プロットのプロット タイトル未定
『黒い瞳が、虹彩が
こちらをお前の脳に映している。』
その闇に触れて
するりとはいりゃ
もうこちらには帰ってくるこたぁ、そりゃ無理ってなもんで
これが、連続失踪事件のあらすじってなもんです。
つまりね?
妖怪、怪異、これはそういった類のもんなんすよ。
そこのぽりすの旦那、もう話は終わりやす、ちょっと待っててくんせぇ
そこの、着物のいかにもな旦那、こっからが面白くなってくるところよ、立ち止まんな。
「いかにもたぁ、なんだい!」
さてさて、野次も飛んで話も半ば
今回の連続失踪事件を解決したのはうら若き16の乙女です。美人です。滅法な美人。
そら、そこの若い旦那も興味を持ったに違いない。
世の中にゃあ、怪異に憑かれたとしたらとる行動は数がすくねぇ。
文明開化の明治を超えて、やっとこさ、大正の世になった今でもそりゃかわんねぇ
いや、変わんなかった!
これからは違う!
拝み屋なんざ頼るなよ。
坊さんなんざ呼んだ日にゃ、一日が説教で終わっちまう。
西欧から流れ着いたまりあぁだかいえずぅだかなんざは違う国の人さ、言葉が通じねぇよ。おりゃ、学者様じゃねぇからな。
だから今度からは、こうするべきだ。
菱光女子の学び舎の、深窓の令嬢たちのなかでもひときわ輝くその美しい娘
古刀 桜 のもとにかけこみゃいい!!
なんせその乙女は
天照ノ命
そのかんなぎ(巫)にして
世界を断つ剣 そのものだから
小説 愛食家な彼女 43
事件の資料を改めて読み返してみる。
京都府京都市 七条大宮通り前の公園がすべての始まりだった。
殺人事件発生。
被害者―飯島直人 22歳 大学生 京都薬科大学薬学部
多数の女性関係あり。
父親は薬剤会社アルビノの取締役。
死因はアイスピックによる心臓部への刺殺。
遺体は、ひどく損壊してはいるものの、四肢を切断といったいわゆるバラバラ殺人ではなく、遺体の筋組織、脂肪組織をはぎ取られた形で四散していた。
その大部分の行方は不明。
犯人が持ち去ったものと思われる。
第一発見者 汐芳樹 18歳 の、証言によれば、犯人はその場で芳樹少年のナイフを用い死体から肉片を切り取り、その場で食人行為に及んだとのこと。
次 第二の事件
場所 京都伏見神社 林の中
被害者―三島直美 18歳 高校生 京都市立上条女子高校 2年生(留年一回)
学校内での素行は悪く
ほとんどの授業に出席してはいなかった。
隠れて、年齢を偽り水商売をしていた模様。
恋人あり。
恋人 蓋山幹夫 34歳 (妻子あり) 大学勤務 講師
三島直美とは、水商売店にて出会い。
幾度かの援助交際を経て、三島と付き合いだす。
周囲の話によれば、三島直美は蓋山幹夫に依存しており
浮気がばれそうになっていることを期に、別れ話を持ち出したものの
三島はそれを拒否
話がこじれていたところに、三島が死亡した形。
捜査中に蓋山が麻薬を保持していることが発覚し、現在拘置所に入っている。
死因 出血多量によるショック死―しかし、致命傷がどこにあったのかは、死体が切り刻まれすぎていて不明
死体の損壊は、前回に続いてあり。
塩と胡椒が現場の地面から発見されている。
第一発見者 少年野球グループに所属していた遠山登 12歳。
朝、少年野球の自主練習をしに、階段登りをしていたところに、林に生えた手を発見。
警察に通報。
次 第三の事件
場所 哲学の道
被害者 河野真史 12歳 小学生 京都市立北白見小学校 六年生
クラス内では特に目立つタイプでもなければ、これと言って控え目なタイプでもなかった。
極めて普通。
学校内のいじめもなかったよう。
両親の折り合いは悪く、家庭内は冷え切っていた模様。
父親は治験審査委員。
母親は専業主婦。
死因 頭部に打撃痕あり 撲殺
前回に引き続き死体損壊あり。
ケチャップ、マヨネーズ、ビネガーが発見される。
第一発見者は、中島幸助 11歳 小学生。
近所に住んでいたため登校中に発見。
次 第四の事件
場所 東山 山中
被害者 大上静子 28歳 OL オシキノ化粧品販売会社所属
会社内での浮ついた話はなかったが、家宅捜索したところ少年愛趣味があり、いわゆるショタコン。
寝室には、異常なほど近所の少年を盗撮した写真であふれかえっていた。
前回に引き続き死体損壊あり
焼死体として発見されたが、首に索状痕あり(ほぼ水平であることから自殺の線は薄い、爪痕もある―典型的)。
バター、食塩、胡椒が現場から発見。
第一発見者は、死体焼却の際に出た黒煙に気づいた警備員、道島由紀夫。
元警察官。
以上の四件を共通性のある死体損壊から、連続殺人事件と断定。
情報非公開にて捜査中。
小説 愛食家な彼女 42
結果だけ見れば―謹慎処分。
奥出警部の言う通りになった。
少年たちの溜まり場に踏み込んでから、まだ5時間しかたっていない。
それでも、夏のこの時期には夜明けまで数えるほどしか時を待たなかった。
警察署内の、自販機の前の椅子に腰掛け、コーヒーの湯気に焦点を合わしている。
だが、目の焦点は現実に向かっていても、どろどろとした思考の海につからずにはいられなかった。
藤本刑事はどうしているだろうか?
