大阪のロック・バンド、アカシアオルケスタのフリー・ライブを観るために吉祥寺へ。

新宿のさらに先で、千葉県民からすると気軽に足を運べる土地ではありませんが、関東圏では年に数回しかライブが行われないため、見逃せない貴重な機会です。その前日(6/11)にも、同じ中央線沿線の下北沢のライブハウス「ReG」に出演しましたが、そちらは仕事の都合で泣く泣く断念。昨年末にメジャー進出を果たし、日本コロムビアから通算3枚目のアルバム『タイクツシノギ』をリリースして以降、私にとっては初めてのライブとなります。

会場の「アトレ」は駅ビルで、ライブはその地下1階にある「ゆらぎの広場」で行われました。当初は3月27日に予定されていたのが、震災の影響で延期となったそうです。

13時、15時、17時の3回公演。周囲の店舗に配慮し、ドラムスをカホンで代用するアコースティック・セットとなっていました。地元大阪で不定期に行われている路上ライブと同じ形態です。

またベースも通常のライブと違ってエフェクターは使用せず、『狗尾草』や『フカンゼンハンザイ』などの激しい曲は演奏されませんでした。その代わりiTunes限定配信のシングルから『フラッシュバック』、インディーズ時代のシングル『プレイゲーム』のカップリング曲『あなたのあたし』といったレアな曲を楽しむことができました。セットリストは毎回微妙に異なりましたが、ラスト2曲『大嫌い』『プレイゲーム』の流れは鉄板です。

ライブハウスでの演奏とは趣が異なり、全体的にリラックスした雰囲気ですが、もちろん気を抜いているわけではありません。とくに壮大なバラード・ナンバー『息吹』での岬嬢の熱唱からは、遠くの地で今日も被災なされている方々に向けた祈り――そして音楽という間接的な手段でしかそれを表現できない非当事者ゆえのもどかしさ――がひしひしと伝わってきました。
 
ショッピング・モールでのフリー・ライブということで、親子連れや年輩の方々が多く足を止めていました。2回目の『大嫌い』の途中、お母さんの膝枕でうたたねしてしまった女の子を、岬嬢がじーっと見つめる微笑ましい一幕も。
 
なお、各回演奏終了後には『タイクツシノギ』の即売と、それを購入した人だけが参加できるサイン&握手会が行なわれました。またこの会場で販売した分にかぎり、特典としてフライヤーに使用されていた宣材写真の原版がもらえました。
『暗黒舞踏会2011』と銘打たれたHMV主催のイベントに行ってきた。去年の夏にワンマン・ライブを観たLIGHT BRINGER、そのヴォーカリストFUKIとベーシストHIBIKIが参加するメロディック・スピード・メタル・バンドDRAGON GUARDIAN、そしてMinstrelixの3マンである。

この日のメイン・アクトDRAGON GUARDIANは、【勇者アーサー】を名乗るギタリストを中心とする同人音楽プロジェクト。コミケで頒布していた1stアルバム『聖邪のドラゴン』をディスク・ユニオン新宿メタル館に卸したところ大反響を呼び、メジャー・レーベルからアルバムを出したこともある(が、倒産により数ヶ月で廃盤)。HIBIKIは2ndアルバム『遥かなる契り』から、FUKIは3rdアルバム『ドラゴンヴァリウス』から参加している。

同人音楽という性質上、活動はスタジオ・レコーディングが中心。ライブは数年おきにしか行なわないということなので、今回は貴重な機会と言える。なお当日のサポートはFUKIとHIBIKIの他にも、KNIGHTS OF ROUNDのギタリストYAZIN、元まふまふのドラマーK野、スタジオ作品でもキーボードを担当する蒟蒻が参加した。

会場は鶯谷の「東京シネマクラブ」。といっても映画館ではないが、たいていのライブハウスが地下なのに対し、ビルの6階にあるという変わったシチュエーションだ。

1組目からLIGHT BRINGER。『真夜中のサーカス』のイントロで、フロントの4人が中腰になり、揃って上半身を「かくかく」と動かすのが可愛い。

見所としては、発売されたばかりのシングル曲『BURNED 07』も披露された。しかし2ステージ立つFUKIとHIBIKIの体調を気遣ってか、たった5曲で終了。あくまでも顔見せといったところだ。

続いてMinstreliX。聴くのも観るのも初めてだが、ヴォーカリストのLeo Figaro(ちなみに日本人)はEYES OF FENRIRやMARCHEN STATIONなどといったプロジェクトに参加しているので名前だけはよく目にしていた。たしかに1分以上も声を伸ばすなど卓越した歌唱力で圧倒する。シアトリカルなポージングも含めて、メタラーというよりミュージカル歌手に近い雰囲気。

