デュプラス・ブラザーズ・プロダクションズ製作のドキュメンタリー作品。2003年アメリカ・ペンシルベニア州エリーで起きた銀行強盗事件。表通りに現れた実行犯は警察に取り囲まれる。しかし彼の首には爆弾が巻きつけられており、指示通りに行動しないと爆破すると脅されたピザ配達人だった。いったい誰が策謀した事件なのか。全4回。Netflixにて配信中。
"双極性障害" とは脳の病気で躁状態とうつ状態を繰り返す症状が現れる。患う女性マージョリーは事件に関与する容疑者として逮捕される。それは同居している男性ビルの告発によって警察が検挙したのである。マージョリーとビルは知能が高く、単なる強盗事件ではなく彼らのエゴや自己愛が第三者を巻き込んでいる背景が露わになっていく。果たして首謀者は誰なのか、あの爆弾は誰が作ったのか。一向に証拠が見つからない周到ぶりに捜査側が翻弄される。
作品として真相の追及とは別にマージョリーの生い立ちや家庭環境を調査して、才色兼備な少女が犯罪へと導かれていく過程を追及すれば社会のあり方を問いただす主題へと成就したであろう。精神の疾患があるとはいえ、同様の病に患う人々が皆犯罪者であるわけではなく、そこに社会の病巣が見えてくるはずである。心の弱さへの救いの手が看過されているのであれば、共同体の一員として私たちも共犯者の自覚を噛みしめないと、このような暗黒面は今後も表出する。
ここに登場する人々は普通の出で立ちである。(住んでいる部屋がめちゃ汚いという欠落はあるが)漫画のキャラクターのように "目がヤバい" なんてステレオタイプではなくナルシシストな風貌でもない。だが自己顕示欲が強く現れる側面が見受けられる。それは誰しもが内在する社会に認められたいという "孤独への恐怖" だろう。
異端だと切り捨てる排斥することで円満な環境は成立しない。どのような境遇の人であっても互いに支え合う配慮が平穏な社会へと導かれる。特定の人を忌避したり法を犯した者を糾弾する、居心地の悪い環境には責任の所在を訴える。全て自身は悪くない、真っ当な生き方をしているのだから保障されるべきだと主張する。それでいいのだろうか。私は疑念を抱く。全て自分が見える範囲で判断していいのだろうか、見えざる要因が社会に潜んでいて、なんらかのはずみで誰しもが道を見誤ってしまうのではないか。それは過去に私たちが黙認した面倒な事象かもしれない。原因究明とは他者に押し付けるものではなく、常に自問すべきものであろう。
明日は我が身という "疎外される苦痛" を想像できれば、助け合う "共存" という健全な姿勢が備わってくる。"憎しみ" よりも "許す" ことが難しくもあり大切な感情だと気づく。ん?かなり宗教っぽくなってる?心配無用、高額な壺や印鑑を勧めたりしませんから安全安心。
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