〔米国〕FOMC事前予測&ドル相場について | ファンダメンタルなアウトローのFX

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ここまでの経緯・背景

 

アメリカの金融政策(政策金利)はピークアウトを迎えつつあります。今のところターミナルレート(金利の最高到達点)を維持していますが、既に追加利上げの可能性は考えなくとも良い段階に至っています。

 

2024年に入っても「高い水準の金利はしばらく続く」「インフレはなお高い」といった要人発言、そして1月発表の雇用統計、消費者信頼感指数(CPI)、小売売上高など主要統計が強いデータを示したことで、ドル/円は高騰しました。

しかし、1月末に発表されたPCEコアデフレータは、ついに2%(+2.9%)まで下がり目標点が近づいてきました。

 

ゆえに、利下げそのものはもう少し先としても、利下げの地ならしはしなければならない。そういう段階にあると思われます。QTテーパリングも含めて、どれだけタカ派政策を打ち出すのか?非常に注目でしょう。FRB経済予測や金利ドットプロットの発表はありませんが、大荒れのFOMCになる可能性があります。

 

 

〈FX投資の基礎知識〉金利が経済や相場に与える影響について解説

 

 

結論から言うと、今回のFOMCは据え置きで確実です。

ただし、今回のFOMCで利下げについての示唆やQTテーパリングのスケジュールに関する決定があるかも知れません。この場合、ハト派への動きとしてドル急落は避けられないでしょう。

 

 

米金融政策を考察する

 

アメリカの金融政策について考えていきましょう。

問題となるのは、1/26発表のPCEコアデフレータ(下記図)です。ほとんど織り込まれていませんが、前年比が+2.9%になったのは衝撃的なデータです。もしFRBが+2.2%-2.5%までインフレを許容できるなら、すでにインフレターゲットは達成目前なのです。想定以上に早いインフレ減速が起こっている可能性もあるのです。

 

 

 

 

12月データという事で、このデータはクリスマス商戦のものです。データを掘り下げるとPCE(個人消費支出)が極めて強く、個人消費が異常に強い根拠となり発表時にはドル高になりました。

このデータをもう少し分析すると、次のようなことが言えます。『消費は増えたが、インフレは鈍化している』となるでしょう。つまり消費者は価格に敏感になり、安い時に大量消費したとも言えます。となれば、今後の消費は悪化する恐れがありインフレはさらに下がる可能性があります。

 

上記グラフから、FF金利(=米政策金利)がインフレ率に対して十分に強いことが分かります。そして、PCEコアデフレータはインフレターゲットにかなり接近しました。これをFRBはどう評価するでしょうか?

 

 

それでは、今夜のFOMCがタカ派になるケース、ハト派になるケース(シナリオ)について考察します。

 

【FOMCがタカ派に傾くケース】

FRBが「直近の強い雇用や消費データを評価する」と指摘し、さらに「スエズ運河など地政学的インフレリスクを危惧する」、「家賃など粘着性インフレによりインフレ鈍化が弱まると危惧している」などの理由から、インフレリスクを強調するケースが考えられます。

 

 

【FOMCがハト派に傾くケース】

ハト派へ傾くケースもあります。「金利が高過ぎることに対するリスク」を指摘し、そのうえで利下げ時期が近付いていると示唆します。さらにQTテーパリングについて具体的な時期・規模が出てくる可能性もあるでしょう。また、2024年のFOMCボードメンバーはハト派の人物が多く利下げ案が通りやすい傾向がありそうです。

 

もしFRBが6月頃に利下げを考えている場合、今回あたりに「地ならし」として利下げへ前向きな文言が含まれる可能性が高そうです。

 

 

強いハト派だった12月FOMCの参考になります。

 

 

【FOMCが中立を貫くケース】

今回厄介なのは、天秤が中立に近いためどちらにもなり得る点です。

最も高い確率のシナリオは「インフレが下がり好ましい」と述べたうえで、「アメリカのインフレ率はなお高く、現在の高金利は長期間続く」と再宣言するものです。ただ、この可能性はあまり高くありません。

 

これらを各種データから、どれに近いか読み解いていくと良いでしょう。

 

 

 

機関投資家の金利予測

 

為替のメーンプレイヤーである機関投資家の意見を推察してみましょう。

CMEデータとIMMデータを見ることで、大雑把に動きを把握できます。

 

1/31夕方 CME金利予測

 

CME金利予測では、3/20FOMCの利下げ確率は一時70%まで上昇しましたが、今日は45%程度まで下がっています。5/1FOMCの利下げ確率は「86.5%」と機関投資家はGW頃には利下げがあると考えているようです。

 

5/1FOMCで利下げが本当ならば、今夜には何らかの示唆があるでしょう。

 

 

 

QTテーパリング(量的引き締め政策の終了)

12月FOMCでは「量的引締め(月950億㌦)を縮小させることを検討」という内容が報じられ、激震が走りました。続報が入って切るかは、今夜の論点になるでしょう。FRBは現在、国債を毎月600億㌦売却しています。QTにより長期金利に強い上昇圧力があった訳です。もしFRBがテーパリングを決意すれば、この圧力が弱まり長期金利減衰(国債価格は上昇)⇒ドル安作用がおこるでしょう。

 

かなり巨額マネーが動く政策ですので、為替相場に影響する訳です。

 

 

ドル相場の動き

 

Fundalia(ファンダリア)の予測になりますが、恐らく今夜はハト派になるでしょう。12月からどれほど踏み込んでくるかが論点になると思います。ドルは売られやすい相場観になると想定しています。ただ、煮え切らないハト派姿勢に終始する可能性もあり、期待を裏切ればドル高になるケースもあります。

 

ドル円日足

 

ドル/円は1月に急騰し、円安ポジションが積み上がっています。FOMCは利益確定をするには絶好の機会であるため、終了後にある程度の利益確定に晒されるでしょう。十分にハト派なら、ドル暴落があり得ます。一方で多少のタカ派であってもドル高は限られるでしょう。

 

ドル高のシナリオは、投資家のハト派期待を完全に裏切ったケースです。利下げやQTテーパリングにゼロ解答のケースでは、150円を上抜けて為替介入が意識される相場観になる可能性がでてきます。

 

一方、12月のハト派より強い表現をした場合、12月下旬の140.25を下回る可能性がでてきます。今夜のうちに145円台まで売られる可能性も否定できません。

 

 

たいへん興味深いFOMCになると思います。

FRBの発表内容をよく吟味して、トレードするのが良いでしょう。

 

 

 

今夜、Twitter(X)でライブ配信します。

どういう情報がでて、タイムリーにそれがタカ派かハト派か?論じていこうと思います。こちらも良かったら活用してみてください。

 

参考になさってください。

 

 

Fundalia(ファンダリア)