マジすか学園2☆特別編集#3(ゲキカラ2)
「…ゲキカラ…どうして?」
前田も、チームホルモンも、皆、信じられないといった思いだった。なぜ、いま、この場所に、あのゲキカラがいるのか、と。
ゲキカラが、つかつかとヲタに近づく。
殺られる、と内心、ヲタは思ったに違いない。
すると、ゲキカラはヲタの襟首をつかみ、部屋の外に放り投げた。
子猫扱いだ。
他のチームホルモンのメンバーも次々と、部屋の外に放り投げられていく。
最後に、前田のところへ近づいた。
すっと
立ち上がるように、手を差し出すゲキカラ。
「どうして、ここに?」
「血のにおいが、したんでな」
実際は、謎の女性との出逢いが、ゲキカラをここへ誘(いざな)ったのだが。
卒業式以来、雰囲気が変わったように思えた。
ゲキカラが、前田の背中を押し、部屋を出るよう促す。
その間、シノブは、ゲキカラの一挙一動を注意深く観察していた。
不用意に手を出しては、危ない。
野性のカンが、そう警告していた。
「前田!お前は死神なんかじゃない。そして…ひとりでもない」
仲間は、いつだって、そばにいる。
「後ろを振り向くな!生きろ!」
勢いよく、背中を押され、チームホルモン同様、前田も部屋の外に出されてしまった。
そして、ゲキカラは、鉄製の重い扉を閉めた。
「わたしも…ひとりじゃなかった。もう、彷徨うことはない…」
「ウガアアアア!」
シノブが、威嚇している。
「フフフ…ハハハハハハハハハハハハ…
…殺す」
「まさかの展開…だな」
本部司令室のアカネは、身を乗り出して、モニターを注視していた。驚きは隠せない。
反対に、マサナは冷静さを保っていた。表面上は。
「先程、モニターで、侵入を確認していました。まさか、とは思いましたが…」
嬉しさで、震えているようにも見えた。
「…彼女には、何度か、煮え湯を飲まされていましたから。ちょうど良い機会かと」
制裁のー
「これも、ゲームのうえでは、想定の範囲内なのか?お偉いさんたちは、納得するのかねえ?」
「まったく、問題ないと思われます」
「根拠はあるのか?」
アカネの詰問に、マサナは、口の端をゆるめて言った。
「そちらのほうが、面白いから…という理由では、いけませんか」
「ははは!確かにな。おれも、ゲキカラとは一度、やり合いたいと思ってたが…さて、鎖を外したシノブに勝てるかな。狂獣vs狂戦士。さいたまスーパーアリーナ満杯に出来そうな対戦だな」
「まさに、夢のカードですね…」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「フフ…ハハハハハハハハハハハハハ…」
「ウガアアアア!」
四階では
何人(なんぴと)も、足を踏み入ることの出来ない
人外の激闘が繰り広げられていた。
ゲキカラが、シノブの突進を笑いながら、かわしている。さながら、マタドールのように。
鎖から解放されたことにより、自由度もスピードも上がってはいたのだが、ゲキカラは、完全に動きを見切っていた。
「ガァ!」
四つん這いのシノブの突進を、ひらりとかわし、後ろから蹴りを入れ、勢いを増し、壁に激突させる。
「ハハハハハハハハ!」
ゲキカラの距離感は見事というほか、なかった。
幾度となく、コンクリートの壁や床に、叩きつけられ
翻弄され続けるシノブ。しかし
構わず、突進を繰り返す。体力は無尽蔵なのか。
何度目の突進だったろう。
この突進も、かわせるはずだった。
神様のいたずらかー
ゲキカラの足元が、揺れた。
地震だ。
一瞬
バランスを崩すゲキカラ。
それを、シノブが、見逃すはずがなかった。
「ウガア!」
モロに、シノブの突進を受け、ゲキカラは、壁に吹き飛ばされる。
「くっ!」
壁を背にしたゲキカラに、さらに体当たりを敢行する。
「ぐはっ!」
血を吐くゲキカラ。
そして、シノブは、ついに、獣の本性をあらわした。
「ぐあっ!」
ゲキカラの短い絶叫。
シノブが、ゲキカラの左脇腹に噛みついた。
「ぐあああああ!」
「出たな。野性の本能が…」
「野獣の捕食が始まってしまいましたね。こうなっては、もう…」
アカネもマサナも、すでに勝負は決したかのような雰囲気だ。獲物の腸(はらわた)に喰らいつき、シノブが、はなすはずがない。
「ゲキカラも、地震と野獣には勝てず…か。運がなかったな」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
ジリリリリリリリリ…
本部司令室に鳴り響く
緊急警報のベル。
「なんだ?」
アカネがうるさそうに、部屋を見渡す。
「状況を説明しなさい」
マサナは、すぐさま、冷静に、ビルのシステム担当者と連絡をとった。
「四階のシステムに障害が…緊急災害システムが誤作動を起こしたようで…現在、原因を究明中です」
四階ー
天井に設置されたスプリンクラーから、大量の水が降り注いでいた。