このバンドもメロスピ系であるが、アニソンを下地にしたLIGHIT BRINGERやDRAGON GUARDIANとは正反対で、全編英詞の洋楽志向。V2の頃の小室哲哉によく似たキーボーディストが、なぜかキーボードを客席に向けて立てて弾いていたのが印象的だった。ちなみに、このライブをもってドラマーがプロを目指すため脱退するという。

そしてDRAGON GUARDIANの出番が近付くと、ステージ後方のスクリーンにバンドのロゴが映し出される(なお演奏中にもCDブックレット掲載のイラストの他、ヨーロッパの町並みや聖堂の内部などを流して、ファンタジックなムードを盛り上げていた)。

4thアルバムにして現時点での最新作『真実の石碑』のオープニング曲『魔神覚醒』をバックに、メンバーの名前が映し出されるのに合わせて、右から一人ずつステージに入ってくる。

気になる勇者アーサーは、勇ましいネーミングとは裏腹に顔色の悪い、ひょろっとした長身の青年であったが、ある意味では予想通り。BCリッチ風のギザギザしたギターに、小学生の工作のようなドラゴンのリレーフを彫り、ほぼ直立不動で演奏するのが彼のスタイルだ。

最後のFUKIだけは、左のアーチを降りて登場。FUKIの衣装は、LIGHT BRINGERではアルバム『MIDNIGHT CIRCUS』ジャケットのマジシャン風だったが、DRAGON GUARDIANではゴスロリのドレスに(これについてFUKIはライブ中のMCで「『ゴスロリ』と『ゴシック・ロリータ』は『ヘビメタ』と『ヘヴィ・メタル』ほど違う」とコメントしていた)。

1曲目は『魔神覚醒』の流れを受けて『四英雄伝説』……かと思いきや、セカンド・ヴォーカルを務めたNOAが不参加のため(同日は吉祥寺クレッシェンドに「BLACK SYMPHONY」で出演)、FUKIのみでリード・ヴォーカルを取る『永遠の剣』。アルバム7曲目という微妙な選曲で、正直ちょっと出鼻を挫かれた感じ。

衣装も手伝ってか、FUKIの仕草や佇まいはLIGHT BRINGERの時とは違ってエレガントな雰囲気。満足げに「こくこく」と頷いていた。

セットリストは4枚のアルバムの他、KNIGHTS OF ROUNDとの企画アルバムなどからも選曲。当日は『聖邪のドラゴン』を先述のLeo Figaroのヴォーカルで録り直したリメイク・アルバム『Destiny Of The Sacred Kingdom』の発売日でもあったが、その収録曲『我らが嘆きのカルミア』もFUKIが歌っていた。

意外なところでは『ドラゴンヴァリウス』収録のワルツ『港街バッカス』。ギタリスト二名が退場し、FUKIとHIBIKIはスツールに腰掛ける。アコーディオンの哀愁漂う音色が印象的な曲だが、この日は本物ではなくキーボードで再現(スタジオ盤でもそうかも)。またスタジオ・バージョンでは後半になると一転してメロスピ調に疾走するという大胆なアレンジが施されていたが、ここではバラードに徹していた。

他にもサプライズとしては、『砂漠の餓狼』の前に、ドラムスのトライバル調のリズムに乗せてHIBIKIと蒟蒻がベース・ソロとキーボードの掛け合いを披露した。勇者アーサーの個人プロジェクトのイメージが強いDRAGON GUARDIANだが、それぞれの参加メンバーの見せ場もしっかり設けてあり、バンドとしての一体感がある。

また全体を通した印象としては、とにかくドラムの音がデカい! LIGHT BRINGERとMinstreliXがわりと小ぢんまりとした音作りだっただけに、一気に目が覚めるような思い。メタルの骨子はビートにあるのだと再認識した。

ついでに、FUKIのペットボトルもデカい! 曲間ごとに客席に背を向けてひざまずき、2リットルのミネラル・ウォーターを「こくこく」と飲んでいた。本編終了時には1リットルくらいにまで減っていた。

その後アンコールもあり、『ドラゴンヴァリウス』のオープニング『序曲』を受けてイベントのタイトルにもなった『暗黒舞踏会』。ツイン・リードのハーモニーと共に疾走する、バンド史上最もキャッチーな曲で、クライマックスの内に幕を閉じた。
今年の国内メタルシーンは、女性シンガーを擁する「嬢メタル」の躍進が目立ちましたが、シンガーNoaとベーシストAkizukiの姉弟によるユニットDISCORDIAも私が注目しているバンドの一つ。メタル・サウンドの肝とされているギターをあえて用いず(用いたとしても味付け程度)、数あるゴシック・メタル・バンドの中でもひときわ「ゴス(=耽美性)」を追求した音世界を提示しています。

