AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」 -147ページ目

マジすか学園3☆#9ー7☆


「何をそんなに慌てている?」


学ランが、線路を渡り、悪魔のような少女、市川ミオリの横を走り抜けようとしたとき、暗く低い声が響いた。


ミオリから発せられた言葉だと気づき、外見との違いに、一瞬、戸惑う学ラン。

しかしー

「ちっ!矢場久根には関係ねーんだよ!忙しいから、またな!」


そう言って、学ランは勢いよく走り去っていった。


「学ランか…」

ミオリが低い声で呟く。

「マジ女は血の饗宴のいわばメインディッシュ…、いまはまだ…」


マジ女に協力する者たちを倒し、近隣の高校を支配下に置き、マジ女包囲網を築き上げ、最終的にマジ女を叩き潰すーそれが、矢場久根のシナリオ。
市川ミオリが描いた地獄の絵図。


「…ただ、駆けずり回っていればいい、その“とき”が来るまで…」





一方、


「姉貴ー!いましたか?」


「いや、いないねぇ…、なんだかもう、東京にはいないような気がしてきたよ」


歌舞伎シスターズの二人も、前田の行方を必死に探し続けていた。


「前田の姉貴が退学届を出して行方をくらますなんて…、きっと、何か大変なことが起こってるに決まってますよ!」


「そんなことはわかってんだよ!問題は、“何が”起こってるかってことだ」


「ですよね…すいません…、今度は、こっち行ってみましょうか?」


小歌舞伎が、走って来た方角と反対のほうを指差す。


「いや、待て!」

「どうしました?」

「あのひとなら、何かわかるかもしれない」


突然、通りに飛び出し、前から走ってくるスクーターの男性をひき止める大歌舞伎。無理やりにハンドルを奪い取る。
そして、小歌舞伎を呼ぶ。

「早く乗れ!」


「ど…、どこ行くんです?」

小歌舞伎が慌てふためいて後部席に乗るのと同時に、スクーターはふたりの歌舞伎風の制服をなびかせ、スタートを切った。一気に加速する。向かうはー


「六本木だ!」






大阪ー


“エリア”内にあるボクシングジムー


経営難により、いまは運営されていない。設備などは、そのまま残されていた。とあるフロント企業がすぐに買い取ったからである。裏社会と親交が深いディーヴァ。いまでは、ディーヴァ十二将のひとり、城(じょう)エリコの率いる隊員が集う支部となっていた。
現在、ファーストフード店を襲撃し、前田とアヤメを拉致した三十名ほどの少女が、広いフロアを占めている。


「城さんは、まだか?」「もうすぐ来るやろ」「こいつら、殴りたりんなぁ」「やめ!勝手なことしたら、城さんにぶっとばされるで」「城さん、活きのいい獲物が好きやからなぁ」


前田とアヤメの二人は、両腕を高く縛り上げられ、近くにあるサンドバッグさながら、無残にも吊るされていた。
二人ともうなだれていて、意識を失っているようだ。

フロアの中央には、四角いリングが存在感を示している。すべてのロープには有棘鉄線が巻かれており、周りは高い金網で囲まれていた。まるで鋼鉄の檻。

「城さん、来るまでに、少しくらいなら、ええやろ…、こいつに殴られた傷、倍にして返してやらんと、気ぃすまんわ!」

抑えが効かず、前田のまえに立つ少女。少しくらいならと、誰も止める者はいなかった。


「かわいい顔しとるなぁ…、いまからその顔、ズタズタにしたるわ!」

少女の右手のナイフが、鈍く輝いた。

マジすか学園3☆#9ー6☆


大阪ー


前田のさびしそうな表情から、たたかう者の悲哀をアヤメは感じた。


「協力するよ、わたしも…、ディーヴァには恨みがあってね…、止めても無駄だよ。もう、あいつらには仲間だって認識されてるだろうし…」


「アヤメ…」


「共同戦線ニャ」


「あなたも…、“バカ”なんだね」


「世界で二番目のね。世界一の称号は譲るニャ…、大丈夫、わたし逃げ足は速いから」


「知ってるよ」


前田の笑顔を受け止め
アヤメは、地図を取り出し、テーブル上に広げ始めた。

“エリア”の地図。

アヤメが説明する。

“エリア”とは、ディーヴァが治める裏の勢力圏。そのなかでの多少の揉め事は、警察はほぼ関知しない。間違ってディーヴァ以外のヤンキーが入っていけば、すぐにディーヴァによって排除される。
ディーヴァに挑戦しようものなら、たちどころに叩き潰され、病院送りか行方不明。別名“ヤンキーの墓場”とも呼ばれている区域だ。

