〔米国〕FOMC事前予測&ドル相場について | Fundalia since 2007

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トレンド&リスク戦略というファンダメンタル手法を使ったFX投資
為替を最も値動きさせるのはFOMCや金融政策
ならば金利を重視して投資するのが賢いでしょう

 

 

 

 

背景および見所

 

アメリカの金融政策(政策金利)はピークアウトを迎えつつあります。年内利下げは既定路線と言えるでしょう。しかし、先月のPCEコアデフレータ、直近ではCPI、PPI、小売売上高と強い経済指標が続き、インフレ率の鈍化が弱まっています。雇用統計のように弱めのデータがあるものの、FRBは利下げに動きにくくなりました。そうした環境でFOMCが行われます。

 

 

〈FX投資の基礎知識〉金利が経済や相場に与える影響について解説

 

 

結論から言うと、今回のFOMCは据え置きが確実です。

見所は多彩で、以下が注目されるでしょう。

 

1. QEテーパリングについての決定

2. 金利ドットプロットの結果

3. FRB経済予測

4. ターミナルレートの期間がどう変化するか?

 

 

米金融政策を考察する

 

 

下記図は、先週発表の米CPIです。FOMCが利下げへ前進するには、インフレ率が低下することが前提条件です。特に米CPIコア指数(前年比)が、2%へかなり接近する必要があるでしょう。しかし、結果は+3.8%と予想値を上回る強さを維持(前回よりわずか-0.1%)。

 

このCPI結果は「アメリカのインフレ率が落ちにくくなった」というイメージを与えました。当面は利下げ可能域までインフレは落ちない、あるいは時間がかかるだろうとなり、利下げ期待は後退。ドル/円が150円を上抜けした一因となっています

 

 

 

インフレ下落のペース鈍化が明瞭に分かる

 

 

 

FRB経済予測&金利ドットプロット

 

今夜のFOMCでは、金利ドットプロットとFRB経済予測が発表されます。

もし、前回の金利ドットプロット(金利予測)より、中央値が上昇すれば、ドルは跳ね上がるでしょう。154円のような為替水準も見えてきます。12月の金利ドットプロットで3回だった、2024年の利下げ予測が、1-2回に減少すればそれもドル高に作用します。

 

FRB経済予測で発表されるPCEコアデフレータも重要で、これが前回値を上回るようなら利下げ見通しはさらに遠のくでしょう。

 

 

2024/12 FRB経済予測 ※()内は2024/9の予測値

 

金利ドットプロット(引用:ブルームバーグ)

 

 

 

QTテーパリングの議論

 

今回のFOMCで「量的引締め(QT)のテーパリング」が議論されます。実際にテーパリング開始の時期や規模が分かれば、相場になっていくでしょう。どういった議論がおこなわれ、どういう結論になるか?興味深いところです。

具体的な結論が出てこない可能性もあります。

 

 

 

それでは、今夜のFOMCがタカ派になるケース、ハト派になるケース(シナリオ)について考察します。

 

【FOMCがタカ派に傾くケース】

FRBが「直近の強いインフレや消費データを評価する」と指摘し、さらに「スエズ運河など地政学的インフレリスクを危惧する」、「住宅価格、家賃など粘着性インフレによりインフレ鈍化が弱まると危惧している」などの理由から、インフレリスクを強調するケースが考えられます。

 

経済やインフレ率が強いと判断され、2024年の利下げ回数(見通し)が減らされるようならば、タカ派姿勢が強調されたと見なされます。

 

 

【FOMCがハト派に傾くケース】

ハト派へ傾くケースもあります。「金利が高過ぎることに対するリスク」を指摘し、そのうえで利下げ時期が近付いていると示唆します。さらにQTテーパリングについて具体的な時期・規模が出てくる可能性もあるでしょう。また、2024年のFOMCボードメンバーはハト派の人物が多く利下げ案が通りやすい傾向がありそうです。

 

ただ、現状はタカ派優勢な雰囲気なので、もし今年の利下げ回数が3回になると見通されれば、サプライズとしてドル急落に反応するでしょう。

 

