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93番 愛より急ぐものが

93番目の詩。「やすらぎの郷」の主題歌を聴きながら。

 

愛より急ぐものが

どこにあったのだろう。

あったさ。

あの地獄から抜け出ることさ。

 

悪魔は底知れぬ深淵の縁に座って

これからの旅に思いを巡らす、

彼は自分の自由を渇望し、

神の支配に抵抗した。

 

僕の人生はがんじがらめだった。

なんども怒った、

何度も怯えた、

なんども泣いた。

 

僕の求めたものは、

マッチ売りの少女が教えてくれた。

僕を永遠に愛してくれる誰か、

父や母だったらよかったのに。

 

僕は愛に裏切られ、愛を呪った。

だから、あの悪魔が今でも僕のはらから。

でも、悪魔を神の支配から解放してくれる

自由の人は、あの愛の人だった。

 

 

 

 

 

 

 

92番 死を忘れるなと

92番目の詩。空き室になったビルをながめて。

 

死を忘れるなと

空室になったビルが警告する。

伊勢丹の向いの

繁華街のビルの一階と二階。

 

コンビニはどこにいったのだろう。

ハンバーガー店はどこにいったのだろう。

行く川の流れのごとく

過去へと消え去ったのだろうか。

 

僕の後を死が付いて来るような気がした。

もうすぐ追いつき、時は来るのだろうか。

義父のショートステイ先で見た

車いす、車いす、車いす。

 

じっと座って動かない

老人、老人、老人。

死を忘れるなと僕を見つめる、

僕は笑顔を忘れず彼らの目を覗き込んだ。

 

やがて僕の皮膚もぼろぼろになり、

点滴を刺す血管もなくなり、さよならする時がくる。

今、あなたの忘れていった傘が

僕の傘に寄り添ってくれている。

 

91番 高校生の頃

91番目の詩。若い時にお金を稼ぐ喜びを覚えたことを思い出しながら。

 

高校生の頃

土日はビル掃除のアルバイトをやった。

平日は放課後

池袋のアメリカ屋靴店で働いた。

 

学校の勉強に興味を失った僕は、

学校へは好きな女の子に

会いに行くことしか意味を見いだせなかった。

高校の勉強などむしろ馬鹿にしていた。

 

教科書を暗記することに

一生懸命になっている仲間を見ると、

金を稼ぎもせずに一人前の顔するなよ、

と大人ぶっていた。

 

僕は自分で働き

早く自立したかった。

孤独でもいい、自由になりたかった。

家族の鎖を断ち切って自由になりたかった。

 

意に反して大学へ行き、シェイクスピアと出会い、

僕は試練に耐え、自由を勝ち取った。

自分のやりたいことをやって金を稼ぐ、

自由があれば、生きていくことは楽しい。