かなり広く、大阪中に分布している。この中のどこかに、ディーヴァ総帥がいることは間違いない。


話の途中、前田のケータイに登録されていない番号から、着信があった。そっとケータイを耳にあてる前田。
アヤメも耳をそばだてる。


『よう来たな…前田』



「ディーヴァの…総帥か」

直感で、前田は理解した。

『しっかりと、果たし状は届いたみたいやな』


“岸野リカ”という名の果たし状。

「酷いことを…」


『そっちから出向いてくるとはな…、こっちから全面戦争、仕掛ける予定やったんにな』


「そんなことはさせない…そのために来たんだ」


『ははは…、そうやな…、将軍全員倒せたら、会(お)うてやってもええわ…、ははははは!なかなかおもろい趣向やろ。まぁ、無理やろなぁ…、捕食する者とされる者…、その立場が入れ替わることはないんや…、生と死。それが自然の摂理や』

どこまでも挑発的で、上から見下ろす物言いだった。

前田は、ひとつ気になっていることを言葉にした。


「お前…、高橋みなみを知っているのか?」


『ここに来ればすべてわかる…、すべてな…、来れるもんなら、来てみろや…前田!ディーヴァ全勢力がお前を襲う…
さぁ…、遊戯(ゲーム)の“はじまり”や…』


ははははは…と、笑声を残し、通話は途切れた。


はっとする前田。

いち早く、不穏な空気に気づく。

「囲まれてる…」

ファーストフード店の入口と裏口に、ディーヴァの特攻服を着た隊員たちが、店内の様子をうかがっている。


GOサインが出たのか
隊員たちは、木刀や鉄パイプ片手に、一斉に店内に踏み込んできた。
一般客から、悲鳴があがる。学生や、通勤前の女性、サラリーマンに対しても、まったく容赦なく凶器をふるい暴れ始める。血を流し倒れていく人々。
これが、ディーヴァのやり方。


