった。



「ガアァ!」



苦悶の表情のシノブ。

前田の首を圧していた腕が、ゆるんだ。



「ああああああああ!」

前田が、シノブの腕をギリギリと引き剥がし、宙吊りの状態から、シノブの巨体を駆け上がり、肩を踏み台とし、宙に舞った。



そして



空中で、一回転し、その勢いで、見上げるシノブの顔に、





強烈な頭突きを



くらわせた。





ズッズーン…



重い衝撃が、室内を揺るがす。

ついに

巨獣が、崩れ落ちたのだ。





「やったー!」



「やりやがった…」



大喜びで、前田の周りに集まるチームホルモン。

「みんな…無茶しやがって…」



「お前もな」



バンジーの言葉が、みんなの表情に笑顔を取り戻した。







「ウガアアアアアア!!!」

突然ー



獣の咆哮



ガチャーン!ガチャン!

仁王立ちで

いままで、動きの制限されていた鎖を、全て引きちぎるシノブ。





直後



暴風のような嵐が、室内に吹き荒れた。



嵐が止んだあとー



前田とチームホルモンは、傷だらけになって、コンクリートの地に、這いつくばっていた。



シノブの凶暴性は、最高潮に達していた。



「く…くそ!」



「バケモン…が…」



安堵の思いが、一転



絶望感が、漂い始めたときー



バーン!



部屋の入り口の鉄の扉が、勢いよく、開かれた。



「フフフ…ハハハハハハハハハハハハ…」



特徴のある笑い声ー





扉を蹴りとばし、あらわれた

ロック調のファッションに身をつつんだ眉目秀麗な少女はー



マジすか女学園

ラッパッパ元四天王



ゲキカラこと、松井玲奈、そのひとだった。



小首を傾げて言う。





「ねぇ、怒ってる?」
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