【レビュー】Manley / "VARIABLE-MU" LIMITER COMPRESSOR | Heaven+Hell

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この機種をブログの初回にしようかとおも思ったんですが、今回はマスタリングの超ド定番コンプ
Manley Laboratories / STEREO "VARIABLE-MU" LIMITER COMPRESSOR
をレビューします。


最近UAD-2のプラグインにもなりましたが、どこのマスタリングスタジオっても必ずあるんじゃなかって位のド定番になりました、通称バリミュー。
実機を所有してますので、デモしか試していませんがプラグインもなかなか良くできていますね。

Heaven+Hell mastersにある個体はちょっと古いものなので、フェイスがシルバーで、当初はHigh Pass Side Chainもついてなかったのですが、Manleyより純正キットを送ってもらい、テックさんにつけてもらったのでグッと使いやすくなりました。
また、100V仕様を120V仕様に変更してもらっています、120Vで駆動させたほうが断然音が良いですからね。

Variable MuにはCompressとLimitのモードがあり、Compモードはレシオ1.5:1、マスタリングの場合は大抵こちらのモードです。
Limitモードは4:1からはじまり、突っ込んでいくと最大20:1までの可変型。
この2つのモード、もちろんRatioも異なりますが、最大の相違点はニーの違いで、Compressモードはソフトニー、Limitモードはハードニーです。

基本的にはマスタリングで使用するコンプなので、どちらのモードであってもあまりハードにかけるような事はしないものですが、Limitモードの方がよりパキっとかかる感じになります。
ロックで音圧を出したい場合なんかにはLimitモードで少しだけリダクションするような設定でピークを抑えたりすると効果的だったりします、ただしリダクションしすぎには十分にご注意を。
Heaven+Hell mastersではSLAM!を導入してからLimitモードはほぼ使われなくなりました(笑)

代理店のサイトには「ファイナルミックスにとろけるように甘いクリームを加える作業」だなんて書いてありますが、これは要は高域が鈍るということです。
鈍る、というと悪い印象を持つ方も多いかもしれませんが、決して悪い意味ではなく、高域がちょっと抑えられることにより全体的なまとまりが出る、という事です。
このちょっと鈍った高域をEQで調整してあげないといけないわけですが、マスタリングスタジオには当然マスタリング用EQがありますので、というより、こういった調整を行うためにマスタリングスタジオではマスタリングEQが必須、という事ですね。

余談ですがEQ→コンプの順にかけると、EQで余分な帯域や足りないをカット・補正してからコンプをかけられるのでコンプのかかりをコントロールしやすくなります。
逆にコンプ→EQとかけると全体的なレンジ感をコントロールしやすくなりますので、EQしやすくなります。
アナログのアウトボードだとパッチベイを入れてない状況では繋ぎ変えはちょっと面倒ですが、プラグインでやる場合にはすぐ出来ますので、一回試してみると面白いかもしれません。
ちなみにHeaven+Hell mastersでは
Passeq(パッシヴEQ)→Variable Mu(コンプ)→550e(アクティヴEQ)→SLAM!(リミッター)→プラグインのマキシマイザー
の順に結線する所からスタートする場合が多いです。
パッシヴEQで不要な帯域をカットし、不足している帯域をブースト、
その後、緩やかにコンプをかけ全体を整えアクティヴEQでおいしいポイントをブースト。最後にリミッティングし、プラグインで最終的な音圧を稼ぐ、という事です。
Variable Muを使用しない場合は550eがSLAM!の後に来る場合もあります。

ちなみに録りに使ってみようと思ってトライした事もあったんですが、録りだと思ったような感じにならず、未だに使えていません。
歌でトライしたときは高域が抑えられてしまうのが逆効果でやはりUniversal Audio / 1176AEやRetro / 176の方が良い結果を得られました。餅は餅屋という事ですね(笑)

録りからミックス、マスタリングまで何でも使えるコンプ、という感じではありませんが、1台あるとマスタリングやバスにかけた時は必ず力を発揮してくれる職人肌コンプです。
Heaven+Hell mastersで立会いマスタリングをされる場合にはSlam!との聴き比べも出来ますので、エンジニアに申し伝えてみてください。