意識を失いかけたゲキカラには、恵みの雨だった。
シノブは、突然の警報と体にかかる水に、多少、とまどいはしたが、ゲキカラの左わき腹から、牙を離すことはなかった。
ゲキカラが、そんなシノブを見下ろす。
その瞳に、一瞬、獣性が宿った。
ゲキカラがシノブの耳に噛みつく。
「ウガアアア!」
シノブは、叫び声を上げ、後ずさった。
シノブの左耳から、鮮血が、滴り落ちていた。
ゲキカラの口からも、同じようにー
ぺっと、肉片を吐き捨てるゲキカラ。
この躊躇の無さが、ゲキカラのゲキカラたらしめるものだった。
「フフフ…ハハハハハハハハハハハハハハハ…
…わくわくするよ!」
態度とは裏腹に
ゲキカラの左わき腹からは、大量の出血が見うけられた。
それだけではなく、
先刻のシノブの突進によって、肋骨が折れ、それが肺につき刺さっていた。
出血は
致死量に迫っていた。。
チアノーゼ状態ー
シノブのほうはというと、痛みと出血で、怒り狂っていた。
「ウガアアアアア!」
これまでで、一番迅い突進が、深傷を負ったゲキカラを襲った。
次の瞬間
二人の時間(とき)が止まった。
ゲキカラの右拳が、シノブの顔面の急所、人中にめり込んでいた。
一撃必殺の急所だ。
シノブのこれまで蓄積されていたダメージが、一気に膨れ上がる。
それでも、なお、動き始めようとするシノブに、
ゲキカラは、ジャンプ一番、首の急所、延髄に蹴りを放った。
こちらも、一撃必殺の急所だった。
神速の一撃
シノブは、前方に、勢いよく倒れこんだ。
大きな音をたててー
巨大な山が…崩れた…。
部屋全体が、地響きと共に震えた。
そして、
ついに、野獣はコンクリートの床に同化し、
完全に沈黙した。
前田のー
チームホルモンのー
そして
ゲキカラの完全勝利だった。
「ハア…ハア…」
左わき腹を押さえ、出口を目指すゲキカラ。
目が霞む。足が鉛のように重い。
ゲキカラは
扉に辿り着く手前で、床に倒れ込んでしまった。
(こんなことじゃ…また…あのひとに怒られるな…)
自嘲気味に笑うゲキカラ。
(ねぇ、怒ってる?
…部長)
その表情は、死闘を繰り広げていたとは、思えないくらい
安らぎに満ちていた。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
都内の某救急病院ー
深夜に運ばれてきた、救急の患者がいなくなり、騒然となっていた。
「あの身体で…、いったいどこへ…」
彷徨い続けた少女の行き先は、決まっていた。

前田も、チームホルモンも、皆、信じられないといった思いだった。なぜ、いま、この場所に、あのゲキカラがいるのか、と。
ゲキカラが、つかつかとヲタに近づく。
殺られる、と内心、ヲタは思ったに違いない。
すると、ゲキカラはヲタの襟首をつかみ、部屋の外に放り投げた。
子猫扱いだ。
他のチームホルモンのメンバーも次々と、部屋の外に放り投げられていく。
最後に、前田のところへ近づいた。
すっと
立ち上がるように、手を差し出すゲキカラ。
「どうして、ここに?」
「血のにおいが、したんでな」
実際は、謎の女性との出逢いが、ゲキカラをここへ誘(いざな)ったのだが。
卒業式以来、雰囲気が変わったように思えた。
ゲキカラが、前田の背中を押し、部屋を出るよう促す。
その間、シノブは、ゲキカラの一挙一動を注意深く観察していた。
不用意に手を出しては、危ない。
野性のカンが、そう警告していた。
「前田!お前は死神なんかじゃない。そして…ひとりでもない」
仲間は、いつだって、そばにいる。
「後ろを振り向くな!生きろ!」
勢いよく、背中を押され、チームホルモン同様、前田も部屋の外に出されてしまった。
そして、ゲキカラは、鉄製の重い扉を閉めた。
「わたしも…ひとりじゃなかった。もう、彷徨うことはない…」
「ウガアアアア!」
シノブが、威嚇している。
「フフフ…ハハハハハハハハハハハハ…
…殺す」
「まさかの展開…だな」
本部司令室のアカネは、身を乗り出して、モニターを注視していた。驚きは隠せない。
反対に、マサナは冷静さを保っていた。表面上は。
「先程、モニターで、侵入を確認していました。まさか、とは思いましたが…」
嬉しさで、震えているようにも見えた。
「…彼女には、何度か、煮え湯を飲まされていましたから。ちょうど良い機会かと」
制裁のー
「これも、ゲームのうえでは、想定の範囲内なのか?お偉いさんたちは、納得するのかねえ?」
「まったく、問題ないと思われます」
「根拠はあるのか?」
アカネの詰問に、マサナは、口の端をゆるめて言った。
「そちらのほうが、面白いから…という理由では、いけませんか」
「ははは!確かにな。おれも、ゲキカラとは一度、やり合いたいと思ってたが…さて、鎖を外したシノブに勝てるかな。狂獣vs狂戦士。さいたまスーパーアリーナ満杯に出来そうな対戦だな」
