141番 洗い物が好きだ
141番目の詩。洗い物をしながら。
洗い物が好きだ。
石けんの泡、
流れる水、
汚れがどんどん消えて行く。
幼稚園のころ、
いなかで祖父母と暮らしていた。
僕は楽しくて
走る機関車に石を投げつけていた。
すると、大人たちが集まって来て、
怖い顔でにらまれた。
僕は怖くなって逃げ帰った。
大好きなおばあちゃんに叩かれた。
この洗濯をしたら許してあげる、
おばあちゃんはにこにこ言った。
洗濯板で泣きながらごしごし洗った、
罪がどんどん消えていく感じがした。
140番 ごめんね、嘘をついて
140番目の詩。過去の痛みをなつかしく思い出して。
ごめんね、嘘をついて、
結婚してほしい、って君が言ったんだ。
ごめんね、嘘をついて、
他に好きな人がいる、って僕が言ったんだ。
ごめんね、あの嘘が、
なぜ本当のことを言わなかった、と責めるんだ。
愛を失ったのは、
本当のことを言わなかった僕の罪。
狭いアパートで
母と息子の二人暮らし、
僕には君が眩しすぎた、
本当のことを言うべきだったんだ。
愛してくれて、ありがとう。
僕も君を愛しているよ、
愛し合えて良かったね。
勇気がなくて言えなかった。
立派な結婚をして、
子供に恵まれ幸せだって聞いたよ。
僕はまだ母と二人暮らし、
君の幸せが心を癒してくれる。
愛してくれて、ありがとう。
僕も君を愛しているよ、
愛し合えて良かったね。
勇気がなくて言えなかった。
139番 幼い頃、僕は
139番目の詩。女性と関わり合う不思議さを感じながら。
幼い頃、僕は
女の子とよく遊んでいた。
就職も女子短大、
今も女子大で非常勤。
でも、恋愛は辛かった、
敵を愛するような経験だった、
女は異性で、
異性間コミュニケーションの研究だった。
敵を愛せよ、という言霊を感じ、
僕は異性を勉強した、
構造、生理、病気、心理、欲望、
愛と孤独。
敵を愛する魔法があった、
それは天から僕に授けられた秘術、
自分を語らず、笑顔で、あなたの話を聴くこと、
今、僕は、敵を愛する人間になれた。