第60回日本肺癌学会レポート 「いつもと逆」ロングバージョン その② | NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ

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2024年4月、10年目突入。肺がん患者・家族の「いきる勇気」につながればいいなと思っています。

みなさんこんにちは!

 

 

今日は、
第60回日本肺癌学会学術集会 患者・家族向けプログラム
「いつもと逆? 医療者から患者・家族に聴きたいこと」
 
ロングバージョンでの「いつもと逆?」(全4回)
第1回からの続きです。
では、ご紹介します~キラキラ
 
 
<第2回>
 
 
毎年日本肺癌学会学術集会の患者・家族向けプログラムでは、患者・家族からの質問に医療者から回答をもらう機会を設けています。
ですが昨年のこの企画では、質問する側が医療者に! なので「いつもと逆?」というわけです。

 
 
今回は、4つ目の質問から。
「病名告知と治療方針の説明は、一緒にしたほうがいいですか?」
「一緒のほうがいい」という人が大半でした。
 
 
この質問は、会場の医療者からのものでした。
その先生によると、病名告知と治療方針を一緒にしても、次の受診の際「あまりよく覚えていないので、もう1回お願いします」となる場合があるとのこと。
だったら治療方針の説明は、告知から時間を置いてからのほうがいいのか、というお尋ねだったようです。

 
 
この説明を聞いたうえで、会場の参加者から再度回答を募りました。それでも大半の人は「一緒のほうがいい」でした。
「皆さん、覚えている自信があるんですね」といって、大西さんが会場をわかせます。

 
 
ここで会場のもう一人の医療者から、こうした質問が出る背景が語られました。
それによると、医療者教育の中では「患者さんは告知を受けるだけでも頭のなかがまっ白になってしまう、そこにそれ以上情報を与えても入っていかない」と教えられるとのことでした。

 
 
また、とくに病状が深刻な場合など、告知にくわえて治療方針を伝えてもストレスになるだけでは、と思ってしまう。
一方小分けにすればしたで、つらい話をする回数が増える。医療者としては、どちらがいいかすごく悩むところ、とのお話がありました。

 
 
このあと何人かの患者が、マイクの前に立って意見を述べました。
その中に「医療者と患者のあいだに、やっぱり差があるなと思う」と発言した方がいました。「医療者は二度いわなくちゃならない、とおっしゃるが、二度はやはり必要なんですよ」とのことでした。

 
 
「肺がんっていわれたとき患者はほんとに素人なので、ついていけないのは当然。だからもともと差があると思ってもらって、何回も何回もいってほしい。
そのうちに何年も肺がん患者やってると、だんだんついていくようになるので。プロ中のプロのドクターのようにまではいかないが、勉強したらある程度は話ができるようになるので。長い目で待ってほしい。そのために、何度も説明がほしい」

 
 
そうした参加者の発言に、真摯に耳を傾ける医療者の方々の姿が印象的でした。
 
 
また、がん専門看護師や薬剤師など、多職種の医療者でとり組むのはどうだろうという声も上がりました。それに対しては、自身もピアサポートを行っている参加者から、患者にはたくさんの人のサポートが必要という発言がありました。
一方、告知の際に医師以外のメディカルスタッフが同席していたかという質問に対しては大半の回答が「NO」で、新たな課題が明らかになりました。

 
 
 
続いて5つ目の質問「主治医とのコミュニケーションはとれていますか?」
これに対しては、8割ほどの回答が「YES」でした。

 
 
「YES」と回答した人からコミュニケーションをとるコツを聞いたところ、「先生にサービスする」という話が出ました。
にっこり笑ったり、おやじギャグをいったりする。そうすることでその場を和ませられれば、先生の本音を引き出すことができるのではないか、という経験談でした。

 
 
また医療者からは、「バッドニュースを伝える」際に迷うという意見が多数寄せられたとの話も出ました。
先ほど「医師はプロフェッショナル」という声もあったが、医師も不安を抱えながら面談しているところがある。患者さんのほうからも歩み寄っていただけたら、という要望が出ました。

 
 
 
6つ目の質問「現在の治療に満足していますか?」
「NO」と回答した人が2割弱いました。

 
 
そのうちの一人がマイクの前で意見を述べました。
その人は「アスベストの肺がん」で、最近主治医に「もう19年経っているから回復しているのではないか」といわれたとのこと。「でも、とても納得できない」というお話でした。

 
 
