第60回日本肺癌学会レポート 「いつもと逆」ロングバージョン その① | NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ

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2024年4月、10年目突入。肺がん患者・家族の「いきる勇気」につながればいいなと思っています。

みなさん、こんにちは!🌸

 

4月になりました。家の近くでは、桜の木は満開を過ぎて緑色を帯び始めていました。

誰もゆっくりお花見もできない・・・でもきっと来年も、桜の木は花をたくさん咲かせてくれるでしょう。

3密を避け、手洗いうがい、できる自衛でこの難関をみんなで乗り切りましょう!

 

 

今日は、
第60回日本肺癌学会学術集会 患者・家族向けプログラム
「いつもと逆? 医療者から患者・家族に聴きたいこと」
 
前に、きのこさんがこのプログラムのレポートを書いてくださったのをおぼえていますか?
すごく興味がわきましたキラキラニコニコキラキラ
 
今回は参加したスタッフが、ロングバージョンで、4回にわたって会場でのお話を詳細にお伝えしていきます。
いつもは患者側が医療者に質問をして答えていただくのですが、今回は医療者から患者に向けて、聞きたいことを質問するスタイル。だから「いつもと逆」なんですね。
改めて、会場の様子を思い浮かべながら、読んでみてくださいラブラブ
では、早速ご紹介します~キラキラ
 
 
<第1回>

病院からの帰り道に「先生のさっきの話、もう少しちゃんと聞きたかった…」などと思ったことはありませんか。そんなモヤモヤが解消される機会はなかなかなくて、そのままになってしまうこともしばしばなのでは?
 
 
実はそうしたことは、医療者にもあるようなんです。日々の診療の中で患者や家族の発言や行動に「ん?」と思っても、改めてそれについて尋ねるきっかけもないことがきっとあるのでしょうね。
 
 
昨年12月に行われた第60回日本肺癌学会学術集会の患者・家族向けプログラムでは、医療者から患者・家族に質問したいことを募り、それに回答する機会を設けました。
題して、「いつもと逆? 医療者から患者・家族に聴きたいこと」。

 
 
毎年、この患者・家族向けプログラムでは、患者・家族からの質問に医療者から回答をもらう企画を実施しています。ですがここでは質問する側が医療者なので、「いつもと逆?」というわけです。
 
 
学術集会2日目に1時間半をかけて行われたこの企画、司会は三重肺がん患者の会 代表の大西幸次さんでした。会場では、事前に寄せられた質問がプロジェクターで正面に示され、着席した参加者50名ほどがそれに回答していきました。
 
 
回答に使われたのは、アンサーパッド。30センチ四方ほどのプラスチック製の下敷きのようなもので、表の緑色の面には「YES」、裏の白の面には「NO」と書かれています。それが参加者一人ひとりに配られ、司会が質問を読み上げて会場に意見を求めると、それぞれがこのアンサーパッドを頭上に掲げて意見を表明するというしくみです。
 
 
「YES」のときは緑色の面、「NO」のときは白の面を前に向けるのですが、「どちらともいえない」というときはアンサーパッドの側面を前に向けて掲げる人もいます。そうしたくなる気持ち、とてもよく分かる質問もありました。
 
 
医療者代表としては、岐阜市民病院の澤祥幸先生、三井記念病院の青野ひろみ先生、北海道勤医協中央病院の剱持喜之先生にご参加いただきました。また途中から、看護師の浜谷千枝子さんもご発言くださいました。
 
 
まずは、アンサーパッドの練習をかねたウォーミングアップ。質問は「あなたは患者ですか? 家族ですか? それ以外ですか?」でした。
患者の人は緑色の面、家族は白の面、それ以外の人はパッドの側面を掲げるように指示が出ます。結果、患者が7割、家族が2割強、それ以外は1割弱でした。

 
 
さて、第1問です。「あなたは病理診断という言葉を知っていますか?」
これに対して白の「NO」を上げた人はなんと2人。あとは全員「YES」という結果になりました。
また、病理医の先生からの「病理専門医からの説明も聞きたいですか?」という質問も出されました。結果は「聞きたい」という人が多かったです。

 
 