FRBが利下げの地ならしをおこなうかどうか?これも注目されます。

利下げの数か月前から、投資家に予備知識をつけていくのがFRBのやり方なので、地ならしと思われる発言が続けばハト派的印象からドルが伸び悩むケースも想定されます。

 

 

強いハト派だった12月FOMCの参考になります。

 

 

【FOMCが中立を貫くケース】

今回厄介なのは、天秤が中立に近いためどちらにもなり得る点です。

最も高い確率のシナリオは「インフレが下がり好ましい」と述べたうえで、「アメリカのインフレ率はなお高く、現在の高金利は長期間続く」と再宣言するものです。

 

明瞭な意見表明が避けられた場合、相場も混とんとするでしょう。

ただ、FRBが中立的立ち位置を取った場合、ドル/円はジリジリとドル高になるはずです。

 

 

 

機関投資家の金利予測

 

為替のメーンプレイヤーである機関投資家の意見を推察してみましょう。

CMEデータとIMMデータを見ることで、大雑把に動きを把握できます。

 

3/20 CME金利予測

 

2月上旬から比較して、金利予測はタカ派に傾いています。2月時点では5-7月にもっと利下げすることが織り込まれていました。それが消され、より高止まり金利予測に変化しています。FOMCでは金利予測をどう変化させる情報がでてくるでしょうか?

 

 

 

QTテーパリング(量的引き締め政策の終了)

1/31FOMCでは「量的引締め(月950億㌦)を縮小させることを検討」という内容が報じられました。今回議論すると示唆されていましたので、今夜の論点になるでしょう。FRBは現在、国債を毎月600億㌦売却しています。QTにより長期金利に強い上昇圧力があった訳です。もしFRBがテーパリングを決意すれば、この圧力が弱まり長期金利減衰(国債価格は上昇)⇒ドル安作用がおこるでしょう。

 

かなり巨額マネーが動く政策ですので、為替相場に影響する訳です。

事実上の利下げ的な効果が期待できます。

 

 

 

ドル相場の動き

 

Fundalia(ファンダリア)の予測になりますが、恐らく今夜はタカ派になるでしょう

かなり強い経済指標に支えられていて、金利見通しが高くなり易く、FOMCで予想通りの示唆がされれば、タカ派的な金融政策になります。

 

 

ドル/円1時間足 FOMCタカ派を織り込む

 

しかし、ご覧の通りドル/円は既に強く買われました。日銀の影響も含まれますが、投資家はFOMCがタカ派になると予想して、既に織り込まれていると考えるのが正しいでしょう。それゆえ、発表後にはまず利益確定(≒ドル売り)に晒されます。FOMCへ向けてドルを買った投資家は、ここで利益を確定させるからです。

 

その後、声明文、金利ドットプロット、経済予測、パウエルFRB議長会見の内容に沿って、ファンダメンタル修正され、為替相場にへと織り込まれていきます。マーケットはイケイケの雰囲気ですが、思ったよりハト派が織り込まれてドルが急落する恐れもあります。

 

ドル/円の急騰を見て、パウエルFRB議長が意図的にハト派の文言を入れる可能性もあるでしょう。実際、いずれくる利下げへの伏線を置くことも考えているはずです。

逆に、利上げの可能性を示唆することで、ドルが暴騰する展開も想定できます。ここには、年内利下げが1回未満まで減る(事実上の利上げ)という意味も含まれますが、そういう話をする事も想定できます。

 

発表後は「利益確定」と「発表内容」と、2要因で相場形成されるでしょう。

 

 

たいへん興味深いFOMCになると思います。

FRBの発表内容をよく吟味して、トレードするのが良いでしょう。

 

 

 

今夜、Twitter(X)でライブ配信します。

どういう情報がでて、タイムリーにそれがタカ派かハト派か?論じていこうと思います。こちらも良かったら活用してみてください。

 

参考になさってください。

 

 

Fundalia(ファンダリア)