後田さんに資格なし | 池上秀司のブログ

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日経電子版ではつまらない後田亨さんのコラムが続いていますが、基本中の基本を間違えています。

年金保険、35年も先の「おいしい話」に湧く疑問

どこがアウトかというと以下です。

65歳時点で解約すると487万6900円弱の払戻金があります。この金額を、保険会社が保険料計算の利率を決める際に目安としている1%で現在の価値に割戻してみると、344万円強になります。

「保険会社が保険料計算の利率を決める際に目安としている1%」とありますが、この利率は預金の利率とは異なる「予定利率」という保険特有の利率です。一方で「344万円強になります」というところでは、いわゆる預金の利率で計算をしています(しかも課税を無視している)。

預金の利率と予定利率は似て非なるものなので消費者が混同しないようにキチンと分けて説明しなければいけないというのは基本中の基本ですが、このような記述をすれば一般消費者の皆さんは予定利率と預金の利率と同じようなものだと誤解します。保険は預金と違うのですから、単純比較で解決する話ではありません。

実は後田さんにとってはその誤解が大切で、「積み立て型の保険はダメ」という印象操作をするには消費者の誤解に頼らざるを得ないからです。予定利率と預金利率の区別をしないというのは、「アクセルとブレーキの違いがわからない」「カレーとウ○コの違いがわからない」というレベルなので保険を語る資格がありません。助言としては欠陥商品。一からやり直しです。

そういうえば、後田さんは以前このコラムで「自分は保険を全部止めた(解約した)」という旨の記述をしていました。先日ふと思ったのですが、確か後田さんは消費者が保険加入を検討する際は「担当者がその保険に入っているか聞け」という指南をしていたはずです。要は、担当者は自分では損しない保険に入っているだろうから、それを確かめるためにも担当者がその保険に入っているかを確認しろ」ということなのだと思います。

後田さんは自称とはいえ保険コンサルタントを名乗るならば「どんな保険に入ったらいいですか?」という問いに応える提案をする立場であるはずです。そこでですが、この流れでお客様から「後田さんはどんな保険に入っているのでしょうか?」と聞かれたら「私は加入していません」と答えるしかありませんよね。自分が加入していない保険を提案する担当者が×という理屈で考えれば、保険に入っていない後田さんはどんな保険を提案しても×という理屈になるのではないでしょうか。否定の繰り返しは論理の破綻を招くということの典型です。

つまり、自分自身で「どんな保険に入るべきかのアドバイスをする資格がない」といっているようなものです。私からすれば保険の営業担当を蔑むくせに、自分は同様のこと(いや、加入していないのだからそれ以下)をして消費者からお金を巻き上げる方が悪徳かつ無責任です。保険コンサルタントは自称でしかなく、「ただの保険止めさせ屋」という肩書きがピッタリです。

この後田さんという方は保険を否定するだけで、その対案は絶対に示しません。実力も自信もないのでしょう。今回のように、預金の利率と予定利率の区別もしないでケチをつけ、それを上回る提案をしないなどというのはただの卑怯者です。保険をアドバイスする実力もモラルも備えていません。