ワンステップ代表の長谷川一男さんが「NO(聞きたくない)」を上げた人の一人として司会者の指名を受け、その理由をマイクの前で説明しました。
長谷川さんは、病理診断で聞けるのは腺がんか扁平上皮がんか小細胞がんかとか、低分化か中分化か高分化かなどではないか、と考えているとのことでした。
主治医の先生と同じような配慮のある言葉で説明していただけるのだろうか、だが病理の先生が患者に対して説明すべきところもあると思うので、ぜひそれは教えていただきたい、とのお話でした。

 
 
会場の医療者の説明によれば、病理の先生からこうした質問が出てきたのは、主治医の説明が「腺がんか扁平上皮がんか」とか「高分化型か」などで留まっていることを懸念してのことだろうとのことでした。
そうした診断が下るまでのステップを、病理医がもっと説明することができるのではないかという考えがそこにはあるようでした。

 
 
また別の医療者から会場の参加者に向けて、「自分の病理診断のレポートや画像を見たことがあるか」という質問が出ました。
主治医に頼んでみてもいいし、病院によっては病理医から直接説明を受けることができるかもしれないとのことでした。興味があるなら「闘う相手を実際に見てみる」というのも、病気と向き合う方法の一つとなるかもしれないとのお話でした。

 
 
また患者側からは、病理診断の結果は間違いないのかという質問が出ました。
これに対して会場の医療者から、ある研究結果が紹介されました。

 
 
それによれば、「5人の病理医がいたとすると、5人ともの病理の結果がぴったり合うというのは大体8割ぐらい」で、残りのおよそ2割は意見が分かれるそうです。
がんとまではいえない状況でいろいろと意見が分かれたり、腺がんと扁平上皮がんの間にもどっちともつかない場合があるのだとのこと。

 
 
「でも皆さんにとっては、腺がんといわれればいろいろなお薬があるし、扁平上皮がんといわれれば使えるお薬が限られてくる」、そこは運命の分かれ目でしょうとのことでした。
よって、そういう結果を病理の先生がどのように決めているか。「うーん、えい」といって決めているのか、いろいろ調べて「あなたには、ここに決めました」としているのか、知りたくないですか?というのが、そもそもの質問の主旨だったのではとのお話でした。

 
 
 
さて、2番目の質問です。「抗がん剤治療の副作用をすべて伝えてほしいかどうか?」
これに対しては大半が「YES」と回答しました。

 
 
個別には、「口頭であれこれといわれても、いっぱいいっぱいで入らない。要点だけ伝えてもらって、あとはペーパーでほしい」などの意見が出ました。
「YES」と答えた人の中にも「NO」の人の中にも、このような考えの人がいたようでした。

 
 
 
第3問「薬物療法の治療ハンドブックや治療日誌をもらっていますか?」
「NO」と答えた人が大半でした。

 
 
会場の医療者からは、「YES」と答えた人のうちで活用している人がいたら、どのように活用しているか知りたいという声が上がりました。
マイクの前で発言した参加者の中には、「治療日誌をつけるっていう習慣があるんだ、っていうことを知ったっていうことがすごくよかった」という人もいました。

 
 
その人は最初しかもらえなかったので、今では自分で用意したマンスリーカレンダーを使っているそうです。「調子が悪い」「下痢をした」「湿疹が出た」などを、そのときどきに書くようにしているとのことでした。
「そういう習慣づけをしたらいいよ」ということが分かったという意味では、最初にいただいてとてもよかった、でも今は使っていないとのお話でした。

 
 
それに対して会場の医療者からは、必要だったら「いっていただければコピーしてお渡しします」との発言がありました。続けない患者さんもいるので、全員に渡すのも押しつけがましいかという配慮がある、とのことでした。
また、副作用の状況などを記録するためのスマホアプリが開発されていることも話題になりました。とくに治験などではPRO(=Patient Reported Outcome「患者報告アウトカム」)の活用が盛んで、そのためのアプリ開発が進んでいるとのことでした。

 
 
だんだん場が温まってきて、会場の皆さんからの発言も活発になってきました。ですが本日のレポートは、ここまでです。
第4問以降は次回に続きます!



 

 

 
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