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120番 彼は、幼い頃から見つめた

120番目の詩。物語を書きたくなって、その始まりを思いながら。

 

彼は、幼い頃から見つめた

満天の星の中に

燦然と輝き自分に語りかける

一つの星を見つめていた。

 

彼が誕生した時も

子供たちの悲鳴を肌で感じた時も

父と母と故郷を去った時も

その星が彼を見つめていた。

 

オリエントの地で

瞑想に没頭した頃も、

生きながら天に昇る魂の奇跡を

知った時も、彼に語り続けた星。

 

彼は、それが神と呼ばれる存在であると知り、

そして、その愛を感じ、受け入れた。

どんな痛みも感じさせない幸せを伝えようと

今、彼は微笑んで手の釘を見つめた。

 

 

 

119番 暗いポストの中に

119番目の詩。ワーズワースの「水仙」を思い出しながら。

 

暗いポストの中に

一枚のチラシと一通の葉書、

こんな光景が電車に乗っている

僕の心の目に浮かんだ。

 

往きの電車に揺られ

座席で何となくうとうとしてしまう。

スマホをやらない僕には

この一幕は人ごみの孤独。

 

みんな、仕事に向かい、

同じ日々のくり返しなのかな。

なんだか死ねないから生きている、

流行の幸福論はどこに行ったのだろう。

 

帰りも優先席に座れ、

孤独の喜びに揺られて帰宅。

ポストを開けると、一枚のチラシ、

そして、あなたからの絵はがきがあった。

 

118番 里山の空き家に足を運んだ

118番目の詩。ニホンカモシカと遭遇して。

 

里山の空き家に足を運んだ。

ゴミ屋敷と呼んで3年は経っただろうか。

人生にはいつかこのような時が来る、

誰も住まない家がそう言う。

 

外で人びとがザワツイテいる。

何事が起きたのだろう。

すると突然、畑に動物が現れた。

僕の方に走って来た。

 

空き家の庭で見ていた僕は

その生き物と目が合ってしまった。

なんだか憎めない目をしていた、

そして短い角がニホン生えていた。

 

僕はただその目を見つめ続けた。

ニホンカモシカだそうだ。

僕の目の前を走り去っていった。

僕は神と出会ったと思った。