小説 愛食家な彼女 53
「惚れ薬・・・・?」
さすがに面食らう名前だった。
麻薬の類が横行し、その幻覚作用や、精神作用、依存性が犯罪―特に殺人事件に結びついていることは周知の事実である。
また、犯罪組織の資金源の一部になっていることも同様だろう。
だが、・・・・ここにきて―惚れ薬・・・・・。
一般的に惚れ薬については、大きく二種類に分けられる。
一つは、媚薬としての意味。
性機能改善薬、刺激物質、性ホルモン剤、催淫剤のたぐい。
性的機能を向上させる、または改善させることによって、性的な作用をもたらすもの。
二つ目は、ファンタジーなどで出てくる。精神に影響をもたらすもの・・・その名の通り惚れ薬である。
だが、当然のことながら、後者のような薬は存在しない。
現在の科学では、基本的に人間を発情させることはできても、人間の心を誘導するような薬は作れないのだ。
過去、そのような薬が横行したことはあるが、個人差が大きく、その作用のほとんどはプラセボ効果(思い込み効果)だった。
人間の精神、あるいは思考。
そう言ったものを誘導できるのは、薬品+αが必要なのだ。
しかし、それはもはや惚れ薬ではなく『洗脳』あるいは『染脳』である。
数年前に起こった、新興宗教のテロ行為から、有名になった言葉で言うところのマインドコントロール。
だが、それにしてもある程度の時間をかけ、じわじわと侵食していくもの。
人の心を一瞬にして恋に落とすほどの『洗脳』を可能にする惚れ薬は存在しない。
「誰も信じないでしょ?俺だって信じませんよ。でも信じちゃうんですよ。子供って」
だから、小学生の間で流行っているというのだ。
「しかし、なんでそんな儲からないこと・・・小学生からたかったってたかが知れているだろ?」
「刑事さん、そこが時代遅れなんだよ。最近のガキってすっごくお金持ちなんだぜ?いや、マジマジ。本当に、これビックリよ。最近の親ってすっげぇ甘いんだよ。愛情表現わかんねぇんだろうなぁ。大事にすることと甘やかすこと履き違えてんだよ。なんでも、不自由させなきゃ子供に愛されると思ってるんだぜ?ま、おれもその口。ほら、ロクな大人に育ってねぇだろ?へへへ」
「お前みたいなのは、ガキだろ。」
「何?社会的自立、経済的自立、精神的自立の三つができりゃ成人としての認可が下りるんだろ?なら、俺はちゃんと食って言ってるし、親に依存してないし、社会的自立って要は20歳以上ってことだろ?全うしてんじゃないか?ん?」
「こんなことして食って行こうって時点で精神的に甘えてんのさ」
「さすが、刑事さん。正論正論。
でも、刑事さんがちゃんとした大人って保証もないぜ?
いいかい?
俺とあんたの違いなんて成功してるかしてないかの違い―言い換えりゃ、認められてるか認められてないかの違いなんだ。
だれに認められてるか?そりゃ社会さ。
だが、社会に普遍性はない。いつも連続的に変わっていってる。いつの間にか、刑事さんが認められない社会っていうのも、もしかしたらコロッとおとづれるかもしれねぇ。そうした時、あんたはあんたの言うところの大人であれるのかなってこと。」
そう言うのは、負け惜しみみたいなものだろう。
と、口に出しかけて止めた。
こんな男と、『大人とは何であるか』なんて、中学生日記の学級会でテーマに上がりそうなネタを話すつもりは毛頭ない。
「そんなことはどうでもいい。それよりも、なんで媚薬の類―いや、惚れ薬か。それを麻薬みたいな流し方する必要があるんだ?」
「刑事さんって、本当に刑事さん?薬事法知らないの?
まぁ。その様子だと、ずいぶんこの話に興味があるみたいだね。
ああ、しかしへこむな~。なんで、こんな無知な人が大人を自信満々に名乗れて、俺が名乗れねぇわけよ。」
―ほっとけ。
「まぁ、おれも元法学部中退だから知ってるってだけかもだけどよ。刑事さん。薬品を薬品として売り出すには治験ってのを通さないといけないの。で、そんなありもしない惚れ薬なんてものが治験に通るわけないでしょ?しかも、すっごくおかねがかかる上に、認可が下りるまで数年かかる」
「でも雑誌の裏とか、後半のページとかで媚薬の宣伝なんていくらでもしてるだろ?」
「刑事さん、いかがわしい本読んでるね。」
―いや、最近わりと普通の本の後ろのほうにも載ってるけど・・・・まぁ、いいか。
「あれは、そもそも薬じゃないことが多いよ。健康食品。そっちのほうで認可がおりてるんだ。で、ここが重要。日本において昔からの薬ッツ~のは、基本的に漢方だったわけだけど、漢方と健康食品の境って結構あいまいだったんだよ最近までね。民間療法的な、蜂蜜とハッカを混ぜたものが、西洋では昔、興奮剤とされてたこともあるんだ。だから、健康食品を薬という言葉を使って売ってもぎりぎりセーフ。ただし、『医薬品』を名乗ることはできないけどね。
まぁ、そもそも風邪ひいてお医者さんに行ったら、『お薬出しますね~』とか言って、お薬と一緒にビタミン剤も一緒に出てくるでしょ?
でも、ビタミン剤なんてサプリメント=健康食品なんだから。
イカサマっぽいけどれっきとした合法。日本語って本当に便利だよなぁ。」
「それでも、健康食品として出せばいいだろ?」
「だからヤバいもんなんでしょ?」
―どういう意味だ?
「そもそも、健康食品の定義から外れるんだってば、その薬は」
「はぁ?お前、媚薬は健康食品として」
「さっきから言ってるじゃないですか、媚薬じゃなくって惚れ薬。
性的なやつじゃないんだ、刑事さん。
そもそも、最近の小学生がいくら発育いいからって、そんなもの売れないでしょ。
惚れ薬は、惚れ薬・・・本物の―他人の心を『恋に堕とす』惚れ薬さ。」
絵 自分の絵の塗り方をさらしてみる 金属編
当たり前の話をするようで悪いのですが
金属というのはよく光ります。
よく光るという現象は、ようは光のスペクトルのほとんどをよく反射するということです
まぁ、この部分を白く表現することで光を反射している感じに表現するわけですが
さらにいうなら、金属は正面から来たものを鏡のように集約して反射させるのも特徴です。
これを色にたとえたら、コントラストが高くなり、言い換えればグラデーションの境界が明確であるといったところでしょうか。
もっと簡単にぶっちゃけて言うと、明るいところはとことん明るく、暗い所はとことん暗く塗れば、金属っぽくなると思います。
まず、よく反射する面を決めます。
ここでは丸で囲んだところがよく光を反射するところで
とくに赤い丸のところは、もっとも光を反射するところだと仮定します。
明るいところが気まれば、とうぜん、暗くなるところが出てきますが
あとは、明るいところはとことん明るく、暗い所は目に見えて暗くするだけです。
グラデーションはたったの四色。
もっと、金属っぽくしたいなら、もっと、コントラストをはっきりするだけでいいです。
暗い所にもっと暗い色を使い、明るいところをもっと明るくして行けばいいと思います。