その発言に続いて会場の参加者からは、医療者は「治療は終わり」といったら気分がいいものなのかという質問が出ました。
医療者からは、5年経ったら「卒業証書をあげます」という、「おめでとうございます。サバイバーになりました」と伝える、などというお話がありました。
その際にも、引き続き診察を受けたいなら申し出てもらえれば、とのことでした。5年も診ていれば身内のような気がしているので、「継続して」という気持ちならそう伝えてほしいとのことでした。

 
 
 
7つ目の質問は、再びバッドニュースを伝えることについてのものでした。
「バッドニュースを小分けにして伝えることに、ショックをやわらげる効果があると思いますか?」
これに対しての回答は、圧倒的に「NO」でした。

 
 
会場の参加者からは、「状況によって違うのでは」という意見も出ました。
とくに「治療をやめます」という話は、段階的にされているのかもしれない。また薬を変えるときにも、先生方は段階的にいってるんでしょうかという質問になりました。

 
 
これに対する医療者からの回答は、たとえば緩和治療の紹介をするときは、段階的にやったりすることがあるというものでした。
ただ、医療者自身も答えをもっていないところがあって、段階的にすることに本当に意味があるのかは分かっていない。患者さんにあとで「どうでした?」と聞くこともできない。そういうのをぜひ教えてほしいと思っている、とのことでした。

 
 
さらに、医師はやはり時間がないので一気にやりたいというところもあるが、看護師さんに話をしてもらうというのはどうかという意見も出ました。
看護師さんは、「先生方には、一度にお話ししたほうが診療の効率としてはいいという思いがあると思いながら」診察に同席するとおっしゃいました。

 
 
そうした場合、その看護師さんは患者の表情や視線が見える位置にいて、「ちょっと今日はこのぐらいが、この患者さんにはいいんじゃないか」と思ったときには、医師に診察を中断してもらうようなこともあるそうです。
そしていったん次の患者を診察室に入れ、その間にその患者に面談をして気持ちを整理してもらい、もう一度診察室に入ってもらうようなこともしている、とのことでした。

 
 
また別の医療者は、個々の患者・家族にとってバッドニュースの基準は違うし、それに対する感じ方もそれぞれだと思っているとのことでした。
そのことによって出てくる問題はいろいろあるが、治療についていえば、自分はこれから起こる可能性のあることを、予め知らせておくようにしているというお話でした。
それでも治療の中止などのバッドニュースは聞きたくないという患者さんもいて、「この方はどういうふうにしてほしいのか」を考えながら診察しているそうです。

 
 
ここでまた医療者から、「事前に少し見通しが伝えられていれば、実際そのことが起こったときの衝撃はやわらげられるのか?」という質問が出ました。
アンサーパッドで回答を募ったところ、圧倒的多数の回答が「YES」でした。

 
 
そのうちの家族の一人は、「毎日毎日が心配で不安で、夜も眠れない」ので、「小出しではなく1回でいっていただかないと、家族も心がもたない」と訴えました。
また別の家族からは、「バッドニュースであれ事実は事実としてあるのだから、それは正確に伝えてほしい」との意見が出ました。「予測できることとその対策案を、プラスして知らせていただけたら」との要望が述べられました。

 
 
それらの発言に対し、医療者からは貴重な意見が聞けたことに対する謝意が示されました。
 
 
くわえて患者側から、「バッドニュース」でなく「戦略」という言葉を使うのはどうかという提案がありました。
治療が進んでいくとバッドニュースを伝えなければならないときがくる。それを「段階的に伝えるかどうか」という議論をしているので、どうしても「バッドニュース」という言葉になる。
だが状況が変わったとき、「次はこういう方法があるが、積極的にどっちを選ぶのか」というふうに考え、「戦略」などという言葉に変えると受け入れられやすいように思う、とのことでした。

 
 
それを実践している患者さんが指名され、マイクの前で自身の経験について話してくださいました。
その方は、自分から先の治療法について主治医に尋ね、予測されることを聞いていくそうです。そうしながら自分でも勉強して、治療の方向性を主治医とシェアしながら進めているとのことでした。
「バッドニュースとかって、悪い方向にいくっていうのは考えてなくて。その治療の先にまた別の薬があったりとか。そういう方向になるかな、と考えながら治療を進めています」という、とても前向きな姿勢が示されました。

 
 
議論は白熱し、マイクの前に列ができることもしばしば、という状況になってきました!
ですが、今回のレポートはここまでです。続きは8つ目の質問からお届けします。



 

 

 
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