「キミに質問があります」
シャキーン* が、ボクは大好きだ。
「借金じゃないよ。シャキーンね」
この前の放送で、むずしい質問を友だちに出して、
遊ぶというのがあったよ。
おもしろいから、ボクとやってみない?
二択だから、どちらかを選べばいいんだ。
いい? ボクの出す問題に答えてね。
いいよね。
1問、
「好き」と「愛している」は、どちらが長く続く?
次ね。
2問、
「バカ」と「アホウ」はどっちが言われたらつらいの?
3問、
「パパが弱い」のか「ママが強い」のどっち?
4問、
「ママの言うことが正しい」のか「おばぁちゃんの言うことが正しい」のどっち?
5問、
「世の中のことを知らない方がいい」のか「知った方がいい」の?
どうだった? おもしろいでしょ。
正しい答えは「大人になればわかるよ」って言われた。
だから、答え合わせはいいよね。
まだ、いっぱい問題があるんだ。
また遊ぼうぜ。
*「シャキーン」NHK教育チャンネルのキッズ番組
「スリラーな話」
午後、妻と中古リサイクル店に行った。
土曜日ともあってか、引き取りカウンターの前に列ができていた。
持ち込んだゲームソフトや本を買い取ってもらっているのだ。
カウンターの脇にテレビモニターがあり、
マイケル・ジャクソンのミュージックビデオが流されていた。
マイケルが月明かりで、オオカミに変わっていく
「スリラー」も、その一つ。
当時、そのミュージックビデオに世界じゅうの人が魅入ったものだ。
懐かしいビデオを立ち見しながら、
「それはいつごろの話だったろうか?」
と僕は考えた。
デートの帰り道、「もし・・・」と僕は話を切り出した。
彼女はつぶらな瞳を向け、「なに?」と聞く。
彼女の自宅までの500メートル、暗い歩道に街灯が点々と足元を照らす。
見上げれば夜空には月。
もし、この月のせいで僕がマイケルのように、
急にもがき始めてオオカミになったら、どうする?
「怖~い」と首をすくめた彼女。
「マジで!」
僕はそう言って、爪を立ててみせる。
「キャ!」と叫び、笑いながら走り出した彼女。
「マジだぞ~」と言いながら、僕は彼女の後を追いかけた。
あれから27年経つのか・・・。
「初デートのこと、覚えている?」と僕。
「そんなこともあったかしら?」
と、妻は宙を見つめた。
今は亡きマイケルがゾンビたちと踊り始める。
「今思えば、」
と妻は押し殺したような声で言う。
パパは豹変してもタヌキさんだから、
将来、もっとお給料取れるように頑張れって、
思いっきり蹴飛ばしてやれば、よかったわ。
そんな風に、昔にない強さで。
それが、スリーラー・ナイト―――。
「生かされている意味」
何かに生かされていると思うことがある。
小学低学年で、鍵っ子の僕が河川敷で遊んでいて
川に落ちて流された時も
予備校生だった僕が裏路地の道路を横断していて
「101回目のプロポーズ」よろしく大型トラックが鼻先で止まった時も
目を開けた時、僕は生きていた。
その後、東京に出て、一端の社会人となり
生かされているという自覚もなしに
何のために生まれたのか何て、キザに悩んだりして
当時、巷で流行っていた尾崎豊の歌う「15の夜」じゃないけれど
盗難ではなく5年ローンでようやく手に入れたバイクで国道を走っていたら
ファミレスから唐突に出てきた車に跳ね飛ばされた。
身体が弧を描くように宙を舞い、アスファルトに叩きつけられた後で
目をそっと開けると、そこには青い空があった。
流れる雲を見つめ、救急車のサイレンを聞きながら
間抜けな僕は、その時、ようやく気が付いたのだった。
僕たちは死ぬためにではなく
生きるために生まれてきたのだと