「あいつら…」


前田は駆け出していた。怒りに震える拳。

こんなはずでは、なかったのに…。
誰も、巻き込みたくは…。


それほど広くもない店内。
椅子やテーブルが散乱し、前田の動きは制限されていく。

次から次と侵入してくるディーヴァの隊員たち。破壊されるカウンター、窓ガラス、テーブル、そして、人、人、人。


前田の鋭い拳が、ディーヴァ隊員にきまる。
しかし、ひとり、ふたり倒しても、焼け石に水の状態。

乱戦のさなか
前田の背後から、振り下ろされる木刀。

「あぶない!」


身軽なアヤメが身を挺して庇う。


「アヤメ!」

倒れたアヤメを引きずり上げ、殴りつけるディーヴァの隊員たち。

「おら!おとなしくしろや!」「こいつが、どうなってもええんか?」



「やめろ!その子に手を出すな!」

気をとられた
前田も後ろから木刀で殴られ、倒れこむ。


「連れてけ!公開処刑や…」


十分後

警察車両が到着したときには、もう、ディーヴァの隊員はひとりもいなかった。それから、前田とアヤメの二人もー。


あとには、惨劇の現場だけが残っていた。




東京ー


「敦子ー!」

学ランのかすれた声が街中に響く。

喉がつぶれかけるくらい叫び続けていた。

胸騒ぎしかしない。

あたりを見渡すが、前田の姿はない。

疲労で足がもつれ
踏切の手前で、倒れこむ学ラン。

「ちくしょー!はぁ、はぁ、敦子…、どこ行っちまったんだよ…、勝手にいなくなっちまいやがって…、どんな理由があろうと、会ったら、絶対、一発ぶん殴ってやるからな…」


くやしそうに
アスファルトの砂を掴む学ラン。

先が見えない。


カンカンカン…


「ちっ!」

踏切までもが、行く手を阻む。

電車が通り過ぎるのが、いつもよりとても長く感じた。

ようやく、ゆっくりと踏切が上がる。


踏切の向こう側に突然、瞬間移動でもしたかのように、少女がひとり、立っていた。


矢場久根の制服に、ツインテールの髪型をした、かわいい少女。

しかし、雰囲気は、

まるで

悪魔のようであった。

マジすか学園3☆#9ー5☆

病院ー


「わからへんなー。前田の行きそうなとこやなんて」


チームホルモンの五人は、前田の行方をさがし、キョウトが入院している病院に来ていた。


「あ…」と、何かに気づいた様子のキョウト。

「その花、昨日はなかった気ぃする…」


枕元の台の上の花瓶に、一輪の可憐な花が挿してあった。
ウナギは、人差し指を立て、病床(ベッド)の周りを歩き出す。

「つまり、こういうことだね、ワトソンくん。昨日の消灯時間から、今朝、キョウトくんが目覚めるまでの間に、何者かによって、飾られたものである、と。あえて、面会時間を避け、顔を見られることをきらった人物。そう、それこそ、まさに真の犯人…」


「誰が、ワトソンくんだよ!お前は名探偵かっての…」


ウナギの推理口調に、助手呼ばわりされたバンジーが非難の声をあげる。

「しゃべりすぎだ…、ペラペラペラコかよ…、たまには、ムクチにもしゃべらせてやれ」


ヲタも、ウナギに変なあだ名をつけて、ムクチをフォローするも、ムクチは相変わらず無口だった。


「…………」


「たしかに、その行動は前田っぽいな…、部室の奥にあった花とも同じだ…」

アキチャがそう言うと、チームホルモンも、全員うなずく。


「病院のひとに訊いてみたらどうやろか?」

とても建設的な意見が、キョウトから発せられた。



「ああ、この子ね…」


廊下を歩く看護師を引き止め、バンジーが前田の写真を見せると、あっさりとそんな答えが返ってきた。


「えっ!知ってるんですか?」


「ええ…、今日の朝早くに見かけたわね。それと、深夜に…、救急で運ばれて来た女の子がいてね…、この子が付き添ってたから、よく覚えてるわ」


「深夜に!?その運ばれて来た子って?」


そのとき
後ろの病室の名札に気づくムクチ。

そこには、聞き覚えのある名前が記されてあった。

『岸野リカ』とー。





昨夜ー

自室で勉強していた前田は、言いようのない胸騒ぎを感じ、家を飛び出した。

しばらく行くと
身体を引きずるようにして、歩いてくる人影を見つける。特攻服の少女。顔のあたりから、ぽたぽたと滴り落ちているのは汗ではなく、血だった。

前田を見て、安心したのか、崩れ落ちる少女。


前田がかがみ込み、抱きかかえてみると、その少女はディーヴァの軍師、岸野リカだった。

全身を殴られた傷跡。特攻服は血に染まっていた。軍を動かし、マジ女に敗北した責任をとらされた形の制裁だと思われた。


『前田…、逃げ…ろ…、みんな…、殺される…』

『岸野!』


『明日の…夜…、総…攻撃…』


『しっかりしろ!』


『お前には…感謝しとる…、だから、生きとってほしい…、総帥には…関わるな…、本当に恐ろしい“ひと”なんや…、お前の親友…“高橋みなみ”も…』


言い終える前に、岸野は意識を失った。
ほとんど、最後は聞き取れないくらいの声だった。
“高橋みなみ”の“死”に、ディーヴァが関わっている?


前田は、救急車で病院まで付き添ったあと、家に戻った。岸野の言ったことが頭をかけ巡る。
そして、机に向かったまま…、眠れない夜を過ごした。


明け方ー


決意を固めた前田は、立ち上がり、朝日が射し込む窓を開ける。
おもむろにハサミを取り出し、自身の綺麗な黒髪にあてた。


(みなみ…、行ってくるよ…)


はらはらと舞い散る黒髪。
窓から吹き込む風は、どこまでもやさしく、前田の頬をなでていった。