マジすか学園3☆#9ー4☆
東京ー
息も切らさず、攻撃を続けてくるオメガ。汗ひとつかいていない。
機械的で敏捷な動きと、あまりにも造作が整いすぎた美しい顔が、さらに無機質な印象を与える。
血の気というものが感じられない。まさに戦闘機械。
対して、マナツとアイリの二人は、人間らしく、息が切れ始めていた。オメガの動きをまともに捉えられず苦しむ。身体中の傷が、ダメージの深さを物語っていた。
マナツは、アイリにある提案をする。
「…、長期戦は…、分が悪そうですね…、ここは、あの技でいきますか…」
「はぁ…、はぁ…、なんだ、あの技って?」
「フィンランド・ミラクルです」
「Okey-dokey…」
アイリが、うなずく。
マナツは、ゆっくりとオメガと距離をとりながら、アイリの前に立つ。アイリを覆い隠すかのようにー。
そして、オメガに向かい一直線に走り出した。
迎えうつ態勢のオメガ。
マナツが右の拳を振り上げる。その拳を振り上げたまま、攻撃を仕掛けず、瞬時に左に移動する。
オメガの視線が、マナツの身体に合わせ動いた。
その瞬間
狂える獅子ーアイリの俊敏すぎる跳躍からの、右の拳。獅子の牙をオメガの顔面に叩きつける。
オメガはマナツの影からのアイリの出現に意表をつかれ、モロに拳を受ける格好となった。
オメガの顔が、後方に吹き飛んだと思ったとき、何かに激突し、弾かれるように、逆方向にオメガの身体が飛んでいった。
後ろに、待ち受けていたマナツの“見えない拳”が、オメガを襲ったのだった。
カウンターのような激しい衝撃。オメガは、坂道を転がり落ち、うつ伏せになったまま動かなくなった。
「行き当たりばったりにしては、いいコンビネーションでしたね」
マナツの言葉に、納得のいかない様子で応えるアイリ。
「はぁ…、はぁ…、無茶ブリじゃねーか!ったく、なんなんだよ、フィンランド・ミラクルって」
「ただの思いつきです」
ふふ…と、楽しそうに笑うマナツだった。
二人の後方では
オメガが、何事もなかったかのように、むくりと起き上がる。傷ついた顔が、凄絶な美しさをさらに演出する。ダメージは、ないのか
相変わらず、無機質につぶやく。
「データ修正…、完了…」
「匂う…」
くんくんと、トリュフを探す豚のごとく鼻を動かしながら、四つん這いで商店街をねり歩く恰幅の良い少女。
金色の髪を振り乱しー。
精肉店のおじさんが、その存在に気づき、いつものように、その豚…、いや少女に声をかける。
「今日は、手羽先買っていかないのかい?」
「それどころやないんや!」
だるまは、好物の手羽先には目もくれず、器用に人混みをかき分け、四つん這いで走り去っていった。
「あつ姐!いま行きますよって!待っとってください!」