「まさに、夢のカードですね…」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「フフ…ハハハハハハハハハハハハハ…」
「ウガアアアア!」
四階では
何人(なんぴと)も、足を踏み入ることの出来ない
人外の激闘が繰り広げられていた。
ゲキカラが、シノブの突進を笑いながら、かわしている。さながら、マタドールのように。
鎖から解放されたことにより、自由度もスピードも上がってはいたのだが、ゲキカラは、完全に動きを見切っていた。
「ガァ!」
四つん這いのシノブの突進を、ひらりとかわし、後ろから蹴りを入れ、勢いを増し、壁に激突させる。
「ハハハハハハハハ!」
ゲキカラの距離感は見事というほか、なかった。
幾度となく、コンクリートの壁や床に、叩きつけられ
翻弄され続けるシノブ。しかし
構わず、突進を繰り返す。体力は無尽蔵なのか。
何度目の突進だったろう。
この突進も、かわせるはずだった。
神様のいたずらかー
ゲキカラの足元が、揺れた。
地震だ。
一瞬
バランスを崩すゲキカラ。
それを、シノブが、見逃すはずがなかった。
「ウガア!」
モロに、シノブの突進を受け、ゲキカラは、壁に吹き飛ばされる。
「くっ!」
壁を背にしたゲキカラに、さらに体当たりを敢行する。
「ぐはっ!」
血を吐くゲキカラ。
そして、シノブは、ついに、獣の本性をあらわした。
「ぐあっ!」
ゲキカラの短い絶叫。
シノブが、ゲキカラの左脇腹に噛みついた。
「ぐあああああ!」
「出たな。野性の本能が…」
「野獣の捕食が始まってしまいましたね。こうなっては、もう…」
アカネもマサナも、すでに勝負は決したかのような雰囲気だ。獲物の腸(はらわた)に喰らいつき、シノブが、はなすはずがない。
「ゲキカラも、地震と野獣には勝てず…か。運がなかったな」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
ジリリリリリリリリ…
本部司令室に鳴り響く
緊急警報のベル。
「なんだ?」
アカネがうるさそうに、部屋を見渡す。
「状況を説明しなさい」
マサナは、すぐさま、冷静に、ビルのシステム担当者と連絡をとった。
「四階のシステムに障害が…緊急災害システムが誤作動を起こしたようで…現在、原因を究明中です」
四階ー
天井に設置されたスプリンクラーから、大量の水が降り注いでいた。
意識を失いかけたゲキカラには、恵みの雨だった。
シノブは、突然の警報と体にかかる水に、多少、とまどいはしたが、ゲキカラの左わき腹から、牙を離すことはなかった。
ゲキカラが、そんなシノブを見下ろす。
その瞳に、一瞬、獣性が宿った。
ゲキカラがシノブの耳に噛みつく。
「ウガアアア!」
シノブは、叫び声を上げ、後ずさった。
シノブの左耳から、鮮血が、滴り落ちていた。
ゲキカラの口からも、同じようにー
ぺっと、肉片を吐き捨てるゲキカラ。
この躊躇の無さが、ゲキカラのゲキカラたらしめるものだった。
「フフフ…ハハハハハハハハハハハハハハハ…
…わくわくするよ!」
態度とは裏腹に
ゲキカラの左わき腹からは、大量の出血が見うけられた。
それだけではなく、
先刻のシノブの突進によって、肋骨が折れ、それが肺につき刺さっていた。
出血は
致死量に迫っていた。。
チアノーゼ状態ー
シノブのほうはというと、痛みと出血で、怒り狂っていた。
「ウガアアアアア!」
これまでで、一番迅い突進が、深傷を負ったゲキカラを襲った。
次の瞬間
二人の時間(とき)が止まった。
ゲキカラの右拳が、シノブの顔面の急所、人中にめり込んでいた。
一撃必殺の急所だ。
シノブのこれまで蓄積されていたダメージが、一気に膨れ上がる。
それでも、なお、動き始めようとするシノブに、
ゲキカラは、ジャンプ一番、首の急所、延髄に蹴りを放った。
こちらも、一撃必殺の急所だった。
神速の一撃
シノブは、前方に、勢いよく倒れこんだ。
大きな音をたててー
巨大な山が…崩れた…。
部屋全体が、地響きと共に震えた。
そして、
ついに、野獣はコンクリートの床に同化し、
完全に沈黙した。
前田のー
チームホルモンのー
そして
ゲキカラの完全勝利だった。
「ハア…ハア…」
左わき腹を押さえ、出口を目指すゲキカラ。
目が霞む。足が鉛のように重い。
ゲキカラは
扉に辿り着く手前で、床に倒れ込んでしまった。
(こんなことじゃ…また…あのひとに怒られるな…)
自嘲気味に笑うゲキカラ。
(ねぇ、怒ってる?
…部長)
その表情は、死闘を繰り広げていたとは、思えないくらい
安らぎに満ちていた。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
都内の某救急病院ー
深夜に運ばれてきた、救急の患者がいなくなり、騒然となっていた。
「あの身体で…、いったいどこへ…」
彷徨い続けた少女の行き先は、決まっていた。