28日のライブで購入して以来、アルバム『INVISIBLE FOREST』がヘヴィ・ローテーションです。

アルバムといってもデモの意味合いが強く、1stアルバムならぬ「0.9thアルバム」という位置付け。元はaudioleafで有料配信されていたものをCD-Rに焼いたものです。

ライブではキーボーディストとドラマーを擁する4人編成ですが、この音源はNoaとAkizukiの二人で制作されました。

私が観た2回のライブは、前半にミッド・テンポのムーディーな曲を並べ、後半からアップテンポな曲で盛り上げるという構成でした。しかしこのアルバムは2曲目、3曲目とメロスピ調のファスト・チューンが続き、ライブとはまた違った印象を受けます。

とはいっても、Noaのソプラノが映えるのはやはりオープニングを飾る『OSGILIATH』に象徴されるゆったりめの曲。リズム・マシーン特有の「ベチベチ」という質感も相俟って、THE SISTERS OF MERCYやGILLE' LOVESといった往年の“ゴシック・ロック(「メタル」ではない)”を彷彿とさせます。メタルで打ち込みというとあまり良い印象をもたれませんが、DISCORDIAに関してはマイナスになっていません。

今後はメタルのフィールドだけでなく、ゴスのイベントにも進出したら面白くなるんじゃないかな~という予感がしています。

ANCIENT MYTHとDISCORDIAのライヴを観に大塚の「RED ZONE」へ。平日だったので無理かと思い予約もしていませんでしたが、当日になってから急遽仕事が空いたため(天のお導き!)行くことにしました。

近くのファミマで軽く腹ごしらえした後、開場10分前に到着。1番乗りでした。

この日は女性ヴォーカリストのヘヴィ・メタル・バンドだけを集めたイベントで、1組目からお目当てのDISCOR DIA。純白の衣装に身を包み、潤んだ瞳で虚空を見つめながら歌うNoaのシャーマニックな存在感がバンドの要と言えます。弓弾きのディストーション・ベースをフィーチャーした陰鬱な曲調も相俟って、Noaのソプラノはただ美しいだけでなく、どこかホリブルなムードを湛え、会場は世界の終わりのような空気に。

ただ、それだけにあらかじめ録音された演奏を流す場面で緊張感が途切れてしまうのが残念。せっかくのライブなのだからスタジオ作品の再現に囚われず、可能なかぎり生演奏を聴かせてほしいところです。

続いては、イベントの主催者であるSINCERITY GREEN。ヴァイオリニストとキーボーディストを擁する6人組で、ギタリストの中年男性を除きメンバーのほとんどが20代前後の女性です。

このバンドもソプラノ・ヴォイスをフィーチャーしたゴシック・メタルですが、ところどころでキーボーディストの女性がデス声の“合いの手”を入れます。しかしそのデス声がなんとも貧弱で(「バイキンマン」を連想しました……)一気に素人臭くなってしまうのが残念でした。

3組目は、横浜を中心に活動しているというMISS MYSTERY。前2組と打って変わり、SHOW-YAや浜田麻里を髣髴とさせる歌謡メタルでしたが、ラウド・ロック調のヘヴィなギター・リフがモダンな印象を与えます。

そしてもう一つのお目当てであるANCIENT MYTHは4組目。今年のライブ収めということで、Michalのヘドバンにはいつも以上に気迫が漲ります。

またこの日はオリジナル・メンバーであるドラマーMITTUの脱退も発表されました。先ごろは同じくオリジナル・メンバーであったキーボーディスト紗蝶も脱退し、相次ぐ不幸を吹っ切ろうとしているようにも見えました。「物語でどんな悲しいシーンが出てきてもそこで読むのをやめたりしないよね」という、いかにも彼女らしい詩的でポジティブな言葉も胸を打ちます。

トリを務める「SOPRANIA」は未知のバンドでしたが、なんとSINCERITY GREENにDISCORDIAのNoaを加えたゴシック・メタルのカヴァー企画でした。NIGHTWISHやWITHIN TEMPTATIONの他、SINCERITY GREENとDISCORDIAの曲を互いにカヴァーしあうというサプライズもあり。

この時のNoaは、DISCORDIAとは打って変わって黒いドレス、マイクも例のガイコツではなく普通のマイクで、メロイック・サインを掲げながら楽しそうに歌っていました。SINCERITY GREENのシンガーと掌を重ね合わせる姿はパフィーのようです。

※写真は当日限定の「バンド・カクテル」。「夜のnoa嬢のマリア(アリア?)」ってのが気になります。

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