気になっているのであれば携帯電話の電源を入れればいいだけなのに、それが躊躇されるような時間帯だった。
まだ暗い。
日付自体はもう随分前に変っているはずなのに、今日という日は太陽が昇らないと始まらないような気がする。
そう言うところは原始時代から人間の本能として変わっていないのかもしれない。
今日と昨日の境界なんて、地平線を照らす一筋の光と同義なのだ。
だからこそ、夜明けを待っている今の状態は、まだ昨日なのだろう。
俺にとって、昨日の出来事は明確に続いていた。
だからこそ、あの言葉がどうしても引っかかっている。
―優秀というのは、酷なことだな、高柳。
お前は踏み入りすぎた。
奥出警部のあの言葉―それをずっと考えていた。
警部の言葉をそのまま受け取れば、警部は今回の事件に犯罪者側として関与していたということだろうか?
―あるいは・・・・
警察自体が、今回の事件に関与していたということなのかもしれない。
・・・・ありえない。
後者は言うまでもないが、前者に関してもそんなことはありえない。
そもそも、奥出警部が小学生にコンビニ強盗をけしかけて何の得があるというのだ。
彼は人間不信ではあるが―狂人ではない。
狂人でないとすれば、犯罪者が犯罪を犯す理由は事故か、損得なのだ。
だからこそ、ありえない。
そもそも、踏み入りすぎたと奥出警部は言ったが
俺には、それが何のことやらさっぱりなのだ。
まったくもって、心当たりがない。
なのに、なぜ警部はあんなことを言ったのだろうか?
―不思議なこともあるものだ。
前々からお前の捜査は異常だった。
いや、捜査と呼べるようなものでもない。
刑事の感―なんてものは藤本刑事のよく使うスタイルだが
多少なりとも根拠があるものだ。
だが、お前は違う。
そういったものを超越している。
なにもないところから確信を得て、それが的を得る
そんなことがありえてもいいのか?―
警部が、俺を不審だと言った時の言葉だ。
信用できない―ともとれるが、これって警察にとっては良いことばかりだ。
何しろ根拠が見いだせないところでも犯人を終えるきっかけが手に入るということだ。
その利便性は俺自身が証明してきた。
何が不満だというのだ。
それを、「そんなことがありえてもいいのか?」―だなんて・・・・。
そんなことがありえてもいいのか・・・・?
ん?
これってどういう立場ならそんなセリフになる?
まるでこれじゃぁ、『完全犯罪を立ててきた犯罪者が、不条理な理由で追い詰められているようじゃないか・・・・』。
―犯罪者側の意見。
つまり、あの言葉はこうともとれる。
―お前のでたらめな能力には付き合えない。
どの過ぎたホームランバッターに対して敬遠を繰り返して野球にそのものに参加させない。
大リーグでは、よくみられる光景だ。
自分でこう言うのもなんだが、確かにアンフェアな能力だと自覚はある。
アンフェアだから、封殺し除外することでゲームを成り立たせる
しかし、これも犯罪者側の理屈だ。
なら・・・・やはり、あの事件の裏には奥出警部がいるというのだろうか?
しかし、俺自身はなにも手掛かりを得ていない。
だが、警部は俺を除外しようとしている―その直接的な原因は、おれが偶然にもあのコンビニ強盗の一件に関わってしまったから。
しかし、踏み込みすぎたってどういうことだ?
この言葉だけならば、つまりはコンビニ強盗だけではないということになる。
コンビニ強盗にかかわる以前に、俺は足を踏み入れていた。
それが度を超えた、踏み込みすぎたから除外する。
ならなんだ?
ここ最近コンビニ強盗以外の事件なんて―例の連続殺人事件くらいしか・・・・・。
関係している?そんな馬鹿な・・・・しかし・・・・・・・・。
どれも妄想の域をでない。単なる想像でしかない。
だが、思考はその先を見ようとする。
―思考を少しもとの位置に戻す。
俺は気づいていないのに、警部はそれを気付いたと思った。
何故?
つまり、答えにつながるすべてのピース(欠片)を俺は既に持っている。
なおかつ、俺ならば、それ気づくかも知れないと思っている。
だから除外。
―普段の俺なら気づいていた?
ここしばらく、まるで事件に興味が持てず、紗江のことばかり考えてた。
藤本刑事が、おれに喝を入れなければ今もそれは変わっていないだろう。
つまり、重要なことは、おれが呆けていたあの時間。
三つの殺人事件が起きたそこに何かある?
瞬間、目にまぶしいほどの光がはいってきた。
今日が来たのだ。
「謹慎か・・・・・」
世界を照らし出す光は、思考の霧さえも晴らしだした。
「体が動かないわけでもあるまいし。」
この太陽のもと、汗をかいてスーツに皺を作ることに、これほど意義を感じたことはないだろう。