否定の繰り返しは論理の破綻をきたす | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

前回の投稿に出てきたコラム にこんな記述があります。


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 「当たりが多く出そうなクジ」は、いくらで売られるでしょうか? 情報開示がされていないので、ここからは推察ですが、仮に「医療保険」の経費率が宝くじ並みだとしたら、10万円の当たりクジは20万円くらいで売られるはずです。そんな仕組みと関わる場合、たくさん当たりが出そうな年齢の人ほど、より高いクジを買って多くを期待した方が良いでしょうか? 違いますよね?

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これ、意味もよくわからないのですが、根本的に間違ってますよね。


・医療保険の経費率が宝くじなみ⇒後田さんは「確率」に着目して「保険は宝くじ」という表現を用いていましたが、この「経費率」の「率」は「割合」のことです。とっ散らかって「確率」と「割合」を混同しています。


・保険は宝くじ」という言葉を普及させたいがために、確率から割合に論点がすり替わり、「経費率を同等とする」のは強引過ぎます。「推察」と書いてあるとおり、まったくの無根拠ですから議論に値しません。というか、ホント意味不明です。


・「より高いクジ」というのは「値段」のことをいっていると思うので、「高い保険料」と解釈できます。そうだとすれば、表面的な保険料だけの判断で、保険料支払期間が欠落してます。表面的な保険料が高いけど最近加入した人と、表面的な保険料は低いけど若い頃から加入していたのかでは、影響はまったく異なります。画一的な判断はできませんので、やはり、宝くじに結びつけるのは無理があります。


・現実世界で10万円のクジが20万円で売られる(売れる)ことは100%ない。あったら、教えてください。


もう、このコラムを書いている後田亨さんも限界が近いですね。保険の足を引っ張りたいということに奔走するあまり、非現実的な話題を持ち出さないと記事が書けなくなっています。とにかく例えが下手糞で読みにくい(理屈が通らない)。どんどん本筋からズレてきて、苦し紛れの捏造文章になっています。


「それくらいのお金が自由になる方であれば、『医療保険』も『がん保険』も不要でしょう」という記述があります。論理的に考えれば、それ程自由になるお金がない方にとっては保険は必要ということになります。そういう方にとっては「保険は宝くじ」なんて言葉はなんの意味も持たない戯れ言です。それこそ、後田さんが「お金がなければ以下の保険を」と勧めていた事実だってあります。(CIRCUS平成20年5月号)


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ちなみに、この号には私と内藤真弓さんという方も出ていました。この特集に携わって凄く面白かったのは、校正のときと出来上がりの誌面で、私以外の二人はお勧めの保険種類がいくつか変わっていたということです。普段から保険に携わっていればそういうことは起こりませんから「付け焼刃ってバレバレじゃん!」と笑ってしまいました。まぁ、それがわかるのは校正を見ている私だけですが。


否定ばかりを繰り返していると辻褄が合わなくなったり論理が強引になったりし、自分の発言の信憑性を自分で下げます。論理的思考能力の欠如した人に見られる典型的な特徴です。いざというときのために保険に入っておくという人はいますが、いざというときのために宝くじを買う人はいません。このように、保険と宝くじはまったく違いますから本来例えにも使えません。


そして、以下の記述が後田さんの無責任さを証明しています。

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 実際、保険を解約した後に限って、それまで健康そのものだった方が、長期の入院生活を余儀なくさせられるようなことも「絶対にない」とは誰にも言えません。現実にそんな展開になった場合、「解約していなければ……」と後悔する人も少なくないでしょう。

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後田さんにとっては自分の主張さえ通れば、他人は不幸になっても構わないということです。これは無責任以外になんと表現したらいいのでしょうか。普通は軽蔑されます。確かに保険に入り過ぎるのはどうかと思います。そこは私も同感です。しかし、「適正な保険に加入すること」、「保険に加入していないで医療費がかさむこと」のどちらがギャンブルなのかがわからなければ単なる大馬鹿です。こういうことを平然と発言できるというのは、現場経験が少なく感性が鈍い証拠です。


確かにコンサルタントも人間ですからそれぞれの価値観があるでしょう。その人なりの「保険観」もあって当然です。しかし、「保険加入×、保険未加入」という余りに偏り過ぎた考えはバランス感覚が悪過ぎてコンサルタントとはいえません。自分の価値観を押し付けるのではなく、クライアントの価値観に合った提案をするのがコンサルタントの仕事、つまり「クライアントありき」です。後田さんコンサルティングって、クライアントに会う前から「とにかく解約」ですよね。これの一体どこがコンサルティングなのでしょうか?で、その後、病気になろうが知ったこっちゃないというのでは、まともな人間の神経とは思えません。


つまり、「保険加入、保険未加入」という中立なスタンスで「クライアントにとってのななにか?」を導き出していくことがコンサルティングの醍醐味であり、難しいところです。「保険は不要」というなら無理矢理加入させることもありませんし、「安心したい」という方にはどういった保障環境を構築していくかを一緒に考えればいいでしょう。後田さんは「とにかく保険を止めさせるのだけが生き甲斐」という今のスタンスを変えないと、永遠に「(自称)コンサルタント」の域を超えません。