96番 昔を懐かしむ年齢になって
96番目の詩。懐かしい先生からメールをいただいて。
昔を懐かしむ年齢になって
渡良瀬川でメダカと遊んだ日々を思い出す。
幼心に父と母がいない疑問は湧かず
自然への憧れが輝くだけだった。
学校に上がる頃
母が迎えに来て東京に出た、
その時から人生の矛盾に襲われて
暗いトンネルに入ってしまった。
僕にはもう常識などという環境は許されず
当たり前に家族をやっている友達たちを羨み
いつも死の陰の谷を歩んだ。
純粋な何かに強く憧れた。
原風景というのだろう、
あの澄んだ水の流れとメダカが
心の奥底にいつもあった。
山椒魚の心をかならず癒してくれた。
働き盛りの頃に僕を支えてくれた先輩から
メールをいただいた。
同じような原風景が語られていた。
僕は永遠を感じた。
95番 七夕の日にあなたと私は
95番目の詩。七夕の日を思って。
七夕の日にあなたと私は
星の世界でまた会えましたね。
目を閉じて無限の闇の中で
温かい何かが二人の中で流れましたね。
あなたと私には何も見えませんでしたね。
性の違いも、お互いの違いも見えず、
ただ一つの何かを感じましたね。
目に見えぬ神がいるようでした。
喧嘩をしたい人にはミサイルを、
一国一城の主になりたい人には家来を、
お金がほしい人には錬金術を、
あなたと私には一年に一度の愛を。
94番 欲望という名の電車に乗って
94番の詩。都議会選挙の結果を見て。
欲望という名の電車に乗って
あの人も、この人も、動いている。
選挙カーに乗って
あの人も自分の欲望を語っていた。
百万円が入った封筒を持って、
お前はこれが欲しいのだろうと
アピールしている人もいて、
彼の言葉は喧噪の中に消えた。
誰でも、僕も、
欲望という名の電車に乗っている。
切符はお金で買わなければならない。
最近の豪華列車の切符はいくらなんだろう。
でも、もう「僕は嫌だ!」
人の欲望に振り回され、
利用され、搾取され、馬鹿にされるのは。
嘘をつく人たちに笑顔でさようなら。
もう僕はあの電車には乗らない。
ごめんね、だから君は僕をこれ以上利用できない。
それでも僕につき合ってくれるなら、
君が僕を愛してくれるしかない。